+
|
Ver3.5 |
Ver3.5 |
全長 |
0.4[meter] |
重量 |
9.5 [kg] |
最高速度 |
そこらの犬より早いワン! |
生息域 |
妖精丘 |
仕事 |
妖精の守護者 |
好きなもの |
長細いもの |
イラストレーター |
小玉 |
フレーバーテキスト |
キュンの守る『黒い森』に不意に現れた、キノコ、豆腐、フキの葉、白ねずみ、ガジュマルを持った青魚といった奇妙な妖精たちの一行。キュンはみなに、危険な森の奥“忘れられた茨の森”に近づかないように告げましたが、豆腐の投げた棒に気をとられている隙に、一行を逃してしまいました。
* * * *
一心不乱に棒を追いかけていたキュンを、突然、森の奥から瞬いた赤い光が包みました。 「ハ! ワッシとしたことが! こんなことしてる場合じゃないんだワン!」
我に返ったキュンは、急いで森へと駆け出しました。
キュンが茨の森の奥に着くと、そこには怪しく光る“赤い光”が、その下に倒れるニルス、ヤニワニ、マキリ、オーサンを見つめるように、ゆらゆらと揺らめいていました。
「遅かったワン…」
キュンの目の前で、赤い光は、そのままぐぅっと天高く昇っていってしまいました。
「お前らどうしたんでぃ!? せっかく梅干し…いやさ、まっ赤なお月さんを見つけたんだぜぃ! ほら! 起きねぃ!!」
1人だけ起きていた豆腐小僧は、ニルス達を叩いたり揺さぶったりしましたが、全く目覚める気配はありません。
「そんなことしても無駄だワン」 「おぅ、さっきの犬っころ! こいつぁどういうことでぃ!?」 「お前達が追いかけていたアレは、“赤い月”なんかじゃないワン。あれは“夢の結晶”なんだワン」 「…夢の結晶だぁ?」 「そうワン、あれはむか~し千年も生きた悪い魔女を閉じ込めた、“ある方の夢”なんだワン。でも、夢の世界で何かあったワンね… ちょっと前に、突然、封印された魔女ごと夢の結晶がバラバラに砕けて、あっちこっちに飛び散ってしまったんだワン」 「…何言ってんでぃ、飛び散ったも何も、あすこにあったじゃねぇかい」 「そうなんだワン… 飛び散ったはずが、いつの間にか欠片が集まって、戻ってきてたんだワン…」 「わけがわからねぇな… それとこいつらが起きねぇのと、どういう関係があるってんでぃ?」 「戻ってきた夢の結晶は、…こう、なんだか今までと違ってたんだワン。意志を持ってるような… それに、結晶は少し欠けていて、完全に元通りじゃなかったんだワン。だから、“妖精たちの夢”で補ってしまったんだワン。…早くあれから夢を取り戻さないと、こいつらは二度と目覚められなくなるワン!」 「な~にぃ!? なんでそれを早く言わねぇんだ犬っころ!」 「お前が邪魔するからだワン!! あとな、ワッシは犬ではないワン! ワッシはキュン、クー・シーっていう、妖精丘からこの森の守護を任された、立派な妖精だワン!」 「へ? 妖精? 犬っころじゃなくて?? なら、オイラの仲間だな!」 「なに言ってるワン! お前、妖怪だろーがワン」 「は? オイラ豆腐の妖精だけど?」 「…まだ言うかワン。そんなわけないワン、お前だけ眠ってないのがその証拠だワン!」 「ほう、なるほどねぇ……………て、えーーーー!?」
驚きのあまり、高野豆腐のように固まってしまった豆腐小僧をよそに、キュンはしばらく考え込みました。
「…困ったことになったワン。きっとあれは、あの方の夢が醒めかけてて、封印されてた魔女が目覚めようとしているんだワン。まったく、夢の管理人は何をして…このままじゃ、あの恐ろしい“偉大なる魔女”が蘇ってしまうワン! とにかく、急いで妖精王さまに報告しなくてワワン!」
そう言うやいなや、キュンは一目散に駆け出しました。
「あ!? ちょっと、待ちねぇ!」
我に返った豆腐小僧も、慌ててキュンの後を追いかけました。
~『妖精たちの赤い夜』 その12~
|
|