彼女(ヒロイン)は友達ですか?恋人ですか?それともトメフレですか? Second 選評

ブランド DESSERT Soft
ジャンル ADV
キャラクターデザイン・原画 了藤誠仁
シナリオ 十全
発売日 2021/9/24
価格 8,800円(税別)

選評

【2021】 クソゲーオブザイヤーinエロゲー板 避難所 3本目
https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58331/1640990703/
234: トメフレS選評 ◆D0yMbSwexk :2022/01/31(月) 23:17:13 ID:b1YYwChU
タイトル:『彼女(ヒロイン)は友達ですか?恋人ですか?それともトメフレですか?Second』
ブランド:DESSRT Soft
ジャンル:ADV
発売日:2021年9月24日
価格:8,800円(税別)
原画:了藤誠仁
シナリオ:十全

0.前提として前作の特徴についてのおさらい
 本作は二年前にエントリーした『彼女(ヒロイン)は友達ですか?恋人ですか?それともトメフレですか?』の続編である。
とはいえ後日談ではなく主要キャラは一新、また別の泊め主男子とトメフレ女子たちの物語を取り上げる形となっている。
ともに寂しがりやなぼっち男子がプチ家出女子達を家に泊めて和気あいあいと過ごしていくという話の流れは共通、
さらにヒロインも気さくな人気者、高飛車な高嶺の花、ブラコン実妹…等々と全体的に同タイプの枠で固まっており
シリーズものでたまに見かける、基本要素は被せつつもまた違った方向へ展開させていく様式の続編であるといえるだろう。
選評者は前作の選評も書いておりやはり前作の内容あっての読み進めとなり、
この選評においても前作と比べるような書き方になってしまったため、前作の選評で書いたことをここで改めて記しておく。

  • 孤独を癒したい男女が同じ屋根の下、エロ厳禁で健全なイチャイチャ時間を過ごすシステム…トメフレにまつわる物語なのだが
その前提故に皆してトメフレ生活の破綻に怯えてしまってお互い関係を一歩先へと踏み出すことができず、
幾度となくきわどい場面があろうとも毎回ストップがかかってと、最初のHに至るまでの日常パートがかなりの分量となっている。
※ただしその分個性豊かなヒロイン達の魅力をたっぷりと描けており、非エロギャルゲとしてみれば非常に良い出来である。

  • それでもエロゲ、最終的にはHに到達するのだがここで問題となるのが主要キャラ全員極度の寂しがり屋であること、
長いこと積み重ねてきたトメフレ達とのつながりが強固であったが故に皆して重度の共依存状態に陥っており、
誰か一人を選んで結ばれるという普通の恋愛はもはやできず、誰も捨てられないハーレムにしかできないという結論に至る。
そして泊め主の主人公優位だった男女関係はさらに過激化してハーレムの王様と性奴隷の主従関係へと行きつき終了。
 それはそれで一つの結末、ある意味圧巻なのではあるが、物語的に大部分を占めていた長い長い日常パートで積み上がった
各ヒロインの5者5様の個性が瞬く間に似たり寄ったりなことを言って寵愛を求めるばかりの性奴隷.botに陥落する様は
少なくとも日常パートを素直に楽しみ、各ヒロインに愛着を持つような読み手にはなかなか見るに堪えないものがある。

  • そういう部分を無視あるいはHシーンとは別物と考える見方もあるにはあるが、それならそれで導入までが長すぎるし
途中から一対複数のハーレムHがメインになっていく都合上、後になるほど一回のシーンが量質共に薄味になっていくのも問題。
トメフレ生活とハーレムもの、二つのコンセプトは単体としては達成できていて明白にクソ!とも言い切れない出来なのだが
一つの作品内でその二つが絶望的なまでに噛み合っておらず、人によっては猛烈な違和感&嫌悪感を覚える仕上がりであった。

1.ストーリー(公式サイトより抜粋)

トメフレとは。

それは、悩みを抱える家出少女を男子が
見返りもなく無料で『泊め(トメ)』てあげるという、学生同士の新しい『友達(フレ)』の関係
主人公『高峰ゆうじ』はトメフレ募集サイトのチャットルームで自分を慰める日々を送っていた。
学園では孤立している彼だが、広い家で一人暮らしなのでトメフレ希望の女子たちにはモテモテなのだ!
陰キャ故にお泊りまで少々時間がかかったものの、ゆうじがようやくトメフレ女子たちを招いてみるとー

