「……で、俺が必死こいて金出してバイトしてお仕事しようって間に俺やアンタはあのアホのめんどくさい気まぐれに巻き込まれたと?」
「一番巻き込まれてるのは吠くんだと思うけどね……」
お茶を啜りながら現在の状況を振り返る
野獣先輩とポチ、振り返るとこいつずっとアルバイトしかしていないしその代金は結構黒影に費用として持ってかれているのでマゼンタからトレスマジアカレーとかタイアップ食品を食べて生きている。
一応配信業以外にもネットでやりとりして現在はポチが雇用先ということにしてリモートで他の魔法少女と商談してミリィの協力も借りているのでなんとか上手くいってる。
「ちなみに何人と契約出来たっすか」
「3人、といってもブラッディ☆ドレス世界だからいつ死んじゃうかも分からないけど」
「そこらへん魔法少女はシビアっすね……それで問題は遠野だよ遠野、あのバカが独断でやったアレ分類的には神隠しとか誘拐だぞ?」
「バイト代稼いだところで吠くんを帰してくれるわけないだろうしね……だってほら見てこれ」
ポチは開封済のダンボールを見せてくる、そこにあるのは大量の指輪、吠や真銀が持っていたセンタイリングと呼ばれるものでありそれがなんと10種類もある。
黒影のコネにも限界があるので無理矢理倒してぶんどってきたとしか思えない。
ちなみに
リアルワールドだと確認されているスーパー戦隊は50種類だが時空には視認されてない戦隊とかが山ほどいるのでこれでも三分の一にも満たない、テガソード様は結構厳しいのである。
「そいつ必要な奴に渡しておけばいいんじゃないスかそれこそ遠野とか」
「いやぁ吠くんに見せたらいよいよ後戻り出来なくなるよ彼……真銀ちゃんもサルファが絶対に渡すなってね」
「じゃあどうすんだよこの指輪、柄が派手すぎてアクセサリーとしても使いたくないゾ」
「ふーむ一応トレスマジアに相談してみるか」
◇
ということもあり自動受け渡しシールを貼った結果、薫子の家に届いたので改めて薫子の家ではるかと小夜とヴァーツはこれどうしようという結果になった、どうして薫子の家かというと真銀が最近薫子の家に居候しているからじゃないのかという結論になりそこは一旦無視。
一つ確定したのは面倒なものよこしてきた
時空監理局は一回しばくかと決めたことである。
ポチは既に一発いいものを貰ってた。
「うわぁ……結構強引な手を使ってきたね」
「とりあえず君の組織はなんとしてもこの指輪の戦士並びに遠野吠をこの世界に残しておきたいみたいだね」
「なんでよりによってこの世界なんだ……って俺も思ってるよ、ごめんね巻き込んで……あっそうだ!君等の武器にするっていうのはどう!?」
「えええ!?」
何も戦隊に変身しなくてもリング自体に能力が備わっているのでトレスマジアが指にはめるだけでいいと思っているがはるか達からすれば世界観も雰囲気も違うので絶対合わないと断ろうとするはるか、試しに薫子に付けてみたら指輪部分があまりにもデカくてオモチャみたいで不自然だ。
だがそこに真銀が10本だから全部の指にはめてみると……なんだかメリケンサックみたいになってしまった。
「よく似合ってますよ姉御〜」
「おーそうかお前で殴り具合を試したるわ」
「うーんファンシーじゃない!よし分かった、要は君達のイメージに合わせればいいんだね!」
ポチの得意分野は創作と改造、フィギュアやゲームまで既存のものを作り替えることに関しては
たくっちスノー以上に優れている。
デザイン案を聞くと
マガイモノの体にしまっていた設備を取り出して10個のセンタイリングを改造していく。
勝手に改造していいのかと思うかもしれないが状況に応じてリングにも戻せるからテガソードも見逃してくれるはずである……多分。
「というか聞いておくけど全部サルファが使うってことで異論ないの?」
「いやぁあたしはそういうの使いこなせないし……」
「私も既に真化があるからそこまでの物はまだ必要ないと思ってね」
「まあウチも真化を得るまでの足しにしておくぐらいや」
「ふーん、まあセンタイリングのカモフラージュにもなるか……ここで争奪戦されても困るし」
武器作りは専門ではないがニチアサチックなアイテムならオタクとして得意分野なのでそれっぽいものを完成させた、センタイリングの力は損なわずそれでいてトレスマジアっぽいお洒落なデザインに仕立てて作り替えた。
マガイモノ成分さえあればわりと変化とかなんでもありである、ただの手袋にしか見えないがはめてみるとパワーを感じられる。
「君って説明書は読み込むタイプ?」
「ゲームとかは基本感覚派や」
「ならセンタイリングの十個の能力だけ説明するね、使いたいものを念じるだけで使えるようになるから、まず……」
ポチが話し終える前に
時空の渦から手紙が届いてくる、はるかが切り取ってみるとなんとそれはエノルミータからの手紙だった。
トレスマジアの正体は知られていない、時空の渦を通した手紙は確実に持ち主に届くのでこの中で推測できる狙いはポチか真銀である。
真銀は面識があまりないし吠と同じほぼ無関係な指輪の戦士であると考えるともうポチしかいない。
「悪の組織じゃなければ女の子からの手紙なんて嬉しいところだがどれどれ?」
ーーーーー
時空監理局 局長補佐ポチ様
こんにちはマジアベーゼです。あなたのことちゃんと見てます。
各地を回って時空を管理するなんてずいぶん忙しそうですね、そんな貴方にちょっとしたお誘い。
私の元に来てくれませんか?
