新生人工言語論内検索 / 「普遍言語」で検索した結果

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  • 普遍言語の成果
    ところで16, 7世紀の普遍言語論争時代には様々な普及型言語が作られたが、実際それは役を果たしたのだろうか。比較的成功したのはウィルキンズであろう。彼は存命中からそれなりの大きさのコミュニティを形成していたし、ダルガーノらに比べてより精巧な分類表を作るに至っている。更に自身の死後もその仕事が継承されている。分類や分析を素地とした哲学的言語として隆盛を極めたのはウィルキンズであろう。 しかしそのウィルキンズの文字でさえ書きにくい、読みづらい、覚えづらい、間違えやすいなどの批判が相次いぎ、共通語として日の目を見ることはなかった。 こういう大きな目論見が敗れた結果、悲観的になった社会の関心は薄れていった。更に17世紀の終わりごろはフランス語が西洋に普及したため、個々の土着語による混乱をなくすという目標が減じてしまった。それゆえ共通語に対する意識自体が薄まっていた。ウィルキンズのよ...
  • 普遍言語
    ...リストテレスの範疇は普遍言語を作るには頼りないものであった。アリストテレスは実体・量・時間・場所・位置・性質・状態・関係・能動・受動という10のカテゴリーを挙げた。これは認識ではなく存在から見たカテゴリーである。また能動や受動というのは何かの分類とは考えにくく、むしろ文法上の概念であろう。このカテゴリーの非成熟度は哲学ではカントのような批判者を生んだが、人工言語学ではウィルキンズのような批判者を生んだ。ウィルキンズはアリストテレスのカテゴリーと比べると遥かに細かいカテゴリーを唱え、また実際にそのカテゴリーを作成した。 ウィルキンズは自然物や空間を細かに分類し、それらに普遍文字を付与した。 万物を分類し、その概念に音と文字を充てることによって人工言語を作る。この哲学的言語の手法は多くの人工言語作成者に影響を与えた。 17世紀に確立した人工言語作成の手法であるが、その後現...
  • 普遍言語へ至る背景
    ...こそ16, 7世紀に普遍言語論争が起こったといえる。したがってこれら社会・経済・文化などの要因は外すことができない。この時代の人たちは始めからエスペラントのような人工言語を作ろうと意図していたわけではない。始めは共通の書字を作ることが目的であった。それは真正文字や普遍文字などとも呼ばれたもので、概ね万人に通ずる共通の文字を意味していた。本論では代表として主に普遍文字という言葉を使う。こう聞くとオリジナルの文字を作ろうとしたように聞こえるが必ずしもそうではない。むしろオリジナルの文字を作ったロドウィックやウィルキンズは例外的で、アルファベットや数字を使ったもののほうが多い。 普遍文字は誰にでも読めるというのが前提なので、主に2つに分かれる。1つは字は同じだけれどもその読みは各国語で読むというもの。もう1つは共通の字に固定の読みを与えるものである。前者はとりわけヒエログリフや漢字...
  • 人工言語学
    ... 黎明期(3) 普遍言語へ至る背景 普遍言語 架空言語・空想言語 普遍言語の成果 国際語・国際補助語 グローバル社会の人工言語 音韻論・音声 形態論・統語論 意味論 文字論 文化論 .
  • 架空言語・空想言語
    ...よ哲学的言語であり、普遍言語である。この区別でも厄介なのにましてもってアダムの言語という神秘主義が加わる。しかも全員がアダムの言語を夢想するというのであれば話は早いのだが、事情は入り組んでいて、人によってはそのような神秘主義を否定していた。人工言語学上の分類としては数学的か百科全書的かといったような言語の構造については注目すべきである。一方アダムの言語が意図されたかどうかは動機にすぎないので、致命的に重要というほどではない。勿論動機を知ることでなぜそのような言語に至ったのかを知ることができ、その意味では重要であることを加えておく。 ところで当時はウィルキンズらのような普及型の人工言語しか存在しなかっただろうか。否。たとえば暗号型は速記文字の開発などの形で行われていた。まして当時は剽窃が多かったため、暗号は必要善であった。他方でこのころの西洋人の世界観の広がりが新たな人工言語を...
  • 国際語・国際補助語
    ...ソトス=オチャンド『普遍言語の計画案』(1855)も17世紀の亡霊で、経験主義な分類によって概念を分け、規則的にアルファベットを配列して造語する。最小対語の問題は無論残ったままである。17世紀と異なるのは科学が発達しているので、当時の最新の科学観を反映している点である。結局分類に頼った方法は作者の経験かそうでなくば当時の科学に依存するしかないという限界がある。この限界ゆえ、分類法に基づく言語を見ていれば――そして科学史に精通していれば――いつごろ作られた言語であるかが推測できる。これは現代の我々が人工言語を分析する上で便利なタグとして機能するが、この機能は普遍言語を目指した当人からすれば極めて不名誉であったに違いない。 さて、19, 20世紀に入るとライプニッツらから分岐してきた理系人工言語が更にウィルキンズらの人文人工言語と分離していく。ジョージ=ブール、フレーゲ、ヴィトゲ...