そこに現れたのはクラスメイトの美少女たちだった!?
個性豊かな美少女たちを家に泊めながら孤独を癒し、癒される健全な『トメフレ』。
ゆる~い関係はいつまで続くのやら……

2.主要キャラクター解説
  • 高峰ゆうじ
本作主人公。陰キャぼっちな学園生活を送っているが、実はルックスから学力まで全方面でハイスペック。
その優れた才能のため、かつて芸能界で活動していた母親のプロデュースで天才子役として活躍していた過去を持つ。
しかしその目的は再び芸能界に返り咲くための足掛かりでしかなく、実質道具扱いされていて幼少期は妹と二人ぼっち。
兄妹で過剰なスキンシップで寂しさを紛らわしながらもなんとか日々を切り抜けていたが、思春期を過ぎて
このままでは実の妹と一線を越えかねない状況に耐え切れなくなり実家を飛び出して一人暮らし中。
元々変態オタクの陰キャな素質があったうえに周囲の大人の顔色をうかがってばかりだったこともあり自尊心が極めて低い。
人から拒絶されることを病的なまでに恐れ、相手から拒絶され別れるリスクのある普通の恋愛はできない人間だと自認しており
そうした要素もなく、誰も捨てられることもなしに異性の仲間とゆるく繋がり続けられるトメフレのシステムに流れ着いた。

  • 神楽坂早苗
可愛らしいルックスでコミュ力にも長けたクラスのアイドルで同級生達からは一緒に遊び行こうといつも誘われてばかり。
しかし明るくおしゃれな様子とは裏腹に貧乏暮らしで親からはネグレクト気味な家庭環境、
高校デビュー以前は居場所を求めて一人ゲーセンに通うような子供だったし、今では生活のためにはバイトも必至。
そうしたことは表に出さず「皆の人気者」としての周囲からのイメージに合わせて振舞うことに息苦しさも感じており、
ルックス目当てな周りのミーハーな連中とはどうしても距離を感じてしまっている。
孤独に耐え切れなくても気楽に駆け込め、気の許せる仲間達とずっと過ごしていられるトメフレに居心地の良さを感じている。

  • 藤堂麗香
現役JK兼プロのアイドル声優であり人気者というよりかは皆から憧れるクラスの高嶺の花的存在。
孤高の女王様オーラと多忙なスケジュールも相まってある意味ゆうじとは違った方向性でクラスでは孤立している。
プライドが高く大人びているが、親元離れての一人暮らしや過酷な職場環境によるストレスは相当なもので
ネトゲやSNSに入り浸ることもしばしば、自分のもろさも自覚しており癒しの手段としてトメフレを求める。
周りが羽目を外したときについ悪乗りしてしまうことも多々あるが基本的には面倒見のいいお姉さん肌。
ゆうじと同じく芸能系の場で働く経験もあってか一歩引いた大人なフォローに入ったり、
トメフレの行く末を案じたりもする一幕もあったりするのだが…ある意味最大の被害者。

  • 竜ヶ崎雛乃
容姿端麗でしぐさは上品、学業も優秀といういかにもな大和撫子系なお嬢様タイプの同級生。
事実名家の生まれであり幼いころから厳しすぎるくらいの躾を受けてきたどころか
親の事業の都合だけで一方的に年の離れた婚約者まであてがわれているというほど。
家・親に拘束される負担やあらゆる娯楽を禁止され続けた反動もあり
自由に振舞えるトメフレ仲間たちとの付き合いにおいては遊びから性的なことまで自分の欲望を包み隠さずがっついてしまう。

  • セラ
クラスの同級生ではないがトメフレの集まりに興味を示していつの間にか仲間入りしてきた外国人留学生。
彼女に関してはガチの家出少女であり、その言動は天真爛漫、スキンシップもべったりで性的おねだりもノリノリ、
おまけにぷち家出少女の一時避難場所という名目もそっちのけでゆうじ宅へ居つこうとする困ったさんであるが、
学校に行ったことがない、実家では人並みに扱われていない等々の不穏な背景も時折見え隠れしており
一見無邪気に振舞ってはいるが非常に寂しがりやで孤立してしまうことを恐れている面もある。

