ブランド | BaseSon | ![]() |
ジャンル | 乙女繚乱煩悩爆発三国桃園歴史AVG | |
メディア | DVD-ROM | |
原画 | 片桐雛太、八葉香南、くわだゆうき、繭咲悠、ぎん太郎、神剣桜花、さえき北都、 MtU、かんたか、日陰影次、夏彦、城崎冷水、rei太、しのづかあつと |
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シナリオ | 式乃彩葉、新井しーな、小沢裕樹、風見どり、花七 | |
発売日 | 2019/7/26 | |
価格 | 9,800円(税別) |
786: 真・恋姫†夢想-革命- 劉旗の大望 選評 ◆HNFVlshP8Q :2019/08/20(火) 22:58:02 ID:H1xStET2
タイトル 真・恋姫†夢想-革命- 劉旗の大望
ブランド BaseSon
ジャンル 乙女繚乱煩悩爆発三国桃園歴史AVG
発売日 2019年07月26日
価格 パッケージ版 9.800円(税別)
ダウンロード版 8.800円(税込)
2007年に最初の作品が発売されて12年。長い歴史と、それが続くだけの人気を誇る恋姫無双シリーズ。
本作はその第9作目となる、「真・恋姫†無双」における蜀編の単独リメイクであり、17年から順次発売されていた「革命」シリーズのトリを華々しく飾る……その予定だった作品である。
魏、呉、とリメイクが実施され、今回はついに旧作において群を抜いて不評であった蜀編の出番とあって、シリーズをよく知る者ほど悲壮な覚悟を胸に向き合うこととなったのだが、本作はユーザーが抱いていた嫌な予感をさらに一歩踏み越えてきた。
問題点1.主人公が空気
この問題は旧作の時点でも指摘されており、蜀編不評の原因の一つでもあった。これは蜀編自体の根幹に原因が存在しているのだが、リメイクで解決するどころか逆に悪化してすらいる。
そもそも、第1作においては主人公が三国志演技における劉備のポジションにあった。ゆえに、「お飾りだが他の登場人物とは全く異なる見地を持ち、それが周囲に影響を与えていく」という立ち位置が担保されていたと言える。
しかし、第2作「真・恋姫無双」において魏呉蜀の3つのルートが発生したことでその立ち位置に劉備というヒロインが収まってしまったことにより、蜀ルートでの出番が非常に微妙なことになってしまった。
他のルートでは主人公は「臣下」の立場であり、未来の知識を生かした献策や人当たりの良さによって徐々にヒロインたちに認められ、距離を縮めていく姿が描かれる。
一方で、蜀ルートにおいては劉備と並び立つ「ダブル君主」とでも言うべき立ち位置に押し込まれているわけだが、第1作で描かれていたような役割はほぼ劉備が担当しているせいで「何故か劉備に懐かれている一般男性」という印象が拭えない。
未来の知識などを生かす場面もなく、軒並み劉備の意見をそのまま肯定するイエスマンと化しており、主人公の印象は全く残らない。
本編中で活躍らしい活躍は一切ないのだが、個別シナリオに踏み込むとなぜかヒロインの好感度は軒並み天井間近か、すでにMAXからのスタートであり、なにがなんだかさっぱりである。
魏編および呉編では主人公の活躍が物語を左右する場面がそこかしこにあるが、この作品に限っては主人公を完全抹消してもストーリーが成立してしまうだろう。
この物語において主人公は一介の竿役でしかなく、ここまで存在意義が薄い主人公もなかなかに稀であろう。
問題点2.劉備の不快指数が高い
劉備は第一に挙げた主人公不遇の主要因であるが、このキャラクターの言動が支離滅裂である。
彼女の指針は端的に言ってしまえば戦乱の時代に似つかわしくない「不戦・平和主義」であり、徹底的かつ頑迷な夢想家、早い話が脳内お花畑である。
もっとも、本編では最終的には理想と現実の折り合いをつけ、「必要ならば戦もやむなし」程度には成長するが、それでも終盤まで脳が溶けたような言動が続き、「誰も死なせたくない」などと常々宣いながらも最終盤では他国の武将たった一人を助けるためだけに自国の兵を数多く犠牲にするような作戦を平然と行わせる始末で、要するにいろいろと破綻している。
そんなわけで一国を率いる君主としては問題外なのだが、陣営の面々はこれを神のように崇めており、「無条件に全肯定される系のなろう主人公」が主人公とはまた別に存在していてそれを傍観しているような、何かそういう感じの居心地の悪い空気が全体的に漂っている。
