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茹で蛙
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茹で蛙 04/05/01
「蛙を鍋に放り込んで煮立てると逃げるタイミングを掴めないまま茹だってしまう」という話がある。
微温湯に浸かっていたら次第に温度が上がっても気付かずそのまま一丁あがりとなるから「微温湯からは勇気を持って飛び出せ」という教訓を含んだお話であり、その志は良しとするが、蛙は本当にそのまま茹で上がるのか。誰か試してみたか?
「医学都市伝説」というサイトの中に「それは有り得ない」とする文章を見つけて、あの話の胡散臭さに辟易している人が他にもいることを知って嬉しい。そのサイトを運営している坂木俊公氏によれば、蛙は変温動物なので温度の変化に敏感だから無抵抗に茹で上がる筈はないとするものだ。納得するではないか。
さて、では何故蛙の茹で上がることが事実として一人歩きしているのか。
これは恐らく誰かが実際に蛙を鍋にでも入れてゆっくりじわじわ温度を上げてゆき、本当に茹で上がってしまったからだと考える。しかしそれは温度の変化を感じずに気付けば茹で上がってしまったわけではない筈だ。この実験はいわゆるイカサマだと思うのだ。
蛙は熱ければ跳んで脱出しようとするが、「鍋の縁が高くて跳んでも届かず逃げるに逃げられないので無念ながら茹で上がる」ような実験を、さも蛙は鈍感であるかのような証明としたのではないか。また、蛙は歩くことも出来るし雨の日に垂直なる壁にへばりついている事があり、これはすなわち垂直の壁を登る技術を有していることを意味する。だから鍋の内側を登って逃げればよいではないかとの反論が待っている可能性が高い。しかし沸かされる鍋というものは、水を熱する為の伝導体として機能しているのであって、登ろうにも鍋が熱くて登れないから脱出出来ず煮えてしまうことは明白だ。
これは温度変化に気付かない馬鹿を想定したお話であるとするには強引過ぎるのだ。むしろ逃道を絶たれ苦しみながらじわじわ煮殺される拷問と呼ぶ方が相応しい。林正明氏が屋外で天麩羅を揚げている際そこにいた蛙を煮え立つ油の中に投入すると「二・三回平泳ぎして後に体が伸び切り、からりと揚がった」そうだが、これは少し違うかもしれない。
「鍋から脱出しようとしない(出来ない)ことを反省しろ」ではなく「鍋の中に投じられてしまった事を反省しろ」というのは余りな皮肉に思えるが、しかしそれならば一応筋は通っているので、この先「茹で蛙」を口にする者がいた時は、己では何も考えず受け売りだけで日々を過ごしている間抜けであると認定してよい。
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