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均衡
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均衡 04/07/04
ねえ。順番を間違えているよ。
いいかい。食物連鎖、自然の奇跡、宇宙の神秘、これらを見て余りにも完璧であるが故に神が創ったなどと宣うのはだね、冗談ならともかく真剣に言えば言うほどカルトでございますよ。
太陽の自転、太陽系の惑星の順番、地球の絶妙な位置、月の満ち欠け、それらが完璧であることは不自然だから神が創ったとは虫が良過ぎる。これは単に都合の悪い物事を見ないようにしている視野狭窄者の言葉なのですよ。
食物連鎖を例に見ようか。ピラミッドの一角一部を占める種々の生物が精妙巧緻な組み合わせで均衡を保っているのは決して偶然ではないと思いたいのですか。その均衡を奇跡的と考えるから間違っている。
もう少し判り易い例を見よう。非常に単純な天秤があるとする。天秤のそれぞれの皿には重さがばらばらの石片が沢山載せられている。さて今はどちらかに傾いていて、この天秤の均衡をとる為には何をどうすべきか。下がっている方の皿から石を取り除きますね。どんどん除くうちにやがて釣り合いが取れそうな所にくる。しかし重さがばらばらだから難しい。凡その釣り合いが取れたところで小さな石で微調整に入る。こっちを除いて、そっちを除いて、ついに貴方は完璧な釣り合いの取れた天秤を目の当たりにする。
それは最初から完璧だったわけではない。釣り合いを取る為に除外され忘れられた小石の山が天秤の外へ放り出されたからこそ、天秤の均衡が発現する。それを完璧と見做すならば、天秤の皿に乗ることを許されずに棄てられた小石達の存在を無視するものだ。
食物連鎖の中に組み込まれず消えた種、一時的に増え過ぎて自滅した種、繁殖する為の数を確保する前に滅ぼされた種、それらを排除して成り立つピラミッドを完璧と呼ぶのか。かつて生まれたばかりの地球には月の他にも惑星があっかもしれない。しかし地球や月に吸引され或いは弾き飛ばされ、淘汰された挙句に成り立つ均衡を神が創ったとは笑止千万、確かに均衡が完璧に近いことは認めるが、それは意図的なものではなくて結果に過ぎない。
完璧な調和が神の存在を暗示しているとは無体なこと、完璧な調和に辿り着くまでに如何ほどの犠牲があったのか、そこに目を向けずに隣人を云々とは素晴らしい理屈だ。一手違って地球が太陽に近ければ灼熱の大地に生命は焼かれて我々は存在していない。それは神が地球を程よい所に位置させて生命を発生させたわけではなくて、生命が発生する環境にあったのが偶々地球だっただけの話だ。
均衡に組み込まれることのなかった生物に、種に、要因に、星に、想いを馳せることはないのかい?均衡の中にいて、均衡した世界だけが完璧で、均衡に組み込まれなかった者達は歪で不完全で調和の為には足蹴にしてもよいのかい?またそれらがピラミッドに喰い込んできた際は均衡を乱す存在として排除するのかい?
それは次の均衡が成立するまでの揺籃であって万物万事は常に過渡期なのだ。そのうち一瞬に存在しているだけの者がどの口こいて完璧な調和だこの糞馬鹿。「偶然の結果」を「必然である」と主張するカルトを攻撃したことには心からの賛辞を奉るが、その刃は己自身にも向けてみよ。淘汰された存在を認めた上で成り立つ均衡の幻想を問い直してみよ。真に慈悲深く優しい心があるならば、排除の思想を持ち得ない筈だろう?
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