京太郎インタビューその2
前回のインタビューにて、清澄高校麻雀部の大将・宮永咲さんについてのコメントを頂けたSK君。
女子麻雀選手の関係者で希少な男子生徒ということもあり、今までに無かった需要が増えているとのデータが出ている。
今回は、彼自身についてインタビューを行う。
というわけで、今回もよろしくお願いします。
京太郎「よろしくお願いします……いや、まさか二回目があるとは」
とても面白いお話を聞けたのと、目線を隠しても分かる顔立ちの良さが人気を呼んだみたいで。
京太郎「話、はともかく、顔立ちですか?」
綺麗に整っているかと思います。
京太郎「あ、はは。あんまそっちで褒められた経験ないんで、反応に困るなぁ。でも、ありがとうございます」
それでは早速質問に入りますね。
京太郎「はい。あーでも、清澄の選手事情に関しては口止めされたんで、そこはちょっと……まぁ、聞かれても俺から有力な情報が出るとは思えませんけどね」
分かりました。それではまず、前回のインタビューで高校から麻雀を始めた初心者と言っていましたが、麻雀を始めたきっかけはなんだったのでしょうか?
京太郎「きっかけですか…….。ぶっちゃけちゃうと、麻雀そのものに興味が出て始めた訳じゃないんですよね」
と言いますと?
京太郎「入学式の日に新入生代表つって、麻雀で去年インターミドル王者になったっていう女の子、まぁ和なんですけど。その子が全校生徒の前で挨拶して、「高校でも麻雀を続けたいと思います」って言うんですよ。当時のうちは無名も良いとこだったんで、なんでうちに来たのかは謎でしたけど、部長も美人さんと噂だし、あの子が入るならやってみよーぜって男友達となってですね」
一目惚れした女の子が入った部活に、一緒に入ったということですか?
京太郎「そんな真剣な気持ちじゃないっすよ。青春に飢えた男子高校生が可愛い子とお近付きになりたいってあっさい考えで部活見学しただけです」
中学時代はハンド部だったそうですが、そちらを続ける気は?
京太郎「無かったですね。これでも結構良いとこまで行ったレギュラーだったんですけど、だからこそ情熱を費やしちゃったっていうか。なので、高校では何か違う部活をやろうって思ってまして」
入部希望者は他にもいた?
京太郎「いえ、俺と似たような事考えてた野郎共は結構いましたけど、他全員は部活見学の段階で辞めましたよ」
入部試験でもあったのですか?
京太郎「似たようなものですかねー。部室に入ってとりあえず打ってみようって事になったんですが、和はもちろんのこと、一緒にいたちんまいのに、元からいた部長や先輩が、これがまた強いわ強いわで。ちっとも歯が立たないし、全然上がれないし、そもそも麻雀自体がムズいしでどんどん来なくなって。部活見学期間が終わるまで残ってた男子は俺だけになりました」
何故そんなことに?
京太郎「後から聞いたんですけど。優希のやつが「のどちゃんに集ろうとする悪い虫は駆逐してるじぇ……! 一匹残らず!」って意気込んでたらしくて、未経験者相手に本気でやってたんですよね。こっちは役どころか牌の読み方も良くわからんのに、大人気ないったらありゃしない」
須……S君は悪い虫では無いと思ってもらえたと。
京太郎「そういうことになるんですかね。俺が入部届出した時に、したり顔で「お前中々根性あるな。よし、今日からはこのゆーき様の犬としてこき使ってやるじぇ!」とか言ってましたが」
犬。
京太郎「あいつなりの男友達って意味でしょう。俺もいつもタコス食ってるからタコスって呼んでますし」
他の子が辞めていく中、S君が残ったのは何故でしょうか?
京太郎「まぁ部活見学でひたすら打っていく内にですね。役の名前がオシャレーだとか、思ってたより奥が深いんだなーとかって、そういう所から麻雀の楽しさに目覚めたからってとこですね」
原村和さんの美貌に、他の男子達より惹かれてたのもあるのでは?
京太郎「いや、それは……まぁ……恥ずかしながら」
やはり彼女のスタイルは目を引かれるものですか?
