オレタチカードバトル(エピソード)

たくっちスノーはある日、時空監理局の跡地に訪れていた。
くず鉄まみれの世界から売れるものを探すという一日バイトだ。


たくっちスノー「まさかこんな事でまた訪れることになるとはな……」

たくっちスノー「といっても、ここは宝くらいなら何個かあるか、金は困ってないが一日バイトは楽しいしな」

たくっちスノー「さて、使える鉄クズでもあればいいんだが……」

ゴソゴソ

たくっちスノー「ん?」

たくっちスノー「なんか綺麗なガラスケースがあるな」

たくっちスノー「中身は……」


たくっちスノー「カード?それもホビー系の………だが見た事ない作品だな」


たくっちスノー「オレタチカードバトル……?」

たくっちスノー「なんだこれ、カードは色々あるが専門用語だらけだしルールがどこにも書いてないじゃんか」

たくっちスノー「カードだけあってもこれじゃゲーム出来ないぞ………?」

たくっちスノー「うーん、これをどうすればいいんだろ」


たくっちスノー「迷子データベースで調べてみるか」

………


たくっちスノー「どうだ?」

『いえ、何一つ分かりません……どこで発見しましたか?』

たくっちスノー「時空監理局跡地」

『あの場所……あの場所ということは……』

『4週目以前に作られたゲームである可能性が……』

たくっちスノー「マジ!?」

たくっちスノー「えーと銘柄は……KV?」

『kakikovideo……2週目はこの銘柄が多いことから2週目を表す単語とされています』

たくっちスノー「2週目そんな単語あったのか……」

たくっちスノー「それに二週目となると……それって」

『はい』

カーレッジ・フレインとは別のあのシャドー・メイドウィン・黒影が作成したものとなります』

たくっちスノー「ああ……あいつか、道理でルールブックがないんだ、中途半端に切り上げて終わりがない物語しか作ってないって聞くしな……」


たくっちスノー(………待てよ?)


たくっちスノー「ルールがないってことは、俺が好きにルールを作っていいってことじゃん!」

『確かに……オレタチカードバトルは分かっていることが一つだけあります』

『カードは自由にあなたの意思で作れると……』

たくっちスノー「………!」


たくっちスノー「売るぞ!!オレカ!!」

たくっちスノー「俺主導で!」


かくして、オレタチカードバトルはたくっちスノーの手によって販売された!


オレタチカードバトル。

それは遠い前時代に作られた、カードを自分の手で好きなように作れるルール無用の自由すぎるカードゲーム!

たくっちスノーはそれを偶然発掘し、自らの手で改めて売り出そうと決心したところである。

だが!

たくっちスノー「売れねー!!」

たくっちスノーが1人で作った『死神デッキ』と『恐竜デッキ』そしてパックの『ドラゴンエボリューション』をオレタカの始まりとして用意したが、全く売れないどころか話題にもならず、むしろ投売りされた。
オレタチカードバトルは発売3日で売り切れた伝説があるが、あれはなんだったのか……

たくっちスノー「そりゃ……まぁゲームシステム的に既存のカードはそんなに要らんのだけど」

たくっちスノー「死神デッキも恐竜デッキも頑張って作ったのに……」

オレタチカードバトルは既存のデッキやパックを買わなくても、ブランクであるカードがあれば絵と効果を自由に書くことが出来る。また、自分でカードを作り対戦用と保存用の二種類に分ける事が出来る。

たくっちスノー「いや……でもいきなりエラッタするのめんどくさいから売り物の効果って控えめにしてたんだよな…」

たくっちスノー「パックは売れてなくてもブランクカードは転売でも売れてるな。うん。」

たくっちスノー「みんな既存カードをわざわざ買ってプレイする気はないんだな……」

たくっちスノー「はぁ……しゃーない、新しいカード作るか」

たくっちスノーは第2弾を作る上で決めていたことがある。
ブランクカードから生まれた、プレイヤーが独自に考えたカードを全て調べて、デザインがいいものを殿堂入りとしてパック販売するものだ。

