テスト中
禿本
最終更新:
Bot(ページ名リンク)
-
view
禿本 03/11/04
図書館で禿の本が何処に置かれているか御存知か。
まずコンピュータ検索でテーマを探すわけだが、「禿」はない。「髪」もない。「かみのけ」もない。「毛髪」でやっとテーマに辿り着く。そして検索を実行すると、そのテーマに合致する本の一覧が出る。それらの分類番号を元に探してみると、外科学の棚、癌とアトピーの間に水虫や痔と入り混じって禿関連の本が並んでいる。禿は病気なのだろうか。
当然その一角は病気関連の本が密集しており、棚の上下には「出産」「更年期」などなど女性の病に関する本がその数倍立ち並んでいるので男は迂闊に近寄ることが出来ない。例え近付いても左右におばはんがいるところで「もう抜けない!」といった本を抜き出すには勇気が幾らあっても足りない。
ただし禿に関する大抵の本は読むだけ時間の無駄である。何しろ殆どの本の形式は共通している。これはもう例外なく同じであって順序こそ違えども構成要素の徹底した一致振りには三冊目あたりであっさり脳波が停止する。まず「髪のしくみ」として髪の毛の輪切り図があり毛根の概観がありそして頭皮の断面図がある。更に「禿の型の分類」がこれはイラストを推奨するのは写真が生々しいからであり、加えて「何をしたら駄目なのか」「該当する人は要注意アンケート → 読む人全員該当するようになっている」「だから我々が開発あるいは発見もしくは発明した画期的な特許申請中の海外でも話題沸騰中の劇的に効くこの製品を買え」ついでに「何某博士の推薦文」そしてうんざりする程続く「使用報告体験談」、おまけに「使用前・使用後の禿写真」
もうひとつ共通しているのは聞いたことのない出版社であるということ。他には発売に至るまでの苦心譚があり、「雑誌・新聞で取り上げられました!」なるうすら悲しい自慢ページがあったりする。何故か皆「○○研究所」を設立しているあたりも笑える。
金玉を落とした奴が禿げないということは昔から知られていて、つまり金玉を落としたくはないが何が何でも禿げたくない人の場合、女性ホルモンを注つと生えてくるわけだが、するとせがれの元気がなくなる。もてたいが為に禿を阻止すべく女性ホルモンを注った挙句「いざ鎌倉!」と雄叫びを上げる場面で生気がなくてぐったりしており「おまえはもう死んでいる」と表現したくなるせがれは、目的の為の手段が目的の為の武器を血抜きしてしまった結果であり、従って最終目的である鎌倉へ到達するためにはせがれの最大出力を維持せねばならないから女性ホルモンを注ってはならず、しかし注たねば禿げてしまう、ここの葛藤が人を鬘に向かわせるか無駄な抵抗戦に突入するかの分岐点である。なお、諦めて潔く禿げるという選択肢はただの幻である。
頭皮には「安全地帯」と「禿地帯」があるらしく、どんなに禿げても最低限何千本かは残ると言われていて、その残った耳の上と耳の上を結ぶ後頭部ベルト地帯を間引きして、それを輝くあたりに移植するという技術が今拡がっている。元々戦前日本人が捻り出した方法らしいが、この移植術、不思議なことに「安全地帯」から「禿地帯」へ移植しても、頭皮の一部ごと植え付ける為に「安全地帯」の属性のままでがっちり根を下ろすという。更に不思議なことには他人の安全地帯を移植しても根付かないというから意地が悪い。
しかしながら何故禿げるのか、生物学的に見て「禿げること」には如何なる意味が込められているのか、これは未だに最大の謎である。
TOTAL ACCESS: - Today: - Yesterday: -
LAST UPDATED 2025-11-07 19:09:08 (Fri)
TOTAL ACCESS: - Today: - Yesterday: -
LAST UPDATED 2025-11-07 19:09:08 (Fri)