  • 人工言語の類義語
    ...た命名である。他にも普遍言語、国際共通語、世界共通語、人工国際語など様々な命名があるが、どれも人工言語に関した名称であることには変わらない。 このように、人工言語はどの観点で見るかによって細かく命名できる。つまり観点によって人工言語は様々な分類ができるということである。 次項の「類型論」では具体的に人工言語をいくつかの観点から分類する。
  • グローバル社会の人工言語
    ...されたのは17世紀の普遍言語時代であるが、この時代でも人工言語で儲けたり飯を食うのは極めて難しかった。いわんや現代は英語が国際語として機能している。ネットによって世界は更に狭くなり、英語はデジタルを通して更に普及している。 この社会的背景でいま人工言語が持つ機能とは何であるか。暗号型は軍隊などが使う本格的なものとしては望めない。およそ人工言語を資料ひとつ残さず複数人に丸暗記させるのは不可能である。ただ、個人或いは団体がちょっとした秘密の書字として使う程度なら機能するだろう。また、排他的な共通の言語を使うことにより使用者間に連帯感が生まれることがあるため、符牒型の言語も機能するだろう。ゴドウィンの月世界のような演出型の人工言語も現代では小説や他のメディアの中に頻出している。トールキンの『指輪物語』に出てくるエルフ語や、『スタートレック』のクリンゴン語などがそうである。 ...
  • 形態論・統語論
    ...なっている。たとえば普遍言語時代及びそれ以前は屈折が多く、明らかにラテン語を反映している。ただラテン語の屈折の複雑さは西洋人自身が辟易していたこともあって土着語程度の屈折を持った言語や屈折を失ったラテン語などが作られた。百科分類にしたがった哲学的言語は簡素な文法を持ちやすい。 言語差別主義が台頭していたころは膠着語は最も遅れていると考えられていた。中国語の孤立語は原始的な体系と言われていたが、普遍文字にとっての希望であったことから先駆的とも思われており、西洋人はこのアンバランスの理解に苦しんだ。勿論現代ではアンバランスでも何でもなく単なる言語の類型のひとつに過ぎないと分かっているのだが、当時はそう考えられていた。そのせいで膠着は心理的に避けられることがあった。しかし作成における言語差別が減った現代では圧倒的に膠着語が増えてきている。エスペラントを始めとして多くの言語が膠着語で...
  • 音韻論・音声
    ...の音素を参考にした。普遍言語時代には特に西洋の音素が当たり前のように用いられてきた。彼らは母語或いは周辺の西洋語の観点からみて発音しづらい音素の組み合わせを排除することには専念したけれども、音素の選択において西洋以外の音素体系を考慮することはあまりなかった。シュライヤーは中国語を意識してrを削除した。だがこのようなことは珍しく、それも普遍言語時代が終わった19世紀末のことである。国際語時代に入ってエスペラントが台頭しても音素はしばしば西洋語中心の選択であった。現在の人工言語はやはり西洋を前提としたものが残っているが、作者の母語や学習言語の音素を参考にしたものが多い。日本人の場合、日本語と英語の折衷といった言語が多い。また現代は言語学のデータを利用できるため、よく使われる音素を選択するといった方法も取られている。 今までは子音について述べたが、母音はどうか。母音は何を選ぶという...
  • 人工言語と言語学
    ...のとおり、このとき「普遍言語」も拒絶されているが、この皮肉に対する説明は本論の通時論で展開される) 言語に優劣はないというのは現代言語学の常識であるが、この常識は通時的に見ることができる。かつて西洋が世界の中心だった時代は西洋思想がはびこっていたため、屈折語は最も優れた言語で中国語のような言語は文法を持たないとか、日本語には文法が存在しないとか、日本語は非論理的な言語だといった主張がまことしやかに囁かれていた。現在の言語学に言語の優劣を問うと示し合わせたかのように声を合わせて否定するのは、かつての言語差別への大きな反動が関与している。このように、言語学は潮流があり、パラダイムもある。言語学は確固とした不動の存在ではなく、そのことは言語学者自身が痛感している。したがって人工言語が言語学の対象にならないという常識も確固不動のものではない。 そもそも人工言語と自然言語の違い...
  • 文字論
    ...ことができる。これは普遍言語時代ではダルガーノに若干その気配が見られた程度である。だが筆者の見たかぎりではダルガーノはむしろ哲学的な分類の諦めの境地から偶発的に起こった結果としてこのような性質を得たのではあるまいか。個々の文化を大切にして異民族間の文化の違いを守るという精神はこのころには乏しかったため、そういった精神をダルガーノが持っていたとは考えにくい。結果的に少し似通う部分があるという程度に留めるのが妥当である。 現代はネット言語が流行るにつれ、ますますキーボード入力を意識した文字体系が流行るだろう。キーボードはラテンアルファベットでできているので、この26字を意識した言語作りにならざるを得ない。入力がしにくい言語であればそれだけより人気を失いやすいからである。したがって独自の文字を持つものは減るだろうが、それではオリジナリティがないという考えが浮かび、独自の文字はあるに...
