416: カケオチ 選評 ◆Ra9j1sVq3. :2019/07/21(日) 12:02:16 ID:/gjGejzA
カケオチ
ジャンル アドベンチャー
ブランド Lass Pixy
発売日 2019年4月26日
価格 2500円+税 (通常版)
12000円+税 (抱き枕カバー付き限定版)
2013年に少女神域∽少女天獄を送り込んだLassの姉妹ブランドであるLass Pixyからの一作。
幼馴染のお嬢様との駆け落ちとイチャラブをコンセプトに据えたロープライス作品である。
○登場人物
本作の主人公。
ヒロインの1つ年上だが学生ではなく社会人である。
詳細はよく分からないがヒロインとは幼少期からの幼馴染で密かに両想いする仲であったが主人公が社会人になった事もあり最近は疎遠気味だったらしい。
お見合いをさせられるというヒロインの悩み相談を受け大して悩む事もなく駆け落ちを提案、実行した。
何故か後述のメイドから「滝沢」と呼ばれる会話が存在している。
本作唯一のヒロイン。
良家の箱入りお嬢様。
幼馴染の主人公に昔からべた惚れしていた為、お見合いの話を聞かされた後真っ先に主人公に相談した。
幼少期の頃は主人公を「みぃ君」と呼んでいたが現在は基本的に三峰さんと呼んでる。
本名不明。
シナリオの最後に唐突に現れヒロインの帰宅を促しに来る。
お見合いを受ける事の重要性を説くが主人公が目の前でヒロインにプロポーズするとアッサリと両親との交渉の場を用意すると言い出す等どっちサイドの人間なのかイマイチ分からない。
何故か主人公を三峰と呼ぶ場合と滝沢と呼ぶ場合が有る。
○シナリオ
選択肢無しの一本道シナリオ。
通しで30分あれば全クリ可能なボリュームである。
駆け落ち先の田舎に到着→お見合い相談時の回想→しばらくひたすらエロシーンと小話→エンディング といった流れ。
まぁロープライスである事を差し引いても極端に短いのでシナリオの流れも何も無いが。
○問題点
CGは20枚(内一枚はアイキャッチ用のタイトルロゴ)、エロシーン6枠と絵面の面ではロープライスとして十分なボリュームだがシナリオ面が極端に短い。
前述通り通しで見てもせいぜい30分でクリア出来てしまう。
原因としては無駄に展開のテンポが良い所だろうか。
肝心の駆け落ちすら冒頭の時点で既に目的地に到着しており、出発前のイザコザや準備と言った物も殆ど描写されていない。
メインの部分も好き好き言ってはセックスするだけのお手軽パターンなのでエロシーン以外の文はかなり圧縮されている。
勿論エロを売りにしてるロープライス作品なので長々と日常を描くのには限度が有るだろうが、公式サイトのコンセプトで述べている程「ラブラブな日常」を描けているかは甚だ疑問な文量である。
本作は「学生ヒロインとの駆け落ち」を題材にしているが作中の描写からは全く駆け落ちの風情を感じられない。
スタート時点で駆け落ちの目的地に到着しているので例えば家族を振り切って脱出! とか 見つからない様に夜半に逢引して出発! というシーンも無い。
駆け落ち先も都心から3時間強と言った所らしく大して逃げてる感も無い。しかもエンディングでアッサリとメイドが迎えに来る辺り場所も秘密という訳でも無いようだ。
駆け落ち先の滞在場所も「借りた」と称するデカい和風の邸宅であり家具家電付きと単なる別荘の様な充実ぶりなのも拍子抜けであろう。
ヒロインの箱入り娘描写の為か「田舎だから虫や蛇が出るかも」という会話も有るが、この家の様子ではそんな心配も杞憂にしか思えない。
必要最低限の家具家電も有って助かるとも語るがどう見てもそれ以上に充実している。
ヒロインのお嬢様設定も相まってやはり単に別荘に遊びに来ただけにしか見えない。
更に滞在中も駆け落ちの事を気にするのは到着直後とエンディングの時位で他は家で食事したり近場にデートに出かけたりと好きに行動している。
