889:略奪された婚約者 選評 ◆D2NUIMg9q.:2024/02/01(木) 01:30:22 ID:/mrghZPA
タイトル:略奪された婚約者(フィアンセ) ~恋人・真澄(ますみ)と弟の秘密
ジャンル:アドベンチャー
原画 :綾風柳晶
シナリオ:中森南文里
発売日 :2023/11/24
定価 :2,800円(税別)
1.公式サイトの情報
(1) あらすじ
主人公、大垣悠人(おおがきゆうと)は地元を出てから数年後、
幼馴染である柏森真澄(かしわもりますみ)と再会してからつきあい始め、
後に婚約。現在は新居となる家で同棲を始めて幸せな生活を送っていた。
ある日、現在は地方に住んでいるために、
最近やや疎遠だった弟の大垣隼斗(おおがきはやと)から、上京してきたという連絡があった。
事情を聞くと勤務していた仕事先が倒産してしまったため、
ビジネスホテルに泊まりながら、こちらに仕事を探しに来ているということだった。
弟の力になってやりたいと思った悠人は、自分の家にしばらく泊まるように勧める。
弟は婚約者が同棲しているところに泊まるのは悪いと断るものの、
真澄は弟にとっても幼馴染なのだから気兼ねする必要はないと説得し、家に連れてゆく。
しかし予想に反して真澄は弟が泊まることに戸惑いがある様子だった。
だが事情を知った彼女な【原文ママ】その提案を受け入れ、弟も交えての生活が始まる。
悠人は昔、3人でよく遊んでいた時のことを思い出し、
これからも弟と仲良くやってゆきたいと思った。
しかし、悠人の知らないところで、隼斗と真澄がしていたこと――。
やがて悠人は衝撃的な形で知ることになるのであった。
(2) キャラクター
悠人の婚約者で幼馴染。
東京で再会した後、付き合い始める。
一年前に婚約し、今の家で同棲を始めた。
隼斗とも幼馴染であり、
小さい頃は3人でよく一緒に遊んでいた。
悠人の弟。
田舎を出た後は地方の大学に進学し、そのままその地で就職。
悠人達とはやや疎遠になっていた。
しかし、勤めていた会社が倒産し、
住むところがなくなったので、仕事を探そうと上京した時に再会、
悠人達の家にしばらく泊まることになる。
真澄の婚約者にして、隼斗の兄。
小さい頃は地元で、3人でよく遊んでいた。
その後一足先に大学進学のために東京に上京。
数年後に真澄と再会し、やがてつきあうようになり、
一年前に婚約をして将来住む予定の新居で同棲を開始する。
隼斗とは疎遠になりかけていたが、
彼が困っていることを聞くと力になりたいと思い、
家に泊まることを提案する。
問題点
プレイ前から、商品ページの誤字脱字や日本語表現の誤りなどがあり、いやがうえにも不安は募っていった。
そしてそれは残念ながら杞憂ではなかった。
①誤字脱字・日本語の誤用
ゲームを始めるとすぐ(3クリックくらい)、「DVDディスク」なる誤用が登場する。賢明な住人ならお分かりの通り、DVDはDigital Versatile Discの略なので重言となっている。あらすじで東京に上京とか書いていたことの伏線回収がすぐに行われている。
また誤字も酷く、「ご飯で来た」「プライベード」「おかえりさない」「y藁かくて」といった些末なものから、間男と婚約者が2人で「でかけた」と書くべきところ「できかけた」という致命的なものまで、多くの誤字をやらかしている。挙句の果てにはヒロインの名前を「香澄」と誤る部分まであり、ああ、粗製濫造だ…と悲しくなった。
他に、誤字脱字とは少し違うが、画面上のテキストではハートマークなのに、バックログでは星マークに置き換わってしまう不具合があり、大層な雰囲気ブレイカーであった。
②画面とテキストの不一致
本スレではお馴染みの問題点だが、目に余ったので。以下のようなものが見受けられた。
- 主人公と婚約者は正常位でしかセックスしてないのに「抱き合った」
