闇のマゼンタVS愛のレオパルト

「よし行こう」

「おい待て!!」

 マゼンタはなんとかなったのでガリュードと戦っているアズール達の所に行こうとするがレオパルトに引き止められて……ようやく自分の暗黒真化を見られてしまったことに気付いて悶絶するがレオパルトからすればベーゼの唇を強引に奪っておいて今更この態度をされると煽りにしか見えないので苛立つ。

「まさかとは思いますが貴方……その姿になるために強引に……」

「ち、違……いや違くない!そうなんだけど!マガイジンの成分を活性化させるために薬が必要かなって思って、じゃあ前に見せてもらったこの姿しかないと思って!!たくっちスノーさんがこうなるにはマジアベーゼの闇の魔力が必要って言うから!」

「暴走したベーゼの魔力ね!しかもキスしろとは言ってないからね自分!!」

 騒ぎを聞きつけて影からたくっちスノーが現れてマゼンタはビックリする、そんなに恥ずかしいならデザインをアレンジすれば良かったのに……と脳内でツッコむが変な所で真面目なので仕方ないかと思い直す。
 ……何気に、たくっちスノーとマジアベーゼが対峙するのはこれが初めてであり、そういえばこっそり盗み聞きしていた時に本来なら自分の魔力て真化がどうこうする予定だったことを思い出してしまう。

「ま……まさかマゼンタが意図的にその姿になったというのですか、なんて複雑な気分……見た目さえ……見た目さえなんとか出来れば……」

「よっ、副局長のツラは初めてかな?紫に縁があるよね元A級さん……って自分もそうか」

「どけぇ!アタシはそのベーゼちゃんに強引に魔力ちゅっちゅしたその淫乱ピンクを仕留めるんだ!アタシでも魔力の混ぜ合いまではやれなかったのに!」

「ふ、普通キスしてそのまま魔力吸い取れるとか出来ると思わないでしょう……今度試してみようかな……」

「ご、ごめんなさいごめんなさい!どうしても必要だったの!」

「しかしまぁお前……本当にフォールンメディックになるとはな……とりあえずあの二人やる気みたいだからお試しついでに戦闘に入るぞ!」

「えっあたしガリュードの所に行きたいんだけど」

「その格好を他の皆に慣れない状態で見せられるか?いいか?まずは決めセリフの練習からだ」

「う……ああ……うん、慣れるために必要なことなんだね!」

 たくっちスノーはイミタシオの教育にも気合を入れていた通り、こういうタイプは結構こだわるものである。
 格好が闇堕ち風と言えど能力はしっかり正義そのもの、後は見た目だけなんとかすればいいので周囲と自分が慣れればいいだけである。

「お……お注射しちゃう……よぉ……」

 その為にまずはハートマークを作って可愛く決めセリフ、格好と震えて恥ずかしさを抑える振る舞いは魔法少女というかそういうお店だなと突っ込みそうになるが真面目にやってるしポチには見せられないなと思い、たくっちスノーとマジアベーゼは発狂したり哀れに思う気持ちを抑え込む。
 多分マゼンタももう少しすれば慣れるはずだが、他の皆も慣れてもらうためにたくっちスノーは写メる、マガフォンともなると2秒で送れる。


「いやああああ!!!マゼンタが!!マゼンタがあのなんかこうエッチな格好になっとる!!おどれあのビッチ蜘蛛女がこいつの後に殺したる!!んみみぃいいい!!」

「サルファが発狂した!!」


 メール先で地獄になっていることは露知らず、たくっちスノーとマゼンタ・フォールンメディック、マジアベーゼとレオパルトの試合が始まる。
 たくっちスノーにとっては戦闘テスト、マゼンタにとっては2つの意味で暗黒真化の慣れの為に戦うことになる。
 時空掃討戦が迫り各陣営がピリピリして戦闘に入っているため、自分達以外誰一人援軍に混ざることは出来なかった。

「そういえば聞いてなかったけど、本来の歴史だとエノルミータの方って……」

「真化のことか?少なくとも本来イミタシオと出会う頃には2人とも真化を済ませている、その点で考えると現状は有利だけどここまでめちゃくちゃな以上は覚悟したほうがい」

 レオパルトは容赦なくショットガンをたくっちスノーに近づけて頭部を吹っ飛ばす、マガイモノが不死だと分かると結構容赦がなくマゼンタも飛び散った散弾が少し当たり顔が裂けるがすぐに再生していきたくっちスノーも肩から新しく頭を増やして付け直す。
 そのままの姿でも単純に戦闘力が上がっているというのはこれほどまでに厄介とは思わなかった。

