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地震

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地震 04/02/25

  地震直後の時のニュースはいつからだかテレビ局内に据えた定点カメラの揺れている瞬間の映像をニュースに載せるようになった。

  あの画面の上のあたりに位置するキー局と系列局の名前が書かれた凄く効果的に揺れるように天井からぶら下がっている板はまあ、日本のどのあたりが揺れたのかが判りやすくてよいとしても、その揺れた瞬間に画面内で仕事をしていた人が、一瞬身体を硬直させてとりあえず机に手をついてから辺りを見回す不安気な様子も妙に生々しいが、普段余り見ることのない姿であるから興味深く眺める。揺れが長く続けば椅子から滑り降りて机の下に隠れようかどうしようか迷う姿もいじらしい。

  しかしあの見回す時にはどこを見ているんだろうね。真上にある書かれた局名が画面から見え続けながらも大袈裟に揺れる不自然な板を見上げて眺める人がいないのは、やはり「揺れ易く、見え易く」の目的で吊り下げられていることを知っているからなのだろう。では何を見ているのか。窓の外?時計?棚?

  小さいが長く感じる地震に遭ってこの疑問がようやく解けた。「地震で揺れている最中に見回す時は何を見たか自分を観察しろ」と叩き込んでいた頭で見たものは、直後のメモに拠ると以下の通り。

   壁。天井。電灯。斜め前の人。窓枠。壁。机。壁。

  直後の頭に焼きついていた残像の順番がこれだった。あとは見たようで見ていない、つまり「何か考えている時に斜め上方をぼんやり眺めているよう」なだけであった。考えている中身は「結構長い」「皆の平静さが凄く不自然」「まだ揺れる?」「なんか笑ける」程度のもので、大した地震ではないからこれで済む。

  しかしニュースで流れる地震直後の瞬間映像には、何故か必ず偉そうな馬鹿が映りに来るね。特別な用事があるようには見えないのにしっかりカメラの中に入ってくる。そして辺りを見回したりしているが、それだけでは間が持たないのかどこかへ電話を掛けるわけだ。「次のニュース見ろ。俺が映るぞ」書類を揃えてとんとんして片付けているつもりでも、冷静な目が見るとそれは「ただとんとんしているだけ」にしか見えないのもカメラを意識し過ぎているからなのだろう。絶対にカメラの方向を見ないことが余りにも不自然だ。映りに来た人が増えても会話を交わしていないのは、「ただ慌てて映りに来ただけ」であることをお互い判っているからこその気恥ずかしさ故であり、その不自然なさりげなさでうろうろする姿は哀れみすら感じる。社長が突然社内巡察を敢行した時の社員の行動そのままであるところが面白い。

 
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LAST UPDATED 2024-05-02 19:55:15 (Thu)
 
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