- テキストでは外出し、画面はどう見ても中出し
- 間男がにこやかに眺める前でヒロインが一人キス顔をしている。テキストではキスシーン。
- テキストではイラマチオさせられて頬が出っ張っているいるはずが、画面では普通に竿を手で握り舐めている。
- テキストではフェラしながら股をいじっているはずが、画面では手を間男の太腿付近に置いている(要は普通の姿勢)。
- テキストでは竿を出し入れしていても、画面上では揺れるエフェクトが出るのみで挿入の程度に変化はない。
③致命的なシナリオ
本作のシナリオの致命的な点は、「ヒロインがただのビッチである」ということだ。本作のシナリオ(グッドエンド)を要約すると以下の通り。
「過去にパパ活をするなどビッチだったヒロイン。見かねたか隼斗が付き合うも、付き合う条件は「誰とセックスしても文句を言わない」こと。時は流れヒロインは上京することとなり、身辺整理として隼斗を捨てる。上京先で出会った悠人と付き合うも過去は隠している。失職し上京した隼斗と再会、過去を暴露されるのを恐れて一度は身体を許すも、その後は自ら快楽に堕ちてのめりこんでしまう。撮影や中出しにも抵抗がなくなり、最後には妊娠するも、取り戻しに来た主人公に説得されると元鞘になり、ボテセックスに勤しむ。」
寝取られたという事実を先に語り、過程を後で語る。それ自体は物語の手法であり、何も問題は無い。だが、堕ちてしまった姿を先に出されたことで、日常シーンも「どうせ堕ちるんだろ…」と思いながら見ることになり、しかもその通りになるので面白さがない。実質的に1回のセックスで堕ちたということで、あがきながらも堕ちていく姿を見ることはかなわない。やはり寝取られとは何ぞやということを理解していないとしか思えない。
寝取られというものは、判断誤りから相応しくない不幸に陥る主人公に対し哀れみを覚え、適度に感情を浄化する作風であり、これはアリストテレス『詩学』で理論展開されているような悲劇であるといえる。だが、本作のグッドエンドでは主人公は妊娠したヒロインを取り戻し、再び楽しい生活に戻っている。溜め込まれた哀れみの感情はどこへ持っていけばよいのか。寝取られ作品本来の楽しみ方ができない以上、悲劇とも喜劇ともつかない中途半端な作風であると断じざるを得ない。
④驚異の水増し戦略
本作が有する、他にない特徴。それは驚異の水増し戦略である。
水増しというと、差分を逐一表示するようなものを思い浮かべるだろう。しかし本作におけるそれは、「作品中にプロモーションビデオを丸ごと埋め込む」「ビデオレターと元になったシーンで完全にシナリオやCGをコピペする」というものだ。主人公の元には間男からビデオレターが毎月のように届くので、それを見た後で別視点で同じシーンを見ることになり、プレイヤーからすれば「それはさっき見た」となり興ざめである。
⑤その他
主人公、ヒロインに対して思ったのは「諦めが早すぎるし、胸に浮かんだ違和感をないがしろにしすぎる」である。特に主人公でその傾向が著しく、疑問を浮かべたまま話を引っ張るため、プレイヤーからすればお預け状態であり、ストレスの元である。
またシーン転換の際に三点リーダーを6つ出す→クリックで4つに減る→さらにクリックで2つに減る→シーン転換、という流れが常態化しており、さっさと先に行かせろとこれまたストレスを溜めることになる。
総論
今年エントリーした他のアトリエさくら作品同様、寝取られとは何かを理解しないままコピペと引き延ばしで作られた一品である。グッドエンドでタイトルを否定するスタイルは、かつてスレに笑劇をもたらした(そして私の選評デビュー作でもある)「枝豆」を思い出させた。
アトリエさくらの皆様には、奇をてらうことなく「寝取られ」について一度真摯に考え直してほしい。考えてこなかった結果が、今年10作近くエントリーしたことに表れている。