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訛 04/10/14

  関西を象徴する言葉として儲かりまっか」「ぼちぼちでんな」を印象されるが、あれは関西に異国情緒を抱く人々の幻想である。

  仮に似た会話が為される場合でも「儲かっとるか」「まぁ、ぼちぼち」程度が精一杯のところで、通常は「調子」「景気」あたりが使われる。「ぼちぼち」という言葉も使うのは無理矢理関西に溶け込もうと努力する人くらいのもので、「あかんなあ」「どもならん」周辺が生きている関西弁であろう。

  ドラマや映画で話される関西弁が深刻な影響を与えているのは間違いない。やくざ映画の関西弁は妙な進化を遂げており、今現在関西圏でされている声調とはかけ離れた一種の様式美の世界を展開しているから御伽噺として楽しめても身近に感じることは難しい。ところがこの様式美を抽出して真似することの多さが誤った声調を拡散させている。

  違和感を全く生ぜずに関西弁を自然に聞くことの出来る映画は少ないが、真に生きた関西弁を聞きたければ井筒和幸監督の「ガキ帝国」「岸和田少年愚連隊」を観ればよい。それ以外の関西弁は似非と断じて差し支えない。エンドロールに「方言指導」などとあった場合、その中で使われていた関西弁を真似しても苦笑が返ってくるだけである。生きた関西弁を使う者ならば指導される必要はないし、使えない者なら必ずどこかで調子が狂っているからだ。

  「関西弁」が指す方言は幾つかあるが、生粋の河内弁を核として、大阪府下の大阪弁、大阪以外の諸県訛、そして関西共通弁、更に関西風芸人弁、関西風ドラマ弁、関西やくざ映画弁、といったところが入り乱れているわけで、生きた関西弁とはこの分類では関西共通弁を指す。関西風芸人弁から先は「変」の一言で済む。

  関西芸人弁にも幾種かある。関西育ちの関西を主戦場とする芸人は違和感なく関西共通弁を喋るのでそれが更に共通弁を増幅させている。問題なのは関西以外で育ち東京を主戦場とする芸人が喋っている関西風芸人弁であり、これは全身の皮膚の裏側が非常に痒くなる。

  関西弁に格別の愛着を持っていないとは言い切れないが、保護せよと叫ぶわけでもない。日本国語からすれば関西弁とは訛であり、しかしその訛である関西弁を真似した無残な声調つまり「関西弁訛り」ではなく「訛り関西弁」の氾濫に呆れるだけである。

  訛を使おうとして失敗した「訛の訛」は極端な脱力感を催すものだ。何故に無理して関西弁を使いたがるのか理解出来ず不思議でならない。「嬉しい」ではないだろうし「格好いい」でもあるまい。「楽しい」が一応それらしく思えるようだが、訛に楽しさを見出すことが一般的であるとも考えられず、無数の疑問符に包まれながら似非関西弁に苦笑を贈るしかない。
 
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