別に命がけのバトルをしたいわけはありません。ただ、あなたがどれほどのものか、この目で確かめたいだけです
場所は屑の森の古い時計塔。明日の夜、月が一番高く昇る時間にひとりで来るように。
誰かを連れてきたら、つまんないことになりますよ
…あくまで冗談ですが本当に1人の方が都合がいいですよ
逃げないでください、貴方に時空監理局の誇りがあればの話ですが。
マジアベーゼより
ーーーーー
と、なんとマジアベーゼから直々にポチをご指名しての宣戦布告。
トレスマジアにあまりにも近付きすぎたのでいずれこの時が来るとは思っていたが……とポチは言われるがまま目的の場所へ1人で向かおうとする。
「いや待てや、アンタ前々から弱いって言うとったやろ」
「へーきへーき!俺戦闘力無いだけで不死身だし!勝てないけど負けることはないってわけ!」
と、実際ポチはマジアベーゼに対して油断しきっていたので背後に居たマジアベーゼに首をトンと叩かれて失神した。
本来ならこういう人物に危害を加えることは美学に反するが自分のお気持ちだけではやっていけないしその為のワガママで他の人に押し付けるわけにもいかないのだ。
◇
「あら?」
ポチが改めて目を覚ますとロープで縛られて宙吊りになっており、身動きが取れない状態でエノルミータの幹部たちに取り囲まれて目の前にはマジアベーゼの姿が。
「こうして顔を見て話すのは初めてでしたね、時空監理局さん」
「こう返せばいいのかな?最近注目されているE級
時空犯罪者、エノルミータ総帥マジアベーゼ」
ポチは縛られながら持っているものを確認しようとするが道具などは殆ど無いかと思えばネロアリスが遊び道具にしていた。
「まさか身体が液体みたいになってるとはね……気絶してる間に入ってるものは全部抜き取っておいたわ、もちろん携帯も」
「
マガフォン取られたのはちょっと失態だなこれは……また借金増えちゃうよ、それで俺を呼んだのは?バトルじゃないことは手紙で見た」
「貴方達のこれまでの行いから自ずと察せられると思いますが……まず一言、貴方は出しゃばりすぎたんですよ」
「たぶん黒影局長のことか……悪いけど俺は局長の指示でここに来たわけじゃないよ」
「おいオメー自分の立場わかってるのか?死なないからって調子乗ってるとただじゃ……」
「やめなさいレオちゃん、嘘じゃないと言い切る根拠は?」
「俺はただ魔法少女グッズの権利を独占して監理局のお金を増やせって仕事で来ただけだよ?局長が君を何かに利用しようとしてるなって気付いたのも吠くんが来たあとだ、むしろ俺の仕事だって利用されてるんだからね」
「ん〜〜その仕事内容も個人的に虫唾が走りますがこの怒りは局長さんにぶつけることにします」
「本当に俺はそれだけなんだ、君のお気に入りのトレスマジアに近付いたことは悪いと思ってるよ」
「貴方、補佐なのに局長への忠誠心とかないの?」
「ないわけじゃないよ?でも黒影局長の考えることややることは俺たちの予想をはるかに超えてる、むしろ何もしないで欲しいと思ってるくらいだ」
「…………」
マジアベーゼは考え込む、この男は楽観的な態度でここまでの事を話しているが嘘をついているようにも見えない。
ニュースの態度や彼の発言から局長自体には問題があるようだが、ここまでさらっと言ってしまうこいつは本当に時空監理局なのだろうかと別の疑問が出てきてしまう。
「俺からも質問いいかな、吠くんや他のヒーロー達を殺そうとはしないのは君の美学ってことでいいのかな?」
「美学と形状されるほど大それたものじゃありませんよ、つまらないじゃないですか余計なものまで巻き込んだら」
「ふむ」
ポチもマジアベーゼの事を推測する、悪のカリスマや暴虐で傲慢な存在もいうわけでもない、良くも悪くも純粋。
心の底から魔法少女というもの以外に興味がないのだろう、周囲の幹部たちも何かとアットホームな和気あいあいとした雰囲気がしていたので突然時空犯罪者になったとなれば戸惑うのも無理はないだろう。
