605: 名無しさん :2018/09/24(月) 19:24:23 ID:RXkaDx2.
作品名:みらーじゅそふと「君とつながる恋フラグ」
価格:9500円(税別) 筆者購入価格:1980円(税別・USED)
物語はとある田舎の神社にまつられる神様が自分に使える付喪神である桔梗に縁結びをさせる為に地上に遣わすところから始まる。そこにいた主人公の侑斗は同級生である汐織と一緒に雨宿りしたり、幼馴染である美咲を助けてあげたり、妹の悠香の風呂上がりに絡まれたりといわゆる「フラグ」が立ちそうな場面で特に何もせず、それを見かねて神様がフラグを立てさせるために桔梗を遣わせたのであった。
ところがいきなり桔梗は出会った主人公に対して縁結びの願いはあるか尋ね、意中の人を確認しようとする。新手の詐欺か何かと思った主人公は困らせようとして桔梗と結ばれたいと告げ、その通り「縁を結ぶ」事になってしまう。これにより縁結びの効果で二人は離れる事が出来なくなってしまったのだ。(離れてもポルナレフ状態になり戻ってくる、もしくはワープで強制的に戻ってしまう。周囲に人間にはうまく認識できないとのコメントあり)
主人公が女生徒のフラグを立て、縁を結ぶ事によりこの強制縁結び状態が解消されるとの事で、共通ルートでは各ヒロインとの距離感が縮まる展開を中心に追っていくのである。共通ルートまでの内容も含め各登場人物について説明する。
主人公 小早川侑斗
幼いころに父と母が離婚、その時に母親に出て行かれた為、捨てられたというトラウマを抱えている。彼の行動原理にトラウマが影響しており、妹のじゃれ合いを無視したり、幼馴染をわざわざ避けたりと塩対応をとるが、桔梗の登場によりある程度緩和されていく傾向が見える。母親に捨てられたトラウマもあるが、今の家族には満足しており、汐織に妹との仲をキモいと言われた際には激昂する。父は世界を出回っていて作中一度も登場せず、母は小説家で離れに引きこもりの為、家事は妹と分担して対応している。また、各ルートにても述べるが、人嫌いの癖に性欲が強く、胸に視線が行きがちなばかりか、オナニーについて語るモノローグが入る事が多い。成績はいい為、悠香や汐織の勉強を教える事が多い。
桔梗と強制縁結び状態になり、自室に匿う共同生活を送るも、次第に家族や汐織に発覚していく。そんな中で、美咲や悠香、汐織と距離が近づき、フラグが立ちそうな「感」を起こすことにより、強制力が弱まっていく。ルート終了段階で家と神社間くらいの距離であれば強制力が発動しないことが分かっているが、個別で発動する事はない。
ヒロイン
桔梗
付喪神として神社の神様に仕えている中で、修行として人間界に降りてきた。降りてきた時は成人式の晴れ着の様な和装で、下着をつける習慣がない等、人間界での生活に慣れない様子だったが、セックスは見せてもらえなかったものの、神様のエロゲプレイを見ている等、色恋沙汰や一部食べ物等は知っている。料理が上達し、家政婦の様な形で生活する一方、縁結びの強制力により学校に通う主人公らとともに通学する。学校に行けるようになったのは主人公の祖父が便宜を図ったとあるが、細かい説明は省略する。学校では図書室で過ごし、図書室の主として噂になるものの学生達には学者と説明している。性格は基本まじめだが天然なところもある。恋愛相談についてはアドバイスを送る等、神様らしく大人びた一面を見せる一方で、強制力解除の為に特別立ち回るほどの事はしない。縁結びが修行・試験とされている割にはのんきな付喪神様である。
余談ではあるが、他ルートにおいて母親が桔梗に執筆の世話をさせたり、美咲が神社のお祭りを手伝わせたり、桔梗不在の中で進展する話も多い。
天野美咲
主人公宅の近くにある神社の娘で幼馴染。やさしく、それでいて気さくな性格。明らかに主人公に好意を寄せる様なしぐさを見せるが、主人公からはトラウマを負った頃の自分を知っている負い目から避けられる傾向がある。ヒロイン一の巨乳でおっぱいいじられネタがくどいが、一応本人は気にしている様子である。成績は良く主人公と上位を競う程で、ルート突入前の勉強会でも教える側である。共通ルートでは桔梗の矯正縁結びを緩和する為、ほっぺにではあるが、主人公にキスをせがむ等積極的な態度を見せる。神社の関係者らしく親共々桔梗及び神様の存在について説明して回る役でもあるが、文章上は存在するものの親は共通ルートで一言もしゃべらない。
