21： Little Sick Girls 選評者 ：2020/01/02(木) 15:28:03 ID:zUiaws9o
Little Sick Girls ～幼馴染の恋人～
ブランド：Lass Pixy
定価： ￥2,500 (税込￥2,750)
発売日：2019/09/27
ジャンル：ちょっぴり病み系女の子に愛されすぎるAVG
原画： 森山しじみ
シナリオ：玉沢円
〇ストーリー
主人公、道明寺アキトは遅い中二病に罹患した学園2年生である。
漫画やゲーム、アニメに傾倒し、それに出てくるセリフを吐いてはイキる典型的な痛い青年だ。
ルックスや声はそれなりに高いスペックを持っているのに、残念イケメンだと専らの評判。
だが中二病まっさかりなアキトはそんな評価も所詮は凡俗の戯言だと一笑に伏し、
今日も今日とて学園のアニゲ同好会の部室で親友の「ジャン」（雀野春太）と、
美少女ゲームやライトノベル、萌え燃えアニメや漫画の熱い論評バトルに興じていた。
そんな中、幼馴染でクラスメイトの「芳野恵莉」がとある事件をきっかけに、
アキトの隣をずっと離れなくなりあれやこれやと精力的に尽くし始める。
その様子がどうにも妙で、専門科医を受診したところ、
なんと「依存型」のADSと診断され「Little Sick Girl（LSG）」となってしまった。
そんな経緯からアキトはどこか少しだけ特別で、少しだけ病んでいる少女「芳野恵莉」に、
熱く深く愛され尽くされることになり、濃厚で特別な時間を過ごしていくようになるのだった。
〇キャラクター
身長：158cm
スリーサイズ：B88/W52/H75
誕生日：12月4日
星座：射手座
血液型：O型
趣味：食べ歩きしてレシピ再現
学園の2年生。
アキトのクラスのクラス委員長。
真面目で優しく明るい性格。対人コミュニケーション能力が高く、適応能力に長ける。アキトとは真逆。
観察眼に優れ、皆から気持ち悪がられているアキトは、
実は小心物な自分をイキりと中二病で隠しているだけで悪い人ではないと分かっている。
クラスメイトの中で浮いていて他人と距離を置くアキトをどうにか皆と馴染めるようにしたいと考えている。
LSG：「依存型」
いつでもどこでも、主人公に尽くしてあげたくなる強い衝動に駆られる。
常に主人公を観察し、その欲求に答えたくなる。よく言えば超世話焼き女房、悪く言えば怖いまでのお節介。
なまじなんでも出来るタイプなので、出来ることの少ない主人公を全力で甘えさせる為に様々な手を使って尽くしてくる。
- 高井戸 流林檎（たかいど るちえ） CV：花寺香蓮
身長：159cm
スリーサイズ：B78/W55/H72
誕生日：8月11日
星座：獅子座
血液型：A型
趣味：ゴスロリ全般、吸血鬼文学
学園の2年生。
アキトのクラスメイトだが、不登校気味で他人との付き合いも悪く、
メンヘラ扱いされたり、問題児扱いされたりしている。
しかし実際は、人見知りで無口ではあるものの非常に心優しく、料理上手で家庭的。
両親を早くに亡くし、心を閉ざすが、傷心時に輝くアイドルに励まされ、今は秘密でアイドルをやっている。
ゴスロリファッションが好きで校則違反のアクセサリー等をつけている。
最初はミステリアスな無口少女として登場。キラキラネームな名前が嫌い。
身長：154cm
スリーサイズ：B82/W55/H78
誕生日：3月14日
星座：魚座
血液型：A型
趣味：将棋
学園1年生。
近所に住む年下の幼なじみでもあり、恵莉とも顔見知り。
家庭環境に問題を抱え子供の時に寂しさで一人で泣いていたところ、
アキトに声を掛けられ一緒に遊ぶようになる。
おっこちょこいでドジなところもあるが、これと決めたら貫き通す強い一面もある。
アキトからは妹のように思われている。
現在のアキトはリアル女性が苦手になったので、
最近はめっきり交流がなくなってしまったことを寂しく思っており、一人でどんどん寂しさが募らせている。
〇問題点
この作品の問題点を語るにはシナリオのメインである病『アフロディーテ症候群』について語らなければならない。
