330: トメフレ選評 ◆D0yMbSwexk :2020/01/31(金) 22:58:17 ID:Oze2KpOs
タイトル:『彼女は友達ですか? 恋人ですか? それともトメフレですか?』
ブランド:DESSRT Soft
ジャンル:ひとつ屋根の下、お泊りドタバタラブコメADV
発売日:2019年5月31日
価格:8,800円(税別)
原画:了藤誠仁
シナリオ:十全
1.ストーリー(公式サイトより抜粋)
のちに俺はこの時の行動を、生涯誇りに思う
「トメフレ」
主人公、柏葉結生は、非モテ孤独なぼっち生活を打破する為、
社会問題にもなっているこのモロ援助交際っぽいシステムを利用し、あわよくば童貞卒業を試みた。
―30秒後 ピンポーン。 ゆき「え……もう?」
申請をしてからほんの一瞬、新しいパンツに履き替えて正座で待つ時間すらなく、ゆき宅へ訪れたトメフレは……
「はっ、はは初めまして!! HNさくらねこ、本名は雛守桜子っていいます!
トメフレ初めてですっごく緊張してますけど…… 今日はどーしても家に帰りたくなくて……っ!
はれ? 柏葉ゆきくん……?」 憧れの女の子、雛守桜子だった。
「トメフレ条例だかなんだか知らないが、口説いてメロメロにさせて
向こうから抱いてくださいお願いしますとおねだりさせてしまえばOKだ…!」
しかし狙われる側である桜子も、邪な欲求をその胸に抱いていた。
「ゆきくんをメロメロに惚れさせて主導権握っちゃえば、タダ飯、タダ宿を提供してくれる都合の良いトメフレゲット!」
お互いの思惑が交差し、健全なお泊りフレンドという建前の下で、欲望丸出しな男女の争いが始まる!!
かと思えば…女の子を泊めたこともない、泊まりに行ったこともない恋愛初心者な二人。
途中二人っきりということに耐えかねて他のトメフレを呼んだりと、賑やかな日常を繰り広げているうちに、
この友達以上、恋人未満の居心地のいいトメフレ関係が気に入ってしまい、
ドキドキ青春、ちょっぴりエッチな、イチャラブコメディー展開になってしまうのだった――。
なお、公式サイトのコンセプトのページにはざっくり以下のような内容が書かれている。
- トメフレとは家出少女と家出少女を止める男子学生の図。Hはもちろん恋愛、お金のやり取りも禁止。
健全なルールの下で居場所をなくした寂しい少女たちがお泊りできる場を作ろうというシステム。
この特殊な関係を軸に出会ったキャラクターたちの一つ屋根の下で送る楽しい日常を描く。
- 個性豊かなトメフレたちがみんな一緒でいることが多く、ヒロイン同士の掛け合いが楽しめる。
ところ構わずドタバタ展開が繰り広げられ、コメディ&イチャイチャ全開!
- お泊りなのでときにテンションが上がり、ときに我が家同然にくつろいだりとヒロインの見せるギャップも魅力
お風呂やシャワー問題など、お泊りならではのドキドキシチュエーションも体験できる。
- 「トメフレみんなとの楽しい日々を終始楽しめるようハーレムルート一本道!」
しかし皆には内緒の二人の時間など、一人一人とのイチャラブもしっかり堪能いただけるように描いていく。
もちろん、Hシーンも充実!