小早川悠香
同い年の義理の妹。両親の再婚で妹になり、いじめられていた時に主人公に助けられて以来、明るく「にーちゃんLOVE」を貫く。ウザ必死にアピールするものの主人公には甘やかされると調子に乗る事を理由に突き放される事が多い。明るく元気にふるまう為、主人公の幼馴染の美咲や聖と仲が良く、友達のいなかった転校生徒の汐織ともすぐに打ち解ける。ちっぱいの為、主人公の視線を引き付ける美咲や桔梗にジェラシーを感じている。成績は全体的に悪く全ルートで夏休みの補習を受けさせられる。補習については個別ルートでいきなりネタバレしたりとメタ発言が一番多く、個人的には面白くなかった。
福原汐織
スレンダー美少女転校生。不愛想もといクールな性格からかクラスでは浮いている。主人公とはバス停での雨宿りで出会い、透けた下着をガン見されるがそこではそこまで嫌悪しない癖に、義理の兄妹で仲がいい主人公たちをキモいと突き放し喧嘩になる。一方でその前に悠香とは中間試験の補習で仲が良くなっていた為、主人公含め仲直りしなければと思い悩む。これは口下手で不器用な汐織のキャラクターを表しているが、この段階でキモい発言はやりすぎな気もする。またもや雨宿りで一緒になった主人公と仲直りをするも、同時に重度の喘息である事が判明する。喘息の汐織の為に両親が気を使って空気の澄んだ田舎に引っ越してきた事が転校の理由である。仲直りをした後は主人公たちの仲間内に入り、買物等に出るようになる。転校したてで勉強についていけない為、補習を受けたり主人公たちに勉強を教えてもらったりしている。
サブキャラ
二上聖
美咲と同じく主人公の幼馴染で大金持ちのお嬢様。美咲と主人公の関係をいじったり、色恋沙汰に目ざとかったりと魅力のあるキャラクターではあるが、攻略対象どころか、CG上の登場すらない。立ち絵があるにもかかわらず、公式HPに紹介がない為、声で聞き分けられない限り、CVが秋野花さんである事が分かるにはEDまで見ないといけない。細かいところであるが、夏休み中に補習組でもないのに制服を着ている等、私服CGがあるのに適当に扱われている。
阿智篤郎
主人公の事を勝手に友人と思っている重度のオタク。デブで暑苦しく、一人で勝手に盛り上がって喋りまくる。おまけにセクハラまがいの発言とこれでもかとヘイト要素を盛り込み、汐織に蹴っ飛ばされる等、いかにも嫌われキャラだが、果たしてこのような人物を友人枠で登場させる必要があっただろうか。いくら人嫌いでも普通にいい奴の友人が一人くらいいても、ストーリー上問題は発生しないと思うのだが。汐織曰く、すっぽん以下の肉団子。
名前付き登場人物は以上である。立ち絵はヒロイン4人とサブキャラの聖のみで5人とかなり寂しい。それ以外の登場人物は阿智も含めて黒い影であり、ある意味主人公の人嫌いを表現してしまっている。
このように主人公は過去のトラウマを理由に人嫌いだのと語り登場人物と距離を置こうとする。桔梗が同居するようになり、徐々に緩和されていくものの、明らかに好感を持たれている美咲や悠香に対してまでそっけないのは、付き合いも長いわりに不自然に感じる。よくこの作品では「この年齢まで幼馴染や妹と仲がいいのは…」というくだりが主人公のモノローグ含めよく出てくるが、そんなこと考えている奴からどうして幼馴染や妹が離れていかないのだろうかと思ったのは筆者だけだろうか。緩和されつつあった主人公の態度も個別ルートではクズ行為に走る事があり、不可解である。
このような流れで期末試験前の勉強会を行い、阿智を除く登場人物で交流を図った後、各ルートへ分岐する。選択肢はこのルート分岐のみであり、ヒロインの名前を選ぶ形式だが、すでに選んだヒロインには「USED」と表示される。女性の名前の横に失礼ではないのか。よくある話であれば申し訳ない。
さて各ルートの概要について述べていくがある共通点を見いだせないだろうか。
基本的には期末試験~夏休み~新学期といった流れである。
各ヒロインルート(筆者クリア順に基づく)
悠香ルート
