601: 名無しさん :2018/07/02(月) 16:50:56 ID:dTySq9ts
タイトル 夏色ラムネ
ブランド Carol Works
発売日 2018年3月30日
価格 8800円(税別)
ジャンル 幼いころの仲間たちと絆を結びなおすADV
イラストとOPの雰囲気目当てにプレイした。
ゲームを開始してまず目に入るのはスタート画面の演出であるが、なかなか良い。
流れる主題歌も田舎での恋愛ストーリーに期待が高まる素晴らしい曲だ。
CGも塗りが綺麗で可愛らしい。1枚絵の表情差分の多さも大変良い。
コンフィグも一通り以上に揃っていて、問題が有るとすれば
「メッセージウィンドウの色の濃さを0にしてもそれを調整するボックスが消せない」という事ぐらいだろうか
。
テキストを読みながらCGを隅から隅まで見たい人だと少し気になるかもしれない。
ここまでほぼこの作品を褒める事しかしていないが、問題が有るのは主に主人公とシナリオである。
1)まず主人公の問題点だが、独善的な言動が多く苛立ちが募ることである。
本作のストーリーを大雑把に説明すると、幼い頃に過ごした田舎に戻ってきた主人公が当時の友人達と再会し、
その友人たちとの思い出の場所である駄菓子屋を閉店の危機から救うために活動しつつ恋愛する話なのだが。
両親の海外赴任により祖母の元で暮らすことになった主人公は幼い頃暮らした田舎に帰ってくる。
仲の良かった友人たちと再会した主人公は幼い頃みんなで通った駄菓子屋に行く。
そこで駄菓子屋の店主であるサヤ婆とも再会するが、近頃体調不良であり毎日店を開けるのが厳しい状況である
ことを知る。
それから数日、やはり駄菓子屋は閉まっている事が多い。友人たちとの話の合間合間に駄菓子屋での記憶も思い
出し、
いかにあの店が自分たちの中心であったかと思う。
そんな駄菓子屋が無くなってしまうかもしれないと知った主人公は店を開けていたサヤ婆に
「無理をして欲しくないって言ったけど本音は店をやめて欲しくない」
「週3日でもいいから開店日を決めてほしい」と言ってしまう。
主人公の祖母の友人でもあり、幼い頃から主人公たちを見守ってきたサヤ婆は「がんばってみる」と言ってくれ
る。
それから主人公はどうすれば駄菓子屋が無くならないかと少し考えるが特に具体的な方法は思いつかない。
数日後、開店予定の日に友人たちと駄菓子屋へ行くと店は閉まっており、サヤ婆は寝込んでいた。
「医者には診てもらったの?」「店は俺たちに任せて休んでくれ」「ご飯食べてないならご飯作るね」
以上、全て友人たちの言葉である。
自分にも何かできることは無いだろうかと思っているはずの主人公は最初に「具合がわるいのか?」と問いかけ
る以外なにも
言い出さない。
その後店番をし、店を閉めてからサヤ婆に話を聞くと、はやり足腰が弱っているし体調も悪くなりがちで店を続
けていくのは
厳しいと言われ、主人公はショックを受ける。
体調不良のサヤ婆に一方的に気持ちを押し付けていたことなどを反省するが、駄菓子屋が無くなってしまうこと
は許容できないと、
改めて自分にできることを考えた結果「みんなで店を手伝おう!」と仲間たちへ呼びかける。が、
「遊びじゃないんだよ」
「手伝いは出来ても経営的なことを考えると無理」
と冷静に返されてしまう。
「その「みんな」に私は入れないで」とも言われるが主人公は挫けず、
「みんなの意見はもっともだが自分は嫌だ、できることが有るなら精一杯やってみたい、でも一人じゃ出来ない
から協力して欲しい」
と言い募る。それに対して友人は
「主人公はいい出したらきかないからな、でもまずはサヤ婆に聞いてみよう?」
これまた正論である。
その後もごね続け、なんとか友人たちとサヤ婆を説得して夏休みの間駄菓子屋を手伝うことになるのだった。
というのが共通ルートの主な内容だ。
友人たちの意見が現実的な分、主人公の子供っぽさひいては独善的な部分が目立つ。
この他にも、ヒロインのうち2人の喧嘩に対して周りが「本人たちの問題だから」と止められても口を出すなど
、
とにかくお節介焼きな所をみせるシーンが多いのだが、その人の為を思って口を出すというよりも「自分がこう
なって欲しいから」
という理由で動いているのが殆どであるため、いらぬ世話を焼いているように思えてしまう。
そのおかげで解決するシーンもいくつか有るが、どれも軽い事情による行き違いだったり、ものすごく小さな事
による喧嘩だったり、
言い出しっぺは主人公でも具体的な案を他の人が出すことで話が進む、と、主人公は口を出すだけな事が殆どで
ある。
話し合い(具体的な案は他の人が出す)で決まったことに対して「自分が言いだしたことだから」としっかり行
動する部分は
好感が持てるし、一応自分の言動に反省もする。が、反省が後に繋がるようなエピソードも特に無いので
どうにも主人公の独りよがりな言動に苛立つシーンが多い。
また、友人たちは全員最初から主人公に対する好感度はMAXであり、たしなめはするが結局協力してくれるため
、
