304 名前:総評案5(◇.xh8R9ciqj8H氏代行)[sage] 投稿日:2014/02/11(火) 20:02:08.38 ID:kZ11cJCS0 [15/36]
KOTYe5周年となる2012年は、クソゲーの世代交代を感じさせたものの、過去に引けを取らない激戦が繰り広げられた。
惜しくも2011年に単独大賞を逃したsofthouse-sealのゲー無「くのいち」と、
急成長株スワンアイの大型地雷「SEX戦争」の大賞争いは、KOTYeの理念というある種「最後の切り札」を持ちだすまで決着がつかず、
切り札を使わされてしまったKOTYe住人は恐怖と期待の混ざった心持ちで2013年のクソゲー来襲に備えるのだった。
1月、まだ2012年の大賞も決まっていないうちにKOTYe2013に乗りこんだのは、
SEX戦争の生みの親スワンアイが送り込んだ刺客「リア充爆発しろ! ~変身能力手に入れたんだけど質問ある?~」(通称「リア充」)である。
SEX戦争同様の「バカゲー+抜きゲー」の本作は、変身能力を手に入れた主人公がその能力を使って彼氏持ちのヒロイン達を
手篭めにして見返してやるという内容なのだが、これまたSEX戦争同様舞台設定の説明は殆ど出てこない。
SEX戦争の選評で叩かれたからかは知らないが、今作では一応能力を入手した経緯については辛うじて説明されている。
とはいえ、たった数行の説明では無いに等しいといっても過言ではないだろう。
シナリオの中身も酷いものであり、彼氏に変身して彼氏持ちの女を寝とったことがバレたものの、
女はその一度の行為で即堕ちして元彼氏をフって主人公と恋仲になるなどは序の口。
主人公が返信して捏造したハメ取り写真が見つかったら女子同士でのハメ取り自慢大会が繰り広げられる、
ヒロインが教室で失禁したら男子生徒が自慰を始め出し、それを見つけた教師が男子生徒に廊下で自慰をするよう指示、
などといった訳のわからない寸劇を度々見せつけられる。
肝心のエロシーンも惨憺たる有様であり、シーンの殆どが20クリック程度で終わる短さにも関わらず
大半がコピペであり、実用性があるとはとても言い難い。
シーン中に頻出する「ずっぷ!ずっぷ!ずっぷ!ずっぷ!ずっぷ!」
「ああ…もう出そう」のフレーズはこのクソゲーに新愛称「ずっぷ」をもたらしただけでなく、
冒頭の説明の「そして…僕は変身能力を手に入れたのだった」の行と併せて「3行で表せるゲーム」としてAA付きでスレ住民に温かく受け入れられた。
斯くして、SEX戦争同様超展開なこのバカゲーは、2012年のくのいち同様2013年の門番として君臨するのであった。
しかし、今年のクソゲーは門番が現れた程度で怯むほど軟では無かった。
2月には気味が悪い日本語で紡がれる駄文と存在意義が怪しいゲームパートからなる「星彩のレゾナンス」、
モテも修羅場も薄く主人公のいい加減さだけが浮き上がった「モテすぎて修羅場なオレ」が難なくエントリー。
3月には最終痴漢電車の劣化パクりな上に、選択肢次第で男に痴漢をすることになり男の喘ぎを聞かされる羽目にあう
「淫獄痴漢列車 ~A Molestertrain Named Desire~」や、2011年にKOTYeを賑わせたTEATIMEの姉妹ブランドFULLTIMEが叩きつけてきた挑戦状「UNDEROID」が立て続けに侵攻。
その中でも注目すべきはUNDEROIDであり、ウェイト調整や衝突判定の手抜きによるグラフィック崩壊は
クソ3Dゲーの嗜みとして当然持ち合わせている上、ウリであるアクションパートは各アクションから攻撃に
移行するまでの硬直が長すぎる関係で大半のアクションが死に要素、
更には被ダメージによる脱衣システムも頻繁に時間経過による体力回復を挟まないと脱げる前に死ぬという笑えない仕様である。
このような何がしたいのかわからない仕様に加え、素人が部屋録りしたのかと思うような劣悪なボイス、
効果音まで余すところなく文字化する斬新なシナリオと相俟って本作はスレ住民を困惑させることとなる。
幸いアクション自体の出来は割と良いため、プレイ効率さえ度外視すればそれなりに遊べてしまうという面も有り、
昨今では珍しい「遊べるクソゲー」として一部の層には受け入れられた。
新年度が始まり春の陽気になる4月になると、softhouse-sealからくのいちを彷彿とさせる
