文芸彼女と僕二人だけの愛の巣だった部室にヤリチンが入部してきた! 選評

ブランド Miel
ジャンル アドベンチャー
メディア ダウンロード
原画 石井彰
シナリオ 有巻洋太
発売日 2017/12/31
定価 756円(税込)

選評

【2017】 クソゲーオブザイヤーinエロゲー板 避難所 10本目
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58331/1513991271/
228: 文チン選評 ◆D2NUIMg9q. :2017/12/31(日) 21:33:19 ID:wUbFXmWc
タイトル:文芸彼女と僕二人だけの愛の巣だった部室にヤリチンが入部してきた!
ブランド:Miel
ジャンル:アドベンチャー
発売日 :2017年12月31日(ダウンロード版)
販売価格:700円(ダウンロード版、消費税別)


1.はじめに
 Mielではおなじみ、大晦日発売となった本作。
 本作はNTRをテーマにした作品であるが、先月、今月、来月と3カ月連続でのNTR作品発売ということもあり、本スレ住民からは失望の声が上がっていた。
 756円というKOTYeエントリー作史上(おそらく)最安値、174MBという最軽量クラスの作品であり、小粒な作品になるということは十分に予想されたが、正直ここまでとは思っていなかった。756円の供養のため、また年忘れの意味でもこの選評を上梓する。

2.ゲームシステム
 本作のジャンル表記は「アドベンチャー」である。アドベンチャーゲームと言えば、プレイヤーに選択肢が提示され、選択の結果次第でいくつかの結末が用意されているというのがオーソドックスなスタイルだ。ロープライスのゲームでは極端に選択肢が少なかったりするが、まさか「選択肢なしの一本道」とは思わなかった。何度かプレイすれば分岐ができるのかと思い数回プレイしたが、結果は変わらず。そもそも1周した時点でCGはフルコンプされていた。

3.ゲームデザイン
 本作の内容は、筆者が説明するまでもなく、HPに2行ほどで書かれているのが全てだ。せっかくなので全て引用してみよう。
 「薬で酔わせて処女を横取りレ○プ、裸土下座で強制おねだりH、無理やりフェラ奉仕、通話しながら快楽責めH、デート中に危険日寝取られ受精!、臨月姿でお別れアクメビデオレター!」
 これら6つのシーンはエロゲーにおいてプレイヤーが最も求める、いわば物語で一番盛り上がる部分である。一方で盛り上がっていると認識するためには、基準となる日常部分の描写も欠かせない。ところが本作における日常部分は、プラスチック製の刺身のタンポポ程度の価値しかない。付き合っているのであればデートに行く話でもすればよさそうなものだが、出てくるのは「目玉焼きに黒蜜が意外と合う」「バイト始めました」という、どうでもいい話であったりする。しかもすぐに間男が現れるため、非常に薄くおざなりな扱いをされていると言える。
 NTR作品においてプレイヤーは2つの視点(自身の分身としての主人公と、全体を俯瞰する読者)を持つが、両者のバランスは重要である。主人公にある程度没入してヒロインとの関係を楽しむ中でヒロインにも心惹かれていく。一方で読者として堕ちていくヒロインを見る。両視点間の落差から大きな喪失感をおぼえ心を揺さぶられるというのがNTR作品の楽しみ方なのではないだろうか。
 だが本作ではこのような楽しみ方は難しい。まず主人公への没入については、主人公の心理描写が非常に薄い。上述したようなどうでもいい話の合間にわずかに混ぜ込まれた程度では、主人公を自身の分身として見ることは難しいだろう。またヒロインと付き合った経緯がわずか3行で片付けられてしまっていること、デートも1回だけ(しかも結構話が進んでヒロインが間男に種付けされるシーンの前座)であることから、ヒロインへの思い入れもほとんどない。
 次に堕ちていくヒロインを見ることによる喪失感だが、ヒロインがあっさりと永久に肉奴隷になることを認め、むしろ積極的に奉仕してしまうことから、ほぼないと言っていいだろう。実際筆者がプレイしたときの感想は「堕ちるの早くない?」であった。間男と関係を切りたいと本当に思っているのなら、永久に肉奴隷になることをあっさり認めるのは長期的視点が不足していると言わざるを得ないし、関係を切りたいという言葉が非常に薄っぺらく感じる。ストーリー中では中出しされる(=関係を切る)か外出しされる(=肉奴隷)かという選択肢が一応存在している(プレイヤーは選ぶことができないが)ので、せめてそこを選択可能にするとかあったんじゃないだろうか。

4.グラフィック
 絵は良い。2015年エントリー作の「巻き寿司」のような作画崩壊も特になく、品質は安定していると言えるが、やはりというか、容量が少ないゆえの問題が選り取り見取りである。ちなみに6つのシーンとキスシーンを合わせた7つがCG枠で、差分を全てカウントしても53枚である。
  • 間男とヒロインとのキスシーンが4回あるのだが、全て同じ画像である。そしてなぜ背景がピンク色でキラキラした感じなのか。NTR作品には場違いのように感じる(おそらくだが、主人公とヒロインのキスシーンの構図を使いまわしたせい)。
  • ホテルでのHシーンで、ヒロインは一度全裸になっているはずなのだが、直後のCGでは半脱ぎになっている。半脱ぎの立ち絵が存在していないためにこのような事態になったと思われる。
  • 画像が少ないために動きも少なく、文章と乖離しているというのはロープライスの宿命か。

5.ボイス
 画面が動かない(後述)のに会話だけはやたらと長く、ダレてしまう。しかも発音がいちいちはっきりしているので、ヒロインが堕ちた感じも足りない。もう少し舌足らずな感じを出してもいいのではないか。
 また、クリックでセリフを送っても、次のが流れ始めるまでボイスはそのままなので、日常シーンに戻ってもヒロインの淫らな声が聞こえ続けるのは気に障った。

6.結論
 とにかく「薄い」。ヒロインの胸と作品タイトル以外は。

7.その他、小ネタ等
  • 最初のHシーンの導入は脱法ハーブティーである。エロゲー…紅茶…うっ頭が
  • 間男ポジションの「一輝」は部室に「豆に」来るらしい。このスレ的にも、そして個人的にも何かを思い出させる誤字だ。
  • 1周した後に既読フルスキップして所要時間を測定した。その結果は驚異の25秒。
  • タイトルがあまりに長いので、DL版だから文鎮にもなりゃしないという皮肉も込めて仮だが「文チン」と略しています。より適当な略し方があればそちらを総評で採用していただければと思います。


以上です。

参考資料

258: 文チン選評 ◆D2NUIMg9q. :2017/12/31(日) 23:32:02 ID:wUbFXmWc
いくつか資料画像上げておきますね。
1.「豆に部室に来る」
+ ...

2.信玄餅
+ ...
最終更新:2018年01月14日 09:17