さらに主人公が活躍している感覚が薄くなっている。
2)次にシナリオの問題点を上げるが、個別ルートの中身の薄さである。
共通ルートにおいて、駄菓子屋閉店の危機を回避するべく主人公達はシフトを組んで店番をすることになった。
それまでの選択肢によってルートが分岐するのだが、基本的にヒロイン達は幼い頃から主人公に惚れているか好
感を持っており、
分岐後すぐに付き合う事になる。
ルート分岐後すぐに「弥生のことが好きかも」と言い出し、店番中に告白して付き合い始める。
弥生とは幼い頃にとある約束をしていたが主人公はそれを覚えておらず、その約束がこのルートのキモなのだが
、
祭りでデートするうちにあっさり思い出す上に本当に「ちょっとした約束」なので盛り上がりはない。
店主が出かけている間の店番中にでセックスしたり、店主が倒れて搬送された後店じまいをしてからセックスし
たり、
祭りデートの途中に木陰でセックスしてる間にエンディングである。
あまりの話の展開の無さに、Hシーンを入れる場所が無かったのか、EDの後にその後の日常としてHシーンが2回
ほど入って終わる。
ちなみに駄菓子屋は閉める事になる。
4ルート中唯一まともに駄菓子屋の存続のために(ヒロインが)行動するルートである。
主人公以外に駄菓子屋存続に積極的だった美咲は経営的な事も簡易にでは有るが勉強してしっかりと店番をこな
していく。
店主の息子からの電話で「年老いた母には店を畳んで一緒に暮らして欲しい」と言われてしまうが、
駄菓子屋に来る子どもたちの様子を見せたらあっさり納得してくれる。
共通ルートから引っ張った弥生と美咲のすれ違いについては、ちょっとした喧嘩が長引いてギクシャクしている
、
というのを解決するだけであり二人を話し合わさせるとあっさり解決する。喧嘩の原因が本当に小さい事なので
この話必要あった?という気持ちになった。
駄菓子屋については現状維持、将来二人で駄菓子屋をやるのも良いね、というようなことを話して終わる。
オカルトルートである。幼い頃は大人しかったが今では毒舌気味にはきはきと喋る、と性格が変わってしまって
いるがその原因は…
というような内容だ。途中中身が幼児返りしてお兄ちゃんと呼ばれたりする。
一応他と比べてストーリーの盛り上がりっぽいものがあるルートなのだが、やっぱりあっさり解決する。
なお、店主の留守中に店の奥でセックスしたりもする。
駄菓子屋に関してはとくに言及せずに終わってしまう。
幼い頃はボーイッシュで少年だと思っていたが実は女の子だった…というヒロイン。父親の再婚により実父や継
母との距離のとり方がうまく行かず
少し離れたお嬢様学校に通っている。といっても険悪な仲になっているわけでもなく、主人公がちょっと世話を
やいて話し合うことで解決するため盛り上がりはない。
駄菓子屋に関しては特になにもない。
おまけの教師ルート。色々突っ込みどころはあるが、オナニーを見てしまったり酔っ払っている所を介抱しよう
として押し倒されたりしてる間に終わる。
どのキャラも早々に付き合うことになり、個別ルートはほぼ恋人期間であるためにイチャイチャについては概ね
問題はない。
デート中に他のキャラとの喧嘩について口を出したり、空気が読めない部分はちらほらあるが概ね問題はない。
が、共通からひっぱった駄菓子屋はただ店番をしているだけ、各ヒロインの問題も小さいかあっさり解決。
と個別ルートに入ったらただセックスしていた記憶しかなく終わってしまう。
しかもHシーンのシチュエーションに関しては
「駄菓子屋奥の店主の自宅スペースで店番中」
「店主が倒れて病院に運ばれ命に別状は無かったが、事情があって店を離れた隙きに起きた事態に反省していた
かと思ったら店じまいした後の自宅スペースで」
「料理を教えてもらうためにお邪魔した別ヒロイン宅で家主が買い物に出かけた間に」
などなど、基本的にヒロインに迫られると断れずにセックスしてしまうのだが、シーンのうち幾つかはさすがに
首を傾げるシチュエーションである。
特に駄菓子屋でのHシーンは、さんざんゴネる程の思い入れがある場所でという事もあり非常に違和感が強く、
所詮その程度の思い入れだったのかと思ってしまった。
ついでにHシーンについてもう一つ。ライターはコンドームについて並々ならぬ思い入れがあるのか、
ヒロイン全員にゴムを付ける付けないという会話が入り、CGにもしっかり反映されている。
ゴムありゴムなしの書き分けがされている作品をお探しの方がいらっしゃいましたらチェックしてみてはいかが
でしょうか。
まとめ
CGも音楽もシステムも良く、シナリオも主人公の言動が気にならず、
ストーリーがなくてもイチャイチャとHシーンが有れば良いという人ならクソゲーとは言えないと思う。そのく
らい長所も多い。
が、やはり小粒にも程があるヒロインの問題という山場の無さと、共感できない主人公と、
せっかく素晴らしい材料が有るにもかかわらず、あとに残るものがなにもない。
調理方法を間違えたというよりは、調理過程の途中で盛り付けてしまった、という印象の作品だった。