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都市伝説

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都市伝説 04/04/22

  ジャン・ハロルド・ブルンヴァン「くそっ!なんてこった 『エイズの世界へようこそ』はアメリカから来た都市伝説」新宿書房 行方均訳
  原題は「CURSES! BROILED AGAIN! The Hottest Urban Legends Going」Jan Harold Brunvand

  副題が長い。アメリカの民俗学者である著者の都市伝説に纏わるコラム集の翻訳で、既に何冊か出ているらしいので全て探索リストに追加の必要がある。なお、これは誰が読んでも楽しめる本として大いに推薦する。都市伝説の専門家である著者が様々な噂を収集して情報提供を呼びかけ、また噂の発信源へ辿りながら解説してゆく。都市伝説の特徴を分析し、流行り廃りや発祥地域を特定し、その上で都市伝説を紹介している。

  さて、都市伝説とは口承の言い伝えであり、忠告を含む教訓話としての作用があることから、民話が廃れた現代の新たなるフォークロアとしての役目を果たしている。過去の教訓を含んだ民話も元々は都市伝説・町伝説・村伝説であった可能性の高いことは、幾つかの都市伝説がはや古典的地位を獲得して語り継がれていることから察せられる。つまり現代のジョークがやがて昔話の民話となるのだ。これは今では民話とされている話が昔はただのジョークであった可能性を同時に示してもいる。それらのジョークの中から時間の篩にかけられて教訓を含んだものが多く残ることで、ジョークから民話へ昇華したのであろう。民話の中には間抜けな者を描写するくだりが多くあり、教訓を含んでいながら今でも笑い話として通用する超時代性を帯びた話が優れたストーリーとして言語の壁を越えて語り継がれ、そして現代に至り、また未来へも続く。

  現代の都市伝説は口承つまりジョークの交換から発生して磨き抜かれて教訓を含んだ民話として残ることになるのだが、これは電網技術の発展によりやがてチェーンメールから発生するものも出てくるだろう。

  ジョークは都市伝説となり、都市伝説は民話となる。これを逆に辿れば今伝わっている民話はもと都市伝説であり、もとジョークであったという可能性に気付かされたのだ。あらためてジョークと都市伝説と民話の相対的な位置付けをするきっかけとなった。

  当然のことだが、中には実話もあるだろう。しかしそれが教訓を含んでいるならばやはり後世に語り継がれてゆくことになる。

  知らない人に一応「エイズの世界へようこそ」とは。名も知らぬ女と一夜の火遊びの後、朝起きると女が居らず、洗面所に行くと鏡に口紅で「エイズの世界へようこそ!」と書いてあったという話のことだ。相当昔に小林信彦がアメリカの都市伝説だと断じていたからこれは知っていた。署名がキルロイなら面白いんだがね。それでもやっぱ怖いわな。
 
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