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Ver3.2 |
全長 |
0.5[meter] |
変化が得意なヤニワニは、馬に化けては人を乗せて暴れてみたり、 大鷲に化けては道行く人の荷物を持ち去ったりと、毎日人間たちを驚かせて暮らしていました。 人間があわてふためく様を見るのは楽しかったし、それがヤニワニの生き方だったからです。 人々は、そんなヤニワニを恐れて遠ざかってしまうので、ヤニワニはいつもひとりぼっちでした。 でもヤニワニは、自分の生き方に疑問を持ったこともなければ、ひとりが寂しいと思ったこともありませんでした。 しかし、ある満月の夜、その日のひと際赤く、宝石のように輝く月を眺めていると、ヤニワニはふと、 だれかと一緒に、この月を見てみたいと思いました。その時、ヤニワニはなんだか胸のあたりがチクチクっとするような、 はじめての痛みを覚えたのです。 すると、その様子を見ていたかのように、赤い月はじわりとひとつ揺らめくと、スゥッと南の方へ走り出しました。 ヤニワニはあわてて月を追いかけました。 なんだかあの真っ赤な月に「ついておいで」と言われたような気がしたのです。 ――『妖精たちの赤い夜』 その3 |
重量 |
0.5[kg] |
生息域 |
人里近く |
特技 |
変化 |
好きなこと |
いたずら |
知りたいもの |
チクチクの正体 |
イラストレーター |
小玉 |
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