「……これ以上質問するのはおこがましいとみた、交換条件は何かな?」
「なんでお前が仕切ってるんだよ、やっぱ立場分からせたほうがいいようだな」
レオパルトは拳銃を突きつけてくるがポチはわざと舌を伸ばして引き金に触れて発砲させる、ポチの額に風穴が空くが彼は平然とする……こんな光景にさすがのレオパルトも冷や汗をかいた、イカれてると思ったのは初めてマジアベーゼと対峙した時以来である。
「時空監理局は歴史上は数百年前から存在してるけど俺たち5人の上層部以外は人の迷惑や事情も考えず好き放題しているだけで何の役にも立ってない、それが副局長の言葉だ」
「だったらその5人の上層部の情報全部教えなさいよ」
「いりませんよロコちゃん、私達はこの組織と全面戦争がしたいわけではありません……気になるのは、どうすれば我々はここまでの騒動と無縁に生きられるか」
つまりマジアベーゼの要求とは別世界のなんとか星人だとかヒーローだとか魔神だとかそういった外部の影響を受けずに以前のようにエノルミータとトレスマジアの戦いだけで完結するように静かに生きたいという、確かに彼女からすれば迷惑以外の何物でもない……そこで時空監理局に脅しをかけてきたというわけらしい。
局長の動機が面白そうだったからこそ、好き勝手に自分の愉しみを邪魔した彼を許せないということが分かった。
「さて失礼ながら再度質問、それを無理ですと答えた場合俺はどんなお仕置きをされちゃうんですか?その鞭でめいっぱいしばかれるというのも悪くないよ」
「ベーゼちゃんがお前みたいな変態にすることなんか何も」
「お仕置き?そうですね、勿論考えてますよ、ただしお仕置きというよりは拷問みたいなものですが」
「は!?逆にそれ以外のこれまでって拷問じゃなかったの?」
「こいつこういう所イカれてるよな……」
「なるほど、じゃあ俺もちょっと脅しかけるよ……君ら変身者にとって身バレは一番の天敵だ、トレスマジアの認識阻害はバッチリ俺にも効いたから時空の奴らも正体は分からない、けど俺は違うよ」
「トレスマジアの正体ネタバレしたら本当に私どうなるかわからないからな」
「きみ拷問の時よりキレてない!?……君らのその露出度が仇になったね、俺女体好きだからさ元々こういう形で特定は容易なのよ……骨格、肌の質、ほくろの数、体の癖、体毛、傷跡、スリーサイズ、胸のハリ、乳首と乳輪の形と色、鎖骨の出かた、あと体の癖……ちょっと見ればあっという間にプロファイリング出来るし、俺は既に一通り覚えた」
「ま、まさかこいつ!」
「俺はエノルミータの君達ほぼ全員の正体を特定できる」
ポチには絶対的な自信があった、武器はないがデータをまとめる力はありキャラクターの情報集めはお茶の子さいさい、ここから出てしまえばトレスマジアや黒影には内緒で誰がどんな存在なのかわかる。
流石に乳首以降まではハッタリだがレオパルトは血管がバチバチに切れそうなくらいブチギレていた。
「この野郎〜……ベーゼちゃんの乳首の色や形まで知っていいのはアタシだけなんだよ……死ぬまで殺してぇ〜……」
「うわっこの人気持ち悪……」
「こいつにキモいとか言われたらおしまいね」
素で引いたベーゼはもう有無を問わずに一回拷問かけたほうが良いと決断してネロアリスに指示をして例の物を持ってこさせる、その持ってきたものを見て何をするのか察したポチは流石にビビり散らかす。
「ま、待って君!!まさかやることって」
「炭酸水トレーニングって……ご存知ですかぁ?」
持ってきたのは無糖の炭酸水、それもバキバキに強力な奴。
それをコップに注ぐとベーゼは準備を始める。
「ねえ炭酸水トレーニングって何?」
「簡単に言うと男のアレに炭酸水入りコップ突っ込むんだよ、そうすると色々あるんだよデカくなったりとか」
「マジかよ……」
「いやそれエビデンスないからね!しかもめちゃくちゃ痛いし!!良い子は真似しないでね!!」