「エルフと淫辱の森」(通称「エルフ」)が暖かさに寛ぐスレ住民を襲撃。
元々「ゲー無」であったくのいちから更にアクションを削ぎ落とした本作は予想通り中身も無いに等しく、
プレイヤーだけでなく敵もアクションを削除されたのか殆ど攻撃を仕掛けてこない為に接触以外ではまずダメージを受けない。
くのいちで問題視されたジャンプ中無敵は流石に削除されたものの、被ダメージ後の無敵時間が
やたら長い為に無敵中に攻撃を連打すればボスすら楽々倒せるという世紀末的な戦闘バランスである。
非難轟々だったくのいちの反省を受けてミニアニメ以外にきちんとしたHシーンを用意し、
ミニアニメにも射精ボタンを設置し任意のタイミングで終了できるように進化したが、
何故かくのいちよりもミニアニメが小さくなった上にキャラの手前に配置された背景テクスチャが頻繁にミニアニメを隠すので、相変わらず実用性には難が有る。
一つを直せば別の箇所で粗が出るという有様はsealのクソゲーマイスターぶりがよく現れていると言えよう。
また、4月のクソゲーでは「少女神域∽少女天獄」も見逃せない。
Lassお得意の鬱グロ系異能力ファンタジーかと思いきやシナリオの大半は料理の話と作中の街の観光案内であり、
冗長な文章と意味なく打たれる強調記号に辟易することになる。
終盤で待ちに待った異能力バトルになるかと思いきや突如として新設定が次々に現れた後は駆け足でエンディングまで直行する為、
頻出する難読漢字と相俟って理解が追いつく前に終わっていることが大半であり、
いまいち理解できなかったが他のルートで補完があるかも…と期待して別ルートに行っても対象ヒロインが変わっただけで
全く同じ内容を読まされる一本道シナリオであることが露呈するだけである。
このようにヤマもオチも無いに等しく面白味のない本作だが、唯一面白いとすれば、
とあるエンドでの妹凌辱からのダイナミックフルチン自殺という超展開に苦笑する程度だろう。
ライターの脳内設定と雑学を適当に書き連ねたかっただけとしか思えない本作は要点不足で蛇足は満載というクソシナリオの王道を驀進しており、
絵や音楽は高レベルにも関わらず発売年内に買い取り価格が100円まで暴落したのも頷ける出来栄えであった。
5月になってもクソゲー達は五月病になることもなく平然とスレへの侵攻を繰り返す。
破綻した設定とデタラメな経済論をベースにトンデモ設定の
登場人物達(主人公含む)が好き勝手にやりたい放題な「お嬢様はご機嫌ナナメ」に、
フルアニメーションを謳いながら10年以上前の水準の画質とWin98時代のインターフェース、
携帯小説の寄せ集めのような超展開なシナリオで購入者を落胆させた
「Qualiaffordance-クオリアフォーダンス-」と、休むことなく選評が届く始末であった。
また、納期に間に合わないという現実から逃避行し、マスターアップ後に延期宣言をした
Ex-iTの「逃避行GAME」(通称「逃避行」)は、その出来の酷さからプレイヤーが逃避行したいくらいであった。
ゲームを起動すると飛び込んでくる[START][LOAD][END]のみのシンプルイズベストを徹底したスタート画面は軽いジャブに過ぎず、
実際にゲームを進めると尺不足と伏線の投げっぱなしで要領を得ないシナリオと多数のバグに頭を抱えることとなる。
特にバグの方面では優等生で、その中身はボイスの再生不良、不意の背景暗転、セーブデータロード時の不具合、
特定ルートへの進行不能など多岐に渡り、それらのバグの中でも有名なのが後に本作の通称ともなる「イラッシャイマセー」バグである。
これは、名前が「???」のキャラ(所謂モブ的なキャラ)の台詞が全て「イラッシャイマセー」という女性のボイスで再生されるというものであり、
身長2mを超える巨漢の殺し屋がドスを効かせた顔で「イラッシャイマセー」と言い出したり、
モブ同士の会話では「イラッシャイマセー」「イラッシャイマセー」「イラッシャイマセー」といった狂気の沙汰としか思えない会話が繰り広げられたりする。
絶大なインパクトを誇るこのバグにスレは一気に盛り上がり、「ずっぷ」に続きようかんマンを改変したAAが生まれることとなった。
また、既に説明した通りこのゲームには[START][LOAD][END]しか存在しない為回想モードといったものはない。
その為、予約特典の「ヒロイン視点のHシーン回想モード追加」も機能するはずが無く、無用の長物と化す。