2.主要キャラクター解説
本作主人公。幼少期には妹と共に実戦向け武術家の祖父の下で指南を受けており常人離れした身体能力を持つ。
だがトラブルに巻き込まれた友人を助けようと我を失って過剰な暴力を一方的にふるってしまった過去があり
それをきっかけに転校、実家も追い出され、(たまに妹が押しかけてきたりもするが)一人暮らし中。
助けた友人からも怯えられてしまったことがある種のトラウマとなって人と深く接する勇気を失ってしまい
転校先ではクラスメイト達とロクに話すこともできないまま陰キャとしての立ち位置に落ち着いてしまった。
気さくで可愛らしいクラスのアイドル的存在…なのだが本当はかなり重度の隠れオタク。
親やクラスメートが抱くイメージを崩さないよう上手く期待通りに振舞ってはいるが
自分を表に出せないことを孤独を感じ、時折家を抜け出し漫画喫茶などで寂しさを紛らわせていた。
それゆえに気を遣わず快適に過ごせるトメフレへの強い憧れを抱き、ルールを守ろうと人一倍張り切るが
気を許した仲間とのじゃれ合いを一番欲しているのは桜子自身である。
居心地の良い関係の魅力には抗えずについついあれこれ理由を付けてはより接近してしまう。
クールな美貌で学生モデルとしても活躍するクラスの憧れで学園カースト最上位のリア充グループに属している。
その容姿や振舞いから女王様・遊び人的な印象が強いが割と純情かつ生真面目なところもあるため
よくつるんでいる真正のビッチたちとは表面的には話を合わせつつも内心うんざりしている。
プライドが高く素直になれないため、圧倒的に格下なゆき達トメフレをいじるような言動も多いが
飾らずに過ごせる仲間たちとの時間も本心では気に入っている。
ゆきのクラスメイトの一人でクラスカースト最下位のいじめられっ子。
自信がなくて自己主張が出来ず、どんな形であれ役に立てれば喜んでしまうお人好しで何事もそつなくこなせる…
という悪条件が揃って同級生からは散々パシられ、家庭環境も最悪とどこにも居場所がなく、
桜子の偶然の思い付きでトメフレに誘われてからはその繋がりに依存しきってしまう。
特に家主であり初めて自分に優しくしてくれた異性でもあるゆきにははっきりとした恋愛感情を抱き、
持ち前の奴隷気質もあいまって家事全般を献身的に引き受けたりするのだが
結果として過度な干渉や対等な関係を壊すような行為を禁止するルールを無意識に破ってしまいがち。
箱入り娘として育った文武両道で真面目一徹な委員長…としての姿を拝めるのはごく僅か。
登場早々夜遊びを注意した不良達の返り討ちに遭い、そこをゆきに助けられるという事件が発生、
武道家としての自信を喪失し、師匠でもある父に合わせる顔がないとマジものの家出少女と化す。
自分を救ったヒーローであるゆきに心酔し、家出後の居場所としての頼みの綱は当然ながらゆきの家。
これまで性的なことに全く接することがなかった反動もあってか
かえってドン引きするような露骨すぎるアプローチでことあるごとに猛アタックを繰り返す。
ゆきの双子の妹。腕力だけでなく頭の良さもコミュ力も桁外れで何事も思い通りに運べてしまう完璧超人。
しかし昔から多忙な両親からあまり相手にされず、兄とのスキンシップでお互い寂しさを紛らわせていた。
それは今も変わらず重度のブラコン。別居状態でも構わず兄の家に上がり込んでは好き勝手にくつろぐ。
なおトメフレは元々彼女がヒマつぶしで夜の繁華街に入り浸っていた際、家出少女たちの人生相談を乗っていたら
勝手に話が広まっていって出来上がったものであり、いわばトメフレの創始者である。
その経験の下、ゆきや桜子達トメフレが健全な関係を逸脱して暴走しそうな傾向にあることを警戒、
トメフレ達のせいで自分の居場所を占領されるのも我慢ならないと監視がてらトメフレ達に絡み始める。
3.シナリオ概要
前半~中盤については公式サイトのストーリー説明の通りで間違いないので割愛。
いくつかの出来事を経て主要人物が揃い、すぐそばでの気ままな時間を過ごしていく中で距離感も急接近し
6人でつるんで過ごす生活が定着してからどうなっていくのかといえば
…特に大きな進展はなく、皆で仲良くつるむ健全なハーレム関係を当分の間続けていく。
もちろんその間にもたくさんのイベントがあり、例えば
着替え問題、皆で服屋にデート、水着で風呂に混浴してきわどいおねだり等々強烈なものも多々あるが、
「待遇をよくするためのアピールの意味もあるから勘違いしておだてられたら駄目だ」