主人公は悠香に期末試験の勉強を教え、赤点脱出を試みるが、結局ヒロインの中で唯一悠香のみが補習となってしまう。その後、汐織に悠香の補習を送り迎えするよう頼まれ、一緒に登校する等、悠香に振り回されながらも距離が近づいていく。といってもほとんど悠香からべたべたされる展開がメインで、悠香の明るい妹キャラが奏功している点である。
勉強のご褒美に桔梗同伴で沢へのデートをし、水着でべたべたされてHな気分になる。家に帰り、脱衣所で悠香の脱いだ水着に触れようとすると悠香がやってきて勃起状態を見られる。翌日風邪をひいて主人公を悠香が看病するが、体をふいた時に勃起している事に気づいた悠香が、手コキを志願する。ここに至るまでに何度もオナニーをしようとするが見つかりそうと思い悩む。挙句に性欲を察されて手コキされるのだから、節操がない。手コキ後、悠香が夏期講習で家を空けると手コキが気持ちよすぎてオナニーが出来なくなった主人公が思い悩む。悠香が帰ってくるとその事を正直に告白し、それを聞いた悠香は告白、最初はそっけない主人公だが、「もうしてあげない」と言われるとせがまれキスをし、そのまま初Hへなだれ込む。ピロートークでは責任を取ると主人公が発言する。覚えておくように。
初H後、汐織が泊まりに来るなどなかなかH出来ず、悶々とする主人公であったが、汐織が帰った後にオナニーしようとして悠香に見つかり、Hシーンに導入する。
その後、桔梗の強制力が解除されたくだりを挟み新学期になる。悠香が文化祭実行委員になり、準備に忙しくするが、これといってイベントはない。教室Hシーンを挟み、進路相談を受けた主人公が東京への進学を考えるが、その時こんなことを考え始める。「都会へ進学するなら、束縛したくないし、悠香とは普通の兄妹に戻った方がいいのでは」自分を卑下するあまりの考えではあるが、悠香にそれを伝えて当然の如く喧嘩し悠香は家出する。桔梗がその後、「なにいってんだこいつ」と筆者の意見を代弁してくれるものの、責任を取る発言はどこへ行ったと疑問符がわく。桔梗の叱責もあり、帰ってきた悠香から主人公に都会でもついていくと告げられ、仲直りする。風呂Hを挟んで、主人公が地元で進学する事を決意、悠香もそれについていく事を決め、エンディング。ED後は裏庭Hである。
悠香ルートはヒロインのわかりやすさ、明るさにより多少は中和されたが、主人公の無責任発言が強烈である。さすがに桔梗や悠香が怒る事で作品としてフォローしてはいたが、許せない発言である。
汐織ルート
勉強会終了後、選択授業で一緒になった汐織が喘息の発作を起こす。周囲では何が起こったかわかっていない中、主人公は気付いているのだが、なかなか動こうとしない。汐織に目線を送られようやく薬を取りに走るが、「目立ちたくないのだが」というモノローグが不快である。薬を渡して、汐織からお礼を言われ、勉強を教える等、桔梗が「感」を感じる程に仲良くなる。
期末試験の結果は惜しくも補習となり、汐織は家事を教えてもらいたいので、補習期間中は主人公の家に泊まりたいと言ってくる。説明がないのだが、悠香宜しく補習に付き添ったり、一緒に料理をしたりして距離が近づいていく。そんな中風呂上りを覗いてしまい、興奮した主人公がオナニーを始めると、汐織に見つってしまいお互いに動揺する。2ルート目ありがとうございます。しかしそれがきっかけで、男女を意識し始めた二人は、お互いに「好きなんだと思う」というはっきりしない態度で恋人(仮)という関係になる。きっかけに汐織から寂しいとメールが入って主人公が家まで会いに行くシーンがある。会いに行く直前で距離無制限の強制力(?)になったことを桔梗が告げるのだが、設定が死んでいる。
沢でのデートで初手コキ等、しばらくは前戯行為をしまくるも、(仮)の関係という事で、本番はしなかった。このあたりで告白、恋人になり、初Hかと思いきや、まさかの初本番導入が主人公の匂いに発情した汐織のオナニーに遭遇という展開である。しかも初Hで完全に中毒になってやりまくり、汐織が喘息の発作を起こして倒れるというひどい展開にも関わらず、エアコンのせいにしている。その癖、セックスのし過ぎで倒れたから別れたほうがいいかもと考える主人公に開いた口が塞がらない。仮の恋人関係を美咲に無責任ではと言われ、筆者が落ち込んでしまった。