幸か不幸かバグや予約特典の不具合などは概ね現行パッチで修正済みであるが、
現行パッチを出すまで発売から2カ月経過しており、企業体質に問題が有ると言わざるを得ないだろう。
梅雨に入る6月の空気を一掃したのはMBS Truth -Cherish Pink-の
『クラス全員マヂでゆり?!~私達のレズおっぱいは貴女のモノ・女子全員潮吹き計画~』(通称『マヂゆり』)であった。
タイトルを見てもわかる通りレズ物の抜きゲーなのだが、何をトチ狂ったのかHシーン中のBGMがRPGの序盤マップを彷彿とさせるような明るいものであり、
プレイヤーはHシーンにも6月の空気にも合わない爽快なBGMに唖然とすることになる。
また、抜きゲーなのにボイスを徹底的に削減しているのも本作の特筆すべき点であり、
20-30クリックごとにやっとボイスが1回入るかどうかという程度である。
ボイスの少なさを補うように主人公の独白や妄想が事あるごとに挟まるため話のテンポが非常に悪く、
当然Hシーンもこの流れは続き、行為に及んでいるというのにほぼ無言なヒロインに対し主人公はマシンガントークを
炸裂させるという抜きゲーにあるまじき状態が出来上がるのだった。
この主人公自体選評者から「心にチ○コが生えている少女」と言われる通りの性欲魔であるので、
百歩譲って独白や妄想やマシンガントークが多々挟まるのは已むを得ないと許容したとしても、
その内容が溢れ出る性欲と情熱を「雌ライオン」に例えたり、突如「にゃあああん!」と叫びだしたりという
訳のわからないものであるため最早抜くどころの話ではない。
「雌ライオン」に至っては事あるごとに登場するため、本作の新たな通称にもなる程であった。
システム面でも、ゲームを終了する以外に止める術の無いスキップ機能、システムデータではなく
個別セーブデータ依存な為にコンプリート不可能な立ち絵鑑賞機能、レズゲーなはずなのに白濁液発射システム搭載
などといった不可解な仕様が並び、プレイヤーは只々乾いた笑いを浮かべるしかないのであった。
7月は一転し、スレは陰鬱な空気に包まれた。門番を抱えるスワンアイが黒鳥ブランドで出した
『雨音スイッチ~やまない雨と病んだ彼女そして俺~』がやってきたのである。
タイトルからして不穏な空気が漂う本作、一見してヤンデレかと思いきや精神を病んだ狂人(メンヘラ)であり、
メインヒロインは最初から最後まで終始狂いっぱなしである。
その狂いようは「主人公の母親の葬儀でヒロインがウェディングドレス姿でブーケトス」に代表されるように
かなりのハイレベルであり、エンディングも陰鬱なものばかりである。
狂っているのはシナリオだけではない。
デッサンの崩れた作画や、Hシーンには採用せずヒロインが足蹴にされる場面や絞首される場面、
リストカットする場面にばかりループアニメを採用する開発陣のセンスなど、至る所に狂気を感じることができる。
昨今乱造され気味なテンプレヤンデレではなくメンヘラに焦点を当てた本作は一部では評価する声が上がったものの、
絵やシナリオのボリューム等は到底フルプライスのレベルには達しておらず、クソゲーの謗りを免れないだろう。
短い夏休みが過ぎ、秋の様相が見え始めた9月、スレにはクソゲーの秋とばかりに大作が押し寄せることとなる。
先陣を切ったのはSAGA PLANETSの『カルマルカ*サークル』(通称『カルマルカ』)のエントリーである。
前作『はつゆきさくら』が比較的高評価だっただけに本作のエントリーは騒動を起こすこととなった。
本作の粗筋は、「魔可」と呼ばれる七つの大罪になぞらえた超能力を持つ主人公とヒロイン達が協力することで、
過去から未来までを自由に改変できる「カルマルカ」と呼ばれる存在を手に入れようとするものである。
上記の様な凝った設定や重々しい展開を予感させる体験版、そして前作の高評価がストーリーへの期待を煽っていたが、
いざ蓋を開けてみれば矛盾だらけの電波なシナリオがプレイヤーを襲うこととなった。
怒った時のみ身体能力が向上する憤怒の魔可を持つ主人公はとあるルートでは平常時でも石を易々と砕く、
とあるヒロインはルートに入ると突如「人殺しの娘」設定が追加される。
カルマルカに相当な思い入れのあるヒロインは別ルートで
「ぶっちゃけカルマルカなんかどうでもいい(要約)」と本作の根幹設定を全否定など、
各ルート間での整合性をとる気が微塵も感じられない。