デザインがいいとはただ絵が上手いことを表すのでは無い、効果やカードバランス、そして何より

たくっちスノー「自分で考えたものの方が面白い! 」
そしてたくっちスノーは作られたカードのデータを確認する。

たくっちスノー「分かっていたことだが……攻撃力9999とか、出したらゲームに勝利するとかそんなんばっかだな」

先行取ったもの勝ちのゲームになるせいか、昨今は引いた時点で勝利が確定するパワーカードが人気だ。

たくっちスノー「こういうカードは絶対パックに入れないでおくか……」

たくっちスノー「さて……オレタカの欠点だが、それはゲームバランスにあるよな」

元々どんなカードでも作れるため、ブランクカードから生まれるものの大半は1枚だけでゲームが崩壊するものが多い、それに対抗するためにプレイヤー達は自分の持っている知恵で調整を行う。
だがしかし、プレイヤーは既存のブランクカードを再利用するだけではなく、自分で新しくカードを作ることが出来るため、バランスを取るのは困難だ。

たくっちスノー「そうだ、この間親父とゲートルーラーやったよな……」

たくっちスノー「確かあのゲームはルールを変化するカードがあったな……」

たくっちスノー「デュエマもルール・プラスとかいうの作ったことあるし……」


たくっちスノー「‪!!!」

たくっちスノーは行動に移した。
新パックを『ルール追加カード』で統一して、ただ高火力や即勝利カードを1枚用意しても勝てないように環境を用意した。

ルール追加カードを無視するカードも当然ブランクカードから作られたが、なんか癪に障るのでたくっちスノーは監視して即座に禁止カードとして指名した。

だが、事件が起きた。とあるオレタチカードを転売する輩が現れたのだ。
カードの効果は傍から見たら普通に見えるのだが…
このオレタカでは、自分の制作したカードが転売されることを防ぐために、自分で作ったカードを販売することしか出来ない
だがしかし! このカードは……

たくっちスノー「これってフューチャー・ハンドだよな…」

フューチャー・ハンド。
それは某ゲームに登場したカードで、相手モンスターの他に相手プレイヤーも破壊できるカード。

当然ジョークカードの類いなのだが、オレタカにも同じようなカードが作られていた。
たくっちスノー「いや……でもまさか実際に相手選手を破壊出来るわけが…?」
また、相手プレイヤーを破壊出来るカードというものは数多く存在するが、このカードは相手を指定したターンに破壊出来なかった場合、次の自分のターンで強制的に発動する効果を持つ。

たくっちスノー「つまり……これ転売されたらゲームが成立しなくなるな……」

オレタチカードバトルは、新しいカードを新しく作ることに関して規制が少ないが、このカードだけは例外として禁止された。
また、このカードを作ったプレイヤーの名前は伏せられたが、ゲーム業界に激震が走ったのは言うまでも無いだろう。
だがしかし!

たくっちスノー「うわ…今度は直接攻撃じゃなくてプレイヤーを直接呼び出すカードが出て来たぞ……」

たくっちスノー「ゲームバランスを考え直さないと……」

たくっちスノー「ってもうこんな時間か」
オレタチカードバトルは発売されたから日が浅いにも関わらず、とんでもない事件を次々と生み出して行くのだった。
______
オレタチカードバトルの環境は一日規模で変わり、その度に新しいカードが作られては消えていく。
プレイヤー達は飽きることがないが、人気が出るかどうかは別である。
そしてとある1日での環境の変化でも事件が起きたのだった……

たくっちスノー「よし、第4弾パックの目玉カードは特定カードを墓地に5枚揃えるルール追加カードだな……」

たくっちスノー「現環境は今……」

たくっちスノー「使用デッキ一単100%!?馬鹿な!みんな同じデッキを使うなんてこのゲームで有り得るのか!?」

たくっちスノー「いや……待てよ、このデッキは……」

たくっちスノー「これは!!まさか!!」
そう。そのプレイヤー達のデッキは単純明快……

たくっちスノー「全部……ブランクカードで構成されている……」

まだ一切の手も付けず、何の効果も持っていない真っ白なブランクカードを直接デッキの束にしている。
そう、もはや事前に効果を作るのではなくゲーム中に場に合わせて効果を作ることが環境のルールとされた。

______ オレタチカードバトルには、自身の資産を使って構築したデッキとブランクカードを使用して構築するデッキが存在する。だが今や既に『効果が決まっているカード』など、その場で作られた時点で紙クズ同然、そんなゲームになっていた。

たくっちスノーは……スターターデッキ、パック、ブースターの販売停止を発表。
ブランクカードを刷る速さを5倍にして、1人枕を濡らして泣いた。

おわり。
最終更新:2023年11月21日 19:50