ゆまほろめ 時を停めた館で明日を探す迷子たち 選評

ブランド Lump of Sugar
ジャンル 明日へ歩き出すためのADV
原画 萌木原ふみたけ
企画・シナリオ 中島大河
サブ原画&SD原画 流かさね
発売日 2022/6/24
価格 初回版:9,800円(税別)
豪華版:15,800円(税別)


選評

【2022】クソゲーオブザイヤーinエロゲー板 避難所 1本目
https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58331/1647683806/
707:ゆまほろめ ◆DtBkl8z6Jc:2022/11/08(火) 23:15:32 ID:ZPmO77qY
タイトル:ゆまほろめ 時を停めた館で明日を探す迷子たち
ブランド:Lump of Sugar
発売日:2022年6月24日
価格:初回版・10,780円(税抜価格 9,800円)
   豪華版・17,380円(税抜価格15,800円)


KOTYも回を重ね、さまざまなパターンのクソが取り上げられてきました。
実績あるクソ要素の積み重ねで勝負する者や、我々の想像すら及ばない新たなクソ要素を持ち出す者など
数多のクソどもがあの手この手で挑みかかってきました。

それは裏を返せば「これをやるとユーザーの逆鱗に触れる」というタブーの一覧と見ることができます。
ここさえ押さえておけば最低限クソ扱いはされないものをリリースできる、そんな使い方をしたのかどうかは
もちろん定かではありませんが、そんな気配漂うのが本作『ゆまほろめ』です。


▼クソ要素
①ボリュームをかさ増しするだけの冗長なシナリオ
②話をぶった切ってのHシーン連打
③モヤモヤ感を引っ張るわりに意外性のないオチ


▼本作の概要

■あらすじ

見知らぬ屋敷の部屋で突然目が覚めた主人公。
自分が何者か、どう育ったかは覚えているものの、そこで目覚めた理由や経緯は思い出せない。
何故か先に部屋にいた訳知り顔のミーナに要領を得ない説明をされるだけでは埒が明かないため、屋敷の探索に出かける主人公。
そして出会う、主人公同様の状況に戸惑う幼馴染の3人の少女、純麗、鈴、奏子。
果たして彼らは屋敷を脱出することはできるのだろうか?


■主な登場人物

主人公:特撮ヒーロー大好き、スーツアクターに憧れている、けれど死に設定
ミーナ:幼女、犬耳、遊んで遊んでしか言わない
純麗:ヒステリックにここから出せしか言わない
鈴:乳がデカい、無駄に気弱
奏子:飄々としたサバサバ系、一番話が通じそうだけどやる気なし



▼具体的なクソっぷりについて

①ボリュームをかさ増しするだけの冗長なシナリオ
シナリオの内容を分解すると、探索とHシーンとメインストーリーが7:2:1くらい(筆者体感)になります。
基本的には延々と探索です。
テキストボリューム的にそれなりにリソースを割いてはいますが、驚くほどに進展がありません。

探索をしよう!
 ↓
何の成果も!!得られませんでした!!
 ↓
気を取り直して探索をしよう!
 ↓
何の成果も!!得られませんでした!!

冗談でもなく、マジでこの流れが延々繰り返されます。
欲しい成果が得られないにもかかわらず、何の工夫も変化もなく、ただアホのように毎日探索を繰り返す様子は大変にストレスフルです。
途中で「そうだ、班分けして探索をすれば効率が上がるぞ!」と画期的な気づきを得たりしますが、お察しの通りです。
探索前後の集合タイムに全員での情報共有的な時間も、そのたびに純麗がヒステリックに「出口を教えなさいよ!」とミーナに
喚き散らし、鈴がおどおどし、奏子が我関せずで眺めている様を繰り返すだけなので、実質死にパートでした。

設定として、ここは主人公たちの夢の中で現実での時間は経過せず、いくらでもいられる精神と時の部屋状態です。
主人公たちの意志の力で行きたい施設への扉を出現させたり、室内とは思えない外の世界(がクソリアルに投影されている部屋)に
飛べたりするのですが、上手く使われている印象はないです。
その部屋で起こるイベントをクリアして脱出用アイテムを入手するとかだったら、何となくデスゲーム感が出て
劣化版euphoriaとかになれた可能性が万分の一くらいはあったかもしれません。