クリア者から「個別ルートはTrueエンドと整合性がとれないからスキップした方が良い」と言われたり、
選評者をして「笑い所のないチャージマン研!」と評されるあたり本作のシナリオの酷さは察しがつくだろう。
また、本作の根幹設定である魔可も相当いい加減なものであり、衝動的に買い物がしたくなる「強欲」、
大食いしたくなる「暴食」、突如睡魔に襲われる「怠惰」などはキャラ付けと何が違うのかと突っ込みたくなる上、
「嫉妬」に至っては発動時に主人公に欲情するなどといった理解に苦しむ内容である。
シナリオが駄目でも絵の出来はいいからとフォローしようにも肝心のHシーンでシナリオの悪さが足を引っ張り、
シリアスな場面から突如行為に及んだり内外の選択をした直後に発射したりと情緒の欠片も無い仕様になってしまっている。
細かな指摘を挙げてはキリが無いが、「設定の投げ捨て」「矛盾だらけの人物描写」「投げやりなストーリー」
で構成されたシナリオは紛れもなく複数のシナリオライターによる弊害であり、システムにバグは無いが
ライター間の意思疎通能力がバグっていると言われるのも仕方の無い話だろう。
主人公ではなくプレイヤー自身が憤怒の魔可を獲得しかねないクソシナリオを誇る本作だが、
それに反してジャンル名が「ハッピー&スマイルADV」であった事がスレ住民に受け、
ハッピー&スマイルマンなるAAが誕生し、カルマルカのエントリーを聞いてやってきたお客様の
無礼な振る舞いにいきり立つスレに一時の癒やしを与えることとなった。
その癒しの一時を盛大にぶち壊すが如くゴリ押しでKOTYeの門を粉砕したのが
戯画の『バルドスカイゼロ』(通称『バルスカゼロ』)である。
練られた世界観とシナリオ、爽快なアクションで人気のバルドシリーズは戯画の代表作でもあり、
その中でも特に人気の高いバルドスカイの前日譚というだけあって、発表時には多くの注目を集めた。
製作陣が過去のバルドシリーズを手掛けた「TEAM BALDRHEAD」ではなく原画シナリオ共に変更になっていることや
発売が半年間延期されたことなどの不安要素はあったものの、
公式ページに踊るアクションパートのリアルタイム3D描写、射撃攻撃強化、機体や武装の強化
といった新要素の広告や、製作陣からの
「凄いボリューム」「『分割するほどでは無いが』大作」といった絶賛にシリーズのファンは期待を寄せたが、
いざ発売されると不安は見事的中し、ファンの期待は悉く裏切られることとなった。
公式サイトで散々煽っていた新要素満載のアクションパートは、蓋を開けてみれば
「強化したハズの射撃攻撃は微妙、一部の誘導ミサイルは静止した敵にも当たらない」
「ノックバックが存在しない為にバルドシリーズの売りのコンボの概念が消滅」
「ラスボスですら格闘攻撃でゴリ押すだけで圧勝 、この間僅か数秒」
「必殺技は任意発動不可で強制発動なため割と邪魔」
「主観視点でのエイムや機体や武装強化の実装は一部のみ 」
「カメラワークが適当 で、3Dマップな為に配置物にユニットが隠れがち」
「装備武装は前作より減少、総装備数も減少」と、前作から進化した部分が皆無という惨状であった。
プレイしようにも頻繁に襲う強制終了や特定ルートの箇所での100%強制終了など、
まともにプレイすることが困難な本作であるが、
攻略の際に押さえるべきことが装備やコンボではなく、「高誘導超火力の自爆敵が湧く場所を覚えること」なあたり、
アクションパートのつまらなさがわかるというものである。
シナリオの方はシステムに輪をかけて酷く、回りくどい言い回しが目立つ一方で肝心の説明はまるで足りず、
大抵の出来事はドラ○もん的な便利キャラがその都度出てきて何とかするご都合展開か
「実は~~だったんだ」と後からこじ付けて終了するかのどちらかであり、
伏線は回収する姿勢を微塵も感じさせず全力でぶん投げている。
その上、登場人物が総じて理解できない言動ばかりとり、
中でも主人公の言動が高圧的かつ常識と礼節に欠けており不快なことが多々あるため、
真面目に読むのが馬鹿らしくなる程である。
加えて、前日譚であるにも関わらずどう考えても前作バルドスカイには話が繋がらない上、
人気の高かった前作主人公がモヤシ扱いや「強いが馬鹿」呼ばわりされるだけでなく大量殺戮犯まで追加されるという散々な扱いであり、
シリーズものにおけるタブーをこれでもかと破りまくりシリーズファンすら敵に回すこととなった。