「とりあえず5分くらい漬けておきますか」
「ごふんんんんんん!!?俺の息子死んじゃう!二度と発射できなくなるからドS行為はなるべく快楽を誘うものがいいなぁ俺!」
「どーせ彼女もなしにシコシコと自家発電しかしないんだろお前」
「あっ今お前自家発電バカにしたな!?ちょっと可愛くておっぱいがデカいからって舐めてるといつかわからせ展開に……」
ポチも焦って暴れるがレオパルトとルベルブルーメに取り押さえられてベーゼはズボンに手を触れる。
年頃の女たちが男の恐ろしい化け物みたいなソレを見ても大丈夫なのか!?と思うかもしれないがベーゼ達は前もってヴェナリータに別の認識阻害を付けてもらったので男のソレは椎茸にしか見えないようになってる。
「レオちゃんしっかり押さえといて」
「オッケーこっちは準備出来た」
「あの……俺今のサイズで満足してるからこういうことやめよ?」
「えいっ」
「アーーーッ!!!」
容赦なくコップの中に突っ込まれるポチの相棒、炭酸水に漬け込まれて容赦なく激痛が襲いかかる、一説では無数の蜂に刺されたような痛みが走り推奨される時間もわずか1分くらい、これを5分間ということがどういうことなのか……。
とりあえずマガイモノの体じゃなかったらショック死してることは確かである。
◇
「え?あいつマジアベーゼの所に行ったんスか」
その一方ではるか達はポチが1人でベーゼの所に行ったのが心配だったので変身してわざわざ無理を言ってバイト中の野獣先輩を呼び出した、野獣は正直ポチを助けに行くなんてめんどくさいので断ろうとしたが自分に助けに行けと命じてるわけではなさそうだったのでまあ話だけでも聞いてみることにした。
「ポチさんが大丈夫なのか聞きたくて触ってみたんだけどこのマガフォンっていう携帯みたいな物の使い方が分からなくて」
「あのバカ……うちの副局長が面白がって変な機能入れまくったからめっちゃ複雑なんスよそれ、ボタン山ほどあるし」
マガフォンの使い方は思ってるより複雑である、たくっちスノーは「盗まれても防衛になる!」と言い張っているがこだわると変な機能を入れたがる要するにバカなだけであり正直な所マガフォンを使ってるのなんてあいつくらいである、野獣先輩とか全く使っていないので正直電話の機能すらよくわかってない。
電話は押したらマジアベーゼが出てくるかもしれないから避けながら良い感じに通信できる方法がないか探す。
「あっ、確かあいつバーチャルリモート機能とか作ってたゾ、立体映像で周囲の状況とか見れる奴」
「なんやそのハイテクなようで微妙な機能……こいつか?」
サルファがボタンを押した瞬間、ベーゼ達の光景が映し出された……映し出されるということはポチが炭酸水トレーニングで拷問されている姿もがっつり映っているということだ、マゼンタ達には股間のモザイク処理は反映されてないのでがっつり生々しいものが映る。
本能でヤバいと感じたサルファは咄嗟にマゼンタの目を隠すがアズールは手遅れでポチの立派なワンコ棒をその目でガッツリ見てしまった。
「キャアアアアアアアアア!!!?」
アズールの甲高い悲鳴でベーゼ達もマガフォンが起動してトレスマジアにこの光景が見られていたことに気付き全員もコレは大パニック、ポチはというと社会的に死んだことが確定して真っ白になっていた!
「と……とりあえず証拠隠滅するしか……」
「全面的に君が悪いよね!?」
「私達の裸の記憶は消えましたか!?」
「消えた消えた!!なんというか色んな意味で俺もそれどころじゃなくなったからそろそろ帰してくれない!?俺大した情報持ってないからさ!!そういうのはたくっちスノーに聞いてよ!!」
あまりの一大事にポチはあっさりと時空監理局副局長を売った。
こうして今回の作戦はド戦犯まみれになったがこの日の夜、うてなは魔法少女にマジで見せてはいけないものを見せてしまったと枕を濡らした。
最終更新:2025年04月22日 21:41