【ラスト】
「好奇心はセ○カイすらも変えてしまう」
………
ある日、イナは夢を見た。
そこは、かつてのボルテックスVがある所だった。
イナ
「…………」
すぐに目が覚めた。
雲利
「どうしたの?イナ」
イナ
「あー………ん、だいじょぶ、なんでもないから彼ピ」
イナ
「最近は変な夢見るってだけ、ほんとそれだけだからさ」
雲利
「そう……?あまり無理はしないでね」
イナ
「はいよはいよー」
あれからというものの、
ツヴァイボルトがたまに来ることはあるが大したことは起こらず、エレキボルトが悪の組織を滅ぼすのは当たり前のようになっていった。
イナも雲利もそんな生活に少しずつ慣れつつあった。
雲利
「もう何個悪の組織壊したっけ」
イナ
「かる~く数十個?」
雲利
「それでも増え続けてる………」
イナ
「懲りなくてマジ萎えるわ」
雲利
「………もう1つ聞きたいんだけど」
雲利
【僕がイナのこと覚えてたのなんだったんだろ?】
イナ
「…………」
イナ
「さあ?」
イナ
「あ、じゃあウチちょっと用事あるんで、行ってきまーす!!」
雲利
「あっ、ちょっと……もう行っちゃった」
セン
「イナはもう行ったのかね」
雲利
「ははは……まぁいつもの事ですよ」
セン
「そうだな…飽きずによくやるものだ」
雲利
「それはまぁ、そうですけど……」
雲利
「……あれ?こんなことも何回言ったかなぁ?」
雲利
「……まあいいか」
……………
イナ
「んーーーっ!」
イナ
「うっし、また悪の組織の気配がするし頑張るべ」
変身!!
エレキボルト
「うおおおおおお!!エレキボルト参上!!」
エレキボルト
「よっし!!これで準備万端!!悪いやつをぶっ倒しに行くぞ!!」
エレキボルト
「そしてまたバズりにバズってやるんだから!」
「待て、エレキボルト………」
エレキボルト
「うおおおおおおおおおおおおお!!!!!1秒で倒す!!」
ツヴァイボルト
「待て!毎度毎度無視するんじゃあない!俺と勝負しろ!」
エレキボルト
「いやもうめんどくせーしマジ!いつまでもいつまでも戦いに付き合ってらんねーの!」
エレキボルト
「ウチの戦いはこれからだぁ!!!」
エレキボルト
「っしゃー!悪の組織『ダースレイドー』撃破!」
エレキボルト
「なんか最近はもう悪の組織潰すの暇つぶしになってきたかも!」
エレキボルト
「これもまた動画に上げて………うわ、もう制限かけられちった、古いヤツは削除!」
イナ
「変身終了!」
………
イナ
「ただいま彼ピ」
雲利
「お帰り、もう終わると思ってご飯用意しといたよ」
イナ
「うっはー納豆じゃん!まじありがてーんだけど!」
雲利
「あれ?喜んでくれたならいいよ、なんか納豆とネギが余ってたからさ」
イナ
「いーよいーよ納豆なんて全然食べてないし!」
雲利
「…………え?」
雲利
「ちょっと待って、イナ 」
雲利
【納豆ご飯って3日前に食べなかった?】
イナ
「え?」
イナ
「いや……そんなことなくね?だってほら、3ヶ月前とかに」
雲利
「…………3ヶ月前?」
雲利
「3ヶ月前って、皆何してたっけ?」
イナ
「は!?」
イナ
「どうしたの彼ピ、まだ忘れるような歳じゃないでしょマジで」
雲利
「ああ、そうだった?」
雲利
「ところでイナ」
雲利
【明日は何の悪の組織と戦うつもりなの?】
イナ
「………」
イナ
「なんか、おかしい……こんな事今まで無かったような、そんな事……」
イナ
「彼ピ、ちょっとまた出かけるから!!」
雲利
「え?ああ、行ってらっしゃい」
雲利
「…………」
雲■
「縺?▽縺セ縺ァ繧らオゅo繧峨↑縺?ク也阜」
……………
イナ
「は!?おかしいじゃん!おかしいじゃん」
イナ
「おかしいじゃないの!!今まで【私】が見てきた中で、こんな事は無かった……」
イナ
「いいから!!私についてこいってマジで!!」
イナ
「なんか今日おかしいよ!」
イナ
「………ばちっ、ばちばちっ」
イナ
「そっか、ウチの世界、ちょっと」
イナ
「やりすぎちゃった、かな」
■■
「どかーん」
………
ドカン!!