画力もボイスも高クオリティとは言い難く、あらゆる面で低質さを遺憾なく発揮しファンを落胆させた本作だが、
一通り炎上して鎮火に向かおうかという時にトドメとばかりに公式から再び燃料が投下される。
そう、『バルドスカイゼロ2』の発表である。
続編は無いと言っておきながら平然と続編を発表する厚顔無恥な企業姿勢には、
ファンだけでなくスレ住民も呆れかえる他なかったのは言うまでも無いだろう。
斯くして、バルドスカイゼロは、名立たるギガマインに堂々と名を連ねることとなったのであった。
カルマルカ、バルスカゼロといった有名処からのクソゲー襲来に、
命に関わる犯罪行為をギャグで済ませた上に女装モノなのにも関わらずエロCGで主人公が
のっぺらぼうな「ノブレスオブルージュ」の選評も加わったことでスレは活気立ち、
余所からのお客様の対応をしながら盛りあがっているうちに今年も恒例の季節となるのだった。
そう、年末である。
超展開のオンパレードであった『赤さんと吸血鬼。』の選評というクリスマスプレゼントに喜ぶ住民に、
年末の魔物は容赦なく爪を振り下ろしたのであった。
その年末の魔物の名は『雛といっしょ』(通称『雛遺書』)。『逃避行』を出したEx-iTが送り込んできたこの魔物は、
2012年初頭発表から実に2年近い期間をかけて孵化しただけあってその戦闘力も尋常では無かった。
まず、12月13日マスターアップ、20日発売のはずがまたしてもマスターアップ後に27日への延期を発表。
『ひよこストライク!』から数えて実に3作連続でのマスターアップ後の延期という離れ業である。
そして、いざ27日に商品を受け取ってみれば真っ先に目につくのは異様にしわしわの梱包である。
マスターアップ後の延期は想定内だとしても、新品だというのに皺の寄った梱包という予想外の状況に購入者は面食らうこととなる。
これは公式サイトでも触れられており、後述するバグのせいでパッチを当てるまでゲームが進行出来ないというお詫び状を入れる為、
一旦開封して手作業で再梱包したためとの事である。詫び状を入れる事そのものは良い事だとしても、
そのサポート体制を他に回せなかったのかと問いたいところである。
さて、ゲームの内容であるが本作は『ひよこストライク!』のヒロインである雛に着眼したミドルプライスのファンディスクである。
純然たるADV形式だけである本作であるが、進めて10分も立たないうちにプロローグが終わり、
選択肢によって「記憶喪失編」「リハビリ編」「命令ごっこ編」に分岐する。
初期バージョンでは記憶喪失編以外を選んだ場合、25クリック後に100%エラーで強制終了する。
また、記憶喪失編を選んでもやはり特定の位置で100%エラー落ちする。
つまりプロローグ以外無いに等しいのである。
この製品として明らかに成りたっていないという異常事態に住民は狂喜乱舞し、
スレは今年最大級の盛り上がりを見せることとなる。
一般的な体験版にすら満たない出来でどう足掻いても話の内容が不明なことから
「シュレディンガーのエロゲー」「パンドラの箱」など次々と愛称が付けられると同時に、
製品として機能せずただのディスク1枚としてしか機能しないことから
「ゲー無」をも超える「 ― 」などと呼ばれ恐れられた。
そして製品失格の出来に盛りあがるスレを更に活気立たせたのがメーカーの対応だった。
「28日はイベントに出るのでパッチは出せない。29日に直して30日にパッチを出す(要約)」
という常識外れな公式声明にスレは湧きたち、30日が31日になり最終的に2014年の元日午後にもつれ込み
Ver 1.10パッチが公開されるまでの間、年越しだというのにスレは書き込みが絶えることが無かった。
なお、この間も公式は「完成したけど公開先のミラーサイトと連絡が取れないから公開できない」
などといった小学生の様な言い訳を行い、スレを賑わせることとなった。
そのVer. 1.10パッチでも記憶喪失編の強制終了は直っておらず、オールクリアは
Ver. 1.10同様延期の末に出されたVer. 1.20パッチまでお預けとなった。
さて、強制終了が修正されたから問題が解決したかというとそうではなく、
新たな問題が浮かび上がっただけであった。
ミドルプライスの本作だが、「記憶喪失編」「リハビリ編」「命令ごっこ編」