ただし、テキスト量だけ見れば一定以上はあると感じられ、これだけあればセーフだろうという姑息なクソ回避の意図が透けて見えます。

②話をぶった切ってのHシーン連打
各ヒロインルートの構成が下記のようになります。

この館から脱出しよう!
 ↓
ヒロインと同じ班で探索しよう!
 ↓
Hシーン!Hシーン!Hシーン!
 ↓
頑張れよ勇気出せよお前ならできる!
 ↓
脱出!

脱出するのはいいのですが、繰り返される探索と進捗のない日々に辟易としていたところにHシーン連発されても、
今欲しいのはそれではないとしか思えませんでした。
ただでさえ乏しい話の展開が、この怒涛のHシーン週間に突入すると本当にゼロになりますので、
「で、お前ら脱出するの?しないの?どうすんの?」と尋ねたくもなります。
冗長さに確実にとどめを刺しました。
先述の「クソリアルに外の世界が投影されている部屋」が、ここでシチュエーションプレイ用に便利に使われていましたが、なんの慰めにもなりません。

ただし、Hシーン数さえ見れば一定以上はあると感じられ、これだけあればセーフだろうという姑息なクソ回避の意図が透けて見えます。


③モヤモヤ感を引っ張るわりに意外性のないオチ
起承転結ってあるじゃないですか。
よく練られたストーリーは「起」の中にさらに細かな起承転結があったり、複数の軸で起承転結を展開したりで、
大変に奥深い物語体験を提供してくれます。
本作の冗長さの一因を担っているのがこの起承転結、話のメリハリのなさです。
最大限簡略化して本作の起承転結をまとめると下記のようになります。

起:なんか変な館に迷い込んだが?
承:とりあえず探索しよう
転:ヒロインとエロいことしてやったぜ!
結:出れた!

たったこれだけの展開をフルプライス相当までかさ増ししてやろうってんですから、そりゃスカスカにもなります。
そして「起」で投げかけられた謎に対する真相は、ほぼ「結」のみで処理します。
繰り返しますが、何の進展もない「承」と「転」の苦痛、ご理解いただけるでしょうか?
というか、そもそもなんも動いてないのですから「承」「転」ということすらおこがましいのですけれども。

またこの「結」部分、非常にチープです。
まずミーナ以外のヒロイン。
どのキャラも彼女らなりの悩みを抱えていますが、最終的には主人公の一喝ですべて解決します。
「頑張れよ勇気出せよお前ならできる!」はそこまで大げさな話ではないです。
そしてメインヒロインのミーナですが、大風呂敷畳んだ感出しているものの、結局真相はだいたいのユーザーの予想通りでしょう。
むしろ、途中でさんざん匂わせてくるので、それ自体ミスリードでなにか仕掛けてくるのかと期待していたくらいでした。
これだけ引っ張ってそんだけかい!と言いたくもなります。

ただし、見ようによっては序盤の伏線を回収した!とも感じられ、これだけあればセーフだろうという姑息なクソ回避の意図が透けて見えます。


▼まとめ
プロット量的にフルプライスの分量ではないです、間違いなく。
それを無理やりボリューム感演出するために、探索という名の激薄カルピス作戦を敢行してきました。
考えようによってはこれでも有情だったのかもしれません。
だって、やろうと思えばこれ以上に探索期間を引き伸ばすことだって可能だったわけです。
この3倍くらいの探索期間が設定され「謎の館で過ごす不思議な日常!」とかやられたら発狂していた自信があります。
そう考えると実に恐ろしいクソでした。

報告以上になります。
プレイしたのが結構前で、間違ってももう一度起動はしたくないため、適切でない部分や抜け漏れがあることが予想されます。
もしお気づきの点などあれば、修正・補足いただけると幸いです。
最終更新:2022年12月05日 00:17