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髪 03/02/19

  実は若白髪の家系で、母方の祖父は八十を超えても禿げずに総白髪だった。母も母の兄弟である叔父も伯父も若白髪であったから、禿げる心配はあまりしていなかった。>

  ところが二十代にして白髪に陵辱され始めるとは思いもよらなかった。小学生の頃から白髪は後頭部にあったらしいが自分で見たことはない。白髪など全く気にせず、むしろ禿げる心配だけをしていた頃は髪を長く延ばしていた。背中に手を廻して髪の毛の先を掴むことが出来たのもこの時期だ。長髪では乾かすのに手間が掛かるがその分寝癖がつかないという利点があった。ポニィテイルにしてみると縛った先が書道初心者の筆の如く拡がっていた。そこから天辺を残して横と後ろを刈り上げたものだから逆河童状態の弁髪で、あの頃は日本人と見られることは少なかった。

  そのような髪型でタイに行くと日本人からはタイ人と思われ、タイ人からは中国系と思われ、白人からは当然タイ人と思われ、様々な話しかけられ方を体験した。もっとも感動したのはエメラルド寺院の横にある王宮前広場のベンチで煙草を吸っている時で、タイ人らしき男性が近付いてきて何か言いながら煙草を取り出したからさり気なく火を点けてみると、身を屈めて吸い付け、当然のように「こっぷんくら」と言いこちらが静かに頷くとそのまま去った。こちらが日本人であることを見破られていない自信が今でもある。

  やがて長髪に飽きてさっぱり切り落とすと若く見えるかと思ったが、白髪が異常に増えていることが発覚する。禿げる心配より先に白髪に対して処置を講じなければならなくなった。

  そして髪を染めてみる。しかし染めるというより脱色であるから白髪は白髪のままである。仕方がないので灰色にするべくそれらしき染色剤を試してみたら何故か汚い茶色になってしまう。仕方がないのでもう一度脱色し、こんどこそ白髪の目立たない灰色にするべく再び試してみると再び汚い茶色になる。

  そこで飽きてしまって放っておいたら新しく伸びてきた部分が益々汚い。もう一度脱色して今度はやけくそでオレンジ色に染めてみたつもりが放置時間中に眠ってまい、ドドメ色になる。阿呆らしくなったがここまできたら後には引けない。銀緑に染めてみた。するとやっとただの灰色になった。何故だ。

  そんなこんなを繰り返して今はオリーブ色になっている。そろそろ白髪対策より禿対策を考えるべきのようだ。
 
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