  • 文化論
    ...洋人の世界観にある。普遍言語時代にせよ国際語時代にせよ西洋で起こった運動である。確かにこのころ既に西洋人の世界観は地球規模まで広がっていた。西洋とアラブとアフリカしか知らなかったような時代ではない。しかしそれでも文明の中心は西洋にあった上、人工言語の運動が西洋で起こったともなれば、人工言語が西洋中心に作られることは当然であろう。 ところで前述したとおり言語と文化と風土は不可分である。不可分であるといってもイギリスで発生した言語をオーストラリアで使えないという意味ではない。言語は実に柔軟な代物である。ただ変化のたびにその言語が使われている環境から影響を受ける。オーストラリアで使えば当然そこにいる動物の名前を表す単語ができるだろう。これは日本語でも同じである。仮に日本人が全員イヌイットの地で暮らしたら、やがて「秋の日はつるべ落とし」といった慣用句は絶滅するだろうし、「五月雨」「梅...
  • 作り方の流れ+α
    ☆以下は少し専門用語が混じるので、読み飛ばして構いません。 人工言語作成の過程は言語学の潮流に似ている。 古めかしい分け方だが、生成と認知を2大派閥とすると、言語学は生成から認知に流れてきた。 一昔前は生成一色に近かったが、最近は認知がトレンドになってきている。生成は主に文法を扱う。 パラメータ理論のころが最も言語類型論や言語普遍性と距離が近く、人工言語作成に有益だった。 人工言語の作者はまず文法から作るものだ。語彙や語法から拡充させることはないだろう。 したがって生成を学んで――特に言語普遍性と言語類型論を学んで――文法作りに役立てると良い。 参考文献 B・コムリー(1992)『言語普遍性と言語類型論』ひつじ書房 C・アジェージュ(1990)『言語構造と普遍性』白水社 これらは文法を作る際に非常に役立つ。一通り読んでおけば様々なタイプの言語を構築する...
  • 人工言語
    人工言語の基礎がわかるコーナーです。 1 人工言語とは? 2 レトルト人工言語 3 言語と文化 4 言語の普及 5 人工言語のあゆみ 6 人工言語のこれから .
  • 言語と文化
    言語と文化 言語は文化から影響を受けます。 例えば、日本語は日本の文化や風土から影響を受けています。 日本人は米を主食にするので、「稲」と「米」という単語を区別します。 また、年功序列の厳しい社会なので、年齢によって兄と弟を区別します。 文化や風土はこのように言語に影響を与えます。 「狼」と"wolf"は生物学的には同じものを指しますが、「狼」は一匹狼のイメージから「孤高」な印象があります。 対して、西洋ではたいていwolfは残酷な動物という印象があり、童話などでは悪者として登場します。 こういう違いも人々の価値観や物の見方が言語に反映された結果です。 人工言語も言語ですから、文化と風土から影響を受けます。 たいては作った人の文化を継承します。 小説を書いている方で異世界の言葉を作りたい場合は、文化と風土も作っておくとより...
  • 言語の普及
    言語の普及 人工言語を作ったら、ぜひともそれを皆に使ってほしいものです。 人工言語の中には、エスペラントのように共通語になることを目指したものもあります。 確かに、地球上のどこでも同じ言葉が通じれば、とても便利ですよね。 ぜひそうなってほしいものですが、実際に世の中で使用者が多いのは英語と中国語です。 どうしてでしょう?英語や中国語は何か言語的に優れているのでしょうか。そうではありません。 英語が広まったのはかつて大英帝国が強かったこと、20世紀にアメリカが大国だったことによります。 要するに、喧嘩が強くてお金持ちな国の言葉が広がったということです。 人類共通の言葉と聞くと平和をイメージしますが、むしろ暴力が言語の統一を作っているとは皮肉なものです。 中国語が広まったのは経済力というよりはマンパワーです。 このように、言語の普及は経済力・武力・人口に...
  • 人工言語2
    人工言語より一歩踏み込んだ説明をしています。内容的には重複するものがあります。 1 言語は文化と風土から切り離せない 2 アプリオリとアポステリオリ 3 人工と自然 4 文化と風土が言語を支える 5 文化と風土を持った人工言語 6 エスペラントと文化 7 人工文化と人工風土 8 文化と言語の組み合わせ 9 演出型のあゆみ 10 演出型のこれから
  • 人工言語事典
    言語学では人工言語を扱うことがないため、言語学の術語(用語)は必ずしも人工言語用に適していません。 そこで、独自に人工言語事典を作りました。 「副詞」や「時制」などといった基本的な術語は言語学のものを使っています。 コンセプトとしては、「特に問題なければ言語学のものを使い、適宜オリジナルの術語を設ける」というスタンスです。 副詞など、言語学にあるものはここで言語学的な解説しても仕方ないので、人工言語における副詞の記述を施しました。 副詞とはそもそも何かということについては専門書やウィキペディアなどをご参考にされるとよいかと思われます。 また、純粋な術語だけでなく、語形を長くしないで効率をよくする方法というような読み物も項として扱いました。 そのため、辞典ではなく事典としました。人工言語事典の記事は「だ・である体」です。 説明中で用いている言語は主に日...
  • 人工言語の定義
    人工言語とは主に少人数の人間が比較的短期間で意図的に作った言語のことである。対して、英語や日本語のようにある民族によって長い時間をかけて非意図的に作られた言語を自然言語という。いずれも人間の言葉である点で共通している。 一方、『言語学大辞典第6巻』「自然言語と人工言語」の定義によれば、 「自然言語は、人間の各集団の間に自然発生的に形成されたもの」とあり、 「人工言語は、自然言語のもつ曖昧性(ambiguity)をとり除き、ある分野に限定して、その分野での必要と使用目的に合うように人工的に設計した言語」とある。 『言語学大辞典』の定義に従うと、人工言語はあまりに多義的である。数学用に作られた言語も人工言語に含まれ、コンピュータ言語も人工言語に含まれる。無論、国際補助語も人工言語に含まれる。しかし本論では理数的な目的で作られた言語は対象に含めず、人文的な目的で作られた言語のみを...