そしてパッチ修正後に存在が明らかとなった「覚醒編」を全て合わせてもフルスキップで10分程度の量しか無く、
非常に薄いと言わざるを得ない内容だったのである。
パッチの方も何故かVer.1.20公開前にVer.1.10を公開停止するといったきな臭い動きが見られ、
後にパッチを解析するとCGやシナリオを追加したような痕跡が見られることから、
バグを装って未完成を隠しただけなのではないかという憶測も飛び交うこととなった。
発売前の延期、新品とは思えない梱包、ケースを開けると目に飛び込んでくる詫び状、
回避不能の強制終了バグ、そしてメーカーの杜撰な対応に未完成隠蔽疑惑と話題には事欠かなかった本作は、
改めて年末の魔物の恐ろしさをスレ住民に叩き込んだのであった。
さて、本来ならこの後に2013年の次点と大賞の発表となるのだが、今年はそうはいかないのをご容赦願いたい。
何しろ、普段は総評前で特に話題の無い1月のスレに、選評〆切前に駆けこむべくそれまで埋もれていた
クソゲーの選評が大挙して押し寄せてきたからである。この予想外な事態にスレ住民は狼狽し、
総評案を練り始めていた者達は草案破棄の事実的な強要を嘆きつつも新たなクソゲーの登場に胸躍らせるのであった。
遅れてやってきたクソゲー達はいずれも個性あふれるものであり、姉妹ブランド故かマヂゆり同様の
異常なまでのボイス削減策を徹底した上に立ち絵差分まで削った抜きゲー
『聖ブリュンヒルデ学園少女騎士団と純白のパンティ ~甲冑お嬢様の絶頂おもらし~』(通称『ブリュパン』)、
「主人公の部室」「いい肉な妹日」等の怪しさ爆発の日本語に加え
妹ゲーなのに妹でないヒロインの方が多い『妹*sister -My sister-』、
陳腐なシナリオを読まされた上にフリーHモードを使おうにも一々面倒な設定を
強いられる3D凌辱ゲー『プレミアムプレイ~ダークネス~』などジャンルも様々。
かつてはALcotハニカムの開発チームの1つだったGLaceの『Timepiece Ensemble』(通称『TE』)は、
長くてつまらない共通シナリオや文章と一致しないCGといった問題に加えて、
肝心のキーパーソンの真意や意図が本作の開発陣の前作であるALcotハニカムの『1/2summer』をプレイしていないと
全くわからないという抱き合わせ商法のような意地汚さを見せつけた。
また古豪アーベルソフトウェアの姉妹ブランドであるRed Labelの
『JK辱処女~純粋な心の持ち主ほど処女を好むという法則~』(通称『枝豆』)は、CG枚数を削ぎ落として製作費を浮かした上に
「娘の幸せを願うなら娘の処女を俺が奪うのが道理(要約)」などと言い始めサブタイトルを全否定するだけでなく、
でかでかと表示した枝豆のCGでクリ○リスを表現したかと思えば、枝豆の色が変わる、
クリ○リスだけでなくヒロインの腕や主人公の性器の例えとして枝豆が表示される、
枝豆に注射器を打ちこむなどといったサイケなセンスにプレイヤーとスレ住民は戸惑うこととなった。
3D分野では『プレミアムプレイ~ダークネス~』に続けと、
痴漢ゲーなのにも関わらず白昼堂々と電車内だけでなく学園の教室などでも本番を始めた上に
バグでヒロイン絶頂時に首から上が消滅するREALの『いたずら学園』、
多くのユーザーお手製MODによって支持を得ていた前作とのMOD互換性を無くし、
低質なグラフィックの中ゴーストタウンを歩きまわるしかないBulletの『3D少女カスタムエボリューション』が立て続けに侵攻してくるのだった。
それらの中でも他とは一線を画す破壊力を持っていたのが、
ミルクプリンの『明日もこの部室(へや)で会いましょう』(通称『部室』)である。
7月26日の発売から実に半年近くもの間潜伏していた本作は、1月の時点でもネット上を探しても
レビューが見つからないという無名な存在であったが、
いざ掘り起こしてみれば年末の魔物と対を成す夏の魔物に相応しい実力を持っていたのだった。
エンジンに吉里吉里/KAGを採用したにも関わらず劣悪なインターフェースや、
キャプションの名前が「明日もこの部屋で会いましょう」と思い切り間違えているのは序の口。
異様に腰が細く逆三角形の胴体をしたヒロイン達や、公式HPと名前が一致しないだけでなく
作中で自らを「主人公」と名乗る主人公、寒いパロディや作中キャラのメタ発言、Hシーン後も延々と鳴り響くBGV、
