757: ブラック企業 選評 ◆D0yMbSwexk :2019/05/15(水) 23:38:05 ID:o0eOFs9I
タイトル ブラック企業~性処理事業部~
ブランド TRYSET Break
ジャンル アドベンチャー
発売日 PK版 2019年03月26日
DL版 2019年04月12日
価格 PK版 通常 2.980円(税別) デラックス3.780円(税別)
DL版 通常 2.800円(税込) デラックス3.500円(税込)
拡張KIT 1.500円(税込)
去年、新ブランド1作目でありながら全方位にダメダメな懺悔島を世に送り出したTRYSETだったが
その後2018年内に出した2作は粗こそあったがちゃんと評価できる点も確かにあったこと
低価格作品であるということも考慮すれば個人的にはそれなりにまっとうな出来だった。
だが年が明けて2019年最初の作品として出された本作はまともに評価できるような点もなく
値段の安さも言い訳にはできないと感じさせる出来栄えな代物となってしまっていた。
1.シナリオおよびボリューム
あらすじとしては大体以下の通り
「上京して極悪なブラック企業に入った新入社員のヒロインが会社の罠にはまってミスを捏造され部署異動
立場上逆らえないのをいいことに男性社員の性処理道具、そして枕営業要員として心身ともに堕とされていく…」
非エロ部分についてはあまりにも描写不足だった懺悔島よりも間違いなく分量が多く
定番な流れではあるが大きな破綻もなくコンセプト通り無難に展開できているので大きな問題はないだろう。
それでもシーン回想およびエロCGは低価格相応に少なくなっているため
(速度の違いもあるので一概にどうといえるものでもないが)フルスキップで一回試してみたところ
クリアまでは1分50秒とちょっと、選択肢は終盤に一回あるだけなので回想・CGコンプも約2分10秒でできてしまった始末であり
低価格であることを差し引いても薄いものは薄いといったところだろう。
2.DX版について
選評者は若干値段が高くなる代わりに通常版+αの内容が入っているDX版でプレイした。
まずはこれについて解説しておきたい。(なお本作ではPK版にて+800円、DL版で+700円の値段となる)
本作での追加コンテンツは「立ち絵変更キット4種」と「心理描写ボイス大量収録」の2種である
前者はただそれだけのよくある内容でありこれといって語ることもないが
立ち絵のあるヒロインが懺悔島では5人だったのに対し本作では主人公一人のみであることは一応付け加えておく。
(サブヒロインもいるがHシーン以外の出番では非エロCGの背景、表情差分で済ませているため立ち絵なし)
メインたる後者について本作HPでは「Hシーン中でのヒロインの独白にもCVがつく!」という形で宣伝している。
…間違ってはいないのだが厳密にはヒロインの独白全てにCVが付くというものであり、ここが問題なのである。
新規収録分が多いのに越したことはないにしても、HPで宣伝していたような行為中の心の声はせいぜい1~2割程度
多くは演技もクソもない「状況説明も兼ねた実質地の文といえるようなモノローグ」で占められているのである。
さらに言えば元々心理描写自体多いわけでもなく、そうした類のテキストが存在しないシーンすら存在する。
そして通常版では読まれない部分を読むだけであって新規CGはもちろん新規のテキストが追加されるわけでもない。
選評者が粗探しもしつつDX版をフルボイス全部聞いての総プレイ時間は約7時間程度だったのだが
その半分近くが「キャラボイスによる地の文の音読」とでもいうべき何かだったのだからたまったものではない。
3.読み上げとテキスト
ではそんなセリフのクオリティはいかがなものなのか、上記の通りボイス収録箇所が多くなった弊害なのか
通常版での普通のセリフ分も含め全体的に読み間違いやテキストとの不一致が多い。
「テキストでは句読点で分かれているのを繋げて読む、またはその逆」、「助詞や語尾等の表記と読みの不一致」
というような些細なミスが度々紛れ込んでいるほか、
もちろんテキスト自体も懺悔島に比べれば遥かにマシとはいえ充分やっつけである。
誤植とも読み間違いとも付かない不一致もいくつかあって判断に困るところもあるがテキスト単体で見ての誤植は
通しのプレイで目についた範囲では20数個程度といったところか。
文字総数の少なさを考えれば比較的多い部類だろうし、初歩的な打ち間違いがあるのも相変わらずだろう。
これもひとまず羅列してみた。(「就業時間」の箇所は終業時刻・就業開始時刻とごっちゃになったのかと思われる)
http://fsm.vip2ch.com/-/sukima/sukima558846.jpg
4.グラフィック
絵柄やデザインに関しては好みや向き不向きもあるのであえて何も言わないが
手指をはじめとした細部が雑、体格や構図に無理がある、テキストとディテールが食い違う等
計19枚のエロCGの大部分が何かしらの難点を抱えておりグラフィックの質がかなり低いというのは間違いないだろう。
描(書)いていて、チェックしていて何故誰もおかしいと思わなかったのだろうか…
5.まとめ
あちこち手抜きだらけな点で言えば去年の懺悔島に通ずるところもあるが
かたや「非エロ部分は探すまでもなく粗だらけで、HCGはよく見ると残念な出来」
かたや「非エロ部分は時々ミスが見つかる程度で、HCGはよく見るまでもなくダメ」
と、まるで裏返しにしたような仕上がりになってしまったとでもいうべきところだろうか。
総合的に見れば低価格作品ということもあって幾分大人しめではあったが
ツッコミどころがたくさんあればまだネタとして笑い飛ばせること
エロゲー本来の用途のことをいえばグラフィックの出来が最低限確保されていないと話にならないこと
この二点を踏まえると本作の方がある意味より悪質なような気がしないでもない。