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第四話~裏切った聖槍の騎士~

ミカは、昨夜シグナムにやられた傷を見て心の中で叫んだ。
(しかし、奴らはどこか違っていた。やはり、気迫だろうか?奴らは一体、何をしたというんだ!!)
朝の冷たい風に当たりながら、ミカは血が滲むほど自分の手を握りしめた。
と、その時。
ガザ・・・と、近くで音がした。
「・・・っ!誰だ!!」
「きゃっ・・・!」
聞こえたのは、可愛らしい悲鳴だった。
「お前は・・・高町なのは!?」
ミカはその声の主を見て、堪らず声を上げる。
「・・・!ミカさん!?」
なのはもまた、ミカを見て驚いた。
「何をしに来た・・・!」ミカは、デバイスを手に取り、戦闘体制に入る。
「わ、私はただ・・・魔法の練習に・・・。」おろおろとした表情で答えるなのは。
すると、
「ぷっ・・・」
ミカが急に噴き出して笑い出した。
「ふえ?」
「くっ・・・ははははは!あれ程の魔力を使いこなしていながら・・・練習とはな!」
デバイスを元に戻し?マークのなのはに、ミカは何年か振りの笑顔で、
「何故、私がお前に刃を向けないか分かるか?無駄だからだ。
そして、『無駄』にお前を傷つけたくない・・・ただそれだけ。」
と言い、その場から立ち去った。いや、立ち去ろうとして、その場にうずくまった。
「がっ・・・!?」
急激な頭の痛みと、締め付けられるような胸の痛みが同時に襲う。
その変化になのはは驚き、ミカに駆け寄った。
「大丈夫ですか!?」
目の前にいるミカは、敵であると同時に一人の人間である。
なのはは、心配そうにミカの背中を擦る。
「・・・す、すまない。」
ミカは特に痛む胸を押さえ、蹲ったままなのはに謝る。
「謝ることなんてないですよ。今は、気分が良くなるまでこうしてますから・・・。
さっき、思念通話でユーノ君たちに連絡したので、あともう少しで来ると思います。
ですから、それまで頑張って下さい。」
「・・・優しいんだな、お前は。」
ミカは苦しそうな表情を浮かべながらも、心の奥底から思ったことを言った。
するとなのはは、にっこりと笑った。
「そうでもないですよ。私はただ、困っている人がいると見ていられないだけですから。」
「ふっ・・・子供に・・・説教を喰らうとは・・・思ってもみなか・・・」
ドサッ・・・!
ミカが意識を失って倒れた。
「ミカさん!?ミカさん!!」
なのはの声が、早朝の寒空に響いた。

カチッ・・・カチッ・・・カチッ・・・。
時計の秒針が動く音で目が覚めたミカは、痛む体をゆっくりと起こした。
見慣れない部屋だった。
女の子らしい装飾が施されていた。ベットには、ぬいぐるみなどが置いてある。
誰かの部屋だろうか?
しかし、何故自分がここにいるのかが分からなかった。
記憶を辿っていく。
「そうか・・・私は高町なのはに・・・」
敵であるものに命を救われる。しかし、不思議と怒りは感じられなかった。
「優しさ・・・か。」
ミカは自分の口でその言葉を言ったのは何年ぶりだろう、と思った。
その時、ガチャリというドアの開く音がした。
「ふっ・・・。私を笑いに来たのか?ヴォルケンリッター、フェイト・T・ハラオウン、八神はやて。」
入ってきたのは、ヴォルケン一派とその主はやて、そしてミカの身を案じていたフェイトだった。
「あんだよっ!せっかく、なのはが介抱してやってたのに!その態度はねぇだろ!」
そんなミカの態度に腹を立てたヴィータが、勢い良く喰いつく。
しかし、シグナムは、
「・・・よせ、ヴィータ。」
と、ヴィータを止める。
「でもよっ!」
「・・・意識を失っている間、お前の体を調べさせてもらった。
何かの刻印のような物があったが、あれは何だ?」
「見たのか・・・」
シグナムの問いに、ミカは短く答える。
「・・・真面目に答えろ、ミカ。これはお前のためでもあるんだ。」
「お前達に、助けを求めた覚えなど無い。」
「いい加減にしろ!!貴様っ!!」
シグナムが人前でこのように怒ったのを見たのは、ヴォルケン一派もはやてもフェイトも初めてだった。
「何なんだ、あの刻印は!答えろ、ミカ!!」
「・・・あれは、裏切りをしないための切り札のような物だ。」
「切り札・・・だと?」
意味が良く分からなかった。
「そのままの意味だ。・・・ようは、裏切ればお前の命は無いということだな。」
「・・・自分で一つしかない命を粗末にしても良いのか?騎士として・・・」
今までだんまりだった、ザフィーラが口を開いた。
「親もいなければ、友もいない・・・私はそう言う人間なのだ。悲しむ者など、誰一人としていない・・・。」
ザフィーラの問いに、ミカは寂しげな表情で言った。
「それどころか・・・最近の記憶まで薄れている・・・!
奴の仕業だと言うことは分かっている。だが、どうすればいい?私は奴の人形でしかないんだ!!だから・・・だから・・・」
遂には、ミカは泣き出してしまう。
「だが・・・どうして刻印の話などする?お前達に、あの忌々しい刻印がどうにかできるのか!?」
嗚咽の中で、ミカは怒声をあげた。
「・・・できると言ったら・・・お前はどうする?」
シグナムが、ミカに近寄りそう言った。
「な・・・に・・・?」
「お前のその忌々しい刻印を消すことができると言っているんだ。」
「あぁ・・・っ・・・!感謝する・・・!すまない・・・!」
「困っているときはお互い様やからね。」
「そうです。」
シグナムの言葉にミカは、心の奥底から感謝の気持ちを述べた。
そして、はやてとフェイトもミカに優しく声をかける。
ミカの頬が少しだけ緩んだ気がした。

