「ボクは魔王に負けたんだ……もう勇者なんかじゃないよ」
「で、でも素質はあるんだろ? それを俺に……」
「ボクに人を導く力なんてないよ! そんなに立派な人じゃない。生活も荒んじゃったもの……悪いこともたくさんしてきた」
「……悪いこと?」
そういえば、事前に仕入れた情報の中に、勇者
ルーシィは魔王に敗北を喫して以来、グレてしまったということも含まれていた。
「そうだよ。ゴミのポイ捨てもしたし、燃えるのと燃えないのを分別せずに捨てたこともある」
「(゜д゜)」
「買い食いも、塀にラクガキだってした、公園の芝生に無断で入ったりもした!」
(勇者の悪事小せぇwwwwwwwww)
「これでわかったろ、ボクは勇者の名には相応しくない人間だって」
「……プッ」
「そんなに滑稽? なら遠慮なく笑ってくれていいよ、異世界の勇者様」
ルーシィは吹き出した舞人を憮然としない表情で眺めてから吐き捨てた。
「いやいや、そうじゃなくて……ぶはははは! なんつーか、悪事小さすぎ!wwww」
ついに舞人はこらえきれず、腹を抱えて笑い出した。
「な、なんだよ! もっと凄いことだってしてるんだぞ! 本当だぞ!」
「ぶはははは! もっと凄いことってなんだ? 言ってみ?」
「ね、猫の交尾を邪魔し……っ!! 何言わせるんだよ!!」
ドゴォォッ!!
「ぐぼぉぉっ!!」
ルーシィの顔が茹で蛸よりも赤くなった次の瞬間、舞人の頬にルーシィの鉄拳がめり込んだ。
無駄にカッコイイ悲鳴を上げて吹っ飛ぶ舞人。
「あ、あれは結果論であって、てっきり下の猫がいじめられてるんだと……じゃなくて!!」
(自爆しすぎじゃね?wwww)
ズキズキと痛む頬を押さえながら舞人は心中で突っ込む。
(と、とりあえずここはフォローを入れてどうにか関係の回復を……)
元から回復できるような状況でもない気がするが、舞人はフォローの言葉を必死で考えた。
「そ、そうだ……。いじめられてるって思って助けたってことだろ? なら、やっぱりお前は勇者じゃないか」
「……うっ」
「困ってるやつを見捨てておけない、たとえそれが動物でも人間でも。それは立派な……立派な……ええと」
ゴン「人徳」
「そう、それそれ……って、今なんか変なヤツいなかったか?」
「……さぁ」
「ともかく! お前は今でも勇者の心を忘れちゃいないってことだよ。だから頼む、
俺に勇者としての特訓を!」
「………」
長い長い沈黙。
ルーシィの葛藤が目に見えてくるような錯覚に陥る。
そして沈黙が破られた。
「……わかったよ」
「ktkr!wwwwww」
最終更新:2007年05月09日 22:02