  • 人工言語とは?
    人工言語とは 英語や日本語など、自然とできた言葉のことを、自然言語といいます。 逆に、誰かが意図的に作った言語を人工言語といいます。 「日本語だって日本人が作った言語だから人工言語じゃないの?」という疑問がよくあります。 民族単位で作った言語は人工言語にカウントしません。 「水という単語は「ミズ」と読むようにしよう」というような打ち合わせを、日本人はやったわけではありませんよね。 自然と民族が作っていったものは、除外されます。 どんなものがあるの? 一番有名なのはポーランドの眼科医ザメンホフが作ったエスペラントです。 人工言語は意外と多く存在します。前世紀で既に1000以上の人工言語がありました。 筆者が作っている人工言語アルカもその1つです。 何のために作るの? それは言語によって異なります。目的は様々ですが、いくつかに分類できます。 ...
  • 言語作成ツール
    ●人工言語制作依頼  人工言語・架空言語の制作依頼を受注しています。  20年以上の経験を持つ人材が、無料でどのような種類の言語も制作致します。こちらのページからご連絡ください。 ●言語作成ツール 言語を作成する際の支援ツールがあります。 この中のいくつかは筆者も使っています。 レトルト人工言語のソフト層ユーザーにはLangMaker。 自作の言語が世界のどの自然言語に似ているかを判断してくれるLanguage Identifier。 これはちょっとお遊び感覚ですが、本来は謎言語を判定するためのものですから、このような使用法はお楽しみということで。 自言語の辞書を作るならPDIC。 英辞郎で有名な辞書ツールです。フォントを自由に設定できるので、自言語の文字を搭載したフォントを表示することができます。 単語はほぼ無限に登録できます。検...
  • 比較言語学的分類
    英語は印欧語族ゲルマン語派に属する。同じ語派にはドイツ語、オランダ語のほか、ゴート語などが含まれる。これらは互いに同系或いは姉妹語と呼ばれる。姉妹語であるかどうかの判断は比較言語学の分析に基づき、主たる資料は文献に残された文字である。利用可能な文献の量と質によって比較言語学の分析の性能が左右される。印欧語は文献量が豊富であるために系統が比較的明瞭であるが、日本語や韓国語(朝鮮語)のように系統が不明なものは数多い。日本語は奈良時代以前の文献が古く、その前は中国の文献で間接的に知るより他はない。 人工言語学で比較言語学の分析を行う場合、流用の程度を尺度として使って推し量る。ある人工言語Lの持つ統語論・音韻論・文字・形態論・語彙を主な分析対象とする。自然言語NとLを比較した結果、類似していればしているほど、流用の程度は高い。流用の程度が高い場合、NはLの参照言語であるといえる。 ...
  • 人工言語は簡単か
    結論からいうと、人工言語は意外に難しいです。構造自体が簡単でも学習が難しいからです。 言語が簡単というのは、文法システムや音韻システムの面だけではありません。 人工言語にもコロケーションや語法があり、結局は個々に覚えねばなりません。 語学というのは要するに壮大な慣れです。 検定でも3級くらいなら言語の仕組みを掴みやすい人は簡単に取れます。 でもそれ以上は反復練習の賜物なので、良い教材を集中して複数回繰り返す作業に落ち着きます。 人工言語をやっていて思ったのは、教材が少ないということです。全て自作ですからね。 CDブックも自作ですし、DVD映画作成は絶望的ですし、その上辞書や小説や歌謡曲まで作るというのは大変過ぎます。 英語などの自然言語に比べて圧倒的に教材となる資料が少ないのが難点です。また、留学先が存在しないこともネックです。 つまり、言語そのも...
  • 人工言語のあゆみ
    人工言語のあゆみ もともと人工言語は、共通語として作られてきました。 中世ヨーロッパではラテン語が共通語になっていました。 しかし徐々に各国の国語が強くなってきたため、ラテン語は共通語でなくなっていきました。 共通語がないと困るので、西洋人は共通語を開発することにしました。 しかしどれも鳴かず飛ばずで、流行りませんでした。 そうこうしているうちにフランスが力を付け、フランス語が共通語になりました。こうなったらもう人工言語は要りません。 1866年に、当時の権威のパリ言語学会は、人工言語に関する論文を受け取らないと決めました。これにより、人工言語ブームは終了しました。 実はエスペラントができる前が人工言語の一番のブームだったというのは驚かれることでしょう。 それでも、共通語があれば人々は分かり合えるようになるだろうという夢は消えませんでした。 そ...
