こんなにもマジアベーゼ様にあこがれて

「オラァァァ!!」

朝から晩まで鍛錬鍛錬鍛錬………
羽刈ギンガはしごきにしごかれていた。
朝はレオパルドによる弾幕の雨、最近は除け者にするのは可哀想だからとネロアリスも参加している。
ミサイルを全部跳ね返して突っ込もうとするが、額にマグナムを打ち込まれて敗北する。

「う……何故だ、何故……」

「ヴェナリータが言っていたんだが、私らってのは欲望とかそういうのが力になってるんだ、高まりまくると魔力が昂って勝手に変身もする」

「お前言ってたよな?その異次元空間……自前って」

「じゃあドラグヒースとしての魔法は?」

「…………」

「まさか使えてないのか?」

ドラグヒースは……まだ魔法が何かも分からないし、使えているのかも分からない。
1度ヴェナリータにも同じことを伝えたが、「まだその段階に入りきれてないだけ」とはぐらかされてそれっきりである。
その為必死になって異次元操作のみを鍛えているが……


「ネロアリス!!」

「ちっ!」

ヒースが悩んでる暇もなくネロアリスがドールハウスを展開する。
ネロアリスが用意したドールハウスの中では全てが彼女の思いのまま、そこに入った相手さえも人形のようにコントロールすることが出来る。

ドールハウスの中にはドラグレジスターの人形がある、DVDを見たあとこりすが個人的に購入した物だ。

「ドラグレジスターァァァ!!」

怒りのままに異次元パンチで殴りかかろうとするが、異次元の先から拳を掴まれて引っ張り出され、そのまま一方的に殴られてしまう。
数分後にネロアリスがおねむの時間になり魔法が解除され、ただの玩具に戻る。


「ドラグレジスター………!!あいつらが、あいつらがツキミを殺したんだ」


「違うだろ」

特訓部屋の扉が開き、ルベルブルーメとロコムジカがレオパルドを追い出そうとする。
「次はこっちの番だ、さっさと帰れ」

「ちっしゃーねーな」

「………そいつもやるのか?」

「当然よ」

休む間もなくロコムジカとルベルブルーメ相手による鍛錬が始まる。
ベーゼ加入以前から2人一緒になって魔法少女狩りをしていただけはあり、その内容は朝のレオアリよりずっと過酷だった。
何よりブルーメに熱が入っており非常にスパルタだったので休む暇もなかった。

「立て!!妹の仇の為に魔法少女をぶっ倒したいんだろ!!」

「ちょっと、いくらなんでもやりすぎじゃないの!?」

「龍華……!!」

ドラグヒースもたた黙って倒れる訳にもいかず、ベーゼの時の為に取っておこうとした龍華を解放、影を作らせないように明かりとなるものを破壊しようと飛ぶが……

「らッッ!!!」

ノーマークだったロコムジカの音を操る魔法による音波攻撃により、空まで上がれず叩き落とされ、落ちてくるタイミングに合わせてルベルブルーメの追撃のドロップキックが炸裂する。

「べぼっぐ………」

更にマウントポジションをかけ、パンチの連続、これにはロコムジカも様子がおかしいと焦りルベルブルーメを引き剥がした。

「あんた普段そんなことしないじゃない!?コイツの事嫌いなの!?」

「心配するな、嫌いとかそういうのじゃない、こいつに分からせてるんだ、これが魔法少女の強さだ」

「う……?」

ボコボコに殴られて打ちのめされたキースにブルーメが詰め寄り、重々しく耳元で呟いた。

「お前の妹が死んだのは悪の組織のせいだ、魔法少女は悪くない」

「でもお前は龍魔帝国に復讐できなかった、そりゃそうだ相手はバケモノだからな……だからお前のように人間の見た目をしてる魔法少女を責任転換で憎んだ、簡単に殺せると思ったから」

「魔法少女も悪の組織もナメるな、もう分かってると思うがな」


「もういい終わりだ、帰るぞ」

「う、うん……」

ドラグレジスターを見て、全部知って、真実を見て……この答えを出した。
ドラグヒースは言い返すことも出来ず、泣いた。
何が悪いのか、龍みたいな化け物と人間なら人間の方がよほど殺せるじゃないか。
それで世界を守る人間がいなくなって滅んだとしても知ったことか、ツキミがいない時点でギンガの世界はもう滅んだも当然なのだ。