コンセプトでいう所の「ラブラブな日常」とやらの一環なのだろうし「シリアス展開はありません!」とも明言してるのでこうなったのだろうが、
余りにも状況を気にしなさ過ぎてやはり駆け落ちしてる感は皆無である。
また一緒に田舎に居るこの状況を事ある毎に「一緒に行った林間学校みたいだね!」とも語る。
シリアス展開無しとはいえ流石に後ろめたさも心配も全くする事が無いと言うのは駆け落ちというシチュエーション的にどうなのだろうか。
ついでに言うならばこの駆け落ち自体ヒロインの夏休み中の出来事であり作中ではヒロインの両親が知る事も無い。
何でもヒロインの両親は長期出張中であるそうで、メイドが迎えに来たのもそろそろ出張が終わるからである。
なので駆け落ちというかは単に夏休み中に彼氏とお泊りデートしに行った程度の扱いである。
箱入り娘である事が度々アピールされるもののシナリオ上大してそれを見せ場にする事は無い。
一応最後の方では一人で買い物に行ける様になったと語られるが別に行けなかった時代のエピソードが有る訳でも無いし苦労話とかも無い。
性にも非常に積極的で駆け落ち初夜からセックスに誘う位なのでそういう面でも箱入り娘感は薄い。
また主人公の事を「三峰さん」と呼ぶのも違和感が有る。
初セックス後に主人公が「もう思いを通じ合えたんだし愛称で呼んだら?」と提案しても何故か三峰さん呼びのままである。
人前では三峰さん、二人きりならみぃ君の様に使い分ける等すればまた印象も違ったと思われる。(もっともその人前という場面自体殆ど無いが)
極めつけに不自然なのがエンディングでの心境の動きである。
前述の通りエンディングではメイドが迎えに来て帰宅とお見合いへの参加を促すのだが、メイドが「お見合いを受けたほうがお嬢様の為ですよ」と言うと
アッサリ折れて「三峰さんとお別れになるのは悲しいけど仕方ない。素敵な思い出をありがとう」(意訳)的な事を言って納得しそうになってしまう。
結果的にはその後に主人公が密かに用意していた指輪を渡しプロポーズすると主人公に付いていくわ!となるのだがどういう心境の変化なのだろうか?
女の心変わりは恐ろしいのう!
タイトル回収とばかりに下記画像の決め台詞で幕を閉じるがこういった諸々を加味すると失笑であろう。
(と言うか厳密に言えば恋に落ちる事自体は駆け落ちよりも先の話であり、別に恋した時点で人生を賭ける決断をしている訳では無い。)
○まとめ
駆け落ちというシチュエーションを題材にしている割には特に活かせておらず、この要素を期待して買うと肩透かしを食らうだろう一作。
一応エロシーン自体の描写やグラフィックのクオリティ、各種UIやオプション等は優れておりバグも特に無い。
なのでエロシーンだけ見れればいいぜ!と割り切れば価値が有るのは救いであろうか。
余談であるがイチャラブ重視、カタカナ4文字タイトルで某アイカギシリーズの仲間に見えるが両者に関係は無いのであしからず。
470: オマケ ◆Ra9j1sVq3. :2019/07/23(火) 02:34:44 ID:Nwuu7Gus
色々意見ありがとうございます
カケオチの方を再確認してたらメイドさんには「みゆき」って名前がわずかに出てましたので訂正しときます。
あとついでにメイドさん説得からの女の心変わりシーンをノーカットでまとめたのでオマケとして投下しときます。
改めて見直すと心変わりが早いのはもちろんだけど、ヒロインと主人公で認識が食い違ってる雰囲気も感じられますね。
主人公側は多少失う物が有っても駆け落ちをやり遂げようとか生半可な説得じゃ折れないという気概をヒロインも持ってる物みたいな態度だけど、
ヒロイン側は簡単に説得に納得しそうになってて主人公も「え?」みたいな感じでしょうか。
ある意味温室育ちの学生ヒロインと社会人な主人公で駆け落ちという物に対しての認識の違いを表してると言えなくも無いけど。