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光点
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光点 04/10/08
曇った夕暮時にぼんやり空を眺めていたら、光が動いていた。
そして「ははあ。特殊な人々はあれを見てUFOであると断定するのだな」と理解した。この時に与えられた状況は、
一、曇天である
一、夕方である
一、光である
一、動いている
一、夕方である
一、光である
一、動いている
であった。曇天下に於いて一番星より遥かに強い光点が動いていたわけだ。これを忽ち「UFOだ」だと断定しないのは手前が全ての物事に懐疑主義的立場にあることも理由の一つだが、単にUFOなど信じていないからでもある。「目撃したことがないから信じない」という絶対的な信念を元に存在を否定してきたこれまでの立場から、それらしきものを不覚にも目撃してしまったことでその不信の理由を捨てなければならず、しかしながら相変わらず信じないことを貫くには新たな理由が必要となる。しばらくすると上の状況に追加するべき状況が増える。
一、飛行機雲を引いている
それは簡単だった。何しろその光点は飛行機雲を引いていた。最初に動く光点を目撃して十秒も経たないうちに排出された飛行機雲を見た瞬間全てが納得ゆく形で理解された。つまり、強い光とは、飛行機の機体が太陽を反射しているに過ぎず、「目撃した地点」と「太陽」と「通過していた飛行機の位置」がたまたま強い光点だけが見えるような位置関係にあっただけで、何しろ飛行機なのだから動いて当然であり、挙句飛行機雲を排出してしまっては確認された飛行物体となり果てる。三十秒程眺めていたが手前は絶好の位置関係に居たらしくて機体は見えずに強い光点がゆっくり動くだけであった。
青空の下では飛行機雲はより鮮明に見えるだろうから、例え機体の見えないほど強い光点であろうともUFOなどと口走るわけにはいかない。飛行機雲が見え難くなる為には曇天が都合よい。また機体に太陽が反射して光となる為には機体の塗装状況にも因るだろうが、基本的に反射し易い色の航空機がよろしい。また沈みかけた太陽がその光を生み出す為に寄与してることも確実だ。更に、あまりに速い移動ではやはり飛行機であると判断されるから、目撃者はなるべく斜め後ろ方向から眺める位置にあることが望ましい。すれば「光がゆっくり動きながら少しづつ小さくなり消えていった」という証言が導き出せる。「光が消えたり点いたり」とは機体の角度を動かして進路を変えようとしていただけに過ぎず、「数秒間だけ目撃した」のは遠くて目視出来ず音も聞こえずその数秒間だけ反射する光が見える位置にたまたま居ただけである。
つまり言いたいのは、飛行場の近くで夕方、滑走路と沈む太陽の位置を計算した上で機体に反射した光が見えるだろう位置に陣取れば、一週間程度でそれらしく見える「動く光点」を確実に映像に収められるに違いないことだ。世のUFO信者にあってはUFO風のものを狙って撮影可能であると知られると困るだろうね。それとも喜ぶのかな?
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LAST UPDATED 2025-11-07 18:24:27 (Fri)
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