ブランド | ハイクオソフト | ![]() |
ジャンル | 対立する両家の2人に巻き込まれていく 学園恋愛ADV |
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メディア | DVD-ROM | |
原画 | ひーで | |
シナリオ | たとむ、keikei | |
発売日 | 2017/09/29 | |
定価 | 10,584円(税込) |
894: 面影レイルバック選評 ◆mwvHwpPOAc :2017/10/14(土) 00:12:32 ID:AcMpRkqM
タイトル:面影レイルバック
メーカー:ハイクオソフト
おねだん:フルプラクラス
ハイクオソフト10周年として発売された本作品であるが、レビューの多くは「個別ルートが短すぎる」といったコメントであり、中身もスカスカという評価がほとんどであった。
実際にはどういったものだったのか、あえて地雷を踏みに行った感想を出していきたいと思う。
まず主なルートに関わる人物として
吉岡 正志
主人公。元は「清水正志」だったが、訳ありで吉岡家の養子となる。樹里の提言で吉岡建設グループの次期家長として選ばれる。
吉岡 樹里
正志の義姉で、幼いころから起業家として貢献しており、吉岡建設内重役からも評価されている。過去、雅士と正志に世話になっており、その時に正志に初恋をする。
塩崎 檸檬
吉岡建設の秘書で樹里の代行を務めるが、普段は吉岡家家政婦長として働いている。掃除しないと気が済まない程の掃除中毒。
櫓名 いろは
櫓名土地のほとんど所有する櫓名当主。体が小さいのを気にしている。櫓名に来た正志を見て一目惚れする。
北浜 綾
いろはの毒見役で幼い頃から姉妹のように一緒にいる。里のしきたりで、いろはの初恋が実れば、自分の初めてでも毒見役としてささげなければいけないが、それを受け入れている。
ルートとしては、上記4人と、いろはと綾クリア後に追加されるハーレムルート(いろはと綾)がある。
その他NPCとして何人かいるが、その中で本選評に関わる人物として
吉岡 なのは
樹里の妹で、正志からは義妹にあたる。後に家政婦見習いとして入る九鬼と仲が良い。
吉岡 隼人
樹里の父親。吉岡重太郎により事業の失敗の責任を押し付けられ行方不明となる。
清水 雅士
正志の実父。過去、吉岡家に関わりにより隼人、樹里と知り合う。隼人が行方不明になったことで探しに出たが、事故で死亡していることになっている。
吉岡 重太郎
過去、櫓名の土地開発に関わっていたが失敗し、責任を隼人に押し付ける。今は吉岡活の犬となって暗躍している。
吉岡 活
吉岡建設重役の一人で大きく貢献しているが、自分の為なら人を利用する冷酷さを持っており、正志、樹里を土地開発失敗させようと裏で動いている。
ルイディアーナ
隼人の妻で樹里の母親。雅士に世話になっていた過去があり、その際に正志の世話をしていた。海外に医療活動していた時に風土病に掛かり、失語症と記憶障害になる。家にて療養中。
九鬼 飛鳥
吉岡家家政婦見習いとして務める学生。過去、正志と寝食を過ごしており、正志のためなら何でも協力する。なのはと仲が良い。
椎名 杳子
日本企業のゴシップに興味をもつルポライター。
シナリオに関して
- シナリオの短さと薄さ
本作品の大きな問題点であり、個別入るまでに2~3時間程度、樹里・いろはで1時間程、檸檬・綾・ハーレムにいたっては30分くらいで終わる。これで内容が濃いならまだしも、普段は学校、土地開発の話、ありきたりな生活が流れるだけで、大きく動くのが夏祭りの裏で重太郎が正志と樹里の事業を失敗させるために騒動を起こすくらいで、しかもあっさりと解決してしまい盛り上がるところがほとんど無い。
各キャラクリア後に後日談的な冬頃のシナリオが出てくるが、オマケ程度でこちらも短い。フルプラでこれは致命的である。
- 個別ルートの入りが分かりにくい
個別に入るのが若干特殊で、いろは・綾の場合だと
いろはルートに入りつつ、綾の事も知ってあげてといろはに言われて綾とも関係を持つような選択すると綾ルートに入る。
樹里・檸檬の場合だと
夏祭り騒動の際にどっちが指示しているかによってルートが決まる。樹里はそのままだが、檸檬だと樹里を選びつつ檸檬寄りの選択をすることで檸檬になる。
といった感じに、完全な個別とはいえない内容な進め方になるので、ルートがどう入るのかが分かりにくい。
- 終わり方が雑
終わり方もキャラによっては酷い。例えば綾だと
進めると、いつの間にか夏祭りの騒動の事は終わってることになっており、村長から正志に「綾ともつきあってるのか」と聞かれ「いずれはいろはと3人で一緒になりたい」という感じで綾と話をして、いろはもそれがいいといった感じになって、後日綾とHして終わる。
