285 ID:gILWJJ2j0 [sage] 2014/10/12(日) 00:42:12.22 ID:gILWJJ2j0
パサージュ! ~passage of life~は2014年9月26日に戯画より発売されたエロゲーである。
戯画と言えば、Go○gleの検索バーに「戯画」と入力すれば、予測変換で「戯画マイン」と出てくるほど、
我々にとってなじみ深い存在であり、この業界では知らない者は居ないだろう。
そんな戯画が発売したパサージュ!であるが、
一見すると、某アニメの商店街アニメに若干感じが似ている作品であるが、似ているのは雰囲気だけである。
まずはじめに、システム面はさすがの戯画である。
これまで幾度となく生み出してきたバグを踏まえた安定性は我々を安心させてくれる一要素である。
またCGも問題なく、キャラもかわいく描かれており何も問題ない
最も我々が注目すべきはそのシナリオである。
本作品は、商店街に住む幼馴染み同士の恋愛を描いた物であり、
個々の実家と将来の夢についての物語と言ったほのぼの系の作品であることを謳っている。
メインの登場人物は幼馴染み同士でありであり、
- 喫茶店の姪で小説家志望の子、
- お嫁さんが夢の駄菓子屋の娘、
- 薬剤師になりたい漢方薬局の娘、
- 昔ながらの銭湯を継ぐつもりの子、
- 酒屋の息子である友人、
そして装丁デザイナーを夢見る本屋の息子の主人公である。
商店街をモデルにした作品は様々存在しており、
例えば先述の某アニメでは、王子の遣いである鳥が登場したり、向かいに住む幼馴染みの家とは商売敵であったりといった話がある。
また他にも某少女漫画では街の人気者で商店街を盛り上げる五人組の恋愛話などが挙げられる。
せっかくの商店街なのだから、ありきたりではある物の商店街を盛り上げて活気づけるような青春物語が王道であろう。
だが、この作品にそのような物は一切無い。
そもそもこの商店街、それなりに流行っているのである。
また昨今のゆるキャラブームにあやかって、神社のゆるキャラが登場するわけだが、特にこれと言った重要性は存在しない。
無駄に登場するくせにである。
勿論、銭湯娘のルートでは、やはり昨今では利用客の層が薄いのか銭湯が潰れるという話が出てくる。
だが心配しないでほしい。
ただ移転するだけである。
しかも温泉が湧いたので移転して開業するという、昔ながらの銭湯を完全に否定する結論である。
商店街の話はこの作品にほぼ関係がないと言っても過言ではない。
では学園での物語はどうであろうか。
学園では、彼らは二年生と言うこともあり、卒業アルバムを製作する委員会に幼馴染み全員で立候補する。
ここで主人公の設定である、装丁に携わりたいという夢が生きてくる。
自分で作る喜びに改めて自分の夢を再確認するそういう青春物もありであろう。
だが、安心してほしい。
この作品にそのような物語は一切無い。
卒業アルバム委員会の話が出てくるのは、
その役員になるときと、先輩のアルバムができたとき、先輩を送り出すときの企画で風船を飛ばす、の計三回である。
アルバムを作るために奔走したり、意見を戦わせたり、途中で誰かが引っ越しとなって一緒に作れない、などと言った物語に欠かせない起伏や緊張感は存在しないのである。
ではなぜ卒業アルバムの話を物語に入れたのだろうか。
首をかしげたくなる。
また、本作品は夢を追いかける物語である。
やはり青春物と言えば夢と現実の差に思い悩むものであろう。
主人公たちは夢がそれぞれあり、物語の初めの時点でほとんど夢を見据えている。
夢に関して最も描かれるのが小説家を夢見る女の子であろう。
この子は小説を書いては主人公たちに読んで貰ったり意見を言って貰ったりしている。
そんな女の子はあるとき賞に送ろうと思って物語を書き始める。
が、執筆が間に合わず落ち込んでしまう。
ここで物語の展開的には、「夢を諦めようと葛藤する」や「次の賞に送ってみて駄目だったら諦める」が考えられる。
だが、そのようなプレイヤーがハラハラする展開にはならないのでご安心を。
そもそもこの少女、賞に送るのは初めてである。
初めて本格的に書くのだから間に合わなくて当然だろというのはこの際どうでもいい。
主人公に「他の賞を調べてみよう」といわれ立ち直るちょろさ。
そして賞に送ると担当者から電話がかかってくる優しい世界。
思い悩むのはばかばかしいのである。
それではこの物語、一体どこで我々にわくわくしたりハラハラしたりすればいいのだろうか。
もうお分かりであろう。
そう、この物語には我々をどきどきさせてくれる要素はエロイベント以外皆無なのである。
このほかにも、特にこれといった話がない漢方薬局の娘や、
主人公のお嫁さんになることだけが夢で、お互いの意思疎通がうまくできず破局しそうになるが、
商店街のレースで一位となった主人公にデートに誘われてよりを戻す駄菓子や娘の話がある。
が、ここに書いたことですべてである。
もし付け足すとしたら、駄菓子や娘が本作品で最も起伏のある物語かもしれないということである。
だが、付け足すとしても、その後酒屋の息子がヒロインが弱っているところにつけ込んで告白しようして、主人公と町内会の景品を掛けたレースをするあたりであろうか。
だが、盛り上がることはない。
主人公と酒屋の息子のトークがほとんどで、むしろ、そんなしゃべっててよく息が切れないなと思ってしまうほどである。
この物語のストーリーは何だったのか。
我々は一体何をこの作品のストーリーに見いだせばいいのだろうか。
回転寿司のベルトコンベアを思い描いていただければそれが答えであろう。
ただ文字が流れてくるだけで、テンポも緊張感もすべてが一定なのである。
ここまで平坦なストーリーを描くのはある意味普通できることではない。
誇っていい。
さて、昨今のエロゲー界は、CGの枚数が足りないだけでなく、システム面の不具合やシナリオの暗号化、設定の矛盾などなど様々な要因を組み合わせた魔物を生み出してきている。
それらのゲームは、我々に怒りを与え、考察を促し、解析を行わせ、そのゲームに眠るクソさで我々を盛り上がらせてくれる。
だが、本作品にはそれがない。
本作品がクソなのは「クソゲーになれなかった。」ただ一言に尽きる。
ただ金を浪費させ、時間を消費させて、ただ一言「ただの駄ゲー」と言わせるだけの、ゲームなのである。
このゲームは我々に対して何も与えてくれないのである。
少々理不尽かもしれないが、「駄ゲー」であることは我々に何も与えることなくただ忘れ去られていく。
そのことが非常に不愉快である。
駄ゲーならクソゲーほど叩かれることはないであろう。
その認識の甘さ、その怠慢さが今日の衰退を生み出しているのではないだろうか。
制作者は慢心しないでいただきたい。
どうせ駄目なゲームを作るならマインを作ってほしかった。
そんな作品であったことだけを記して選評を閉めたいと思う。