また本編終了後にはおまけとして劉備が本懐を遂げるifルートが解放されるが、これが曲者である。
そちらでは本編終盤でようやく得たささやかな成長を御破算にして「私は武力では戦わない!」と駄々をこねはじめ、元通りのお花畑理論をさらに煮詰めてご都合主義で殴りつけるという驚きの超展開を見せる。
本編だけで終わっていれば多少株が上がって終われたはずが、これで余韻も何もかも台無しである。余談ではあるが、このifルートにおいては一部ヒロインの個別パートでの成長もリセットされるため、そういう意味でもタチが悪い。
問題点3.本編・個別パート間の不整合
本作は前述の通り、「真・恋姫無双」の蜀編を大幅に加筆・修正したリメイク作品であり、大半の個別パートはリメイク元のものを再利用している。当然、時系列の変化や新キャラクターの大量追加で大きく手直しが必要だったはず……なのだが、そのあたりが色々と怪しい。
A. 時系列面での不整合
自陣営に加入するどころか生死すら不明の馬超が警邏に出ていたという話が出てきたり、黄忠に至っては本編で登場したばかりで自陣営に加わっていないタイミングで解放される個別パートの1つで
- 台所で集団で和やかにお茶を飲んでおり
- 仲間内でしか呼ぶことのない真名でお互いに会話を行い
- 主人公を「ご主人様」呼びする
という怪現象を見せてくれる。
前者は旧作の使いまわし部分なので修正を忘れたのだということが容易に想像がつくのだが、後者は新規キャラクターの個別パート、すなわち完全新作部分であり、ライター間の連携もまともに取れていなかったのではないかという疑念を抱かせるには十分である。
他にも数か所に渡って時系列が怪しい場所が存在するが、なんにせよ、まともにチェックを行ったとは思えないのは確かである。
……その場にいるはずがない人物が立ち絵付きで登場したりすることがなかったのだけは救いだろうか。
B. 各種キャラクター設定との不整合
革命シリーズへの移行にあたり、人間関係の変更や設定変更が数多く実施されているのだが、個別パートの大半で旧作の設定がそのままになっている。
例としては、
①旧作では魏延は劉璋配下の厳顔の副官という立場だが、革命シリーズにおいては黄忠ともども劉表の配下に移動し、黄忠の副官的な立場となった。
しかし、個別パートでは相変わらず厳顔を例外的に様付けで呼称するなど、旧作の人間関係が所々放置されている。
②序盤の個別パートで関羽が「たった一人で背に無力な民をかばって戦っていた劉備に出会ったことでなすべきことを見出した」と語ってくれる(これは旧作の流用)。
しかし、その後の本編(新規追加部分)で劉備からは「盗賊団に村を襲われてなすすべなく母を殺され、自力では復讐できないためにたまたま通りすがった関羽たちに出まかせの理想を語って盗賊団を討伐するように唆した」という全く異なる状況が語られ、これを関羽と張飛も認めている。
など、一々挙げていけば切りがない。
キャラゲーなのにヒロインたちのバックグラウンドをないがしろにしてどうするというのか。
4.まとめ
冒頭で述べた通りこのシリーズは非常に長寿なシリーズだが、その原動力は多数の魅力的なヒロインにあった。しかし、あまりにも無秩序に増やしすぎたヒロインたちはシナリオに満遍なく大小様々な不協和音を撒き散らし、全体としてのまとまりを喪失させる結果となった。
膨れ上がった登場人物数による長大なシナリオは謳い文句通りの「シリーズ最大のボリューム」にふさわしい長大さであったが、その全編が矛盾だらけ、旧作で見せ場だったシーンの大半は無茶な改変によって魅力が半減、とあっては数多くある美点を覆して余りある。
本編終了後に解放される外史の「漢女編」に至っては、旧作の魏ルートおよび「蒼天の覇王」の結末に対して汚泥を塗りたくるが如き代物であり、かつての結末を良しとしたファンの激怒を買った点も見逃せない。
別に購入者にバグや不具合で地獄を見せるような性質の問題を抱えているわけではないのだが、「旧作では散々だったけどリメイクで少しでも持ち直していて欲しい」という一縷の望みにすがって手に取ったユーザーを踏みにじり、人気シリーズの晩節を汚した本作の罪は重いと言わざるを得ない。