  • レトルト人工言語
    「小説やゲームやマンガに臨場感を与えるために人工言語や架空言語を作りたい。でも、言語学や語学の知識がないと作れないの?」 ――そんなことはありません!専門知識がなくても言語を作ることはできます。ここではその実例を紹介します。 『Final Fantasy X 』アルベド語 これは日本語を改造したものです。「オヤジ」は「トタギ」といいます。ア行→タ行、ヤ行→タ行、ザ行→ガ行にしているだけです。 仮名を規則的に入れ替えているだけで、最も簡単な人工言語です。 単語も文法も文字も音も全部日本語ですから短い時間で作れます。 発音も完全に日本語ですし、労力は最小限で済みます。 『Tales of Eternia 』メルニクス語 メルニクス語はメルディというキャラクターの言葉で、英語を改造したものです。 アルファベットのAからZまでの26文字に、それぞれ仮名1文字を充てていま...
  • 人工言語のこれから
    人工言語のこれから 2008年にアメリカが経済的に大打撃を受けました。 もしこれを期にアメリカが潰れれば、歴史は非情にも英語を切り捨てます。 英語はゆっくりと現在のフランス語の地位に落ち着いていくでしょう。 代わりに中国語が共通語になるでしょうか?しばらくはなりません。 中国はかつての植民地時代に植民地を持たなかったので、英語やフランス語ほど世界に広まっていないためです。 従って、共通語のない時代に戻ります。(アメリカが潰れたらの話ですよ) そうなれば、人工言語は返り咲きます。常に栄枯盛衰の繰り返しです。 今度は「ヨーロッパ+アジア」すなわち「ユーラシア」の共通語が求められるでしょう。 アメリカ人はもともとヨーロッパ人ですから、ヨーロッパに含めています。 しかしこれが前途多難です。 アジアとヨーロッパは文化があまりにも異なるからです。 カトリック...
  • 人工言語の素質と経験
    自分で最初に作ったのは中学生のころでした。10歳のときに携わったので、必然だったかもしれません。 最初は仮名を絵文字に当てはめた暗号でした。まだ人工言語とは言えないですね。 高校のころ感じたことですが、人工言語って自分で思いつく場合、中高生が多い気がします。 中高生は思春期で、急激に言語の能力が上がるころです。ちょうど語学の臨界期を過ぎるころですね。 中高生になってラジオや歌番組にハマった人っていませんか? 私はそうでした。あのころって、妙に言語に耳ざとくなるんです。 おっさんになると歌番組って急激に聞かなくなりますよねw あと、言語に神経質になります。 私の場合―― 「人一倍っておかしくないか?二倍じゃないのか」 「絶対とか全然とか最低って、論理的におかしい。そんなやすやすと最下位のものに遭遇するわけがないし、100%の事態に遭遇するわけない」...
  • 文化と言語の組み合わせ
    文化 人工言語は文化を持ちます。 作者が文化を作らなかった場合は、作者かユーザーの文化が自動的に設定されます。 従って、文化の有無の問題ではなく、文化設定の有無の問題になります。 文化は、その文化がオリジナルか否かで、アプリオリとアポステリオリに分かれます。 文化設定がない場合、その言語が持つ文化は自動的にアポステリオリになります。 例えばエスペラントはヨーロッパ文化をアポステリオリとして持ちます。 言語 言語は、その文化がオリジナルか否かで、アプリオリとアポステリオリに分かれます。 組み合わせ 表内に具体例を入れました。 アルカとエスペラントは対極に位置しており、違いが明確になります。 文化設定あり(アプリオリ文化) 文化設定あり(アポステリオリ文化) 文化設定なし(アポステリオリ文化) アプリオリ言語 アルカ BABM(ボアーボム)...
  • 文化と風土が言語を支える
    文化と風土が言語を支える ここで改めて、なぜ人工言語には文化と風土が必要といえるのかを見てみましょう。 たとえば日本語で米と稲は別物ですが、英語ではどちらも rice といいます。 同様に姉と妹は区別しますが、英語ではふつうどちらも sister といいます。 rice の例は、日本が米を常食とする文化・風土にあり、英語を育てたイギリスが半農半牧の文化・風土にあったことで説明できます。 sister の例は、日本が長幼を重視する厳しい年功序列の文化であるのに対し、イギリスがそうでないことで説明できます。 海に囲まれ、夏に温度が上がり、大量の雨が降る。そういう風土だからこそ日本の米文化があり、rice は細分化されました。 逆に、牧畜を営んでいたからこそイギリスで牛は cow, ox などと細分化されます。 こういった言語例は文化と風土が関わっています。も...
  • 言語に優劣の差ってあるの?
    故千野栄一は言語に優劣は無いと強く主張していました。 彼は学問的というよりも主観的・感情的に主張していた節があります。 一般的な言語学者と同じく、私は言語に優劣はないと考えます。優劣の基準が決められないからです。 たとえば合理的か非合理的かということに話を限定したとしましょう。それなら確かに合理的なほうが優れているように見えます。 「見る」という動詞が異様に長い語形だったら大変だし、逆に短すぎても聞き取れないでしょう。バランスの取れた簡潔さが良いわけです。 そういう意味ではバランスの取れた合理的な言語というのは存在するのでしょう。 名詞に性別があることでフランス語はその煩雑さに見合うだけの特別な情報を伝えているとは思えません。 名詞の性別は労力に対して情報量が見合っていないのです。その点で非合理的といえ、劣っているといえるでしょう。 実際人工言語を作る人は名詞に...
