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あたたかな、春の頃でした。
悪い神さまが気まぐれに人の国を襲いました。
悪い神さまは王族を皆殺しにしました。
悪い神さまがお城でひと休みしていると、女の子が入ってきました。
女の子は言いました。

「わたしが殺そうとしていた王様たちはどこ?」

悪い神さまは少し首を傾げて言いました。

「ボクがもう殺してしまったよ」

すると、女の子は悪い神さまにおじぎをしました。そして

「ありがとう!」

と、元気いっぱいに神さまに言うのでした。
ますます首をかしげた悪い神さまは聞きます。

「お嬢ちゃん、どうしてボクにお礼を言うんだい?」

少し悲しそうな顔で、女の子は言いました。

「あなたが殺した王様たちが、私のパパとママを殺したの。だから!」

女の子の母は、この国の王女さまでした。
王女さまは闇に属する種族の男性と恋に落ち、駆け落ちします。
二人は山の奥でひっそりと暮らし、女の子を授かりました。
ですが王女さまの国は二人を許さず、二人は殺されてしまいます。
つめたい、冬の頃でした。
優しい魔物の協力で無事だった女の子は、ふくしゅうを誓ったのです。

「わたしはあいつらを殺さなきゃいけなかったの!」

少女は悪い神さまをまっすぐ見て言いました。

「あなたにお願いがあるの。パパとママを見殺しにしたやつをみんな殺して!」

悪い神さまは大笑いして言いました。

「面白い。よし、それじゃあボクの力を貸してあげよう」

女の子は悪い神さまの力を借りて、その国の民を一人残らずをやっつけたとさ。

めでたし、めでたし。



「全然めでたくないよー!?」

青墨色の髪をポニテールにした少女が、読み終えた原稿用紙を持って叫んだ。

「幼年部向けに作ってみたのですが……ダメでしょうか、旭」

「これが幼年部向け……」

旭と呼ばれた少女は、言葉に詰まる。
確かに描かれている絵柄はファンシーで可愛らしい。
その絵柄で残虐描写も描かれておりギャグとしか思えなかった。
――ほのぼのパケ詐欺乙。

「男の子にも受けるように戦闘シーンなどを入れた方がいいでしょうか……
 ふむ、王宮の外は国軍が包囲していて主人公の女の子が戦う事にすれば――」

「いや、あの、そういう問題じゃなくってね」

後の世で蒼の賢者と呼ばれる少女は、読者仲間であるビーニャの感性に頭を悩ませた。

「(ダメだこの子、もっと魔導書以外も読ませないと……)」
最終更新:2012年03月02日 01:16