まおかつ! -魔王と勇者のアイドル生活- 選評

タイトル まおかつ! -魔王と勇者のアイドル生活-
ブランド Wonder Fool
ジャンル 魔王アイドル育成物語
メディア DVD-ROM、ダウンロード
原画 ぼに~/アサヒナヒカゲ
シナリオ 冬野どんぶく
発売日 2020/6/26
価格 抱き枕カバー同梱豪華版:12,800円(税抜)
通常版:8,800円(税抜)

選評

【2020】 クソゲーオブザイヤーinエロゲー板 避難所 2本目
https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58331/1596535707/
957: まおかつ! 選評者 :2020/11/18(水) 23:29:33 ID:AjH.U1qg
まおかつ! ~魔王と勇者のアイドル生活~
ジャンル:魔王アイドル育成物語
発売日:2020年3月27日→4月24日→6月26日
定価:12800円(税抜)
原画:ぼに~ アサヒナヒカゲ
SD原画:
企画シナリオ:冬野どんぶく
ディレクション:ハルP
BGM:Felion Sounds

CG枚数 53枚 SD15枚
BGM数 10曲
楽曲数  1曲

○あらすじ
異世界に勇者として召喚された主人公。
彼は望まれるまま、民衆に求められるままに、 世界を征服せんとしていた魔王を打ち倒し、大団円のはず……だった。

しかし、彼の内面では、前世界での職業魂が再燃していた。
元駆け出しのアイドルプロデューサーであり現勇者。そんな彼は決意する──
「魔王をトップアイドルに育てて、この異世界に新しいエンターテイメントを広めよう! 」
一度目は勇者として、二度目はプロデューサーとして、彼の異世界での生活は転換期を迎えることになる。

○問題点
本作は原画以外のスタッフを一新したWonderFoolの2年半ぶりの新作。
蓋を開けてみれば全てにおいて前作よりパワーダウンした作品であった。

とにもかくにもフルプライスに見合わない出来である。
前作もシナリオのボリュームがフルプライスに見合わない出来であったが、今作はそれを上回っており、BGM、楽曲、CG枚数、全てにおいて前作以下のボリュームになっているため「これがフルプライス?」と首を傾げる。
特にシナリオに関しては無駄を省くことを意識しているのか、ヒロインと仲良くなる過程やアイドル活動についてまで省かれているのが気になった。
以下に引用する。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

その言葉を継げると同時に、
俺は勇者としての力を解放した。

「ふふっ……負けた負けたー」

静寂を取り戻した湖畔にリゼの声が響く。
その表情はやけに爽やかで、一切の曇りはない。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

これはゲーム中での実際の流れである。
この場面に遭遇したとき、筆者は時を消し飛ばされたのではないかと動揺した。
確かにここで緻密なバトル描写が始まったらそれはそれで狼狽えるが、大した描写もなく終わってしまうのも肩透かしだ。
なお、先に伝えておくとヒロインたちがなぜ魔王と呼ばれているのか、人間と魔王の戦いがなぜ起きているのか、主人公自身が疑問に思ったのにも関わらず有耶無耶のまま明かされることはない。

だが本作のジャンルは「魔王アイドル育成物語」、きっとここからはアイドルという新たな人生に奮闘するヒロインたちとそれを支える主人公の物語が始まるのだろうと思っていた。
しかし、ここでもシナリオの簡略化が発動する。
無事ヒロイン3人をアイドルにプロデュースすることが決まったはいいが、またしても時が消し飛ばされ、一年後の話が飛ぶのだ。
魔王アイドル育成物語なのに育成物語を省くという大胆さに驚きを隠せない。
省かれた一年の間にいろいろあったのであろう、ヒロインたちもこの手の作品の例に漏れず主人公に対して好意的な感情を抱いている。
だだその経緯を見せてもらえなければヒロインに対する感情移入など出来るはずもない。
そんな時を消し飛ばされて戸惑うプレイヤーをあざ笑うかのように、ヒロインたちは「いろいろあったわよね」と語り始める。だからそのいろいろを見せろ。

その他にもライブが始まったかと思えば数クリックで終了するなどアイドル活動としての見せ場は徹底的に省かれる。

そして共通ルートが終わった後は怒濤のHシーンが続き、それが終われば気持ち程度のシリアス展開が訪れる。
その中でカレンというヒロインのルートでは真の魔王が復活し、勇者である主人公がヒロインを残して討伐に旅立つも1クリック後には「俺にとって最初で最後の戦いから、8か月の月日が流れた」のテキストが表示される。
そしてほどなくしてEDが流れる。他のヒロインも内容が違うだけでほぼ同じような流れである。
アイドルとは? 魔王とは? 勇者とは? 次から次へと設定が殺されており、この作品が何をしたいのかが理解できない。

内容面で良い点を挙げるとするならばHシーンだが、これも原画の力によるものである。
しかもHシーンの回数も各ヒロイン五回しかないため、こちらも前作に比べてボリュームダウンしていることを否めない。

そしてHシーンの間隔も短く、Hシーンが終わったら数クリックで次のHシーンが始まるため余韻もなにもあったものではない。
前置きから本番までの流れもさながらアダルトビデオのようで、ヒロインたちはアイドルではなくセクシー女優なのではないかと思えたほどである。

ライターの中ではヒロインたちのきちんとした設定や物語があるのかもしれないが、それをこちらに見せてくれないのではたまったものではない。

◎まとめ
冗長なシナリオも良くないが省きすぎることも問題であるということ、そしてHシーンも情緒が必要なのだということを本作には教えられたように思う。
面白みのないテキストに投げっぱなしの伏線、大幅に減ったCGやBGM。だけどお値段据え置き。
2年半ぶりの新作ということで前作からどれだけのパワーアップを果たしたのかと期待したが、低予算感溢れる悪い意味でのパワーアップを果たした作品であった。
内容以外にも、マスターアップをしてから二度の延期、そして14000円の豪華版を買わなければ予約特典がつかない仕様など、ユーザーに対して不親切な点も目立つ。
お客様第一であるべきなどとは言わないが、WonderFoolにはもう少しフルプライスにふさわしい作品を製作してもらいたいものだ。

966: まおかつ! 選評者 :2020/11/19(木) 01:14:10 ID:nMkfd20I
再度失礼、補足です。
SD原画は roco&rin です。

そして「一年後の話が飛ぶのだ」ではなく「一年後に話が飛ぶのだ」でお願いします。
散々誤字に文句を言っておいて自分が誤字してすみません。
最終更新:2021年09月18日 15:46