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下駄予報

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下駄予報 04/10/30

  明日の天気を下駄で占う俗信がある。

  足の指先に鼻緒でぶら下がっている限りの下駄をば肢力矯めて放ち、着陸状態をそれぞれ風雅に網代本手であれば晴れ、敷小股であれば雨、右交喙取ならば曇、左交喙取ならば風、後矢筈ならば雪、砧ならば嵐と、これは地方によって違うだろうが根拠のない因果関係が一通り信じられている。

  常々考えていたのだが、下駄を放つ際に鼻緒が切れた場合の天気はどう解釈すべきなのか。例え鼻緒が切れても着陸には支障のない故に上述の通り解釈するべきなのだろうか。しかし鼻緒が切れるとは非常に悪意ある前兆と考える日本人の精神構造上、そのままでは釈然としない。従って鼻緒が切れた場合の解釈としては「晴れ→旱魃」「雨→豪雨」「曇→濃霧」「風→台風」「雪→吹雪」「嵐→想定不可能」に置換すべきかと思われる。

  今の時代に下駄なるものが如何ほど普及しているかは想像する必要もない。下駄ならば角張った姿であるから着陸姿勢の見解について相違する余地はないが、我々が靴で代用する場合は斜めに傾いで静止する状況に直面することがある。これを強引に「雨のち風」などと解読するのも無謀だが、そもそも靴で天気を予見しようとする性根が無謀だ。

  心底近い天気を知りたければ蛙でも飼えばよいのだが、彼等は冬眠するという致命的欠点を有しており非実用的と言える。古傷が痛くなったり痒くなったりして雨を予言出来る人も稀に居るが、「いつまでも痕が残っている古傷を持つ」もなかなか困難な試練であり、もう少し簡単に近い天気を知る方法があればよいのだ。

  例えば僅かな湿度に左右されるような軽い物質で鼻緒、異常に軽い物質で台と歯、併せて下駄を作り、ふわりと浮かせて着陸する姿勢で湿気があるかどうかを確認可能な玩具はどうか。それならば雨か晴程度は判断出来そうなものだ。ただし大気に晒してなお風の影響を絶対に受けないことが必要条件となるが、それは大気を一旦取り込んでから密閉することで解決されるだろう。密閉せず大気に晒して試す場合は、風が強いかどうかがすぐに判明する極めて優れた天気予報器だ。
 
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