京太郎「ぬぐっ!!」
恥ずかしがる事はありませんよ。うちの会社でも彼女はグラビア向きだともっぱらの噂で
京太郎「その分かってますよ感出すのやめてくれませんか!? そう言う人が本当に分かってくれてた試し無いですからね!?
男子高校生はみんなエロい事しか考えてないとかそういうのを理解するのも大人になるって事だとか言ってしょうがない生き物だって風に扱いますけど!
そりゃあエロい事は考えますよ! 男の子ですもの!
でもだからってそれしか考えてないとか言って、スタイル良い子が好みって言ったら女の子を身体しか見てないとか言うのはおかしいでしょ!?
じゃあ言わせてもらいますけど! うちの麻雀部でも他の女子選手も好みのタイプは麻雀が強い人って大体答えてるけど、麻雀強ければ他はどうでもいいってのと麻雀が強い(ただしイケメンに限る)じゃ全然話変わってくるじゃないですか! ブサメンだろーが運動音痴だろーがクズであろーが麻雀が強ければそれでいいって人も中にはいるかもしれませんが、他にも前提や好みがあるのが普通でしょ!? 諸々考慮するけど麻雀強い人だとポイント高いよって話でしょうよ!
だったら男も諸々考慮してスタイル良い子だとポイント高いよって女の子の好みを考えるのはそんなにいけないことですか!?」
落ち着いてください。
京太郎「ふー、ふー……、ふー…………。すいません、ヒートアップしました」
いえ、こちらも偏見を持ったまま深く考えずに発言しました。申し訳ありません。
京太郎「まぁ中には本当に女の子を身体しか見てない奴はいますからね。俺はそんなつもりないですし、男がみんなそうじゃないって分かってもらえれば」
原村さんが好みではあると。
京太郎「そうっすね。さっき言ったスタイルは置いといても、可愛いし、キリッとしてるし、最初見た時の印象はすごい良かったです」
現在の原村さんの印象はどうでしょうか?
京太郎「外見は変わらずなんですけど、中身の方。どういう女の子かってのは、結構見る目変わりましたね」
中身の印象、ですか?
京太郎「最初の頃はこんな完璧超人みたいな子が本当にいるんだなーって漠然と思ってたんですけど、世間知らずだったり結構抜けてる所があったりしてて。悪い意味じゃないんですけど、変な子だなって」
確かに。大会にぬいぐるみを持ち込むなど、目立つ部分はありましたね。
京太郎「一番驚いたのが私服ですね」
オシャレでない?
京太郎「そういうのじゃなくて、生地がやたら薄かったり、布面積がやたら小さかったりで……。それ夜のベッドで女が男を誘う勝負服だろってくらい扇情的だったんですよね」
原村さんにはそういう趣味が?
京太郎「普通に外で着る普段着の振る舞いをしてたので、本人的にはただのオシャレのつもりなんでしょうね……。真面目なんだけど肝心な所でガードガラ空きというか、無自覚無防備というか」
S君からそういう指摘はされたのでしょうか?
京太郎「俺じゃなくて優希の奴が「エロエロだじぇ」って感じで言ったんですけど、「いいじゃないですか。可愛いですし」と。いやそういう問題じゃねぇんだけどってツッコミ入れるのを必死にこらえてました」
S君は今年の大会には出られたのでしょうか?
京太郎「出ましたよ……一回戦で最下位でしたけど」
最下位。
京太郎「一度も上がれず箱割れです」
清澄で指導は受けているのでしょうか?
京太郎「んー。仲間内で人数足りない時とかに入るくらいで、指導とかは無いかな。一緒に打ってる相手にどうこう言われるのはありますが」
男子の育成に力を入れていない、と。
京太郎「うちは顧問やらコーチやらもいないですし、他のメンバーはみんな全国を目指すレギュラーですからね。入れようにも入れられないかなって」
悔しくはないでしょうか?