回復した汐織に告白されるも、母親に捨てられたトラウマがあって、人と親密になるのが怖いと答える主人公に汐織が説教する。その時のセリフはそれなりに熱いのだが、何を思ったのか「ぴきっ」「ぴきっぴきっ」と逐一効果音を挟み、最後のセリフで「ばりんっ!!」とはじける。トラウマが消し飛ぶ演出かもしれないが、本作の数少ない名シーンのはずなのに笑ってしまった。そのまま恋人となる事を確認した後、倒れた翌日で懲りずにセックスを始めるのである。
新学期が始まり、学校でセックスするもしばらくして汐織が検査入院で東京へ。それが長引き悶々とする主人公だったが、買ったばかりのバイクで病院へ行く。病室の窓から顔を出した汐織と会話し、翌日退院して学校に来た汐織とキスしてエンド。エンド後は思い出のバス停でH。
汐織ルートは見どころもあるが、喘息を知っておきながら汐織を見捨てようとしたり、やり捨てともとれるモノローグによって、怒りを感じる場面も多かった。また、留守がちとはいえ家族を大事に考えている汐織のはずが、主人公宅に夏休みの半分を滞在するのは不自然である。
美咲ルート
夏休みに夏祭りの手伝いを美咲に頼まれ、神社に行くようになりイチャイチャし始める。熱中症で倒れた後の水の口移しやビニールプールの掃除中におっぱい露出等のイベントを挟み、突如として美咲のお見合い話が出現する。それに対して「本人が別にいいなら」とそっけない態度の主人公に周囲はマジギレする。汐織の「好きなんだったら辞めさせろ」との叱責にも動かないが、お見合い直前まで来た段階で「やっぱお見合いやめない」の一言でお見合い話を取りやめる美咲に、それなら最初から断れよと言いたくなった。余談ではあるが、おっぱい露出後、主人公がオナニーをするのだが、美咲に部屋で察知されるくだりもある。
その後、誤って酒を飲み酔っぱらった主人公が美咲に抱きつき、パイズリシーンになだれ込む。それはいいのだが、行為直後美咲がHではないから大した事ではないと発言する。それに恋人じゃないしと主人公のモノローグが入るが、美咲と付き合ったとして、別れる事を想像して恐怖し、それならこのままの関係でいいのではないかと主人公は考える。それってセフレかよとツッコんでしまった。そこにすかさず聖のアシスト、誤報によって勘違いした主人公は美咲を助けに来る。勘違いと分かったものの、美咲に惹かれていると自覚した主人公が告白してキスシーン。聖たんマジ天使、よくやった。その夜に初Hを行うが、美咲がシャワーを浴びている間に主人公がオナニーをしようと考える。結局美咲が来てやめたのだが、またですか。翌朝強制力が解除された桔梗が帰る事になり、離れる事にトラウマを思い出して、主人公は美咲に泣きつく。落ち着かせようと抱きしめるうちにHとなるが、トラウマを逆に利用しているのではないか。その後、お風呂でHしたり、沢でHしたりと流れ作業である。新学期が始まり進路の話をされ、美咲と離れてたくない、と同じ学校に進学したいと話す。喜んだ美咲が抱きつきそのまま教室でHしてエンド。
お見合いのくだりでかなりうじうじするものの、全体的にはヘタレ主人公程度で済んでいる。相変わらず猿みたいにセックスするが最低限告白→恋人にという流れを経ている為、不快度は低い。残念なのはこれだけ優秀な聖を攻略対象にしなかった事か。
桔梗ルート
桔梗が珍しく主人公との縁結びを目指して行動するも失敗するくだりを繰り返す。
その後、修行を終わらせるなら、主人公以外でもいいのではと、
桔梗が手に入れた縁を見つける力を活かし、聖と協力して学校内での縁結びを達成しようとする。
その結果、2組のカップルが出来るが、神様は強制力が解除されていないのだから、帰ってこれない事を告げる。
沢でのデート等を挟んで、成立したカップルの女子から、相手がクズだったと因縁をつけられ、桔梗が新たなる力を発動する。
それは「縁を切る」能力であり、女子の交際そのものをなかった事にしてしまうが、
力を使い果たした桔梗は消えかかってしまう。その後、主人公のキスで一命をとりとめる。
その一件もあって二人が急接近するのはいいのだが、初H導入が発情した桔梗が、
主人公がオナニー後寝落ちしているところに、使用済みティッシュの匂いを嗅いでいるというものである。
ワンパターンは置いといたとしても、こいつら一体何をしているんだ?