  • 人為性による人工言語の分類
    人工言語と自然言語は対極の位置にあるが、その中間的存在がある。それはピジンやクレオールである。 ピジンはたとえば商港の英語話者と中国語話者の間などで発生する。中国語話者が意思疎通を図るために英語を簡略化し、商業用として実用する。それがピジンイングリッシュである。ピジンイングリッシュは英語を簡略化したものなので自然言語である。しかし元の英語に比べると人工言語に近い性質を持っている。 たとえばピジンイングリッシュは意図的に文法が複雑な構造を持たないように変えられている。こうしたことは英語母語話者間では起こらないことで、かなり人為的に言語が変えられているといえる。また、商人らが短期間で意図的に作ったという点も傍証となる。これらの点において、ピジンは人工言語に近いといえる。しかし商人らが計画して創りあげたのではなく、商業上の必要性から自然に発生したものであるため、あくまで人工言語で...
  • 人工言語とRPGツクール
    人工言語はRPGゲーム制作に譬えられる。 アポステリオリは自然言語を参照にするので、もともと存在するソースを利用することができる。 そのため手軽に作れるが、作り込みという点ではアプリオリに引けを取る。 語法や語彙をアポステリオリにするだけで、ずいぶん言語制作の労力は減る。 もちろんアポステリオリで作った言語でも、語法や文法や語彙は存在するから、言語としての実用は問題なく行える。 その意味で、アポステリオリはRPGツクールを使ったゲーム制作に似ている。 ある程度のひな形があるので、手軽に作れ、出来上がりも決して悪くない。 それで十分と納得できれば、お勧めする。 一方、アプリオリはプログラムから絵描きまですべて自作でゲームを作るようなものだ。 ツクールを使わないので、安定した言語制作ができない。 当然、出来栄えもツクールを使ったもの以下というのが往々...
  • 文化と風土を持った人工言語
    文化と風土を持った人工言語 言語には文化と風土が必要なので、人工言語も作った時点で勝手に文化と風土を持ちます。 文化と風土の持ち方は2通りあります。 1 作者が意図的に設定した→アルカのようなタイプです。 2 作者が設定しなかったので、作者の住んでいる場所の文化が参考になった→エスペラントのようなタイプです。 エスペラントの場合、作者のザメンホフが西洋人だったため、西洋文化と風土を反映しています。 しかしエスペラントのユーザーはアジアにもいます。そのため、アジアのユーザーはアジア文化と風土をエスペラントに反映するか、西洋に合わせます。 この件については別項で詳細をお話しします→エスペラントと文化 このように、意図的に文化を設定した言語と、そうでない言語があることを覚えておいてください。 なお、意図的に文化を設定する言語は、これまでほぼ皆無でした。 む...
  • 人工言語は世界語になれるか
    私は高校時代、若いこともあって、自分の言語で世界征服をしたいなんて考えていました。 ダークですねぇ。 一方、ザメンホフの場合は征服ではなく、言語の壁を取り除くという立派な目標を持っていたようです。 ザメンホフはホマラニスモ宣言の5番で、「あらゆる人間は個人生活では好きな言葉を話し、好きな宗教を信じる完全かつ明白な権利を有すると認める」といっています。 彼はエスペラントを世界語というよりは「どこでも通じる国際補助語」と捉えていたようです。 さて、世界語にせよ国際補助語にせよ、現実には厳しいものがあります。 言語っていうのは、経済力と軍事力の強い国の言葉が広まるものだからです。 高校時代の自分に言ってやりたいですが、「言語が論理的で合理的で優れている」とか「言語の壁を崩して平和な世の中を作る」といった理由では、広まりません。 アメリカは強い国なので、自分が英語...
  • 人工言語における成功
    人工言語は作る目標を設定することができるため、同時に成功と失敗という概念が発生する。 普及型の場合、小集団に広める以外を目標とすると、ほとんど失敗する。国際補助語以上を目指すと失敗する。 演出型は世界観の演出ができれば成功だが、ものすごく細かいリアリティを追求すると、成功までに極めて長い時間がかかる。 演出型はつまるところ作者が自分で「この程度なら世界観を演出できたといえよう」と納得できるかどうかが境界線なので、成功と失敗の判断が主観的である。 研究型は研究目標に達すれば成功するので分かりやすい。 例えば「アプラウトだけでテンスを表す言語で意思疎通ができるだろうか?」という疑問を立てた場合、作って実験して意思疎通ができれば成功なので、分かりやすい。 最も客観的に成功か失敗かを判断できる。
  • 人工言語で感情を起こせる?
    「人工言語なんて機械的だから、そんなんで書かれた小説で感動なんて起きない」という暴論が、昔はよくあったようです。 もちろん、慣れてしまえば人工言語でも感情を起こせます。その辺りは自然言語とまるで同じです。 確かに最初のうちは人工言語を読んでも、頭の中で日本語に翻訳しました。 それで感情が起こっても、どちらかというとそれは日本語が作った感情です。 しかし、慣れてくると脳内でいちいち日本語に変換しなくなります。英語と同じです。 この時点でも、ふつうに感情は起こります。喜怒哀楽すべてです。 私の話になってしまいますが、英語を読んで泣いたときより、アルカで泣いたときのほうが、なんだか凄いことをしている気になりました。 だって人工言語って自分が作ったもので、元はなかったわけじゃないですか。 自分が音を選んで単語を作って、文法作って単語を並べて文を作るわけです。それ読...
  • 自分に合った人工言語は?
