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 ルーシィの特訓の甲斐あって、舞人の勇者としての素質は日に日に開花していった。
「……って感じに話が進めばいいのにね」
「……う、うるへー……ガクッ」
 実際のところ、今日も今日とてたっぷりシゴかれた舞人は、地面に大の字になってへばっていた。
 ランニングから始まり、ストレッチ、筋トレ、素振りと日ごろ使っていなかった肉体を酷使しまくる。
 そしてやっとそれが終わったかと思えば、魔法力を上げるための精神修行ということで滝に打たれながらの座禅に続く。
 しかも危機管理能力を上げるためだと、舞人がぼーっとしている隙を狙っては滝に金ダライが投入されるのだ。
 精神鍛錬どころか、精神が磨り減っているような気さえする。
「君のへっぽこさもここまでくると能力だよ」
「い、今に見てろよ!」
「その台詞、特訓を始めて何度目かな?」
 ニヤニヤと笑うルーシィからついつい視線をそらす舞人。
 そしてふと思った。
 特訓を始めた頃はトゲトゲしかったルーシィの表情が、最近ずいぶん和らいできたように思える。
 今のように、意地悪いものではあるが笑顔すら浮かべることもある。
「ま、せめてモンスターくらいは一人で倒せるようになるようにはならないと、魔王と戦うなんて到底ムリだかんね」
「お、おう」
 魔王を自力で倒す気がないことなど言えるような雰囲気ではなかった。
「頑張んなさいよ、勇者様」
 ルーシィが舞人の顔を覗き込むように側面から回り込んできて、舞人の頬を指でつんつんした。
(うはwwwwwおっぱい当たってるんですけどwwwwwwもしやわざと?wwwwww)
 無論無意識にあたっているのだが、こうした無防備な姿も最近はよく晒してくれる。
 最初の頃よりずいぶんと心を開いてくれているようだ。
(これはいいフラグですねwwww)
「……何笑ってるんだよ、しかもその笑い方ブキミだよ君」
「な、なんでもない」
 ついつい顔に出てしまったようだ。
 しかし、笑顔は見せるようになってもやっぱり口調はキツかった。
「それにしても、最近魔王の噂聞かないよね」
「そういえばそうだな……」


 その頃、南国都市トコナ。
「にゃはははは~。海は楽しいねー、もーずっとここにいたいよー」
「おっおっ、空が青いお、ここでなら空も飛べる気がするおwwww」
「いやはやまったく……すばらしいところです。見てください、あのおっぱい達を」
「やらないか?」
「………魔王様。ルネーニ陥落のよい案は浮かびましたか?」
「ルネーニ? そんなのしばらくど~でもいいよー。アタシ、もっとここでバカンスする~」
 一週間の間一滴たりとも精気を吸収していない魔王ミレイアは、すっかり幼女モードになっていた。
 精神年齢もガクっと下がり、トコナでのバカンスを思う存分満喫している。
 一度、その放蕩さ加減に不平不満をぶちまけた魔族が現れたものの、ミレイア(幼)の怒りを買い、瞬きする間に消し炭にされてしまっていた。
 体と精神年齢は押さなくなっても、その魔力は健在である。
 力加減を知らないミレイア(幼)は、本来魔王として毅然と振舞っているときの姿よりも恐ろしいのだ。
「……承知しました」
「ベア君。君も黙って突っ立ってないで楽しんだらどうです? ごらん、あのおっぱいを」
「俺はノンケだって魔族だって人間だってかまわないで食っちまうぜ」
「ブ――――――ン」
「………」
 四天王ラーレ・ベアはすでにこの環境に順応している同僚たちを脇目に、小さくため息をつくのだった。

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最終更新:2007年05月09日 22:02