「いいね2人とも、自分倒せないと黒影を超えるなんて夢のまた夢だよ、まあ自分も10000回くらい負けてたんだけど」

「さ……再生する時ちょっと痛かった」

 しかし再生する身体に対して魔力は有限、特にレオパルトは重火器生成に魔力をかなり消費する上に本気モードも命をすり減らす、ベーゼに関しても星壁獣を作ってもマガイモノを作れるたくっちスノーは上位互換な上にキルロードを用意しても勝てるか怪しい。
 だが勝算はあった。

「ベーゼちゃん、こっちもあのアホとやり合う前にこいつらで試してみようか」

「アレかぁ……確かにそうだけど作られた経緯的に……まあいいか」

 ニュータイプばりの勘でたくっちスノーは二人が真化しようとしていることに気付くがヒーローのお約束として悪役の強化も阻止してはいけないということもあり……何より同じ土俵の方が張り合いがいいとあえて止めない。
 マジアベーゼほどではないがたくっちスノーも大概バトルマニアではある、そうして真化を終えた2人の姿は……やはりというか、本来はじまりの書で見てきた物とは違う姿というより衣装を交換したように見える。
 レオパルトは虫の硬い装甲に背中に蜘蛛の足のような機械と生物が入り混じった物が生えておりさながらスパイダーマン、あるいはドクター・オクトパス……もしくはゲネル・セルタス。
 マジアベーゼはさながら総帥というか女将校みたいになり、軍帽に大きなマント、スタンガンの二丁拳銃で全身ぴっちりスーツスタイル。
 一言で言えば……2人のスタイルを入れ替えたかのようだ。

「違うことは予想していたが……『夜蜘蛛の帷』でもなければ、『クソつよステイト』でもないとは」

「なんでもかんでも本の書かれたままというのは癪にさわりますからね、敢えて名付けるなら『叢雲の獣』と『スパイダーティ』です」

「アタシとベーゼちゃんの愛の結晶だ、お前らトレスマジアの真化とは込められてる物が違うんだよ」

 なお、この真化が開花した理由はこの間のホテルで身体を重ね合った時にお互いの魔力が昂った結果入り混じる形で共鳴して結果的に入れ替わるような形で覚醒したのでヤり続けたことで至ったというのは絶対言えない。
 なお嗅覚が敏感になってポチの悪影響でそういう知識をちょっとずつ覚えてきた上に認識阻害が無効化されているマゼンタからすれば……。

 (レオパルトとマジアベーゼってそうだったんだ……確かに考えてみれば変身前から凄く距離が近かったけど……うわぁ……そ、そこまでいった仲なんだ……)

「おいマゼンタちゃん?」

「はっ!!な、なんとかしないと魔法少女として!露出度ではもうすでに負けてるけど」

 普段性欲に染まりきってるはずのマジアベーゼが肌を殆ど隠しているなか、普段清純なマゼンタが殆ど肌を見せて……いやベーゼのせいで殆どさらけ出しているので特にこっちは違いがないのかもしれない。

「あっそうじゃん、君普段からあの子にひん剥かれてるんだからそこまで恥ずかしくないんじゃないの?」

「それとこれとはわけが違うの!」

「そうですよ!恥じらいがあってこそマゼンタは唆るんじゃないですか!」

「やっぱこいつのランクちょっと上げるべきだったかな……」

「何はともかく……闘りましょうか、貴方もそのつもりだったんでしょう?そしてそのままマゼンタをお持ち帰りして3時間!その後にレオちゃんと4時間です!」

「あっそうそう叢雲の獣に覚醒したベーゼちゃんは性欲が常人の100倍くらいだから気を付けたほうがいいよ、食われたら本当に……癖になって……はあはあ」

「あたし絶対に負けられない理由出来ちゃった」

「自分も絶対イミタシオ呼ばないようにするわ」

 理性を服装にして誤魔化した姿となったマジアベーゼ、スタンガン以外にも鞭も相変わらずだが魔力で異様に伸びて動かなくても好きに動く、隙を見つけて狙撃しようとしてもレオパルトの蜘蛛足がしっかりガードして反撃してくる。
 今回のべぜレオはとにかくガチだ、なにせ黒影を相手取ろうとしているのだから無理はない。
 この様子だと他のエノルミータの面々のパワーアップもあり得るしマガイジン同士でガリュードと戦わせておきたいマゼンタの気持ちも考えると……。

 (はっきり言ってマゼンタに使えるかどうかはまだ試してないが世界の為だ!無くした時の為に百個くらい作っといて良かった!)