    自分に合った人工言語は? 自分に合った人工言語のタイプが判定できます。 チャートの①からYesかNoで進んでいってください。 ドキドキの判定は!?→あなたのタイプ (注) 結果はあまり真剣に受け取らないでくださいね(^ω^;
  • 言語は文化と風土から切り離せない
    言語は文化と風土から切り離せない 英語では牛の雄雌に別々の単語を当てますが、これはイギリス人が牧畜をしていた結果です。 言語は文化と切り離せません。また、牧畜という文化はイギリスの風土が作ったものなので、風土とも切り離せません。 つまり、言語は文化と風土から切り離せません。 ところが、多くの人工言語は普及型です。世界の至る所で自分の言語が通じなければなりません。 従って、文化や風土の違いといったものを、なるべく捨象してきました。 ですが、実際に言語は文化や風土の影響を受けるため、文化や風土は捨象できるものではありません。 今までの人工言語は文化と風土を考慮してきませんでした。 新生人工言語論はその点を指摘し、「文化と風土を反映した人工言語も考えようよ」と主張しています。 これは大切なことなので、文化と風土が言語を支えるでもう一度ご説明します。 ...
  • 黎明期(3)
    ところで、表音文字と表意文字では概して表意文字のほうが人工言語に与える背景が広範で深淵なようである。言い換えれば人工文字に与える影響が大きい。ハングルの血の歴史や神代文字の民族意識を見ても頷けることだが、なぜ表意文字のほうが人工文字に大きな影響を与えると示唆されるのであろうか。こう書くと西洋の血の歴史を気が滅入るほどご指摘いただきそうだが、それは無論踏まえての上である。 背景が後半で深淵という仮説の原因は民族性の違いでもないし、東西文化の違いでもない。表意文字は表音文字に比べて文字の象徴性が強い。また、文字数が多く字形が複雑で習得が難しい。これらが大きく関わっている。 ハングルが起こった理由を思い出してほしい。そもそも漢字が難しくなかったらハングルの必要性は無かった。中国が20程度からなる表音文字を用いていて、朝鮮語と似たような音韻体系を持っていたら、ハングルは決して生まれ...
  • 先験と後験による分類
    『言語学大辞典』の「人工語」によれば、ドゥリンチェコは人工言語を次のように分類した。  先験語――哲学的言語  後験語――図式派:エスペラントなど         自然派:インテルリングワなど 先験語とはアプリオリ言語と同義で、後験語とはアポステリオリ言語と同義である。 同辞典によると先験語すなわち哲学的言語とは「人間がもっている論理は人類全てに共通であるからこれを基盤として言語を構築すれば コミュニケーションの手段として機能を発揮しうるという発想から生まれてきた言語案」である。 先験語は人工言語の歴史のわりと始めごろ、ベーコン、デカルト、ライプニッツらによって考察されてきた。(注 本論では先験語=哲学的言語ではない。これはあくまで辞典の分類である) 対して後験語は先験語に少し遅れて発達し、19世紀にザメンホフの台頭で一世を風靡した。後験語とは...
  • 目的による分類
    自然言語と違って人工言語は意図的に作られたものであるから、そこには目的がある。自然言語ができたのは人間が生きる上で必要としたからに他ならないが、人工言語はそれぞれ異なった目的や機能を持つ。 たとえば世界がひとつの人工言語を採択した場合どうなるか。人工言語を異民族間で使うことによって言語の壁を崩すことができる。英語による支配が消え、日本人は英語を学ぶ時間を他の勉強に充当できる。支配と被支配者の言語が同じになることにより、言葉による差別が消滅する。翻訳の必要性がなくなり、学術論文をいち早く書き、読むことができる。これは人工言語のひとつの機能であり、目的である。 ザメンホフは少年時代に人類共通の言語を夢見た。 それは特定の民族の言語であってはならない。特定の民族の言語を人類全体におしつけることは公正でない。三宅(昭51) エスペラントの創始者は異民族間の言語差別を...
  • 文化・風土による分類
    言語は文化と風土から影響を受ける。もしこの2つがなかったら、語義や語法を作れない単語が出てしまう。たとえば日本語が米と稲を分けるのは稲作文化を前提としている。同時に稲作文化を支える日本の風土も前提としている。このように、言語は文化と風土がないと定まらないことがある。 これは下位概念の人工言語にもいえることである。人工言語は固有の文化・風土を持たねば、自動的に非固有の文化・風土を持つ。文化・風土なしにはいられないので、自動的に非固有のものを持つことになる。非固有とは作成者の文化や話者の文化を意味する。人工言語の使い手によって使われる文化がまちまちでは、文化の影響を受ける言語で表された意味もまちまちになり、誤解が耐えない。 固有の文化・風土を持つ言語を新生人工言語と称し、そうでない言語を旧人工言語と称する。新旧は優劣或いは良悪の問題ではないことに注意しなければならない。従来の人...
