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村の誰からも好かれる少年が居た。
少年はある時、一本の赤い赤い真っ赤な剣を拾う。
剣才に溢れていた少年は成長し、村を守る戦士になる。
村を守るために野獣を魔物を盗賊を切って血に沈めた。
赤い剣は決して折れず曲がらず刃毀れ一つしなかった。

どうしてしまったのだろうと、青年は自問する。
赤の剣を振るうたびに血飛沫が飛び散るたびに。
言いようのない歓喜がこみ上げてくる。
真っ赤な血、すべてを赤く染める血。血。血。血。
そのすばらしい赤が目に焼き付いて離れない。

まだ足りない。まだ足りない。
血、血、血、血が欲しい。
囁き声が聞こえた。
まだ足りない。まだ足りない。
血、血、血、血が欲しい。

剣を振るい肉を斬り裂く。
温かな赤がジャパジャパと吹き出る。
まだ足りない。まだ足りない。
血、血、血、血が欲しい。
注ごう血を渇きを癒すために血を血を血を。

血、血、血、血、血ィ、血ィィィィ!
血ィィー!アガッ!アガイ血ィィィ!
血、血、血ィ血ガ血血ガホシイィ!
赤ァアアア血血ヂィィィッアガーッ!
血ィィ赤赤ァッ血赤血赤赤血血血ッ血血血アガイヂィィィィッ!



青墨色の髪をサイドテールにした少女が机の上に突っ伏していた。
少女の前には頭に花を文字通り咲かせた友人が向かい合う形で座っている。

「前作が好評だったので、また描いてみました」

「好評だったんだ、前の……」

少女は友人が描いた絵本の原稿を持って言葉を濁す。
蜂蜜練乳ワッフル並に表現をマイルドにした前作「お姫さまとほうふくのけん」
それでも冠に「本当は残酷な」というフレーズが抜けていると思ったのに……
幼年部の正気度も気になるが、今は目の前の友人だと意識を切り替える。
内容は、前回よりも明らかにR指定が引き上がっていた。
血を求め狂乱したラストなどトラウマ確定である。

「不用意に武器を拾ってはいけません、という教訓を伝える童話です」

「えっと、そうだね。着眼点は悪くないと思うよ。でも絵本なんだから――」

少女は少しでも改善できればと意見を出す。
後の世で蒼の賢者と呼ばれる少女の戦いは続く。
最終更新:2012年03月02日 01:17