タイトル | ジンキ・リザレクション | ![]() |
ブランド | 戯画 | |
ジャンル | コマンド選択式ADV | |
メディア | DVD-ROM | |
原画 | 綱島志朗 | |
シナリオ | 保田沖次郎、和泉万夜 | |
発売日 | 2020/3/27 | |
価格 | 初回版:9,800円(税抜) 豪華版:14,800円(税抜) |
533 名前:ジンキ・リザレクション 選評者[] 投稿日:2020/05/09(土) 23:51:32 ID:X0iM9aF6
ジンキ・リザレクション
発売日:2020/03/27
メディア:DVD-ROM
メーカー:戯画
ゲームジャンル:コマンド選択式アドベンチャー
原画:綱島志朗
シナリオ:保田沖次郎 , 和泉万夜
○あらすじ
あらゆる記憶を失って、病院で目覚めた主人公、小河原両兵。
名前すら忘れてしまった彼は、回復させる手掛かりを求めて京都の町へたどり着き、アンヘルと名乗る組織の少女たちに歓迎される。
ストレートに好意を寄せてくる津崎青葉。
彼を京都へ呼び寄せたがどこか遠慮がちな柊赤緒。
一人だけ敵意をむき出しにする三宮金枝。
流されるまま始まってしまった彼女たちとの共同生活。
破天荒な彼女たちに振り回されながら両兵はこの生活も悪くないかと考えていたが、鋼鉄の巨人、人機の存在がすべてをひっくり返してしまう――
◎問題点
本作品は2010年の JINKI EXTEND Re:VISIONを境に長らく新作が現れず、完結したかのように思われていたシリーズものである。
10年もの歳月を経てエロゲプレイヤーの世代が変わっていて過去作プレイ者があまりいないと考えたのか主人公は記憶を失ってスタートである。
初回盤には特典として過去作の設定資料集が付いてくるためそれを読みながらのプレイとなるのだが、これがよろしくない方向へと向かってしまう。
まず、この作品の一番の問題点は日常パートの『デートシステム』である。
津崎 青葉、柊 赤緒、三宮 金枝の三人の中から攻略となるのだが、それぞれのキャラクターには好感度と操縦練度というステータスが初期値で振り分けられている。
この数値は最初のみ確認できるのだが、このデートシステムではhibiki worksのCATIONシリーズのような1日の行動を町中自由に選択できるシステムとなっており先ほどの二つのステータスがストーリーの分岐のカギとなる。
......なのであるが、このステータスを確認できるのは最初のキャラクター選択の時のみである。
この日常パートではキャラクターのステータスを上げたり下げたりしてバットエンドを回収しながら1日に約4回の行動の中でその日の特定のタイミングで特定の服装、特定シナリオ読破等々の細かい条件が待っていてこれが1ヶ月続くのである。
しかも、この数値は最初から高いキャラと低いキャラとで行動自由度が大きく違い、極端に低い三宮 金枝の場合は訓練や好感度回収を急ピッチで行わなければいけなかったりと非常にシビアになる。
バッドエンドを回収しながらセーブをして進めていくのだが各ステータスが足りていない場合などを的確に判断してギリギリの範囲内で回収していっても特定のバッドエンドからではどうやってもバッドエンドにしかたどり着けない状態になるのはご愛敬である。
しかも、そのシビアな条件下で服装や午前午後各二回のピンポイントを引き当てることは至難の業である。
特定ポイントを何度も行き来して同じシナリオを何度も見たり、ストーリーでは大怪我を負って入院しているはずの人物に普通に街中で会ったりフラグ管理もできていない。
一切状況の分からないステータスのために何度も日付が変わっても同じシナリオを見せられてこの有様である。
次にストーリー面。
漫画の2年後という設定であったが、新規プレイヤーのために記憶喪失にしたようであるが完全に作品としてはFDのようなものである。
殆ど説明がないまま「過去の人物が~、知り合いらしい人物が~」をやっていてそのままストーリーが進んでしまう。
基本勢力は主人公達『アンヘル』と過去の敵である虚無のリーダーであるシバと手を組んだ部隊の『グレンデル隊』、そして舞台である京都の地下から湧いてくる古代人機である。
ストーリーの根幹は京都の地下に眠る大量のブル・ブラッドと呼ばれる無限に電気を得られる物質が集まったテーブルダストをめぐって争いが起こっているはずなのだが過去に活躍した、戦争で悪用されないようにと古代人機が湧いて出る地下に置いてきたモリビト2号という人機を取り合うシナリオになっている。
この作品のウリは戦闘アクションシーンであるにもかかわらず、EXTEND Re:VISIONの頃からあまり進歩していない状態で帰ってきてしまっている。
戦闘も基本相手が仲間内での自滅が殆どでまともに決着がつくことが無い。シナリオが3章までしかないために相手がポンポンと自滅していくのはとても残念である。
中でも金枝√では前回のラスボスのシバが序盤から突然現れた古代人機に公開処刑され、基地も襲われて大勢が負傷してしまったりと他のメンバーの活躍の場が大幅カットされてしまっている。
しかも金枝本人は人機に乗った際の精神障害で搭乗することも困難という状態でありながらラスボスが瞬殺された古代人機や数百の古代人機がいる地下へジンキに乗らずにモリビト2号を取りに行って一人で決着をつけてしまうあたりの優遇は納得のいかないところである。
Hシーンは悪くはないと言いたいところであるが、回収の条件が困難なことがそびえたつ壁となり、日付ごとに1日4回の中で見えない数値に左右されながら服装からイベントの回収確認などを行うことになるのだが時系列がおかしいシナリオ並びや前日見たイベントなどがフラグの場所をあいまいにしてくる戦術は見事なものである。
○まとめ
リザレクションしたが体は腐肉のまま復活したようで詳細攻略をする気力をガリガリ削ってくる作品である。
ラスボスのシバや敵軍の扱いがお粗末極まりないもので狂人を並べておけば自滅するを一貫しているところだけは評価できる。
画集としては良いものなのだろうが、そこに行きつくまでが難解なのは許されるものではない。