ギャル姉妹 ~ハーレムタイムが止まらない!~ 選評

ブランド コンフィチュールソフト
ジャンル ADV
原画 秋野すばる
シナリオ 東人
発売日 2023/6/30
価格 3,800円(税別)


選評

【2023】 クソゲーオブザイヤーinエロゲー板 避難所 2本目
https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58331/1689050256/
33:ギャル姉妹 選評:2023/07/17(月) 23:53:28 ID:odSnsAx6
タイトル ギャル姉妹 ~ハーレムタイムが止まらない!~
発売日 2023年 6月30日(金)
定価 4,180円(税込本体価格)

あらすじ
『土下座から始まる、ギャル姉妹とのエッチな日々──』

邑野たすきは、ギャルが大大大好きだ。
クラスメイトのギャル、見守りおなに告白し、見事に振られたたすきは土下座しながら懇願した。
「だったら……せめて……一度だけでいいですから、セックスさせてください!」
「え、何それマジで言ってんの? ははは……それじゃ」
去っていくりおなに、ひとり土下座したまま動けなくなってしまったたすき。
そんなたすきに声をかけたのは、りおなの姉、カリスマギャルの見守あずさだった。
「キミ面白いね。私が『1回』 してあげましょうかぁ?」
この後、美しいギャル姉妹との夢のようなハーレム展開が待っているなんて、
たすきはまだ知る由もなかった。

キャラ

見守 あずさ
りおなの姉で、学園でいちばん有名なギャル。
周囲がカリスマのように扱うので、ひとりでいることが多い。
外見はギャルだが、頭が良く器用で、初めての料理もおいしく作る。
妹に告白したたすきで、後腐れなく性経験を積もうと処女をささげ、
りおなに悪い男がつく前に『性教育』 として、たすきを仕向ける。
たすきが健気に自分に接してくることと、上手なセックスをしてもらい、好意を持ちはじめる。

見守りおな
あずさの妹で、たすきとはクラスメイト。
誰にでも優しく、明るいギャル。
それ故にたすきに告白されてしまう。
ゲームが好きで、負けず嫌いなところもある。
オラオラ系の男が好みであることを心配したあずさの提案により、たすきと初めてセックスしてしまう。
たすきとセックスしているうちに、どちらも好きになってしまい、貪欲になっていく。

邑野 たすき(むらの たすき)
温厚で真面目な性格だが、ちょっぴり陰キャ系。
クラスでもあまり目立たない。
りおなに告白したことがきっかけで、姉のあずさとも知り合うことになり、
意外と絶倫だったこともあり、ギャル姉妹をメロメロにしてしまう。

問題点
昨今のエロゲーの大半を占める低価格抜きゲー、今作も例に漏れずその系列である。
基本的にこのタイプはシナリオに比重を置かない傾向にあるが、それも度を過ぎればやっつけ仕事の駄作と成り果てる。
本作の問題点はまさにこれだ。
あらすじを見れば分かるが、今作はいわゆる「オタクに優しいギャル」というジャンルになる。
これ自体はここ最近人気のジャンルであり、題材としては無難だろう。
しかし、褒められるのは美麗なキャラビジュアルくらいである。中身自体が非常に薄っぺらいし、「ギャル」属性に対するこだわりも全く感じられない。

例えば、ヒロインの姉の方は主人公に対してまさかの敬語である。勝ち気な表情、常に制服を着崩している格好、学園では主人公の先輩、という立場でありながらなぜ敬語キャラになるのか理解できない。
清楚系ギャルと公式では紹介しているが、立ち振る舞いがギャルと言うより生徒会長或いは学園トップの優等生のそれになってしまっている。100歩譲って敬語キャラを受け入れたとしてもそれ以外でギャルらしい描写は殆ど見られない。
妹の方は「あーし」、「そマ?」などを多用する陽キャギャルという立ち位置であり、こっちは狙いすぎな感じはするものの理解できる範囲には収まっている。
しかし、エロシーンで突如「東京リベンジャーズ」のパロディをぶち込んでくるなど変な方向に行きすぎて薄ら寒い場面が度々ある。
このようにプレイヤーが考えているギャル像と制作者の考えるギャル像にギャップが生じてしまっている。

↓東京リベンジャーズのパロ
+ ...