「いくぞマゼンタちゃん」

「えっちょっ……痛ああああ!!!」

 たくっちスノーは成分から分身ハンマーのスペアを取り出してマゼンタをぶん殴る、殴った時点で細胞が活性化されて同じマガイモノとして分離されるはずだがマゼンタの頬がぐにゃりと歪んで腫れるだけで終わった。
 どうやらマガイジンはマガイモノと違い分身は作れないらしい。

「なるほど……マガイジンはマガイモノ成分が込められてるとはいえ同じ事は出来ないことは出来ないと……EXEでも出来たのにどういうことだ……?メモメモ」

「やるならやるって前もって言って!」

「オラッ!よそ見してる場合か!」

「あっ……えーとお注射!!」

 マゼンタはフォールンメディックとしての戦術を確立させる為に胸の谷間から注射器を取り出してレオパルトに刺して薬を注入する。
 やってることが正義の魔法少女とは思えないが咄嗟の勢いだったのでマゼンタも作った薬がどんなものか分からないがレオパルトの頭がぐりんぐりん動くので考えなくても分かるヤバい奴だ。

「れ、レオちゃん!?」

「おっおお……アハハっなにこれ!ベーゼちゃんがいっぱいだ!」

「どうしようコレ幻覚剤だ!」

「なんでそんなもん作ったのマゼンタちゃん!!」

「あ……あたしの頭の中で1〜50の番号が出てきて適当に番号振ったらこの薬が!」

「番号!?どんな力だよ……あっそうだ!ディアブロスばかりに気を取られていたが君にはメイドウィンの能力もあるんだった!」

「か、神様の力……?え、えーとえーともう1回!」

 目を閉じて集中する……咄嗟のイメージだったものがしっかり考えてみると鮮明に見える、目の前に巨大なピルケースがあり目の前で開いて番号が振られたアンプルが出てきて1つ取り出すと持っていた注射器に自動で装填されていく。
 マゼンタは薬の名前を書いてほしいと思ったがとりあえず装填して弓矢を作る、先端が注射針になっておりいつでも薬を送れる。

「えっ待ってくださいその薬大丈夫なやつなんですか!?」

「悪い病原体はこれで治療しちゃうよ、えーと……コンタミネーションアンプル!」

「名前が物騒!」

 力強く弓を引いて注射器を飛ばしてマジアベーゼの額に突き刺さる、魔法少女の初必殺技披露は受けておきたいというオタク精神であえて受けてみるがレオパルトがあの始末だったので本当に当たっても大丈夫なものなのか怖くあった、いつもみたいにでっかい攻撃で爆発して吹っ飛ぶ攻撃のほうが良かった……と考える暇もなく頭の中が真っ白になっていき強烈な快楽が走る。

「お"お"お"おっ♡♡♡!!?お"おあああーっ!!」

 ベーゼは膝から崩れ落ちて仰け反り言葉も発せないほどに悶える、元々真化によって性欲が漏れていたのがメントスコーラの勢いで決壊、下の方も決壊してぐしょ濡れの失禁状態となりブリッジしながらアヘ顔キメる珍事態に。
 マゼンタは普段自分がやられていることを意図的ではないとはいえ逆にやり返してしまった上に想像以上に効いてて自分の力に慄く……。

「あたしがやったの……これ……」

「おかしいな、そういうセリフってもうちょっと理性失うタイプの暴走形態なはずなんだが、元を考えると間違ってないんだけど」

 とりあえずベーゼとレオパルトを無力化出来たので本来の目的通りガリュードか黒影の所に向かって援護……と言いたいところだがこのメイドウィンの力が混ざったフォールンメディックの恐ろしさを前にしてそうとも言えなくなってしまった。
 50種類あるだけでも分かっているのは幻覚剤と高濃度の媚薬……多分残りの48種類もろくなものではないだろう、マガイモノ抑制剤に関しては成分を加工して作り出したのでノーカンである。

「あたしずっと暴走しないか気がかりでこっち側のこと考えてなかった」

「見ている限りだとアズールとサルファが止めるだろうしな……」

「と……とりあえずあたし!実際に打って全部の薬の効能試してみるから先に行ってて!」

「ダメだ!!正義の魔法少女が薬漬けはマジでイメージ問題的にまずい!……ああでも自分薬効かないんだったどうしよう……ぐぐぐ48個もあるんだよなあ」

 数分後、たくっちスノーはアズールとサルファを呼び出してベゼレオも真化したこと、ディアブロスのマガイモノ成分をコントロールするために仕方なく、あくまで仕 方 な くフォールンメディックに覚醒せざるを得ないとマゼンタが強引な手段を選んだこと、おそらくメイドウィンブラストの派生としてマゼンタは50種類の未知の薬を作れるようになったことまで説明する。
 サルファ達もまたもう一つの地雷が記憶から抜けていたことに震えつつも現在のマゼンタのエッチな格好で理解を拒んでいた、一番清純だと思っていたマゼンタが一番過激になってしまったショックのあまり言葉を失う。