Hによって主人公と結ばれたものの、帰らないといけない事を悟った桔梗は神様のもとに行き、
人間界で幸せに暮らせと諭される。その後は他ルート宜しく桔梗と爛れた生活を送る。
新学期開始後、主人公はトラウマから桔梗を失いたくないとトラブルを起こし、
美咲から事情を聴いた桔梗は婚姻の儀を行い、決して離れない事を誓い合う。
そんな中で、主人公は実の母親からの手紙を目撃し卒倒する。
それを見た桔梗は「縁を切る」力を再度発動し、またもや消えかける。
一度は桔梗の存在そのものを忘れかけた主人公であったが、
他のヒロインたちと何とか思い出し、再度キスして救出、大団円となった。
グランドルートのはずなのに、桔梗の意味不明な発情からのなし崩し展開は残念である。
一方で、トラウマが付きまといヘタレる主人公だが、クズ発言はない為、そこでの不快感はない。
一応はトラウマからも解き放たれているものの、
主人公自身の行動は少なく、情けない印象である。
上記が各ルートのシナリオである。主人公を中心に、登場人物の行動原理が理解不能な事が多い。その中でも特徴的なのはオナニーが見つかる展開の多さである。モノローグ上で語られるだけに飽き足らず、関係の進展にまで影響するオナニー展開はプレイする筆者もある意味抱腹絶倒する程のワンパターンであった。一方で、主人公からの積極的告白は殆どなく、仮にも「恋」が入っている作品名だが、恋人になる前のHシーンが多い為、縁結びをセックスと勘違いしているのではないかと思わせる程であった。共通ルート序盤で他の生徒の青姦を桔梗が目撃するシーンがあり、「あれは素晴らしいものです。(中略)縁結びというものに目覚めてしまいそうです。」と発言するが、フラグであるとは気づくはずもない。美咲ルートで聖が「告白とか、キスとか、そういうのをすっ飛ばしていきなりおっぱいでプレイとはどれだけ上級者なんですか」とツッコむが、多くのルートでそうなのだからもはや抜きゲーだろう。ヒロインはかわいいだけに残念である。
また、本作の肝である強制縁結びについても適当に扱われた設定であることを痛感する。例えば強制縁結びを桔梗以外の元から縁のある人間に発動した場合の効果は恋を後押しする程度のものの様に説明されているが(要確認)、後々では「桔梗と対象の人間」のみに有効みたいな物言いをしている。もともと主人公が桔梗の力の対象を選ぶのであって、桔梗は対象でなくても発動するのではないだろうか。また、強制縁結びの発動についても都合よく発動したり、しなかったりする。主人公の配慮不足で汐織に桔梗の正体が分かってしまう等、序盤の強制力の範囲確認は意味あったのだろうか。各ルートでも桔梗がいない事についてのフォローがないシーンがあったり、汐織ルートに至っては関係が進展して、距離無制限の強制力になったりと形骸化してしまっている。
この他にも共通個別問わず適当な記述があるので、箇条書きでまとめる。
共通ルート序盤で桔梗が料理を出来る様になり当番をこなすようになった。
→同じく共通しばらく後に料理が出来るのか心配するくだり。(タイムリープ)
汐織ルートにて主人公が自転車で汐織の家に向かう。
→自転車を押しての帰りに道にて「往復徒歩で歩き通し」と汐織が発言。(自転車の消滅)
終盤、桔梗が縁を結び修行を終え神様のところへ帰ろうとする。それに対して神様が……
→悠香ルート 夏祭り終わっても縁を結べていないので、補習確定
→汐織ルート 夏祭り直前まで縁を結べていないので、補習確定(理不尽)
→美咲ルート フラグ半立ちを立たせるのに時間かかりすぎなので、補習確定(当然)
→桔梗ルート お幸せに。神は無理だけど、付喪神なら子供出来んじゃね。 (個別ルート参照、ご都合主義) 他ルートでは神様を呼び出す依り代として美咲が登場するが、このルートではいない。また、桔梗は神に近づいている事が後程説明されるのだが、神は無理なら子供は出来なくないかと疑問に思う。
