「形式不易の原理」とは

 自然数で成り立つ性質・法則が、より広い範囲でも成り立つよう、数や演算を構成することをいいます。

小学校での学習

 4年で、交換法則結合法則分配法則を、□や△や○といった記号の式で表すとき、それぞれの記号に入る値には、制限があります。例えば、かけ算を含む場合、かける数は整数に限られます。
 5年で、小数の乗法を学習したら、4年で学習した3つの法則の式に立ち返って、成り立つことを確認します。分数の乗法(6年)も、同様です。
 それと別に、演算決定を行う際の根拠にも、形式不易の原理が利用されることがあります。それは、小数や分数を含む文章題で見られます。「1mが80円のテープを2.3m買ったときの代金は、何円になりますか」という問題に対して、「2m買った」だったら、80×2と立式できます。問題文は「2.3m買った」なので、80×2.3とします。
 このように、整数でも小数でも同じとしていいのは、「1mのねだん×長さ=代金」という言葉の式で表されるからです。この例は演算の意味と形式不易の原理|算数用語集によりますが、量に対して使うべきではないという批判もあります(数学教育 : 数と量)。

算数を超えると

 交換法則・結合法則・分配法則がすべて成り立つのは、複素数までです。
 複素数の拡張により構成した、ハミルトンの四元数は、交換法則が成り立ちません。またケーリーの八元数は、結合法則も不成立となります。
最終更新:2012年12月27日 21:31