+
|
Ver3.4(VerRe:3.0) |
Ver3.4(VerRe:3.0) |
身長 |
実体が無いので計測不能 |
体重 |
実体が無いので計測不能 |
出身 |
ガラスのフラスコ内 |
現在の生息地 |
謎の短剣と同化 |
名の意義 |
始まりと終わり |
製作者であり主人 |
パラケルスス |
イラストレーター |
出水ぽすか |
フレーバーテキスト |
『それ』はガラスの檻の中で目覚めた。 何の記憶も、感覚もなく、その存在は突然に始まった。 檻の外には、一人の男がいた。 男いわく、彼は『それ』を生み出した創造主であり、父であるという。 男はいつも沢山の不思議な装置に囲まれて何かの作業をし、 時折、檻の中の『それ』に話しかけた。 ある朝、『それ』が目を覚ますと、男は不思議な板を持っていた。 それは何かと聞くと、男は剣だと言い、 どこで手に入れたのかと聞くと、外の世界だと言った。 『それ』が自分もそこに行ってみたいと言うと、男は首を振ってこう言った。 「お前のアルカナは不安定で、外に出したらどうなるかわからない。」 『それ』がよくわからずにいると、男は、 要するにお前はその中でしか生きることができないのだ、と続けた。 『それ』は少しがっかりして、ならばその剣をよく見せてほしいと頼んだ。 しかし男はふたたび首を振ると、いつものように作業を始めてしまった。
次の朝、『それ』が目を覚ますと、男の姿がなくなっていた。 次の朝も、その次の朝も男は帰ってこなかった。 誰と話すこともなく、檻の中でぽつんと男を待っていた『それ』は、 ふと、立てかけられた「あの剣」を見つけた。 柄も刃も漆黒の、不思議な剣―― よく見ると、柄頭のあたりに何か文字が刻まれているのが見えた。 しかし、書いてある文字はよく読めない。 もっと近くで見たいという一心で、『それ』は無意識のうちに透明な檻の内壁に体を押し付けた。 すると、檻はぐらりと揺れ、そのまま落ち―― バリンという音と衝撃と共に『それ』は無様に転がった。 床の感触、熱いのか冷たいのかわからない空気、叩きつけられた痛み。 初めての感覚が一気に襲ってきて、『それ』は混乱し、声にならない悲鳴を上げた。 そうして、荒い呼吸を何度か繰り返し… 『それ』はようやく、自分が檻の外に出たことに気づいた。 |
|