この病気は患者がパートナーである対象に何らかのパターンで欲望を吐き出し続けないと悪化して最終的には発狂する世界中で十万人程度しかいない病気である。
治療をするためにパートナーとなった人が法律で生活から何からサポートされており、首に目印であるチョーカーをつけていれば人前でのセックスすら許される社会となっている。
勿論法律があるためにパートナーに選ばれた人物は必ずそばにいること、欲望を叶えること、治療に専念することが義務付けられており、離れたりしたら罰せられてしまう。
さてストーリー面であるが、元々主人公はゲームでイキっていれば相手の反応でヘタレ、三次元には一切興味を示さずAIにオナニーさせてアニメ・ゲームシナアリオ演出研究会でエロゲをすることにしか興味を示さない人物である。
ヒロインである芳野恵莉に対して好意のようなものは多少あったものの病気で作られた笑顔や愛情、法律で決まっているからといって納得せずちょっかいを出してくるクラスメイトや芳野恵莉に対しての義務に耐えられず一人で叫んで泣いてしまう。
彼女の前から消えた方が良い、LSGで心のない人間を相手するほど人間出来ていないと追い詰められているときに病気の原因に恵莉側にも好意のようなものがあったと分かり、そのまま正式に付き合い始める。
社会で認められているにも関わらず家族は気を使って家を離れたり、周囲の評価が最悪になったりと法律自体が人権的にどうなんだとかはエロゲですから当たり前。
社会のあり方
主人公の葛藤①
そのまま普通に性的な欲望も含めて叶えながら生活をしていたのだが症状は悪化するばかり。
とうとう電車の遅延で耐えきれなくなったところを同じ症状のパートナーとなった紳士に諭されて性行為を行うのだが、終えた後に完治した事例は１０件しかなく、治療をしていた間のことを覚えているために破局すると告げられる。
いっそ気楽に特権をつかって生活したらどうかと勧められてこの紳士全部台無しだよと思わざるを得ない。
紳士①
紳士②
そこで、主人公の決心で恵莉の欲望を最優先させ最悪の終わり方を覚悟して治療に専念するがストレスと疲労でとうとう倒れこんでしまうがそのタイミングで完治、恵莉と別れることなくセックス後いきなり『そういう終わり方があってもいいよね』END宣告される。
その後どうなったかが要のように話されていたにも関わらず一切追加エピソードもない。
さて、ここで大きな問題に触れていないのだがこの作品のタイトルは『～幼馴染の恋人～』であるがそもそも恵莉は幼馴染ですらなく愛葉桃という本当の幼馴染がおりコンセプトから破綻している。
もちろん容量が688MBしかないため、治療とHシーンがメインとなるため突っ込んだ話も対してない。
そもそものアフロディーテ症候群に関しても色んなパターンがあるらしいが詳細がほとんど語られていないので疑問点が所々現れてきてしまう。
その割に主人公に対する世間の対応が見ないふりであったり嫉妬されたりと胸糞でしかない展開ばかりである。
誤字脱字もちらほら見られ、『権力→県火力』や『しまった→死松田』など杜撰なチェックがされていると思われる。
Hシーン周りであるが、だんだんと人前でのセックスが少々多めで比較的にはエロゲとしては内容が普通なのではあるがせっかくの露出なのにモブが空気なのはいただけない。
そして、本作品は３人のヒロインの分割商法であり、本来の幼馴染ポジションは最後に発売されるという現実が非常に悲しいものである。
〇まとめ
分割商法・コンセプト無視・胸糞展開割合との３段餅を押し付けられて１作目を買おうとした人に本来のポジションを一番最後に発売する予定な辺りが非常に嫌らしく感じる作品である。
いくらロープラとはいえ落ち着いた雰囲気の作品を売ってきたところもあり、ここまで売り方を間違えていると流石に会社としても方針を見誤ってきているのかもしれない。
抜きゲーとしてみればそこまで悪くはないのかもしれないのだが、続編が出てしまいしかも続編では共通部分が本作と全く一字違わず一緒であったことなども含めて非常にがっかりしている。
