AMBITIOUS MISSION 選評

ブランド SAGA PLANETS
ジャンル 謎解き怪盗アドベンチャー
原案 さかき傘
ディレクター KURO
シナリオ さかき傘
原画 ほんたにかなえ、とらのすけ、有末つかさ、羽咲せいか、夏彦
SD原画 ぴこぴこぐらむ
発売日 2022/5/27
価格 9,800円(税別)


選評

【2022】クソゲーオブザイヤーinエロゲー板 避難所 2本目
https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58331/1670587996/
371:AMBITIOUS MISSION 選評 ◆60hNrfskT2:2023/01/28(土) 21:11:47 ID:ZzAt4IHY
〇概要

タイトル:「AMBITIOUS MISSION」
ブランド:SAGA PLANETS
発売日:2022年5月27日(金)
販売価格:10,780円(税込)
ジャンル:謎解き怪盗アドベンチャー

企画:SAGA PLANETS
原案:さかき傘
ディレクター:KURO
シナリオ:さかき傘
原画:ほんたにかなえ、とらのすけ、有末つかさ、羽咲せいか、夏彦
SD原画:ぴこぴこぐらむ


〇あらすじ
沙幌市――。
その街にはひとつの言い伝えがあった。
『アンビシャス』と呼ばれるその12の星全てを手にした者は、あらゆる野心を叶えられるという……。
そしてそれを追い求めるものが一人、今宵も沙幌の街に姿を現す――。

『         予告状
   今宵、この街の綺麗な星空をちょうだいします
                 怪盗ミスアルテ 』

怪盗ミスアルテの犯行現場に、たまたま居合わせた主人公『根津御影』。
ひょんなことからその正体を、クラスのお嬢様『有瀬かぐや』だと見抜いてしまう。

「周りの人にバレてしまう可能性は少しでも排除しないといけない。だから――
 盗んでみせるわ。私があなたのハートとため息をね」

正体がバレたくないかぐやは、
自らの野心を叶えるため作った怪盗部に御影を引き込もうとするが、なかなかうまくいかない。

そんな時、御影の生まれ育った『孤児院』が窮地に陥る。
そこに現れたミスアルテは、隠されていた『真実』を暴き、孤児院をいとも簡単に守ってみせた。
優雅に、そして華やかに。

「泥棒とはちがうっていうのか?」

「ええ、見る人のハートを盗み。そして、みんなのため息を盗む。それが怪盗よ」

御影のハートとため息は、ミスアルテに見事に奪われてしまったのだった。

「わかった。俺も手を貸そう。あんたの『野望』とやらに」

『怪盗ミスアルテ』と『怪盗ミッドナイト』
ふたりの怪盗が手を組んだその時、沙幌の夜に覆い隠された『真実』をめぐる舞台の幕が上がる――。

〇問題点

主人公が怪盗になるまでの経緯、体験版範囲まではほぼ違和感なく読み進められた。体験版の最後にダイジェスト予告が入っており、いかにもシナリオゲー感を醸し出していた。
製品版以降は本格的にどのような活躍を見せるのだろうかと期待していたのだが、怪盗パートがほぼギャグ路線となっており裏切られた気分になった。
それどころか、今作の世界観の出鱈目っぷりをこれでもかと見せつけられる羽目となった。

まず、メインヒロインの有瀬かぐや率いる怪盗部はジャンプブーツやマント型グライダーといったSF道具を使って盗みをこなしていく。
共通√での主人公の初陣前に盗みに使う道具のメカニズムの説明や、それらを用いた入念な特訓シーンがある。主人公とかぐや両名、他のメンバーも身体能力は現実の人間と大差は無い。
当然現実と同じように高い所から落ちれば怪我や死が訪れる危険性もある。作中でもしっかりとそのような説明がある。