そして、その数日後。
「・・・はい、終わりました。」
刻印に手を当て、解除魔法(ディスペル)をかけていたユーノがミカに向かってそう言った。
「・・・」
ミカは、何も言わず自分の体を見回す。
「ありがとう、ユーノくん。」
「いえ、僕は別に・・・。頼まれたことをやっただけですから・・・って、えぇっ!?」
いつもと言葉遣いが違うミカに、ユーノは驚愕し、後ろに飛び退く。
「いつもと違う話し方かな?私決して、そういうつもりじゃ・・・」
あの強い態度は何処へやら・・・今にでも泣きそうな顔をして、ユーノを見るミカ。
「あ、あのっ・・・!僕はそんなつもりじゃ・・・えぇと・・・!」
泣きそうなミカを取り成そうと、慌てふためくユーノ。
と、その時・・・
「ん?ユーノ、どうした?」
シグナムがミカのいる部屋に入ってきた。
「あ、シグナムさん!あとはよろしくお願いします!!」
そう言うとユーノは、脱兎の如く逃げ去ってしまった。
「何だったんだ??」
「さぁ、何だったろ?」
ふと、横目でその声の主を見る。
ミカである。というよりも、ミカしかいない。
「・・・ミカ?」
「はい?何かな、シグナム。」
シグナムの素朴な質問に対し、美香はニッコリとその答えを待つ。
「・・・本当に、ミカなのか?」
「そうだよ~。これが、ホントの私~。」
      • その様子に落胆するシグナム。
――まさか・・・こんなのほほんとしている少女が、私の最大の敵だったのか?――
シグナム、戦意喪失。
「あれ?シグナム~?お~い」
ミカの声が、遠くの方で聞こえたような気がした・・・。

「私は・・・アイツに作られた存在なんかじゃありません。アイツに誘拐されて、記憶操作を受けて・・・それで・・・そこからは覚えていません。」
意識を取り戻してから、数時間後・・・ミカは、リンディやクロノから尋問を受けていた。
「記憶操作?」
「は、はい・・・。昔あった記憶が・・・今は何が何だか分からなくて・・・。」
「ヒドイわね。・・・それで、『アイツ』っていうのは、一体誰なの?」
「・・・ラグリィ・ストレイン。元時空管理局上層部に所属。
でも、『ドラグーン強奪事件』により、ミッドチルダから追放・・・。」
ミカの言葉に、驚くリンディとクロノ。
「ラグリィ技術長!?・・・そんな・・・」
「まさか、ラグリィ技術長がそんなことをしていたなんてね・・・。それで、貴女はこれからどうするの?」
リンディの問いに、言葉が詰まる。
「・・・どうしたら良いんでしょう?」
そんなミカに対し、リンディは微笑み、
「なら、ここで一緒に働いてみない?」
と、そう言った。
「・・・わかりました。ここで、働かせてください!!勿論、グングニールと一緒に頑張ります!ね、グングニール!」
「はい。私は、マスターが良いと思ったことを実行するまでです。」
やがて、決意したミカがグングニールと共に元気良く返事をした。
こうして、アースラクルーに新たな協力者が現れたのである。


久遠「第四話は、短めです~。というよりも、ここまでしか書けないorz」

なのは「ミカさんが仲間になって、数日が経ったある日・・・」
ヴィータ「管理局から来た協力者とは?」
な&ヴィ「「次回!第五話~管理局からの心強い増援~に・・・ターミナル・イグニッション!!」」
ヴィータ「だぁぁっ!いつまでくっ付いてんだよ!」
なのは「はやてちゃんから許可もらってるもん♪」
ヴィータ「はやて~~~~~~!!」
最終更新:2014年03月10日 16:25