「ここで欲情してるのがバレたらこの先どんな顔して一緒に過ごせばいいんだ?」
「立場の強さを盾にして大事な友達に強引に迫るなんてことはどうしてもできない」
等々の理由をつけては自制して悶々とする選択を毎回のようにとってしまう。
また、親密になっていく中でヒロインがほとんど告白といっていいような発言をする場面も複数あるが
元より主要メンバーは孤独に耐え切れなくてトメフレに手を出した重度の寂しがりやであり、
付き合いを通じて性欲や恋愛感情が高まる以上に6人全員でのトメフレ関係が崩れることを極度に恐れているため
「深入り厳禁のルールに反して皆の関係が崩れるから我慢するようにと横槍」
「あくまで遊びだと思って or 皆には内緒にしておいて、これまで通りみんなで楽しく過ごして欲しい」
「ここで一人選んで・選ばれて他のみんなを見捨ててしまうなんてどうしてもできない」
という具合で主人公ヒロイン共に先へ踏み出す道を選べずにひたすら現状維持に努めるのである。
もちろん最終的には現状維持の壁が決壊しHシーンに行きつくのだが…
ここで最初にHシーンを迎える愛美のお泊り初日から道中、初Hでの様子をいくつか抜粋しておく。
はじめから偏っていたのがより深刻に歪んでしまっていったというのが見て取れるだろうか。
このことを隠し通していつもの生活を続けようとするも桜子にこのことが発覚(ここの経緯は5で後述)
別離への恐れが独占欲を上回った桜子から二股でもいいと求められ彼女とも関係を持つ。
これも即刻バレるが二人とも争うより必ず一緒に居られる方がいい、とそのままハーレム関係を承諾。
表向きにも露骨に二人とだけベタベタする状況になり他3人ともしばし疎遠になるが
誰も深くなりすぎた相互依存関係を断ち切ることはできず、
「こんな形でもゆきくんは皆を諦めることはできないはずだし、他の3人もそれを望んでいる」と
愛美と桜子は全員集合を希望。事実、どうか一緒にして欲しいと迫ってきて凛・椎菜・沙耶佳も陥落。
ゆきもこうなってしまったからには絶対に最後まで見捨てないと腹をくくりハーレムが完成するのであった。
その後は性欲と依存欲求に任せて突っ走り続けて夏休み明けには5人揃って仲良く妊娠、
「行きつくところまで行きついて傍目には最悪の結末と映るかもしれないけれど
誰も傷つかずに済んで仲良く過ごせて、自分達にとってはハッピーエンドなんだ」と、締めくくる。
4.シナリオの問題点について考察
前項で大まかに説明したシナリオについて、少なくとも選評者は読み進めていくうちにどこか違和感を覚え、
最後に行きつく結末に対してもどうにも納得のいかない感覚を覚えてならなかった。
トメフレ6人組の日常は賑やかで愉快だし、話自体も良くも悪くも一つのそういう物語としてまとまってはいた。
個々の要素の出来は悪くないはずなのに何が噛み合わなかったのかを考え直してみた。
●0.一本道を前面に出していくスタイル
それにあたりシナリオ概要では触れられなかったとある要素について言及する。
何度も「誰か一人を選ぶことができなかった」と書いていたが、この作品ではプレイヤーに選択権は一切ない。
はじめからを選んだ時のOPまでのスキップする・しないと、開幕数分で出てくる自他ともに認めるお飾り
あろうことか本当にこの二つしか出てこないので、まさしく完全なる一本道展開なのである。
一応コンセプトにはハーレム一本道と書いてあったし、決して嘘ではないのでこれは仕方ない、
と、言いたいところだが困ったことにに本作の場合はそうもいかない事情がある。
上記のようななんとも開き直った発言や一本道の行く末をぼかすような描写が時々顔を出すのである。
この作品はコメディーよりな作風ゆえかパロネタやメタ発言も多めなのでこれ自体はアリな気がしないでもないが、
本作に関していえば次以降で述べていく問題について火に油を注ぐ結果となっている。
●1.トメフレがむしろ足枷となるトメフレ物語
本作はトメフレという特殊なシステムを軸として普通なら関わるはずのなかった
個性豊かなヒロインたちと同じ家で過ごし、イチャラブコメディーを送っていく物語である。
後半まで長々続いていく日常パートにおいては常時ヒロイン同士の愉快な掛け合いが楽しめ、
非エロ部分についてはまさにコンセプト通り、量・質ともに充分機能していると言えるだろう。
だが本作は紛れもなくエロゲー、そこから先の段階へ移行していくにあたって大きな問題にぶち当たる。