「泣き終わりましたか?」


「ベーゼ!!」

時間より早く終わったのでもう既にベーゼが待機していた。


「おさらいですが、私なりに調べて我々エノルミータの魔法はその人なりの性格が出てるんですよね、占いみたいな曖昧さですが」

「魔法少女をめちゃくちゃにして、その姿を眺めたい私はひたすら彼女達を苦しめることに特化した生物を作成………目立ちたがり屋のレオちゃんは火薬や兵器といった派手な物を使い、人形が好きなネロちゃんはそれらのコントロール、さっき貴方が戦ったあの二人はアイドルになりたいという夢とそれを影から応援することの現れ………」

「じゃあジュエリーロジャーとキスマークはなんだっていうんだ……」

「ぽぽりさんは聞いてみたら宝石の魔法でした、まあお金が好きなあの方にはピッタリですね、キスマークの時間停止は……考えたくもありませんが大方貴方の思ってる通りです」

魔法は自分のやりたい事や気持ち、欲望、ほれを表しているのか……
思えば自分には復讐心しかなかった、今必要なものを出せばいい。
何が必要か?自分に必要なのはツキミだけだ、欲しい、欲しい……欲しい、あいつに会いたい。
銀河というひたすら広大で真っ暗な闇を照らす、あまりにも小さいが美しい月の光。


「ツキミいいいいいいい!!!」

ドラグヒースは覚醒した、何がしたいのか、何が出来るのか、ようやく分かった。

「ああ……ずっと見えてなかった!こんな所に……こんな所に居たんだ!!ツキミ!!」

ギンガに芽生えたエノルミータとしての新魔法………分身。
それもただの分身ではない、羽刈ツキミの偶像。
1番彼女に近い人間だからこそ生まれた、都合のいい妹、出来のいい偽物。
ベーゼにも認識出来る幻覚では無い代物。

それを見たベーゼは……改めて鞭を構える。


「感動の対面は終わりましたか?続きを始め___」

言い終える間もなく、巨大な龍の腕が真下から現れベーゼを掴みあげる。
(ぐ……!?パワーもスピードも桁外れ、今までの何倍も進化してる……?)

「見ろ!!見るんだツキミ!!やったぞ!!魔法少女をこの手で、この手で殺すから見ていろ!!」

(ああ、そうか)

ベーゼにとっての魔法少女は
ヒースにとってのツキミなのだ。
愛する者がそれを邪魔するものに負けるはずがない、これは愛だ。
ようやく力の源を見つけた………


(今回は……おしおきの必要はなさそうですね………)

ベーゼはそのまま意識を無くし、ゆっくりと眠りにつく。


………

そして、しばらく経って騒がしい声で目を覚ます。
キウイが何か叫んでいる、魔法少女でも来たのだろうか、うてなはゆっくり目を開けた。

「どうかしまし……え?」

そこにあったのは、今まで見たことないほどのブチギレ顔で人を殺さんばかりの勢いでギンガの顔面に拳を振りかざすキウイ、もう既に顔は原型を留めていない。
それだけを見てただ事ではないと真っ青になったうてなは自然に体が動きキウイを止める。

「キウイちゃん!!キウイちゃん!!死んじゃうから!!」

「いいんだッ!!!こいつはな………こいつは!!!そこにある金属バットでうてなちゃんの頭叩き割ろうとしてたんだ!!」

「え!?と、とりあえず誰か!!ギンガさんを医務室に!!」

………

ギンガは治療され、改めて真珠、ネモ、キウイと共に話し合いをすることに。

うてなはまず、鍛錬の際に初めて敗北したこと、覚醒した魔法とその様子を話した。


「いやそれ……明らかに良くない方向にイッちゃってない?」

「なるべく触れなかったけど……そこまで病んだシスコンだったのかアイツ」

案の定真珠達はドン引きしていた、キウイの方も見るが今も鬱憤が収まりきれずマグナムのリロードを繰り返していた。

「キウイちゃんが止めてくれなかったら私は……」

「あいつは……あいつ目がマジだった、ほっといたらうてなちゃんどころか変身しなくてもマジで魔法少女を殺すよ、どんな手を使っても」

「うーん……それはライン超えなので避けたいところですが」

悪の組織と言えど殺人鬼ではない。
社風的に現実的な手段で人を殺すような人間にはさせたくなかったが、こんな風になるまで追い詰めた一同にも責任が無いかと言われるとそうでもない。
しかしアニメを見て、現状のギンガの状況を見てそのままにしておくわけにもいかないが………