  • 人工文化による警鐘
    ほとんどの人工言語作成者は人工言語だけを作っています。 ですが、言語というのは文化のひとつです。よく言語文化と言われるので横並びと考えられがちですが、その民族の絵画や建築技術などと同じく文化のひとつです。 文化は言語を包みます。風土と並んで言語の土台となります。 『エスペラントの話』三宅(昭51 大学書林)のp13によれば、「人間種族の平和と幸福とをもたらすためには、公平な共通語を持たなければならない」とあります。 ですがザメンホフは語彙の源泉に西洋語を選びました。文化は事実上西洋のものを拝借しています。 これは本当に公平でしょうか。公平でないとどういうことが話者間で定められなくなるのか、ちょっと言語の作成者に聞いてみましょう。 1 貴方の言語で太陽は何色ですか? 2 貴方の言語で虹は何色ですか? 3 貴方の言語で牛と米を表わす単純語はいくつありますか? ...
  • 術語について
    言語学は人工言語を対象としないので、言語学の用語はしばしば人工言語を作る際に使いづらいことがあります。 例えば時制について考えたとき、過去、現在、未来のほかに、「時制がない」とか「過去から未来までを包括的に指す時制」というのが考えられます。 えてして人工言語は体系的に作られるので、言語によってはこういった時制を示すことがあります。 しかし自然言語ではこのような時制を持つものが稀なので、これといって決まった術語がありません。 アルカはたまたまこの「過去から未来までを包括的に指す時制」を持つので、自分で「通時」と名付けました。 自然言語ではギリシャ語に「格言的アオリスト」というものがあり、これが意味的に「過去から未来までを包括的に指す時制」に近いことから、格言時制と呼んだ例を聞いたことがあります。 過去の私も含め、できるだけ言語学に合わせようとすることがあります。実際私...
  • はじめに
    はじめに ここではレトルト人工言語より詳しく、言語を作る方法を紹介しています。 レトルトに比べて人工言語らしさもアップしています。 ただし、本格的に言語を作るなら、もっと深く広い考察が必要です。 まずは簡単な人工言語の作り方について見ていきましょう。 簡単といっても、ここで挙げる手法は今後の人工言語作りに関与することなので重要です。 一番始めに、どのような言語を作るのか的を絞りましょう。 言語は実用するためのものと、研究や遊戯として作るものがあります。 後者の場合はどのようなシステムにしても良いので、作り方の説明は要りません。 好きな文法を当てはめ、現実にない文法を作り、複雑怪奇な文字を作り、人間がまず使用しないような音素を選んで言語を作る。 それもまた一興でしょう。作り方は自由で良いと思います。 また、実用を考えない研究用言語の作成は選択肢...
  • トップページ
    サイトを移転しました。 新生人工言語論は「人工言語の作り方」と「人工言語学」に分離しました。 人工言語学研究会 人工言語アルカ 人工言語の作り方 人工言語学 .
  • 人工と自然
    人工と自然 日本語のように、元々ある言語を自然言語といいます。 日本文化のように、元々ある文化を自然文化と呼びます。 日本風土のように、元々ある文化を自然風土と呼びます。 エスペラントのように、西洋語を参照して人工的に作った言語を、アポステリオリ人工言語といいます。 エスペラントのように、西洋文化を参照する文化を、アポステリオリ人工文化と呼びます。 エスペラントのように、西洋文化を参照する風土を、アポステリオリ人工風土と呼びます。 アルカのように、オリジナルで人工的に作った言語を、アプリオリ人工言語といいます。 アルカのように、オリジナルで人工的に作った文化を、アプリオリ人工文化と呼びます。 アルカのように、オリジナルで人工的に作った風土を、アプリオリ人工風土と呼びます。 ややこしいので、以下に表で示しました。 言語 文化 風土 日本語 自...
  • 語の音が卑語に似た場合
    普及型の人工言語の場合、広域に広めなければなりませんから、対象地区の言語が持つ卑語が自言語の語と重なるのは良くないことです。 人工言語を作ろうとすると必ず一度はここで悩むはずです。 自言語を対象となる自然言語の音韻体系に当てはめたとき、卑語にぶつかるのは問題です。 なお、以下は卑語を広義的に捉え、卑猥な語や罵倒語やちょっと言うのが気恥ずかしい語も含めます。 たとえば、エスペラントのdankonは日本語の音韻体系に当てはめると卑語になります。かといって他の諸言語では必ずしも卑語になりません。 また、エスペラントのindiは「値する」という意味ですが、中国語ではyin1di4(陰核)に音が似ており、同じくmimi(身振りで示す)はmi1mi(おっぱい)を多少想起させます。 アクセント等は勿論異なりますが。ですがmimiはせいぜい日本語では「耳」であって、別に卑語ではあり...
  • 意味論
    人工言語学で扱うべき内容は以下のことである。 まずは意味の曖昧性および同音異義語について。哲学的言語はあらゆる言語の中で最も曖昧性の少ない言語である。そもそもそれが言語作成の目的のひとつだからである。曖昧性をなくすためには統語規則が厄介になるうえに、同音異義語というものが原則存在しない。ダルガーノやウィルキンズやライプニッツなどの言語は全てこのタイプである。ただそれで完全に曖昧がなく同音異義語がないとはいえない。なるほど構文的には完全に曖昧さを払拭することができるだろう。規則を固めればどれが何の格を持ち、どの修飾部がどこまで修飾するのかも明示できる。「美しい水車小屋の少女」における美しいものが何であるか常に曖昧さなく表現することもできるだろう。また、ラテン語でliberが手紙であったり自由であったりするといった多義語の曖昧さも百科的分類によって防ぐことができるだろう。 しか...
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