「ンミ……ミミィ」

「ンミミィになっちゃった!?」

「ということで残り48種類を3人で16種類に分けて実際の効果を確かめないと今後の活動的にまずいと思って君達にはモルモットになってもらいたいんだ」

「言葉だけ聞くと時空犯罪者其の物やな」

「いやだって残り全部48種類マゼンタちゃんで試させるわけにはいかんでしょ!」

「16種類3人で漬けるのも対して変わらんやろが!!」


「でもやるのね?」

「やる、トレスマジアの今後にも関わるからな」

「あ、あのー……そもそもディアブロスの抑制剤以外でこの力使わないようにするのも考えたけど」

「忘れてないかいマゼンタちゃん、君の身体は今やマゼンタの方が本体で花菱はるかとしては成分の表面を作り変えてそれっぽく見せてるだけだ、実際戻れる?」

「あ、ああ……元のマゼンタに戻れない……」

 腹を括ったサルファは覚悟を決めてマゼンタの投薬実験に付き合うことになった。
 アズールも愛のアヴァランチで耐性つけながら1つずつ薬を確認する。
 そもそも自然回復するのか?に関してはたくっちスノーがミリィに教えてもらった状態異常を消し去る『ブラック洗顔』を元にした石鹸水を浴びせるだけで治るので少しずつ時間を置きながら薬物実験を行う。
 何かあった時にはマガイジン漏洩共々たくっちスノーが全ての責任を取る。
 そして1時間後……。

「巨大化、液状化、幼児退行、透明化、膨乳、ダウナー化、獣化、風船化、着衣不可、男体化……その他諸々、なんというかベーゼの魔力で生まれるだけはあるなぁって薬ばっかだな」

「あたしもうお嫁に行けない……あと気のせいかもしれないけど全部エノルミータにやられたことある気がする……」

「改めてあいつらウチらの尊厳尽くぶち壊してんな……」

「マゼンタ、悪いこと言わないから基本封印しておきなさい、形態ごと」

「や、やっぱりそうなのかな……」

 せっかく考えたフォールンメディックは使わないほうがいいというこれまたやり方は違うが同じ流れになってしまう。
 しかしまあ……この場合のフォールンメディックは本当に使うに越したことはない、イミタシオと能力が被ってないか?とも思ったが毒と薬は似てるようで違うらしい。
 改めて時間はかかったがガリュードと戦うその他諸々の所へ、マゼンタは自分にやったのと同じように金雷公ジンオウガの抑制剤を作れないか実験する、マガイモノの力で魔力は無限なので立ち回りに慣れない所があるが飛んでいる途中でアズール達を見る。

「……あっそういえば戦いの途中で呼び出したけど魔力は大丈夫なの?」

「一応節約しながら戦うようにはしているけど、そろそろ半分を切るかもしれないわね……」

「やっぱり……ちょっとごめん!」

「えっマゼンタ何をんううう!?」

「えい」

「行動力の化身」

 マゼンタはアズールにキスをして魔力を送り魔力を注入、無限に生成出来るので注ぎ込むように体の中に魔力を入れる。
 まるでガソリンを吸入するかのように魔力が満タンになったのを感じて舌を離してたくっちスノーの目を潰したサルファの方を見る。

「え!?いやウチはええわ!てかもっとマシな魔力の送り方ないんか!?」

「搾乳とケツからの注射器とキスとどれか選ぶんだよサルファちゃん」

「なんやそのアホが考えた3択は!ちょっ待っ心の準備ぐううううう!?」

 こうして尊厳と純情を代償に魔力タンクヒーラーの役割を得たマゼンタは現在戦っているパラレルの自分たちの魔力を補給する為に大急ぎで飛んでいく。
 その一方で自分たちの貞操が危ないと寒気を感じるパラレル達、ちょっと強引だったのでギャップを感じてドキッと来たアズール、そして再度魂が抜けてしまうサルファ。

 「ンミミィ」

 「またンミミィになっちゃった!?」
最終更新:2025年05月11日 07:14