「本当ならこんな事したくないけど一つだけ妙案があります」

「ドラグレジスターには悪いと思いますが……」

そして決行に移る。

マジアベーゼの姿でギンガの所に向かうと、顔は包帯まみれになっていたがその瞳は光を失っていなかった。
いや、ようやく照らされたと言っていいだろうか。
暴れないように両腕は拘束されて、息は荒々しい。

妖美な顔で顎を撫でながらベーゼは耳元にささやく

「喜びなさい、ドラグレジスターが見つかりましたよ、貴方の力を今こそ見せるときです」

「ドラグレジスター……!!ドラグレジスター、倒す、倒す倒す!!」

ギンガは魔法でツキミが生まれると、檻を破壊して突っ込んでいく。

「今です!」

ベーゼが合図すると一同が時空の渦を作る準備をすることで通常より大きな物を作り出す。
その中にドラグヒースは突っ込んで行った。


「ふう……イノシシなのは相変わらずですね」

「本当に大丈夫なの?」

「復讐を果たすという意味では嘘は言ってないので」

時空の渦の行先は龍魔帝国。
今のドラグヒースなら龍魔帝国にも勝つことは出来るだろう、ヒーローより先に悪を倒して物語を終わらせてしまうことになってしまうが、背に腹はかえられない。
様子を確認する為にネロアリスからベーゼ人形を貸してもらい、アリスの力で操作することで安全に様子を確認しに向かった。


………中は惨状だった、城の中が血の海で鉄臭い匂いが辺りに充満。
ぐちゃぐちゃになったドラゴンの山であった。

(私……下手したらこんな風になっていたんだ)

急いでドラグヒースを探すと、奥の部屋でドラグレアの首をへし折っていた。
単純じゃないか、怪物だって生き物なんだ、マガイモノじゃない、殺せるんだ。

「おめでとうございますギンガさん、ほら、ちゃんとやれるじゃないですか」

「魔法少女に逆恨みしなくても、こうして妹さんの仇を取れたじゃないですか」

「妹の……あれ?こいつ、ドラグレジスターじゃ、あ、れ?」

ギンガは我に変えってこの状況を見る。
ドラグレジスターが許せない、龍魔帝国に妹を怪物に変えて、人に戻さず殺した魔法少女が許せない。
龍魔帝国に喧嘩は売れない、あんな大きなものに立ち向かえるわけない、でも魔法少女はただの子供だから………自分でも殺れる。
そう思っていたのに、魔法少女には手も足も出ず、龍魔帝国はいとも容易くあっさりと壊滅してしまった。

復讐は正しい形で終わってしまった、妹の仇は打てた、打てたのに納得出来ない。
ではこれから自分はどうなる?ツキミはいない、魔法少女を殺すと誓って頑張ってきた自分の思いは無駄になった?復讐が終わって自分はこれからどうすればいいのか?

「これからの事は、貴方次第です」


「………帰ろう、ツキミ」

「でも………立ち直るのにはまだ時間がかかりそうですね」

___

あれから数日、ギンガは姿を消した。
ドラグレジスターも大騒ぎだろう、本来のアニメの展開を歪めて勝手に悪の組織を壊滅させたのだから。
自分達もそうなっても何の文句も言えない、その時は魔法少女であれば受け入れよう。
…………あれが正しい選択だったのか、うてなは今でも悩んでいる、しかしギンガは最初からこの為にエノルミータに入ってきたのだ。

「おはよう、うてなちゃん」

「あ、うん……おはよう」

気分が優れない日が続くが心配かけたくないので笑顔を崩さない、またいつものように魔法少女と戦い虐める日々に戻ろう……そう考えていた時だった。

「ツキミ?」

「え?」

うてなは何かに引っ張られてハイエースに乗せられる。後ろの座席に乗せられた後急発進してそのまま遠くへ運んでいく。
助手席にはギンガが座っていた。

「ギンガさん!?どうしたんですかギンガさん!?というか運転席の人誰……」

「ツキミ」

「心配しなくていいの、ツキミ、今からお姉ちゃんと一緒にいいところに行くんだから」

「ひっ……」

うてなでも恐怖を覚える、顔面の包帯は相変わらずだが目の光はより狂った色彩をしている、認識阻害を受けていた時の魔法少女を見ていた時のようだ、まるで人の顔ではないというか……クレヨンで書いたような………


