性同一性障害
性同一性障害(Gender Identity Disorder)とは持続性のある自分自身が認識する性別(性同一性・性自認)と身体上の性別とが一致していない状態であることを言います。
性同一性障害は医学の疾患名で日本精神神経学会の
ガイドラインに『身体的性別とジェンダー・アイデンティティが一致しないことが明らかであれば,これを性同一性障害と診断する.』とあり、自分が身体上の性別とは別の性別と認識している状態のことをいいます。
さらにその状態が持続していることや、身体上の性別やその特徴に対して違和感や不快感や嫌悪感が継続してあり、身体上の性別の役割(Gender role)が不適当なものであると感じることなどが伴います。しかし別の性別を求める理由が本来の
性自認に反して文化的社会的なものや職業的に利得を得ることが主となる場合は除外され、統合失調症などの精神疾患によって本来の性自認を否定したり身体的な性別の移行を望む場合は除外されます。ただし、統合失調症などの精神疾患であるというだけで性同一性障害ではないとされるものではありません。
もともと診断に基づいて使用されていましたが最近の日本ではこの言葉がひろまるにつれ一般的な言葉として広義の
トランスジェンダー(Transgender)と同じように使われることも増えてきています。
このような性別の不一致であることによって精神的な強い苦痛となったりや家族や周囲の人々や社会に認められない状態などから鬱などの精神疾患になる場合もあり、自殺する人や自殺未遂経験者が多くいます。
こうした苦痛などの精神や生活の状況を緩和するために精神科の範囲に属する治療や
性自認に一致した性別への移行のための身体的治療といった医学的な治療を求めることも多々あります。それらの治療には体への負担が大きいものや不可逆的なものもあり診断や治療のガイドラインが作られています。日本では
『性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン』が定められていて、現在は第4版となっています。
『性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン』第4版では性別違和の検討にICD-10やDSM-Ⅳ-TRも参考とするとなっています。またガイドラインの中で挙げられている治療をすべて受けなければならないとはされておらず、身体的治療は不可逆的なものであるので診断の手続きと精神科の範囲の治療をなしにすることはできないと決められている以外はその身体的治療の順番は十分な理解の上で自己決定できるとされています。つまり性別適合手術をうけることやそれを希望することが性同一性障害である条件ではありません。このようにガイドラインに身体的治療は必須であるとは書かれておらず、ICD-10にもDual-role transvestism(両性役割服装倒錯症)やGender identity disorder, unspecified(性同一性障害、詳細不明):Gender-role disorder NOS(特定不明の性的役割障害)というような身体的な移行を伴わないものも含まれています。ですのでよく言われる「性同一性障害=トランスセクシャル」というのには本来の定義と合わない面があると思われます。
他の診断基準の現状としてDSM-Ⅳ-TRのあとのDSM-5では「性別違和(Gender dysphoria)」に変更され、ICD-10の次のICD-11が準備中でそのBeta版では「性別不一致(Gender incongruence)」に変更されています。
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分野
参考リンク
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最終更新:2017年03月25日 01:17