- は?(リアルでそうなった)
檸檬だと
夏祭りの騒動の際に正志が怪我をし、お世話していたら正志の事が好きになりました。しかし樹里の事も裏切れないからどうしようかと考えた結果、里のしきたりを利用して樹里の毒見役になると言って樹里を納得させ、後日檸檬とHして終わる。
- は?(リアルでそうなった、2回目)
と、プレイヤーからすれば「そこからどうなったの?」と思ってしまう消化不良な終わり方をするので、伏線が残ったまま(後述)になっている。
各キャラの後日談的なシナリオでも本編の補間をするわけでもなく、割とどうでもいい内容である。
ちなみに、ハーレムルートに至っては語りようがない。というのも
いろははもちろんだけど毒見役だった綾の事も考えている、それって二人相手することになるけどいいの?、もちろんさっそく婚礼の準備だ、あれやこれやで1カ月過ぎて初夜を迎える、終わり。
綾ルートにこれを入れてしまってもよかったんじゃないかと、このルートの必要性がよくわからなかった。
- 伏線のぶん投げ
今作品は伏線が残してる状態になっている。
①雅士に関すること
樹里ルートで正志の実父である雅士が実は生きていると椎名から情報をもらい正志に教えるが、樹里エピローグでいつか会いに行くと言ったものの結局最後まで再開した描写は出てこない。雅士は樹里の父親の隼人を探していたのにそれもどうなったのかも一切出てこないし、ルイディアーナと雅士と会わせることで何か変化があるかもしれないと他人の助言があったのにその再会することもない。
②櫓名の事業について
正志と樹里が櫓名に土地開発するのは、里の土が特殊な薬草を育てるのに最適な条件だということで土を買って薬草を育てて、それを新たな医療事業に展開するというものだが、土を運んだもののその結果がどうなったのかは判明しない。本編とはかかわりないだろうが、せめて日本医療の新たな技術発展につながったとか、世界で広がったとか結果を入れるべきではないか。
③いろはと綾のダンスについて
いろはと綾がこっそりと夏祭りに向けてダンスの練習していたが、夏祭りの騒動もあるがその成果を出すところがない。せめてダンスを披露した後に騒動が起こるとかの流れにすればよかったのではないか。
④正志の過去について
九鬼から、正志は不良をまとめるリーダーとして寝食を共にした3年前の話をなのはにするのだが、ちょっとだけしか語られなく、何をしていたのかは不明のまま。8年前の正志と樹里が出会う出来事として本製品発売前に無料DLできる「泥亀の月」というものがあるが、ゲーム内にアーカイブ的なものがありそれで一部始終を見ることができるし、重要な部分もそこで見れるからわざわざ落として見る必要もない。
⑤吉岡建設内の関係
正志、樹里の土地開発を失敗させるために重太郎が騒動を起こしたが、その裏に活が関係してると樹里が本社に乗り込んだ(檸檬ルートのみ)が、それからどうなったのかは未解決のまま。樹里ルートだと、活が重太郎を切り捨てたと樹里に伝言を送ることになっている。
⑥正志の跡取りについて
設定として、樹里の提言で正志は吉岡建設の時期家長としてなるべく、過去に問題を起こして未解決状態だった櫓名の土地開発をしていくが、最後に正志が跡取りとしてどうなったのかは分からない。
(オマケシナリオを見るに、おそらくハーレムルートを入れる5ルートの内、檸檬ルートを除いて正志は退職している。いろは・綾・ハーレムでは櫓名に残ることになるからまだわかるが、樹里ルートでは雅士が生きている事を知ったら父親に会うために吉岡家に縛られる必要はない、自由に生きていくために退職を勧められる流れになる。最初は吉岡家に恩があるし、退職することで次期家長として提言した樹里に不利になるんじゃないかと考えていたが、最後は退職することになった。ただ、樹里が当面家長になることになり、正志も父親の件が片付いたら戻ってくる可能性はある。)
- 不具合関連
最後らへんの音声が入っていないとネットで出ていたが、筆者はパッチを落とした後だったのか音声が入ってないところは見られなかった。ただ、所々でものすごい小さい声で話すことがあるので、BGMのせいで聞こえてこないというのはあるかもしれない。
まとめ
CGやBGMに目立った問題はなく、アーカイブで各キャラや裏事情について見ることができるのはよかったものの、フルプラどころかミドル未満のシナリオの短さと薄さで設定を生かしきれずに解決が出来てない部分を残してダメにしてしまい、10周年記念作品としての期待に裏切る作品となってしまった。筆者としても、制作側はこのゲームで何を作りたかったのかと疑問を持たざるを得ない感想しかなかった。正志の部屋を掃除した時に過去作品である「さくらさくら」を出してしまうにあたり、こっちは面白いんだよ、とスタッフからのメッセージだったのだろうか。