この大戦の歴史は紀元前にも及ぶ。その時代のシャーマンが『強者を集めて戦い合わせよ。そして生き残ったものを王とせよ』という予言に従ったもの。いわゆる『蠱毒』を人間で行い、その力を得た強大な王による統治を狙ったもの。

その儀式の勝者は超常の力を手に入れ、人とは思えぬ長寿を誇ったという。儀式は100年周期で行わるため、その100年間をその王が統治する。そして次の儀式でまた同じ事を行い、それの勝者を王とする。これを繰り返す。同じ王が勝てばもう100年を統治する

別のものが勝利した場合、先代の王から『証』を受け継ぎ新たな王となる。これを数千年の間繰り返していたが、あるとき一人の魔術師がこれに参加する。その魔術師は異世界の魔獣を召喚して戦い、圧倒的な勝利を納め、強大な王となる。

魔術師は次の儀式、その次も圧勝する。しかしあまりにも力に開きがありすぎることをつまらなく思った魔術師は、その次の儀式において、参加者全員に魔獣を一体ずつ贈り、それと共に戦うようシステムを変えた。

そして魔術師はさらに多くの参加者を集めるために、『どんな願いでも一つだけ叶えることができる』という報酬を用意した。こうして現在の大戦の形式が整えられたのである。

そうして多くの大戦を超えるたび、『王』はより強大になっていき、いつしか王は『神』に匹敵するほどの力を得るに至った。そしてあるときその対戦に勝利した青年は『神』を名乗り、大戦をし切っていった。その青年は今までのどの王よりも貪欲に力を求めていた

そして彼は更なる力を求めて地球すべてを調べ上げ、地脈、龍脈、大気の魔力の流れなど、様々な条件が最も合致した場所、日本のある場所に移動し、そこで大戦を行うこととした。ここが神座原である

これが記録が確かであるならば1400年の頃の話である。これ以降、この神座原で繰り返し契約者たちの戦いが繰り広げられることとなる。あの地域に古い建物が神社以外ほぼ残っていないのはそのため。

前大戦は第一次世界大戦の混乱に乗じて行われたようだが、戦火のためか、大戦による影響か、この異形の戦いに関する記述は残っていない。残っていても伝説、口伝のようなものがわずかに伝わるのみである。

蠱毒とは?

「器の中に多数の虫を入れて互いに食い合わせ、最後に生き残った最も生命力の強い一匹を用いて呪いをする」もの(Wikipediaより
今回の大戦で言うのならば、神座原市=器、契約者、魔獣、市民たち=多数の虫である。
神はこの神座原という器の中で虫たち、つまり契約者や魔獣たち、はては市民まで巻き込んで殺しあわせることで呪力を高め、最後に残った一人を喰らい、より強い力を得ようとしているのだ。
そして大戦の古来からのシステムに従うのならば、神そのものもただ単に器の中に存在する『強い虫』の一匹に過ぎず、最後の一人が神を倒したところで、残った最後の一人に力のすべてが受け継がれ、また新たな神となるだけである。
そして新たな神となり、誠実にその力を使おうとした所で、その神もまた長い時の中で『欲望の塊』の影響を受け、歪んでいくのだ。







最終更新:2011年10月11日 21:04