更には我々の知りうるデジタルカメラとは程遠い何かが陳列されたカメラ屋などに頭を悩ませることとなる。
既に頭が痛くなる本作だが、細かいことで悩むなとばかりにシナリオの方はこれらが霞むほどの問題の山であった。
作品HPのあらすじでは「主人公が所属する写真部が実績不足の為廃部の危機に陥ったので評価される実績を残そう。
人物写真の才能が有る主人公は誰かと仲良くなり写真を撮らせてもらおう。」とありがちな設定で、
進め方も毎日誰のところへ行くかを選択するだけの比較的オーソドックスなものなのだが、
全体の9割を占める共通ルートは冗長な雑談かカメラ関連の雑学披露、
撮影方法の議論などおおよそエロゲーマーには不要なもので構成されており、ただただ苦痛が続くことになる。
しかし、本作には退屈だからといって適当に進めていると間違いなくバッドエンドに直行する罠が仕掛けられているのだった。
大抵の場合、選択式のADVの場合、目当てのヒロインをストーカーしていればルートに入ることができるが、
本作ではそのような方法をとると100%バッドエンドに直行する。
何故なら、ヒロイン毎に「見てはいけないイベント」が存在し、
それらを踏むと問答無用でバッドエンド送りとなるからである。
その見てはいけないイベントというのも「ヒロインがチャラ男から飯に誘われているのを目撃する」
「ヒロインがモブキャラから告白されて断る」「ヒロインが兄弟らしき男と車に乗っている」などと
余程の独占厨を除き一見してわからないものばかりである。
タチの悪いことに、これらのイベントを踏んでも以降のイベントは平常通り進みヒロインと良い雰囲気になれる為、
気付かないうちに罠にかかったプレイヤーはヒロインと仲良くなっていざ被写体の申し入れをしたら無下に
断られた挙句主人公が自殺という理不尽なバッドエンドに打ちのめされることとなる。
ちなみに、あらすじで既に述べた通り主人公が被写体を選んで実績を残さないと廃部になるはずなのだが、
バッドエンドでは主人公が何もしていないにも関わらず部は平然と存続し続ける。
己の必要性を失った主人公が自殺するのも已むを得ないことだろう。
これだけでも相当なクソであるにも関わらず、残り1割の個別ルートではその短さにも関わらず共通以上のインパクトを誇り、
プレイヤーはこれまでのことはウォーミングアップに過ぎなかったということを思い知らされることとなる。
個別ルートでもどうでもいい淡白な話が目立ち、キャラ紹介で張られた伏線を完全に無視。
主人公の方も「無害な草食系男子」という設定はどこ吹く風で序盤からヒロインを
名前で呼ぶだけでは飽き足らず個別では突如としてベッドヤクザ化するといったタカ坊を彷彿とさせる有様であり、
「無害な草食系男子」どころか「害な男子」である。
短い個別ルート中にエロを複数詰め込んだため、エロシーンが終わればすぐに別のシーンが立て続けにといった
エロシーンわんこそば状態が発生し、それが終わったかと思えばいきなり数年後に飛んでエンディングになる。
そのエンディングも決して褒められたものではなく、サブヒロインの1人のルートを除き写真部の存廃や
主人公の成果などは一切出てこないという設定の丸投げぶりである。
更には幼馴染エンドでは「一緒にいる時は衣服の着用禁止」、
メインヒロインエンドでは「5年分の食料と燃料、水が備蓄された施設に引き籠り、2年間服を着ず、
一切外にも出ず、ひたすら性行為に及ぶ」などといった主人公の裸族への目覚めがプレイヤーに残っていた最後の理性を根こそぎ奪うことになる。
既に常人には理解し難い何かだというのに、追い打ちとばかりにメインヒロインエンドの方では
「2年ぶりに学園祭に行こうと思ったけど、何か世界は細菌テロで壊滅らしい」
「それは大変、弓矢とか持っていく?2年前の服も着られるかな?」などと唐突な新設定と電波な会話が矢継ぎ早に繰り広げられ、
「果たして、無事に明日、部室で会えるかどうかは、誰にもわからない」とツッコミ所しかない一文で〆られるのであった。
このシナリオのクソさだけで戦い抜くという、難解シナリオ一本のストロングスタイルで
勝ち抜いたかの『りんかねーしょん新撰組っ!』に通じる姿勢の本作は瞬く間にスレを熱狂させた。
それだけではなく、有志の検証により特定の手段を踏むと序盤の主人公名入力の文字数制限を超えて255バイト分まで入力でき、
