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置きグリコ
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置きグリコ 2003/06/10
その昔富山の薬売りというのがいて、家庭に常備薬の箱を配して定期的に訪れ、使った薬を補充すると共に代金を受け取り、行脚していたわけだが、このシステムにグリコが目をつけた。
鳥籠サイズのブラスチックケースに四つほどの引出しがあり、中には色とりどりのお菓子が詰め込まれている。ひとつ百円として食べる際にケースの天辺についた蝦蟇を模した貯金箱のような料金箱に百円玉を投ずる。田舎の野菜直売所と同じシステムであり、誤魔化そうと思えば誤魔化せるのだが、週に一度菓子の補充と料金の回収に来ることで無意識に怯えを感じるらしく、つい正直に百円を入れてしまうらしい。
この置きグリコ、大抵は事務所の給湯室、給湯室がなければ台所近くに置いてあるらしいのだが、特に宣伝の為というわけではなく、十分採算は取れている筈だと、飛び込みで事務所に置かれてしまった友人は言う。殺伐とした中、御菓子をわざわざ買いに行くほどの年でもなく、体面はあり、あまり縁のない筈のものを、コーヒーを入れた際、そこにある置きグリコが目に入ると引出しを順番に開けては何かつい食べてしまうという。
不意の来客にも、お茶請けを用意していないではないかと騒ぐことなく、冷静に何か選んで出すか、ケースごと持ってゆき、「こういうものがあるんですよ」と話のネタにもなる。
普通に百円を出せば幾つも買えるであろう物をひとつ百円で売るのは実に賢い。病院などで稀に菓子の自動販売機はあるが、「ぷりっつ」「おにぎりせんべい」ばかりではさすがに飽きるというものだ。あれと比べて電気を喰わず、場所も取らず、定期的に顔を出すアルバイトらしき補充員が、愛想を振り撒けばグリコの宣伝にもなり、原価から見て多少は誤魔化されても儲けにはなるし原価から見て百円は高くても小銭が妙にだぶついているそもそも誤魔化そうとするには気が弱いおじさんを狙って置くやり方は素晴らしい。
ケースの横にはラミネート加工されたお菓子の一覧表があり、まずはメニューともいうが、それを見てさらに備えられた所定の用紙に注文を書き込むと次週笑顔と共にお菓子が届く。OLのいない職場にはとても重宝するだろう。
OLのいる職場はどうか。システムは文句なく受け入れられるだろう。ただし値段で躓く。お茶請けとして特に用意しなくてもいいのは一見楽にも思えるが、お使いのついでにさぼることが出来なくなると嘆く姿が目に浮かんではもう無理だ。大きい会社のOLの溜まり場である給湯室に置きグリコを備えるためには、安く見える包装が問題だ。予算の権限を握っているのはOLではないのだ。来客に出す為には恥ずかしくないものをと考えるおじさんは、自分は食べてみたくても、会社の体面をまず考えてしまう。どうせなら「を。懐かしいねえ」と言わせるような古いタイプの包装を置きグリコ限定で復活させるか、地方限定のものを豊富に揃えるかすればいい。どうせ百円で売り、たいした額ではなくともえげつない利益率である以上値段を印刷はせず、普通にお茶請けとして出して恥ずかしくない包装のものを数種類入れるか、今なお売れている駄菓子でありながら、最早食べる機会がなくなってしまった人向けに懐かしさを用意すればいい。
一年以上前からやっているらしいが、なかなか情報がない。世のOLさん達は置きグリコを見てどう思うのか一度聞いてみたい。
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