「………っと、大事な研究者様を博物館の展示品みたいな扱いしてんじゃねぇぞ?」
「Vが盗まれるぞ!!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
たくっちスノー
「………アンタを探すのは苦労したよ、何せ……こんなモノに居たとはな」
たくっちスノー
「ああ、空想にしか存在しない正義のヒーロー………【エレキボルト】」
ーーーーーーーーー
ヨウコ
「IQ350の天才美少女、七光理イナはボルテックスVに改造され正義のヒーロー【エレキボルト】になれるようになった………」
たくっちスノー
「ボルテックスVはイナを怪人化させることに失敗し、その事故が原因で組織も崩壊。」
たくっちスノー
「奇跡だったのは、イナと設備はギリギリ生きていたこと………そして、ここからどうすればいいのか考えられる知恵があったこと。」
たくっちスノー
「イナは即座に自身の脳を繋げ、必死に延命した………体がなんかいい感じに上手くいくのを待った。」
たくっちスノー
「ただしその間精神はどうするのか?ヒマなままずっと過ごすのか?」
たくっちスノー
「勿論それも考えていた、それが【エレキボルト】としての自身のもう1つの生」
ヨウコ
「それが電視仮想空間装置【V街】………巨大な装置に体と精神を預けたのね」
たくっちスノー
「ここで回復を待ちながら、自由気ままにヒーローをしていたんだろな、この中で………」
ヨウコ
「そんな生活も終わる、いずれは終わる………そう、イナの体が完全に治りきった時ね。」
たくっちスノー
「イナのやり方や設備に問題があるわけでもなかった、でも………ひとつ想定外なことがあった。」
たくっちスノー
「何があっても終わりを拒むアイツの思考は、どんな状況だろうと完全な完結まで辿り着かせない」
ヨウコ
「このV街の、エレキボルトの完結を例えるとするなら…………」
ヨウコ
「イナ博士の体が完治して、V街が不要になる時」
ヨウコ
「でもそれは永遠に来ないから、イナ博士はエレキボルトになって毎日毎日絶えず同じ生活を繰り返してきた」
たくっちスノー
「
ツヴァイボルトなんてライバルを作ったり、時にギャルや動画配信者になったり、理想の彼を作ったり………まぁ、色々やってたみたいだが」
たくっちスノー
「
1周目ならまだ終わりは見えたかもしれんが、4週目で終わらず、終わらず………何度も何度も同じ話を繰り広げて」
たくっちスノー
「寄せ集めの機械で仮想世界装置を作ったぐらいだ、一応ダメになることは想定してたかもしれんが………関わってない俺達には知る由もない。」
たくっちスノー
「………ああ、やっぱりダメだ、仮想世界のデータは全部バグのように壊れている」
ヨウコ
「イナ博士の精神から、結末のこない世界へのヒントが得られると思ったけど………」
たくっちスノー
「でも、どんな形にせよ彼女もまた俺の親父の犠牲者だ……もちろん、イナ博士はそんなこと気付いていないが」
ヨウコ
「さっきからやってるけど、すごい技術力ね………一般モブ研究者だけで賄えるもよじゃないわ」
たくっちスノー
「唯一のキーワード、俺の設定の中にもあったエレキボルトの記憶が彼女まで辿り着かせた」
ヨウコ
「精神世界吹っ飛んでるなら生きてるかどうかも………」
イナ
「オラッ!!!」
バキッ
イナ
「何しているの!?」
…………
イナ
「生きてる!機械がスリープモードになってただけだから!」
イナ
「……で、起こしてもらって早々だけと、誰?」
イナ
「………博士?なんか見ないうちに私はそんなふうになった訳?」
たくっちスノー
「まぁ普通に取ってつけた素材で、時空の力無しで仮想空間作れるのはすげーので」
イナ
「………あー、本物のボルテックスVがちゃんとした組織なら私もあんなモノ作らなくてよかったのにな」
イナ
「なりたいからあっちでなってきたわけだけど?」
イナ
「………聞いておきたいけど、ウチは何年ウチをしてきた?」
イナ
「ごじゅうか………色々やったけどそれが限界?」
イナ
「いや50年経ってたなら私もうおばあさんじゃね?どうなってんの?」
イナ
「あーね、言ってることは滅茶苦茶だけど納得は出来る」
イナ
「実際、ウチはこうして世界の方がダメにならなきゃ出られなかったわけね」
イナ
「ん?でもそれも結末にならない?」
たくっちスノー
「イナの物語は終わってないってことだ、こうして俺達と接触したわけで」
イナ
「はぁ………で、私に何か?」
たくっちスノー
「いや?天才と仮想空間がヴィンテージみたいに飾られてるのは趣味悪かったからパクってきただけ」
イナ
「あーね、ウチもエレキボルトだったら似たようなことしてたわ」
イナ
「エレキボルトならなぁ………」
イナ
「で、ウチは多分、アンタらについて行く必要があると」
イナ
「じゃ、ちょっと時間ちょうだい」
…………
イナ
「よし、直った」
イナ
「仮想空間でバッテリー作り直したのだって、都合がいいとかじゃなくてウチの技量だからね?」
イナ
「じゃ、もうちょっとだけお休み」
ーーーーーーーーー
イナ
「あ、彼ピ!」
雲利
「イナ」
イナ
「あんね彼ピ!ウチ彼ピに言いたいことがあるの!」
イナ
「今まで私の気を紛らわせてくれてありがとう、私の大事な恋人」
「でももう行かなきゃ、バイバイ」
最終更新:2022年06月19日 13:20