世界観
世界は終わりを迎えた。
『Leaf Droid』は人類の革命だった。
これまでの常識をすべて覆す、全く新しいヒューマノイドロボット。人間に限りなく近い感情表現、血液の火照りまで再現した肌に瞳孔の微かな揺らめき。それは地球と人類の更なる飛躍を願って創り出され、創案者によって『Leaf Droid』と名付けられる。
これまでの常識をすべて覆す、全く新しいヒューマノイドロボット。人間に限りなく近い感情表現、血液の火照りまで再現した肌に瞳孔の微かな揺らめき。それは地球と人類の更なる飛躍を願って創り出され、創案者によって『Leaf Droid』と名付けられる。
Leaf Droidは発表当初から大きな注目を浴びることができた。アンドロイドの軍事利用や労働代替化が諸所にも囁かれる中、『Leaf Droid』の創案者であり、実質の開発指導者であった青年……漣白夜は、記者の会見でこう答えたらしい。
「Leaf Droidはこれから世界を照らすだろう。 人類は技術と共に歩み、新しいステージに進むんだ。 俺はそれを誰よりも信じてる」
大量のマイクに囲まれながら、漣白夜は照れたように微笑みを浮かべる。彼の控えめな会釈を最後に、その会見は終了した。カメラのシャッター音も頻りに止み、会場はやがて穏やかな静寂に包まれる。
その翌日、漣白夜は研究所で首を吊った。
創案者の意思を踏みにじるように、Leaf Droidは犯罪や戦争に利用されていく。彼の遺した研究は、世界に大きな悪影響を及ぼしたのだ。
正規のLeaf Droidは戦争でその過半数が破壊され、違法改造されたものは犯罪者の操り人形として市民を脅かした。
正規のLeaf Droidは戦争でその過半数が破壊され、違法改造されたものは犯罪者の操り人形として市民を脅かした。
何度も人間を破壊したLeaf Droidは『ポストヒューマン』の蔑称で蔑まれ、国家は馬鹿真面目に世界終末論を語り出す。狂った革命に取り憑かれた発明家達は生態系を崩壊させて、街は異常な速度で成長する植物に埋め尽くされた。
巷で流行りだした奇妙なウイルスは、今も着実に人口を減らし続けている。
漣白夜は史上最悪の発明家と呼ばれた。
巷で流行りだした奇妙なウイルスは、今も着実に人口を減らし続けている。
漣白夜は史上最悪の発明家と呼ばれた。
世界終末時計は、もうずっと0時を指したまま動かない。
実際、世界の人口はかなり減ったように感じる。あれもこれも、漣白夜の発明に熱狂した発明革命家達が引き起こしたものだ。
実際、世界の人口はかなり減ったように感じる。あれもこれも、漣白夜の発明に熱狂した発明革命家達が引き起こしたものだ。
世界は、確かに終わりを迎えたと言えるのだろう。コンクリートには雑草が生い茂り、ビルは苔に覆われている。ラジカセから流れるのは、終末論に酔った人類が神に祈りを捧げるカルトめいた録音音声。それも、数ヶ月前から延々とループ再生されているだけだ。
今やLeaf Droidは、正規品を探すのも難しい現状。制御を失ったボロボロの海賊版が蔓延し、生き残った人類を襲っている。
それはまるで、かつて観たゾンビパンデミックのようだった。
今やLeaf Droidは、正規品を探すのも難しい現状。制御を失ったボロボロの海賊版が蔓延し、生き残った人類を襲っている。
それはまるで、かつて観たゾンビパンデミックのようだった。