特訓の最中に、忍者ヒロインである弥栄の怪盗パート初登場時(シルエットのみ)に怪盗と同じような道具を一切使わずに生身で20m以上も跳ぶ異常な跳躍力を見せる。
この辺りから本作の世界観の雲行きが怪しくなり初めていく。ここまではまだ何かの忍術の類なのだろうと思えたのだが、それ以上に世界観を根本的から破壊する存在が待ち構えていた。
そして本格的なクライムシーンが始まり、無事に盗みも決まって綺麗に終わるかと思いきや……チェイスシーンで探偵ヒロインであるシャル(攻略不可)が世界観を完全に無視した動きを見せる。
まず、グライダーが飛んでいる高さまでジャンプからのバタ足で空を飛んだり、ビルの壁を駆け上がって登って追ってくる……これだけでも世界観とかけ離れていて異常である。
そして20mものビルの高さから落ちれば受け身を取っても普通に即死だが、なんとバリツのおかげで全くの無傷。更に最大出力のスタンガンでも普通に耐えうる防御力も兼ね備えている。
一つ前の特訓シーンでの怪我や落下死の話は一体何だったのか。それどころか序盤の積み重ねを全否定する始末である。

+ ...

素直にバリツを普通の武術扱いにして、怪盗側と同じ道具を使って追いかけてくるという流れでは駄目なのだろうか?
ギャグ漫画的な世界観ならばあの描写は成立するかもしれないが、今作の場合は現実世界とほぼ同じ世界観なので当然違和感でしかない。以降の怪盗パートはこの調子で茶番と化す。
共通√の後半にて、この世界における石川五右衛門の歴史が長々と語られるが……肝心の忍術の原理とかの説明は全く無い。あの異常な跳躍力の説明すら一切ない。
世界観との接合性ももちろんそうだが、忍術に一種の制限があるという説明や描写はどこにもないため、ほぼ何の設定もなしで暴れ回るシャルと同じである。

+ ...

また、シャルは個別√でも怪盗パートだけにとどまらず日常パートでも度々異能を披露して、その度にどんどんインフレしていく。
何の困難も無く、何の伏線も無く、そして一切の制限も無い。で、強くなる一つの理由が十勝の豊かな自然に感化されたからだという。読み手を馬鹿にするのも大概にしろ。
悪名高き異世界なろう系ファンタジーによくあるチートキャラそのもの……いや下手したらそれ以下である。
シナリオの本筋には関わってはこないが、世界観に大きな歪みを生み出している。本作の一番の問題児、そしてストレス要因だと断言してもいいほどだ。

続いて個別、虹夢√は寄り道な感じで見栄えは少ないものの他のシナリオと比較してまともな部類であったが、他の二人はご都合主義感が色濃く浮き出てしまっている。
弥栄√は、ぶっちゃけ最初から最強みたいなもんなので障害は実質的に無いと言っていい。忍術スゴい系である。
√道中、孤児院に出没する熊の獣害対処の凡ミスで石川五右衛門から解任されてしまうが……苦悩していてもどうせ忍術は完璧だからこの先どうにかなるだろうと大体想像がついてしまう。
終盤に鉄塔の工事用の足場が崩れ落ちその中で人命救助を行うシーンでも、忍術が大体万能過ぎなのでカタルシスが感じられない。
そんなこんなで起きている問題は大体忍術で全部解決してしまう。なお、忍術の原理や仕組みなどは本編の最後でも語られることは無い。

12個の宝石が全て揃ってアンビシャスの力が明かされるかぐや√ 、怪盗パートは上記の通りそのままギャグ路線全開なので緊張感は無いに等しい。
最後の宝石だけは真面目にやっているが……ようやく全て揃ったとしても達成感は薄い。
そしてその力により過去の世界へ時間跳躍し交通事故で負うはずだった姉であるあてなのケガを防ぎ、それによってかぐや周りの人間関係が大きく変わってしまった世界へと移る。
改変後の世界が描かれるのだろうと期待していたのだが、代わりに怪盗となっていたあてながあっさりと解決してしまって肩透かしであった。
なお、その世界でもシャルはしゃりしゃりと出しゃばる。

+ ...

