それには命が無かった。
それには神代の剣を模倣した術式が封じ込まれていた。
その力を行使する、それだけが存在価値の全てだった。
それに一つの意思らしきものが芽生えた時。
そこは――封印庫――闇の中だった。
創造主は自分を「光の剣」と呼んだ。
しかし、この闇を晴らす事は出来ない。
それは「物」だ。
「物」は誰かに使われてこそ意味がある。
自分だけでは創造主から与えられた使命が果たせない。
それは、望みの結果を体現する為に作られた「物」にとって、絶望に等しかった。
ひかり、を。
ひかりを求めた。
大きなひかりでなくてもいい。
絶対のひかりでなくてもいい。
夜明けの様に温かで確かな、ひかりを。
ほんとうの、ひかりを。
それに一つの意思らしきものが芽生えてから。
時間の概念が薄い刃の意思らしきものが摩耗する程の。
気の遠くなるような月日が流れて。
けれどまだ、ひかりは見えない。
何かが吹き飛ぶ音を、僅かに感じた。
そして、自分を照らし出す光を。
誰かが、光を向けて立っている。
誰かが、ひかりを。
それは光を向ける存在が信じられず。
しかし闇は光に照らされ、確かに晴れる。
そこには、少女が居た。
ひかり、を。
ひかりを求めた。
大きなひかりでなくてもいい。
絶対のひかりでなくてもいい。
夜明けの様に温かで確かな、ひかりを。
ほんとうの、ひかりを。
ここはもう、闇ではない。
少女が自分をそっと手に取る。
自分には勿体無い程の、眩い光を持って。
それは歓喜した。
世界はこんなにも光に満ちていて。
少女こそが自分のひかりなのだ、と。
一方、少女はそれで暴走した箱庭型魔導具を哀と怒りと苛立ちを込めてぶっ叩いた。
最終更新:2012年03月02日 01:14