  • 高峰ななこ
ゆうじの実妹。兄が子役として活動していた時期においては、自身の復帰に向けての活動優先で家庭放棄していた母親にかわって
兄の身の回りの世話役を命じられていた。それにはゆうじが家を離れないようにすべく母親が仕掛けた枷という面もあったが
親に見捨てられた彼女とっては最愛の兄が全てであり、あえてその令に従いつかず離れずで常にゆうじと一緒に行動していた。
なので本心では母親のことは蛇蝎のごとく忌み嫌っている、そしてゆうじ以外の男性は一切眼中にない超重度のブラコン。
母親は兄の方が才能は上というが彼女も充分過ぎるほどハイスペックであり家事は完璧で人心掌握術も人並外れている。
開幕時点ではゆうじと別居していたのだがトメフレの集まりをかぎつけて自然と合流、
お互い癒し合うためにも遠慮なくイチャイチャしようと皆に提案するのだが…だいたいこいつのせい。

3.シナリオ概要
 冒頭の前置きで触れたように、物語の基本的な構成、すなわち
陰キャぼっちな主人公がトメフレを始めてヒロインたちとのゆるいイチャイチャ共同生活をスタート、
…そして最終的には性奴隷ハーレムに行きつく、という運命はやはり本作においても共通だった。
しかし日常パートが猛烈に長い反面ハーレム陥落後が急転直下だった前作とはウエイトが大いに異なる。
具体的には初Hまでが大幅に短縮されており、大まかに経緯をまとめるとこんな具合である。

  • 主人公、ゆうじは学園では冴えないぼっち生活を送っているが、広い家で一人暮らし中のためトメフレ的には超優良物件、
断られると怖いのでまずは希望の女子5人組と応募サイトのチャットルームで事前交流を挟み…と、紆余曲折もあったが
ともかく女子達を招いて初顔合わせ。一人は用事で欠席だったが4人のトメフレとも気が合って皆平和に楽しい時間を過ごす。

  • トメフレのルール上連泊は禁止なので一旦別れて普段の生活に戻る。久々に楽しい時間を過ごしてリフレッシュできたかに思えたが
ものの数日と経たずにまた皆と過ごしたくて仕方なくなる。しかし自分からすぐにまた誘うのは恥ずかしいと一人悶々。
女子側も同じような状況でお互い躊躇していたのを見かねて 初回では欠席していた妹のななこがゆうじたちの下へ駆けつける。
自身の境遇や兄とスキンシップを見せつけつつ、癒しを得るなら皆でイチャイチャするのが一番と二回目のお泊りを提案。

  • カラオケデートを挟んで今度はトメフレが自宅に全員集合。
いよいよトメフレ生活も始動、本格的に癒され合おうと早速入浴中の浴室にアタックし混浴まで仕掛けてきたななこに対し
「トメフレの集まりに接近して来たのは俺を連れ戻したい母の差し金だったのではないか」と問い詰めるゆうじだったが、
「一緒に過ごしたくて来たのは本心、どんなに思いを募らせようと恋愛対象になり得ない妹の分際であっても
トメフレの一員としての立場だったら一緒になれるかもしれなくて、それしかなかった」と想いを語られてKO、
ゆうじもまた重度のシスコンであり、結局ななこを拒むことはできずにそのままで浴室でひっそりと初Hになだれ込む。

 といった具合でこれでもかというほどエロまで引っ張りまくった前作とは対照的に
極めて早いタイミングでの初体験(それも厳密にはトメフレ生活が始まる前段階での妹ヒロインとのH)となる。
無論その後はヒロイン五人との共同生活が始まるのではあるが、他ヒロインが落ちるまでのペースもやたら早く、

  • 雛乃については初H後一旦学園内での日常パートを挟んだその日の夜にはゆうじ宅に駆け込み
家の縛り、婚約者の件を打ち明けてどうか慰めてほしいとハーレム一員志願。
  • その次にゲーセンでのデートイベントが続くのだがその帰りには諸々のやり取りを挟んで早苗も志願、受け入れ。
  • その先しばらくの間セラと麗香は未加入の三人ハーレムの状態が続いたようだがその部分は容赦なく全てカット、
+ ...
そして残り二人も勧誘する場面へとキンクリし、落ちた過程もだいぶすっ飛ばして二人まとめて加入しハーレム完成。
  • その後は自宅内、学園内で数回ずつハーレムHを畳みかけ、〆は前作と同じく夏休みの海旅行で水着H。
→エピローグでは少しだけ時間が飛び、全員仲良く揃って妊娠して終了。俺たちにとってはこれがハッピーエンド!である。