また、ストーリーの流れもはっきり言って適当すぎ。
主人公が告白する流れまでも相当強引だが、その後に土下座して「せめてやらせてくれ」と懇願するのは正直ドン引きである。
それに対してやんわりと断るだけの妹ヒロインは相当人間が出来た存在だと思う。
その後に姉ヒロインからセックスに誘われるわけだが、自分の妹に対して都合の良い穴になってくれと懇願した主人公を見たら普通はドン引きするところだろう。しかしこいつは、「今この機会を逃したらギャルと接する機会は無いだろうからせめて一度でも良いからセックスしたかった」と謎の言い訳をかます主人公に対し、「妹を軽く見てるわけでは無いのね。前から私もHに興味あったけど貴方なら大丈夫そうだからセックスしませんか?」と何故か太鼓判を押してしまう。
その後はひたすらセックスするわけだが、途中で「チャラ男にセックスの快楽漬けにされても困るからそうなる前に妹ともセックスしてほしい」と姉ヒロインが懇願する。
妹ヒロインは一度断っているわけだし、自分に告白しておきながら姉ヒロインと既に関係を持っている主人公を見たら普通はドン引きするところだろう。しかし、そうはならない。
「お姉ちゃんと関係を持っててビックリ」するだけである。その後はなし崩し的にセックス。姉ヒロインは「セックスの期間を設けてこの期間を過ぎたらもうセックスはしない」と宣言しておきながら。結局は「妹ちゃんに対する性教育は終わったけどこれからもHしよう」と何の理由も無く方針を翻す。
「オタクに優しいギャル」だから何でも主人公優先になっても問題ないよね!と制作者サイドが考えているで有ろうと言うことが容易に推察できる。
この作品全体に言えることは、ギャルとHすることのみを至上命題とし、それ以外の要素はほぼ全てカットされているのである。
日常描写がほぼ無く、ひたすらセックスが繰り返されるだけなので説得力が全くない。

姉ルートでは「最初はギャルが好きなだけだったけど接している内に姉さんが好きになりました!」、妹ルートでは「最初はギャルが好きなだけだったけど接している内に妹さんが好きになりました!」
と告白する主人公だが、こいつが作中でやっていることはひたすらセックスばかりなので恋愛描写には全く期待できないモノと思った方が良い。
ひたすらエロラッシュなのでシーンの数は多いが、肉付けが全くされていない「ギャルという記号が服を着た存在」とのセックスばかりである。
スタッフは「設定上ギャルとなっているヒロイン」を考えたところで仕事を終えてしまったのだろうか。

この中身の薄さに対しては最早些細な問題だが、「凜々しいてすね」のように濁点がなかったり、「処女っいうのはどうかなと思っていたんですよね」など、「てにをは」が欠落している誤字も散見される。

余談
FANZAの紹介ページでは
★☆★ボイスドラマデータ特典付き版あり★☆★

タイトル:カリスマギャルは戯れたい!
出演:あずさ cv.鶴巻ちとせ

  • あらすじ
本格的にモデルを始めたあずさ。カリスマギャルと持ち上げられて色々と忙しい。
あずさの仕事が忙しくて全然会えずに寂しい毎日を送るたすき。

ある休日、たすきの家にあすざが訪ねてくる。
「たすきくんは、こういうの興奮するっしょ」と、グラビア撮影で使った、
水着を着てのエッチを開始!?
久しぶりのエッチに興奮する2人は、最後には孕ませセックスまで……?!

※ゲームクリア後にお楽しみください。

と書いているが、ヒロインの名前を「あすざ」と誤字ったり、敬語キャラ故にギャル口調を本編では全く使用しないあずさに「興奮するっしょ」と喋らせてみたり、作品に対する情熱が全く感じられない。
まあこれはメーカーというよりもFANZAが悪いのかもしれないが。

まとめ
全体的に手抜き感が凄く、とりあえずオタクに優しいギャルという鉄板属性を導入すれば売り上げ確保できるだろうという魂胆が透けて見えた。
確かに今年度はこの作品に限らずこのような作品が多く、疲弊したエロゲ業界ではどこのメーカーでも質の高い作品を提供するのは年々難しくなっているのかもしれない。
しかし、このレベルの出来が標準になるくらいなら最早商業エロゲ業界は同人エロゲ業界に屈するしかないのでは?と考えさせられる一作であった。
最終更新:2023年10月22日 20:08