ここでむしろメイン要素たるトメフレ関係が足枷になってしまっているとしか言いようがないのである。
部屋を提供する側としてハニートラップを警戒、誰かを贔屓したら関係性が乱れると自制や牽制
こうした利害関係があるのさることながら、それ以上に根が深いのは相互依存であろう。
深入りも競争も回避してみんなで心地よく過ごせるシステムに惹かれた実はとても寂しがりやな主人公とヒロイン達…
そんなメンバーからなる以上、関係が深まるほどにかえって先へ踏み出せなくなる状況になってしまっているのだ。
無論、選択肢の一つでもあればこうした膠着状態が打開されるというものであるが本作にそんなものはない。
じゃれあいも過激化していきプレイヤーの期待も高まるにもかかわらず、徹底的に保留するゆき達の様子が延々と続いていくのである。
「延々と」と書いたが参考までに、本作のシナリオは計86個の小チャプターから成り初Hはその60個目である。
なお選評者は本作品をほぼフルボイス全部聞いてプレイしていたのだが
最初のHシーンに到達した時点でのプレイ時間は約17時間であった。(ゲーム全体では約26時間だった。)
誰もかれもが全ボイスを聞いてるわけでもないと思うので平均ではもっと短く済むことかとは思うが
それにしても低価格の短編ゲーが遊べる程度にお預けを食らうのは事実、
トメフレのゲームなのにトメフレであるがゆえに主人公たちが一向にエロに手を出そうとせず、
選択肢でどうすることもい出来ない…のは一本道シナリオの宿命として諦めがつくと言いたいところだが
そんな折に限って「ここで選択肢があれば…!」だとか言いだしてくるのだからたまったものではない。
●2.イチャラブコメディーともハッピーエンドとも言い難い展開
なぜか作品側からも煽られつつも長々続いた日常パートの先に待つHシーン、抑え続けた恋心が遂に弾けて
さぞカタルシスのあるものに、とはいかないことは先に挙げた愛美関連の抜粋を見返せばわかるだろう。
第一、愛美との初体験場面に至る経緯というのが、喫茶店バイト中に関係最悪な愛美の母親が入るのを見かけ、
「とうとう目を付けられてしまった、これまでのようにゆきの家で皆と過ごすことが出来なくなってしまうんだ。」
とパニックを起こし、見つかる前に慌てて別室に避難させたところで、
もうこれ以上は耐えられない、どうか抱いて慰めて下さいと迫るというもの。
極端な話恋心が実ったのではなく、相変わらず踏み込むことができないまま
事故に近い形で過程を飛ばして一線を越えた、というような形なのである。だから悪いというものでもないが、
深入りを回避し続けた結果として家庭環境の問題にはノータッチゆえに自宅での境遇は一切改善されておらず、
主人公自身が自分たちの関係は逃避なのではないか、と悩む様子も見られるほどであり
コンセプトから連想させられるとは程遠いやりとりとなってしまっているのだ。
それでもお互い一度覚えた快楽とトメフレ達との繋がりは手放せずに後ろめたさを感じつつも関係を重ねる。
そして他のヒロイン全員とも関係を広げて最終的にハーレムに行きつき、
これが俺たちにとっての幸せなのだと結論付けることはシナリオ概要で説明した通りである。
だが全員攻略した後でもどこか後悔してるような独白がチラホラ見られる。
少なくともコンセプト通りな明るいハッピーエンドとは感じられない見せ方である。
たとえやっつけなものでも個別ルートなり安易なハーレム展開なりあれば、これも分岐エンドの一つとして
それなりに受け入れもできるのだろうが残念ながら本作は選択肢皆無の完全一本道シナリオである。
だというのに「別の展開もあり得たのに…」というような発言を何故入れようとするのか…
●3.個性豊かじゃなくなるヒロイン達
主人公が必ずハーレムの主となると述べたが他のヒロイン5人がどうなるのかといえば性奴隷である。
「孤独に弱いトメフレが複数人集まって順調に仲を深めていった場合、もし誰か一人が抜け駆けしようものなら
泊め主に依存するしかない他の娘たちも捨てられまいと簡単に体を許してしまうし、
そうなると誰が一番尽くせるかと次第に行為がエスカレートして、行きつく先は大体刃傷沙汰か全員性奴隷同然になって妊娠」
若干メタい発言や椎菜の経験談にて暗示じみた話が頻繁になされるのだが、
一本道展開ゆえに寸分たがわず後者の道をたどることとなるのである。
それまで普通に仲良く過ごしてきたヒロインたちがところ構わず我先にと発情し続ける様子は