4.日常カット、ハーレム増量方針の結果
 このように本作では前作の大筋はなぞりつつもその過程はかなり変えてきているというのは間違いない。
言うなれば前作において水と油だったイチャラブ要素とハーレム要素のうち、
やけに長くなってしまっていたトメフレ間でのイチャラブ部分を無難なボリュームに削減修正、
ハーレム部分をメインとしてより重きを置いたような構図となっているがその割には旨味があまりない。

  • なんといっても一番の難点は前作最大にして唯一無二の強みだったヒロインの描写がだいぶ削がれてしまった点であろう。
前項でざっくり触れたように前作ではトメフレ生活の下で肉体関係に発展しないまま清く正しく?多くの日常イベントを
送っていく中でヒロインの個性を掘り下げていけたのだが、今作の場合はそうしたイベントが前作ほど多くはないうえに
共同生活のスタートラインの時点でいきなり妹と結ばれているし、他のヒロインも早々にハーレム入りしていく。
既に性奴隷と化したヒロインを交えての日常・イベント描写というのも前作ではあまりなかった長所といえなくもないが
ハーレム一員モードでの言動は皆似たり寄ったりになりがち、土台となる平常時のやり取りが充分に描かれていないままでは
どうしても各ヒロインの個性も薄れがちになるというものである。

  • ではそうした削減を断行してでも重視されたハーレム要素がきちんと強化されたのかといえばそうとは言えそうにない。
だいぶ展開が早くなりわりと早い段階でH中心に移行していくといってもそこに至るまでの導入部分の分量はそれなり。
選評者はフルボイス聴きながらのプレイだったが初Hに突入したのはプレイ時間約9時間頃だった(参考まで前作では17時間)
ボイスを飛ばし飛ばしでよりスピーディに進められるにしても始めてすぐ手軽にエロシーンを拝めるというものでもない。
また全体的に前作よりキツイ境遇のヒロインが多いのだが、やはり今回もそうした家庭の事情にはノータッチで徹底しているので
読み手によってはそのところが引っかかり、精神的な意味でもお手軽ハーレムゲーとしてうまく機能しないとも言えそうである。
 しかもハーレム完成後になるとロクに前戯も入れずにハイペースでとっかえひっかえ射精していく悪しき流れは健在、
例によって終盤では大してクリックもしないうちにイっては次の性奴隷へと向かっていく激薄Hのラッシュが続いていく。
エロのボリューム・クオリティが強化されたわけでもなく、後半の巻きっぷりに泣かされた前作から一切進歩なしなのである。
そもそもが話、強引に性奴隷ハーレムに落とし込むのを諦めて申し訳程度でも個別ルートも添えてみるだとか、
そういうやり方はできなかったのだろうか…

 結局のところ、前作の強みだったトメフレ生活でのヒロイン描写をばっさり切り捨てた一方で
どちらかというとマイナス側だった結局性奴隷ハーレム一本道展開の難点はまるで改善されておらず、
むしろ強引に推した結果としてむしろ内容が薄くなってしまったばかりでしかなかったと言えようか。
 前作既プレイ組としての選評者個人的な感覚としては、前作のこともあり性奴隷化エンドは覚悟できていたし
それほど描写もない内にハイペースで陥落していくので前作ほどはショックも受けずに済んだのはある意味良かったのだが
絶賛できた点が大幅に損なわれ、クソさこそ下がったが作品としての評価はそれ以上にガタ落ちした感じでもというべきか。

5.その他残念な点として
●主人公兄妹関連の偏重とそのあおりを受ける他ヒロイン

 前項の内容の繰り返しにもなってしまうが、本作ではハーレム路線をゴリ押しした結果として
キャラの魅力や物語としての面白さを損ねてしまっているきらいがある。
そしてそれが最も如実に現れているのが妹ヒロインのななこに関する描写であろう。