京太郎「悔しいといえば悔しいですよ。他のみんなはすごい人ばっかで県大会優勝までしてるのに、俺だけはって。
でもそれを指導してもらえなかったからとか、構ってもらえなかったからとか言って他人のせいにするのはカッコ悪いじゃないっすか。
第一、初心者の指導の為にレギュラーの少ない時間を削ってくれなんて言えませんし、言わずともしてくれたとして申し訳ないですよね」
大人ですね。
京太郎「いえ、そう考えるようになったのも割と最近で、それまではもう辞めちゃおうかなって思いもしましたよ」
何かあったのでしょうか?
京太郎「特別何かあった訳じゃないですけど、もう何やってんのか分かんないレベルの人等と一緒にいると、やっぱり劣等感っていうのですかね。俺麻雀向いてないのかなぁとか。俺が麻雀部にいる意味ってあるのかなぁとか。どころか俺がいても邪魔なんじゃないかって、一人で考えてると悪い方悪い方に想像しちゃって」
思い直せたのは何かきっかけが?
京太郎「部活の先輩がね、言ってくれたんですよ。俺も合わせて清澄麻雀部なんだって。実力あるのが集まっただけじゃチームとして成り立たない。清澄がチームになってるのは俺もそこにいるからって」
心に響く言葉ですね。
京太郎「ですよね。俺ちょっと泣きそうになりましたもん」
京太郎「まぁそんなこともあって、俺も実力が無いなりにチームとしてみんなに貢献しようと思ったんです」
成程。具体的にはどのような?
京太郎「一番変わったのはタコ……料理ですね」
タコ料理?
京太郎「あー……はい。他にも色々と、徐々にレパートリー増やしてる所です」
腕に自信の程は?
京太郎「いやいや、身近にお店で出してる人がいるので、自惚れるような腕じゃないのは身に沁みてますよ」
部内の人ですか?
京太郎「これがまた美味いのなんの。一度食べると病み付きです。料理での目標は、あの人くらいの味が出せる事ですね」
では、最後に何か一言。
京太郎「来年の大会でリベンジしてやりますよ。それこそ東○リベンジャーズのようにね!」
和「ちょっとそこに土下座してください」
京太郎「え? あの、和? 普通そういうのは正座とかでは」
和「顔を見てるとひっぱたきたくなります」
京太郎「…………」ドゲザ
和「はぁ……、須賀君。私が一体何に怒ってるかーーー」
咲「和ちゃん、顔真っ赤にして静かに怒ってるね」
優希「褒め殺しにされた上、好意をインタビューの場で赤裸々に語られて恥ずか爆死してるのと、えろえろ私服を暴露されて、ネットでキツめの呼び名がつけられた怒りとで錯綜してるじぇ」
まこ「『男を誘惑する魔性の乳』『淫乱ピンクのどっち』『天然痴女』……お、新たに『長野が生んだエロの化身』が追加されとるの」
久「ねぇ。同じ所で「こんな良い男の子を辞める寸前まで追い込むなんて信じられない!」「清澄麻雀部部長鬼畜説浮上」「鬼! 悪魔! 竹井!」とか書かれてるんだけど」
咲「京ちゃん……辞めようか迷うくらい思い悩んでたなんて……」
優希「染谷先輩の神フォローが無かったら、気付けないままだったじぇ……」
まこ「いや、わしも辞めようか迷ってたとまでは見抜けなんだな……。あの時のわし、ナイスじゃけえ」
久「聞いて」
和「大体なんですか辞めちゃおうかなって思いもしたって! そういう大事な事を何で一人で抱え込むんですか!?」
京太郎「い、いや、思ってただけで未遂だし、抱え込むって程深刻な段階でも無かったから」
和「思ってただけにしても深刻かどうかはあなただけで決めていい問題じゃありません! 私達の気持ちを勝手に決めつけないでください!」
京太郎「何故だか和に言われたくないんだけど」
和「私はいいんです! けど須賀君は駄目です!」
京太郎「理不尽じゃね!?」
和「顔を上げない!」
京太郎「はいぃ!」
一部反感を買ったものの、SKの主張は多くの共感を呼び、二度目のインタビューも好評となった。
あ、カン忘れてた。カン!
最終更新:2021年06月25日 21:56