キャラクターたちはEnterを押す度に別の世界線にでも行くのだろうか。
さて、次に不親切な点であるが、漢字にする必要のない箇所をわざわざ読みにくい漢字で書いている事がある。ここで漢字の読み取り問題を出題する。
其処いら、烏滸がましい、五月蠅い、掠った、彼奴ら、伝手
テンポよく読み進めたいプレイヤーにとってはイラっと来る仕様である。低脳で申し訳ないが、筆者はかすったが読めずイラっとした。こういった発言を「にーちゃん」等ひらがなを多用する悠香が発するといういい加減さである。うるさいを除き、頻度は少ないのが救いとはいえるが、前述したシナリオの不整合も踏まえ、読みながら非常に違和感がある。ルートにより、うるさい等は平仮名、漢字が統一されてない。
答え:そこいら、おこがましい、うるさい、かすった、あいつら、つて
HP上ではライターはスコ缶氏一人にも関わらず、ライター間齟齬の類が散見され、EDでいきなり出てくるサブライター3名が原因と推察される。明らかに同一ライターが書いているはずの箇所にまで間違いがある等、描写力不足が散見されており、隠ぺいとまでは言いきれないが、邪推したくなってしまった。
また、プレイしていて感じるのが背景絵の少なさからくるイベントのバリエーションの少なさである。田舎だからといいつつリゾートプールやショッピングモール等の設備について触れられているし、水着を買物に行くくだりもあるのだが、買物は終了後に何があったかを少し触れて終了する程である。ヒロインの部屋は一切登場せず、全体で家4・学校4・神社2・沢1・空1(万能)・その他路上3ぐらいしかない為、デート・Hシチュにバリエーションがない。各ルートそれなりに文量がある事もあって、既視感を感じてくる。各ルートにおけるHシーン・デートシーンは大別すると沢・学校・主人公の部屋・お風呂・神社くらいであり、夏祭りや文化祭については話には登場するが、関連のCGは存在しない。「終わった」の一言で終わりである。ヒロインの部屋がないおかげでパッケージ上の汐織が抱いているぬいぐるみは、背景ですら登場しない。登場人物の立ち絵を節約する事より、シナリオに大きく影響している為、窮屈な世界観を痛感する。
このように読んでいくうちに引っかかる不整合がヒロインのかわいいらしいキャラクターを細かいところで足を引っ張っているのである。るちえ氏、kakao氏はかなりいい出来の絵を描いており、非常に残念である。Hシーンもヒロインごとに6枠と十分あり、エロシーンの導入方法もあり、コスパは悪いものの抜きゲーとしてはそれなりに使える始末である。
そんなHシーンにも「はるか」と読むのに「ゆ、悠香」と叫ぶ主人公や、桔梗が下着をつけるのが苦手な事を主人公が指摘するこの作品において、制服Hで当然のごとくノーブラな描写とそれなりに違和感は存在する。直前で脱いだはずのパンツをCGではまだつけている等、CG文章間齟齬も見つけられる。膣に挿入されているのに「喉奥に当たる」という不自然なセリフもある。
最後にまとめであるが、人嫌いの癖にオナニーもとい性欲に突っ走りなぜかヒロインと近づくヘタレ主人公と抜きゲーでも珍しい雑な描写・展開の狭さがこのゲームを貶めているのである。これはライターの不出来が原因である事は明白である。汐織ルート11話「初本番」にて「俺って、こんなにも性欲に流される人間だったのか」とモノローグが入るが、まったくもってその通りである。性欲に流されるだけならまだしも、挿入される無責任モノローグには感情移入は困難であり、イチャラブ萌えゲーを期待して購入したら、後悔する地雷である事は間違いない。実績のあるブランド名をわざわざ変更したみらーじゅそふとは、この作品を象徴する展開を踏まえてタイトルを以下に変更すべきである。
「君に見つかるオナフラグ」