 シナリオ概要でも少し言葉多めに触れさせてもらったように
妹ヒロインのななこは兄が妹に手を出すハードルを下げるためにハーレムの沼へと誘い込んだような節がある。
実はこれ自体は前作においても妹ヒロインが全く同じことを目論んでいたのであるが、本作と前作では決定的な違いがある。
前作での妹はそうした狙いを露骨には表に出さず、水が低きに流れるがごとく皆がハーレムに進むようにそれとなく誘導、
初Hにしても共同生活を続けて悶々とした気持ちが臨界点を突破した末での出来事だったし
ハーレムを作ろうという発想にしても一線を越えた主人公とヒロインとの間で自然発生的に生まれたものだった。

 その一方で本作はどうかといえば、これでもかというほど妹のダイレクトなアプローチ一色である。
初Hは共同生活が始まる前時点で妹のおねだりに負けてのもの、ハーレム計画もその初回H中に主人公に勧めたのがはじまり、
+ ...
その後残りのヒロインも主人公にHを求めていくことになるが、それにしても先に他の娘が手を出したなら私も…
と、一番乗りしたななこに触発されたことによる面が少なからずあったりする。
それ以外でも嫌われることを恐れて主体的に動けない主人公に変わって会話を進めて集まりの手はずを整える場面もある始末。
そういった具合で物語大筋の進行の大部分がななこ中心であり主人公兄妹さえいれば成り立ってしまうような構成、
他ヒロインについては別に誰でもよかったんじゃないかと思えてしまったくらいに大した役割を持てていないのである。

 ただでさえ作中でで語られる出来事も減少しているのに物語の転換点、一大イベントの担当は妹がほぼ総取り、
個人の事情に深く立ち入りないスタンスもあってヒロインのバックボーンがそう深くは語られないなかでも
主人公の兄妹の過去絡みについては少ないながらも一通りの回想と説明が揃っていてと大した集中っぷりである。

 特に麗香はそんな偏りのとばっちりで残念なことになっていた感が強かったので例として取り上げてみると。
  • 過酷な状況の他ヒロイン達は最初期からあわよくばゆうじに拾って貰えたらという願望も内心抱いていたのに対し
彼女としては異性にちやほやされるより同性の友だちとべったりイチャイチャしてみたかった。→百合展開など訪れない。
+ ...

  • 声優の仕事柄で様々な大人と接することも多く、場を掌握するななこの言動に老獪な悪い大人に通ずる不気味な何かを感じ
ゆうじにも警戒、妹をどうにかするようにするように呼び掛ける。
→しかしその会話があったその日のうちにゆうじは選択肢すら出ずに奈々子に完敗、
前作では少しでもHな展開になりそうになったら横やりが入ったものだったし
居間と浴室で普通に音が漏れ出そうなものだがなぜか誰一人として気付かずにひっそり初Hを完遂する。
+ ...

  • 芸能界で働く者同士だが彼女の演じた役の大ファンなゆうじにとっては憧れの存在であり、対等、上からの接し方だったはずが
ハーレム入りの場面ではあっさり周りの陥落済みのヒロインたちの誘いに乗ってすんなり股を開いて絶対服従モードに突入
気が付いたらゆうじへの評も「あなた様の方が格上で自分なんかでは敵いっこないと初めからわかっていた」ことになっている。
 …等々、なんというか、ゲームで強キャラが操作不能のイベント戦闘で強制的に倒されるような不条理感を感じさせてくれる…

●トメフレならではの要素の形骸化
 前作での日常パート内ではトメフレというルールの下で外部にはトメフレ同士の関係を周囲には伏せたり、
Hなこと禁止の範囲内でグイグイ攻めてみたり、深入りしそうなところを自制したりというような駆け引きの描写が多々あった。
かたや本作では開幕時点で全員かなり評価高目なうえにより追い詰められている境遇のキャラが多くその手のやり取りは形骸化、
最初の内は形式的にそわそわする場面もあったが、早い段階で皆してルールなんてどうでもいいやと羽目を外し始める印象。
軸編ということでスタイルをけてそういう展開をメインにするのは決して悪くはないとは思っている
だからといって、よくよく考えてみるとそれではトメフレを題材にしている意味がないような気がしないでもないような…?