主人公名をやたら長くすることで既存のメッセージを次のウィンドウに押しだせるという仕様が発覚し、瞬く間にスレ住民の玩具と化した。
その結果、メッセージウィンドウにずっぷやイラッシャイマセー、ハッピー&スマイルマンなどのAAが踊るスクリーンショットも誕生し、
『部室』の凶悪さと冬の寒波に身を震わせる住民をほっとさせるのであった。
以上が2013年に発売された主要エントリー作品である。
この贅沢な顔触れを総覧頂いたところで、2013年の次点、そして大賞の発表をさせて頂きたい。
2013年の次点は
『リア充爆発しろ! ~変身能力手に入れたんだけど質問ある?~』、
『少女神域∽少女天獄』、
『バルドスカイゼロ』、
『雛といっしょ』とする。
そして、栄え有る大賞は『明日もこの部室(へや)で会いましょう』とする。
2013年のクソゲー達は「低品質なシナリオ」と「企業側のモラルの低さ」が問題視されることが多く、
企業の倫理観が問われることになった一年と言えよう。
近年業界の盛り上がりに欠けるエロゲー分野であるが、その原因は多々あるものの
「体裁を繕っておけば買う奴はいるだろう」という企業側の姿勢から来る粗製濫造も一因であり、
エロゲーといえど客商売であるということを今一度メーカーには再認識して頂きたい。
そのような意味を込めて、2013年の評価には上記の
「低品質なシナリオ」と「企業側のモラルの低さ」を加えさせてもらうこととする。
そういった観点から見ると、次点の『リア充爆発しろ!』は前年度の覇者SEX戦争から
何一つ反省しておらず丸投げの設定とやりたい放題な超展開シナリオは相変わらずなのに加え、
肝心のエロシーンをコピペして手を抜いた結果プレイヤーが抜けない有様であり、
『少女神域∽少女天獄』はライターが好き勝手した結果シナリオが大惨事になったのに加えて、
雑誌インタビューで「そこはLassということでご理解頂ければ」と自己弁護をするだけでなく
Webラジオでは作品の不評を声優のせいに仕立て上げるなどメーカーの倫理観の低さが露呈することとなった。
『バルドスカイゼロ』は原形を留めない原画シナリオの変更に加え、
前言を易々と撤回しゲームよりも喧嘩を売っているとしか思えないメーカーの対応が目に余り、
『雛遺書』は「 ― 」とも言われる通りの中身の薄っぺらさと宣言した期日すら守れない
という非常識なメーカーの対応を見せつけ、名前の通り業界からexitしてほしい程であった。
それ以外でも、利益優先でボイスを過剰に削った為に抜きゲーとして使い物にならない
『マヂゆり』や『ブリュパン』、開発陣は同じとはいえ他作品から説明く設定を流用した『TE』など、
2013年は企業側のモラルについての話題は絶えることが無かった。
それらの贅沢な顔触れの中でも、『部室』は前時代的なインターフェースと作画、
シナリオと整合性が無いに等しいキャラ設定、突き抜けて訳のわからないシナリオとあらゆる面で低品質さを見せつける一方で、
サンプルCGやボイスを殆ど公開せず未だに作品HPで「発売予定」のままとなっているなどと企業側の意識の低さを存分に見せつけ、
コミケ前の7月に見切り発車しただけなのではないかと思わせる有様であった。
そもそもミルクプリン自体がクソゲー量産機Potageの姉妹ブランドであり、
そういった面でも何ら反省していないと言わざるをえないだろう。
中身は低品質ながら何かとネタに溢れ笑いを誘い、ぎっしり詰まったクソを笑いに昇華できるだけでなく
2013年のトレンドをも兼ね備えた『部室』はやはり別格の存在であり、故に大賞とすることとした。
途中までは不作と言われていた2013年だが、終わってみれば12の月全ての作品からクソゲーの選評が届き
「選評十二宮」の名も出るほどの豊作であり、質、量共に高水準の1年となった。
惜しくも次点となった4作品や次点とならなかった作品でも、
生まれる年が異なれば次点や大賞に成り得た可能性は十二分にある。
また、既に本家KOTYでお馴染となりつつあるステルス性も遅れながらエロゲー界に浸透し、
ネットの充実により情報網が発達した今なお、未報告の地雷が多数存在しているという恐怖を叩き込まれた年でもあった。
2014年は企業のモラルの評価方法や急増しつつあるお客様への対応など新たな課題が生まれ、
次点を擁する4社全社が早くも新作を出すという穏やかではない状況ではあるが、それは次の代に譲り一先ず筆を置きたいと思う。