それはそれで圧巻ではあるのだが最終的なその変貌ぶりははっきりいって常軌を逸している。
エンディング直前の海旅行イベントでの様子がこちらである。
ここまでくると似たり寄ったりな性奴隷×5とでもいうべきなのだろうか、
長い長い日常パートで繰り広げられる個性豊かなヒロインたちの言動が作品の目玉だったというのに
積み重ねられた個性豊かなキャラクター像が問答無用で見る影もなく消し飛ぶのだから
ヒロインに魅力を感じて感情移入するような読み手にとってはますます辛い結末になるといえるだろう。
まして、作品自体がこうなるのが運命だと言わんばかりの態度で語りかけてくるのだからひとたまりもない。
●4.とばっちりを受ける肝心要のエロ要素
シナリオの噛み合わなさについてあれこれ述べてきたが、所詮はシナリオ、エロ要素が良ければ気にしない…
そうした意見も当然あるだろう。だが最重要のエロ要素すらシナリオの弊害を被っているのである。
というのも、最初の内はまだしも一人のご主人様と複数の性奴隷からなる図式であるため
ヒロイン達が攻略されていくにつれて前戯→本番と悠長にやっていく余裕などなくなっていき、、
最初からハイペースで飛ばして誰かに中出し→待機中のもう一人に一発→そのまた次へ…という具合だ。
そんなスタイルでは一回一回のテキスト量・密度共にスカスカになるのが道理であろう。
本作には10クリック分の射精カウントダウンシステムも導入されているのだが、
終盤におけるイって出したらとっかえひっかえする類のシーンだと次のヒロインのCGに変わってから10クリックも
しないうちにカウントダウン点灯なんてこともざらにある始末である。「Hシーンも充実」とは…
試しに初体験シーン1枠2枚とハーレム完成後からラストまでの全8枠13枚のテキスト量を数えてみたところ
- 初体験:前戯169クリック 本番316クリック→計485クリック相当
- ハーレム完成後~:各シーンそれぞれ65, 25, 90, 94, 65, 54, 27, 26→計426クリック相当
という、洒落にならない数字が出てきてしまった。多少の数え間違いもありうるにしても
初体験一回目よりも怒涛のハーレムHラッシュの方が分量が少ないというのは間違いなさそうである。
もちろん長ければ良いというものもなく、じっくり語られる序盤のHは前述の通り
イチャラブとは言い難い素直に喜べない会話内容が多くを占めているのだからますます救いがない。
もしも別の展開があったならと考えたところでそんなものはないと言い放たれるのは言わずもがなである。
5.その他問題点となりうる箇所として
長々とシナリオの問題を考えてみたが、最後に人によってはマイナスとなりそうな単品要素をいくつか挙げておく。
●良くも悪くもギャグテイストのノリ
最終的に少なからず脱線していくとはいえ、一応はコメディテイストな雰囲気の作品である。
その代表格が「解説」である。
「説明しよう!」と言わんばかりの大仰なオッサンボイスが無駄にビカビカしたテロップも引き連れて
解説を加えてくるのだが最序盤ではこれでもかと言うほどの頻度で、後半でも忘れた頃に突然やってくる。
また、他にどの程度の作品でやっているのかは知らないが登場人物の多くがセリフで草を生やす。
図星を突かれて苦し紛れに煽り返す、ちょっとおどけた発言などで適度に使われる分にはほほえましいのだが
毒舌な椎菜や隠れオタな桜子は平然と草を生やしながら煽り発言をすることも珍しくない。
この辺のノリについては文字だけでは伝えにくいので一部抜粋してみた。
https://dotup.org/uploda/dotup.org2052035.mp4.html
●主人公の言動その他
作中後半まで全くもって手を出せない主人公ゆきだが、それは関係の崩壊に対する恐れが強すぎただけであり
中身は聖人君子どころか重度の変態である。モテな過ぎて放課後の学園内で出会い系・風俗サイトを虱潰しに検索、
そこでトメフレを見つけるという始まり方をしている時点で既に色々とアウトである。
その後も性欲全開なメール、心の声が大声で漏れ出る、興奮のあまりうなり声をあげるなどの奇行を繰り返す。
ヒロインたちと関係を持つに至った後も
事後、無責任な中出しを謝罪しつつピストン、 ナチュラルに性奴隷呼び、
ハーレム入りしていない娘を無理に抱くわけには行かないとベッドの隣に潜り込んだ沙耶佳の誘いを拒むが
翌朝には朝一で求めた来た他ヒロインとすぐ隣でヤリはじめる(ついでにピストンのはずみでうっかり突き落とす)