そしてグランド√(有瀬あてな)序盤、シャルが遂にスーパーサイヤ人ブルーもどきになる。てか、何がスーパーバリツ人ブルーだ? リアリティもクソもない。鳥山先生にケンカを売っているのか。
何よりも看過できないのがこの茶番劇から一転、まるで今本来の世界観を思い出したかのように唐突にモブの中年男性の鉄塔からの飛び降りを止める展開が始まる。
しかも、この展開自体がシナリオでの一つの大転換として扱われている。これまでの描写で落下死の概念がギャグ同然として扱われていたせいで不快感は計り知れない。
ここまで来れば極めてなにか生命に対する侮辱だと言えるようなものである。そしてようやくシャルの暴走はここで終わりを告げる。

本作はあてなのケガやリハビリ描写、シナリオの根幹にある仮想通貨などのリアリティ要素が存在する一方で、シャルのバリツや弥栄の忍術等のファンタジー要素が混在している。
当然ながらこれらの要素が?み合う可能性は万に一つもない。本作の最大の問題点は世界観の接合性、すなわちリアリティラインが崩壊していることである。
ぶっちゃけファンタジー要素はアンビシャスのみで十分である。忍術周りの設定でも20m近くジャンプする等の能力は不要である。バリツは絶対にいらない。
なお所々で明らかにコロナ禍と思われる描写もあり否応無しに現実に引き戻される感覚になる。ここまで現実での出来事にこだわる必要性は無いように思えるが。

最後、以降のグランド√の流れは悪役が世界中から巻き上げた仮想通貨で街を買い取ろうと目論むが、新たな怪盗(有瀬あてな)が現れて結局ご都合主義で阻止して解決。
怪盗衣装や道具は一体どこから手に入れたという疑問に対しては当然スルーである。そして、アンビシャスに代わる新しいお宝が見つかった! 俺達の戦いはこれからだ!エンドである。

Hシーンはメインキャラに3回ずつ、グランド√には1回のみ。合計シーン数は13。
シーン一回の尺は長いものの数が物足りないという感情が上回る。
3Pはメインキャラそれぞれに1回ずつ。3回目でのシーンでヒロイン単体と入れ替わる形である。
ぶっちゃけ有瀬姉妹以外はいらない。弥栄は親子丼。虹夢は先生キャラ。二つとも余り物の付け合わせみたいな感じである。

〇まとめ
前作のかけぬけでは複数ライターは危険だと批判されていたが、だからといって金恋などいくつかの作品で評価されているライターが安定である保証はどこにも存在しない。
アンミツも前作同様、序盤と終盤だけ良くてその道中がダメダメというパターンとなってしまっている。
今作は現実にも通じる要素はあるものの一部キャラ(特にシャル)の異能がこれでもかと目立ってしまい、世界観との矛盾が生じているためある意味かけぬけよりタチが悪いと言える。
お目当てのキャラのHシーン目当てでも、それにたどり着くまでに気力を削がれ続けられるためそれらの点でもアウト判定である。
作中でハートとため息を盗むとうたわれているが、すべてを終えた頃にはため息どころか息切れしてしまってハートすら失われている始末だった。

+ ...

そして、メインライターは過去作の部活設定に対して物申す資格は無い。
以上になります。

補足

394:AMBITIOUS MISSION 選評 ◆60hNrfskT2:2023/01/29(日) 16:03:31 ID:7d8TE2oQ
○追加画像

おかわり的な感じで。

  • 金恋要素ゴリ押し
+ ...
用意周到レベルで隙あらばしゃりしゃりねじ込んでくる。驚きが薄れるどころか鬱陶しさが上回る。
ちなみに怪盗道具もメイドインソルティレージュ。

  • 99もの事件の一部
+ ...
シャルが解決したという99もの事件の一部。
真面目に読み解くのが馬鹿馬鹿しいし、本家ホームズへのリスペクトの欠片すら無い。

  • もうなんなのこの世界観
+ ...
義姉キャラがギャグ補正を発動して瞬間移動する。バリツの扱いが軽すぎる。
ぶっちゃけもうバリツなんてどうでもよくね?
最終更新:2023年02月04日 23:38