「た、助け」


「ひっぐううううう!!?」

車のドアに手をかけようとした瞬間、お尻に衝撃が走り悶える。この感覚は覚えている、時間停止した時の……途端に恐怖を感じる。

「抵抗したらまたお尻でイカせますよ、マジアベーゼ様、いや柊うてなちゃん?」

「あ、貴方………まさか………キスマーク……なんですか………」

うてなはここで初めてキスマーク…夢見しゅくびが男である事を知る。
そして何をしたいのか……相手が女装していた男性で、これまでの異常な愛とプレイ、そもそもいい歳した成人者が女子中学生を性的な目で見ていたという事実。


「こ……こわぃぃ……貴方たち、最初からグルだったんですか………」

「ギンガにそこまでの脳ミソはありませんよ、家庭環境に問題があって妹を守るということでしか生きる理由を見いだせないバカをここまで誘導するのは大変だったけど」

「ゆ、ゆう………どう?」

「マジアベーゼ様、貴方知ってますか?時空にも時差があって世界によって時の流れが違う、この世界の一日がある世界では30日……この理屈で言えば、私の時間停止も1度外に出れば1分でも場所によっては30分使える!」

「大変だった……時を止めてこの子の妹を誘導し、怪物に仕立てて、エノルミータ行くように細工して……貴方の組織も大きくなって」


「貴方、どこまで……」

うてなは怖くなる、扉に触れる度ケツを弄られてその度にイクがそんなの構ってられないくらい必死に開けようとする、内側なのに、鍵は開けたのに開かない。

「ずっと気になってましたよね?特別に教えてあげます」


「エノルミータが大きくなったのはスターアベネスのおかげです」

「スター……アベネス……?」

「そう…あの人は貴方を利用したかった、そして私の願いを叶えてくれた、小さい女の子を犯したいという願いを!」

「でもこれ以上知る必要はないですよ………だって貴方の人生はもう決まってる、一生私の」


「……!」

「あ、ベーゼ様になれば解決すると思った?ざーんねーん」

「だって、私の本当の魔法は時間停止じゃなくて貴方を犯す為の全てを成功させる為の魔法なの、だからトレスマジアにはあっさり破られたけど、あんなのどうでもいいから」


うてなは絶望にまみれハイエースの窓を力強く叩く、助けて、助けて

「助けて、助けて、助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて」

「ねえ、うてなちゃん、現実を見なよ」


「魔法少女が相手をするのは悪の組織だけなのよ?虚飾なんだから」

「う”……あ………」

ヒーローが戦うのは悪役だけ。
犯罪者を止めるのは魔法少女ではない

怪物を倒し、未知の存在を殺し、人々から愛される………


そんなもの誰が決めた?


銃声が響く、タイヤが全て撃ち抜かれてスリップする。
「なんで!?なんでタイヤが……」

撃ち抜かれてスリップした車の前に立ったのは……



「地獄でやれ、クソ野郎」


「レオ……ちゃん?」

レオパルトだ、たとえ悪の組織でも、人類の敵でも、柊うてなにとっての可愛い魔法少女、それがレオパルドであり阿良河キウィだ。


「うっ……!」

咄嗟に時間停止を行おうとするが、爆風に包まれたまま時が止まる。キスマークの座席に軽めの爆弾を仕込んでおいたのだ。

1分間燃えるような苦しみに包まれ……いや、止まらない。
スターアベネスはそういうやつだ、楽しむだけ楽しませて、最後で願いにどんでん返しを付け、その苦しむ姿を愉しむような性格の悪いクソアマなのだ。
スターアベネスの願いの力は都合が悪くなると所有者が苦しむように出来ている、これから先キスマークは永遠に止まった時間で炎に包まれ続けるのだ………