●出番が減るネタ要員
 一応本作もまたギャグテイスト強めの作風であり相変わらずテキストには草や安易なパロネタが頻出している。
そんな賑やかし要素として他にもステレオタイプなチャラ男・キモオタ・ミーハー女子等々の妙にアクの強いモブがいるが
本作では日常場面が大幅カットされているため彼らの出番も激減、主人公とヒロイン5人組の絡みが圧倒的多数を占める。
前作では、特に序盤でやたら登場し異様な存在感を放っていた仰々しいオッサンボイスとビカビカフォントによる
「説明しよう!」のくだりもないわけではないがすっかり見かけなくなっている。
あってもなくても大して変わらないそれほど重要でもない要素ではあるが、良くも悪くも前作を彩っていた
賑やかし要素が減るのはどこか寂しいもの、こんなところでも個性の薄れを感じさせる。
…かと思えば本作では立ち絵鑑賞モードでヒロインたちの立ち絵やカットインと並んで
「説明しよう!」フォントまでついでに表示、鑑賞できる謎仕様となっている不思議…
+ ...

●無視しききれない粗、ツッコミどころ等々
とりあえず気になる人は気になるであろう目立ったやらかしとしてはこんなところ

  • 主人公の元天才子役設定
 本作の根幹をなす最重要設定。主人公としては根は陰キャなのに表立って活動していたのを
心無い輩に知られてその没落っぷりをネタにいじられたらたまらない、と意図的に隠していた消したい過去。
冒頭では完全に伏せられていたものの物語の途中で仲間たちに打ち明けるのだが、同級生ヒロインたち曰く、
結構有名で実力もあった凄い人と一緒のクラスになれて驚いたけど、金と名声目当てのミーハーみたいで話しかけづらかった。
とモロバレだった様子。だがその割にはミーハーそのものであるモブクラスメイト達は誰一人として気付いている様子はなく
普通に陰キャのぼっちとしていじっているし、後付けで沸いて出た感が漂う。

  • 麗香の役柄
 現役JKにして美貌のアイドル声優、その肩書で主人公含めあらゆる男子から憧れのまなざしを向けられる麗香だったが
作中で明かされる彼女主演の人気キャラというのはことごとく放送コードギリギリな過激派お色気アニメのエロ担当枠。
デビュー作からして問題作、彼女自身そういう役しか来ない、爆乳JKブランドじゃなくて演技を評価しろと嘆いている惨状、
プロ意識を発揮して生演技を見せると盛大にコケたりと日常パートでのコメディリリーフ的な意味ではいい仕事をしているが
そんな役どころばかりで一目置かれる高嶺の花扱いは流石にシュールでありこちらも後付けで沸いて出た感満載である。
+ ...

  • 孕ませエンド
 今作のゴールも前作と同じくヒロイン5人全員揃って妊娠エンド。
こうなることはわりと早い段階に地の文でも予告されており予定調和なのだが一つ大きな食い違いがあり
「皆お腹が膨れて~」などと言いつつ実際には妊娠発覚直後、陽性の妊娠検査薬を手に大喜びで報告に来る様子を映すばかり
前作ではボテ腹学生服を匂わせつつ全裸だったりお腹が見えなかったりしてアレだったが、もはやそれ以前の問題である。
+ ...

6.まとめ
 帯に短しタスキに長しとは言うが前作を帯にしても長すぎる裁断前の絹の生地とすれば
今作はタスキに使うには短すぎる布切れみたいな印象だったとでもいうべきか…
噛み合わないという点でいえば同じだが素材の量・質ともにどうにも劣る。

 前作は褒めるべき魅力と看過できない問題点があまりに両極端。総合的に見てクソなのか否かの判断に悩まされたが
ともかくじっくり読み終えた後のインパクトは絶大、良くも悪くも語るところの「有る」作品だった。
それに対して続編たる本作はあらゆる面で悪い意味に無難に収まり前作よりも出来は悪いとは断言はできるのだが
これはクソだ!と言えるほどに悪いかどうかの判断で悩まされる、悪い意味で語るところの「無い」作品だったといえよう。
  • せっかくの色々な要素に余計なことをして活かし切れず、薄い内容になってしまったなんとも残念な作品
純粋に単品として評価するのであれば概ねそんなところに落ち着くのかなとは思っている。

 だが、少なくとも「あそこは改善されているといいな」と期待しつつも「どうせああなるんだろうな」とも諦めつつも臨んだ
前作既プレイの選評者を呆れさせるには十分な出来だったのは間違いない。再検証と執筆時間を無駄にするのも癪というもの、
ここはひとつ、たまに聞く苦言、「期待は裏切り、予想は裏切らない」を地で行く見本の一つとしてでもせっかくなので…
最終更新:2022年02月02日 21:42