「それは今日、チャーハンを作れなかった、母の嘆き」
「それは昨日、チャーハンを食べられた、父の怒り」
「それは焼飯に誤解された、無数のチャーハンの叫びと祈り」
「だけど」
「その意思は力になったんだよ」
「焼飯マイスターよ。その鉄板で焼かれた、曠野の眼で篤と視よ」
「無数の世界の、無限の空から来たるモノが、何なのかを――」
そして、其れは来た。
憎しみに燃える空の彼方――
無限/無量/無窮の宇宙の彼方より。
正しき怒りをその胸に秘めて。
「……来たか。揃いも揃ってやって来たか、『君たち』は。悍ましいほどのチャーハンを作る、『君たち』が」
それは、チャーハンだ。
無限/無量/無窮の宇宙の彼方より来た、
無限/無尽/無垢のチャーハンだ。
世界の総てを埋め尽くす、チャーハンの大軍勢だ
傷一つ無い、新しいニニフで作られたチャーハンが在った
激戦の数々を潜り抜けた、古強者のニニフで作られたチャーハンが在った
未だ完成していない、鉄骨が剥き出しの台所で作られたチャーハンが在った
破壊され、最期の火力を燃焼させる台所で作られたチャーハンが在った
別の時間軸のルニャと
テンコに作られたチャーハンが在った
別の時間軸のチャーハンロボに作られたチャーハンが在った
ルニャとまだ見ぬミズクラゲに作られたチャーハンが在った
全く別の、見知らぬ誰かに作られたチャーハンが在った
無人で作られたチャーハンが在った
ニニフ以外の何かで作られたチャーハンが在った
油を使わず作られたチャーハンが在った
生身の血と肉を持つニニフで作られたチャーハンが在った
巨大なニニフで作られたチャーハンが在った
小型のニニフで作られたチャーハンが在った
獣の形のニニフで作られたチャーハンが在った
形すら無いニニフで作られたチャーハンが在った
液体のニニフで作られたチャーハンが在った
気体のニニフで作られたチャーハンが在った
電離体のニニフで作られたチャーハンが在った
幽体のニニフで作られたチャーハンが在った
二刀流のニニフで作られたチャーハンが在った
血まみれのルニャに作られたチャーハンが在った
二つの心臓を持つルニャに作られたチャーハンが在った
三面六臂のルニャに作られたチャーハンが在った
無数のチャーハンロボを引き連れたチャーハンが在った
鋼鉄の魔法の箒で配達されるチャーハンが在った
天翔ける戦艦のチャーハンが在った
惑星炒める光のニニフとなるチャーハンが在った
神になったチャーハンが在った
魔に堕ちたチャーハンが在った
ルニャと融合したチャーハンが在った
ルニャに生まれ変わったチャーハンが在った
かつて在りしチャーハン
今在りしチャーハン
来たるべきチャーハン
別の可能性のチャーハン
可能性すら無いチャーハン
時空の狭間を流離うチャーハン
それは輝くニニフが織り成す綾模様
無限の数のチャーハンが紡ぐ物語の名は
――チャーハン作るよ――
「やれやれ。以前はより大きな輪に呑まれ……今度はより多くの枝に絡まる、か」
「はは……これじゃあ、どっちが炒め御飯なんだか判ったもんじゃない」
「チャーハン作る世界に、汝ら焼飯作る場所無し」
「炒めず」
「混ぜず――」
「――無に還れ」
「チャーハン・インパクト・零零零式」
無限のチャーハンから解き放たれた無限×無限の必滅料理が、世界を昇華する――
最終更新:2012年03月02日 01:15