「なんで………私はただ………好きなように虐めて、好きなように女の子を犯して、毎日楽しくやってる……」

「マジアベーゼ様に………あこがれて…………」

………

レオパルトはうてなとギンガをハイエースから出すとガソリンに引火して爆発した。
近くからパトカーのサイレンが聞こえ始める。

「うわやっべ、サツが来た……」

急いで変身を解いてキウイに戻る、間一髪はるかがうてなの所に走って追いかけてきた。

「はるかちゃん………?」

「う………うてなちゃん!!急に捕まったから、ビックリして、警察呼んで……それから……」

「う”………う”ぇっ、うえええ………」

何もかも滅茶苦茶だ、全部私の自業自得だ。
軽はずみに部下を選ぶんじゃなかった。
柊うてなははるかの胸の中でずっと泣き続けた。


……


数時間後。

「エノルミータの新人がスターアベネスから力を借りていた………あのうてなって子はそう言ったのか?」

「うん………」

嫌な予感を感じたはるかは小夜、薫子、ヴァーツ、たくっちスノーに朝起きた事を説明していた。
当然あの後うてなは学校を休み、キウイも無断で学校を抜け出している。

「スターアベネス?危険帳簿に名前はあるな」

「俺が知ってる中で最悪なクソ女だよ……どんな願いでも叶えられる力を持つ」

「そうか、分かったよ………なんでエノルミータの規模が急にでかくなったのか、ちょっと前のアイツは何かと育てることに凝ってた……自分がワルになるよりワルを育てる方にシフトチェンジしやがった」

「迷惑な話やな」

たくっちスノーは刀を構え、時空の渦を大きく広げる。

「本当はもっとお前らを鍛えたかったがスターアベネスが関わってるなら話が別だ、1回ぶち殺してこないと気がすまねえ」

「俺のライバルとして作られたのがアイツだ、責任は俺にある」

「………」

「はるか、小夜、薫子、エノルミータは任せた、俺は大元をやる」

どこに行ってもたくっちスノーある所に事件ありは避けられないらしい。
今回は洒落にならない、スターアベネスのせいで1人の女の子の人生が滅茶苦茶になったのも同義だ、その子はアベネスより前に滅茶苦茶にされている事は知らないが……
今やることは1回スターアベネスを細切れにして拳の振り上げ所を探すしかない。


………はるか達がそれで納得しなかったとしても、たくっちスノーはもう決めた。

「何言うとんねんお前、急にうちらの所に勝手に現れて、しまいには勝手に帰るんか!?アベネスとかいうやつもお前も自分勝手やないか!?」

「薫子ちゃん…いいんだよ」

「うてなちゃん…車の中で酷いことされたって、私、何も出来なくて」


「時空でも通用して、貴方よりも強い魔法少女になりますから!!」

「はるか…………」

はるかも今回の件は堪えた、何せエノルミータのような便宜上の悪の組織ではなくガチ犯罪者なのだから、時空犯罪者を相手するということは時にそういうことなのだ。
小説カキコでは規約に引っかかるから出してないだけで時空を超えたレイパーは山ほどいる。

「あれ?ちょっと待って」

ヴァーツはなにかに気付いたようでたくっちスノーを引き止める、はるかにもたくっちスノーにも見てもらいたいようだ。

「エノルミータの反応がずっと時空にあるんだ、ここから移動を続けてる」

「これ………この世界から抜け出した?」

「何?」


………

同じ頃、キウイはうてなを背負い、他のメンバーを連れながら時空間を歩いていた。

「ごめん……」

「大丈夫、もうちっとしたら休むから」

ヴェナリータは地図を見ながら、スターアベネスが居たとされる場所を探す。
暫くは時空列車に乗って長い旅になるだろう。

「君だけが悪いとは言わない、こんなヤツに気付けなかった僕にも落ち度はあったさ……僕にとってもコイツは都合が悪いからね、どれだけ時間をかけてでも倒さなくては」

「ヴェナさん……」

「ギンガさんは……どうしました?」

「彼女はもう仕方ないと受け入れるんだ、悪の組織どころか普通の人として生きていくのも大変な状態だ」

「…………ギンガさん、ごめんなさい」


………


「スターアベネス」
「逃げ場があると思うなよ」



「あいつは」

「あのカスは」


「俺/私が殺す!!」


物語はここで止まる、でもいつか続くはずだ。

魔法少女にあこがれていたあの戦いを取り戻すために。

最終更新:2024年05月06日 13:35