ビアンカ萌えサイト@Wiki

抱きしめて

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medaka

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「ねぇ、ビアンカ・・・」
食糧を購入するため、ジャハンナの街を二人で歩いている時だった。
リュカがふと立ち止まって、腕を掴んだ引いた。
「どうしたの?」
ビアンカが足を止めてリュカを振りかえると、リュカはなにやら言いづらそうに顔をしかめて、すぐ傍にあった、薄暗い路地の方に顎をしゃくった。
「なに?あそこに何か居るの?」
「いや、そうじゃないんだけど・・・ちょっと、いいかな・・・」
言葉を濁すリュカをいぶかしく思いながらも、ビアンカは頷いてそちらに足を向けた。

「で・・・どうしたの?」
元々、闇に包まれて薄暗いジャハンナだ。
路地に入ると、並んでいても、相手の輪郭くらいしか見えなくなる。
ビアンカはその暗がりの中でリュカの表情を伺おうと、目を細めて首を傾げた。
「うん・・・あのさ・・・・・・」
相変わらずリュカは言葉を濁している。
「どうしたのよ。」
そんなリュカにやきもきしたビアンカが少し膨れて問いたずねると、リュカは思いきったように口を開いた。
「あのさ・・・あれ、して欲しいんだ。」
「あれ?」
「うん、ちょっとでいいから・・・」
「??」

リュカの言っている事が良く解らず、ビアンカが更に首をかしげていると、リュカは不意にビアンカの胸元に鼻っ面を押しつけ、腰に手を廻してきた。
「りゅ、リュカっ!?」
突然のことにビアンカが驚いて声を上げると、リュカはビアンカの胸からほんの少しだけ、顔を上げて、ビアンカを見上げた。
「ちょっとだけでいいから・・・少しだけ、こうさせて・・・」
そして、それだけ言うと、また鼻先をビアンカの柔らかい胸に押しつけた。

何をするでもなく、ただじっと自分の胸に顔をうずめ静かに息をしているリュカを見るうちに、ビアンカは気づいた。
こっちの世界に来てから、リュカはずっと気を張りっぱなしだ。
子供たちの前ではいつも強く明るく振るまっている。
それに、二人になったのも、こっちに来てからはこれが初めてだった。
そうか・・・疲れてるよね。
心の中ではそう思ったけれど、ビアンカはそれを口には出さず、ただそっとリュカの肩を抱くと、自分の胸元にある紫色のターバンに頬を添えた。

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