というクズにもほどがある所業をなす一幕もあったりする始末。
エロ方面以外でも実は鍛えていて人外じみた実力という設定のため、
ブチギレて頭が真っ白になって我に帰ったら周りの不良達が全滅していたり、
本当の実力を発揮してスポーツ大会で無双したり、巨漢の大男を全力でぶん投げて壁にめり込ませたりと
よくある?陰キャの妄想を地で行くの突然の活躍でプレイヤーを置いてきぼりにすることもある。
なお本作のコメディリリーフ的立ち位置の凛についても日常パートでもお構いなしに淫語を連発する一方で、
それなりにシリアスな場面でも駄々っこ同然としか言いようのない振舞いになったりで苦手な人にはキツイものがあるかと思われる。
●大小さまざまな矛盾点
物語後半、桜子とのHに至るきっかけとして実は二人が昔ネトゲ内で結婚していたことが判明する展開がある。
愛美とのH後もどうにか周りをごまかせていたがひょんなことで
ゆきが暴力事件後に引きこもり状態になっていた時にとあるネトゲにのめり込んでいたこと、
なにかと気が合い親密な友達になれた女性ゲーマーのキャラとゲーム内結婚に至ったという過去が明らかになる。
廃人同然にドハマりしたのを見かねた椎菜の手で強制的に別れ話を切り出されてそれ以来会っていなかったのだが
その女性ゲーマーというのがちょうど同じころに親や友達とうまくいかずにネットに逃げていた桜子であり、
不自然な形で別れた後もゆきのことを想い続けていたこと、不用心にもリアルの情報を喋っていたおかげで
ネトゲ内の旦那の正体が同じクラスに転校してきたゆきであることに気付き、
直接話す勇気はなかったけどずっと遠くから見ていたこと、トメフレとしてやって来たのは偶然ではなかったこと
等々が明らかにされる極めて重要なイベントなのだが、あろうことか
アバターは本人に酷似、話し方も現実での本人そのまま、極めつけにハンドルネームは当時から変わっていない。
なぜゲーム初日の申請時に散々見てきた「さくらねこ」の名前を見て一切反応しなかったのか?
ゲーム開始から長いこと顔を合わせて話しているうちにピンとくることすらなかったのか?
せっかくのいいシーンもぶち壊しである。記憶喪失にもなったのかコイツは
またこれに本作ラストシーン、エピローグにもよく目立つ穴がある。作中で
「このまま進んでいったら妊娠させられ、ボテ腹になって制服も着られなくなって人生終わっちゃう」
というような旨の発言が何度もなされる、すなわちそういう終わり方を迎えることを暗に強調しているのだが
最後のCG二枚ともこの通りである。制服を着てなかったりお腹の膨らみを確かめようがない構図だったりする。
散々引っ張っておいてこれでいいのか?だいいち、お腹がより膨らんだ時期の話にすることだってできたのではないだろうか。
これらに比べたらごく些細なことだがこの他にもよく見ると違和感を覚える描写ミス?がそれなりにある。
- 物語の途中で唐突に凛もクラスメイトであるとの説明が出てくることもあるが、
同じ教室で授業やHRを受けてる描写が全くもってない、冒頭の簡単なクラスメイト紹介場面でも一言もでてこない。
- 愛美は家事全般が得意なだけではなく、クラスでパシられまくったせいで
電気製品の修理からゴーストライターまでマルチにこなせてしまうようになっていたという一幕があったはずなのに
皆でバイトを探す展開になると突如無能設定になり「ポンコツなコミュ障でまともにやれそうなのは性風俗くらいか」
という扱いになり、しかも仲間が全員それで納得してしまう。などなど
6.まとめ
極端に低質でスカスカどころが量・質共に充分まとまっている。
あからさまにダメな要素があるわけでもなく、ほめるべきところは褒められる出来。
ならば問題なさそうなのに、プレイしていると後半辺りからどこか納得のいかないものがどんどん込み上げてくる。
こりゃクソゲーだ!とは断言はできないのに、下手なクソゲーよりかはよっぽど違和感を感じる…
思い浮かんだことをあれこれ書き連ねてしまったが、それでも気にしない人は気にしない要素の集合体とでもいうべきか、
非常に語りづらく扱いにくく個人差大なクソさに溢れかえった作品なのかなと思う。
ただしウリにしていた魅力となりうるはずだった要素がとことん噛み合わない様は
「よくあるコンセプト詐欺」、「好みに合わなかっただけ」だけでは片づけきれない酷さがあったと思う。
少なくとも選評者には少なからず読んでてこたえるものがあった。